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  • 手を取り合って/すくいきれないもの(後編)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

手を取り合って/すくいきれないもの(後編)

最終更新:2010年03月01日 19:03

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だれでも歓迎! 編集

手を取り合って/すくいきれないもの(後編) ◆sUD0pkyYlo



前編へ

ローゼンメイデン第二ドール・金糸雀は、本当は姉妹思いで仲間思いなドールである。

確かに、その企みはいつもどこかズレているかもしれない。
策略家のくせに泣き虫で弱気で、不利になった途端に許しを請うような甘えん坊かもしれない。
意味も無く高笑いし、根拠もなく他の姉妹を見下す、鼻持ちならない態度ばかりが目に付くかもしれない。

それでも彼女が本気で憎まれたりしないのは、その根底にしっかり芯が一本通っているから。
究極の少女・アリスの候補に相応しい、魂の輝きがちゃんとあるから。

彼女が真に本気になるのは、自分のためではない。
誰かのために頑張る時にこそ、真の力を発揮できる。
姉妹のことを想った時にこそ、彼女は本当の実力を発揮できる。

楽してズルして嘘ついて、美味しい所だけちゃっかり頂いてしまおう、などといった邪心を捨てた時――
ローゼンメイデン第二ドール、金糸雀の真の強さが、垣間見える。

           *    *    *

「しん、く……?」
「え……?」

逃げても逃げても霧に追いかけられ、ついに塔のてっぺんまで追い詰められ、震えていただけの金糸雀は。
姿を現した覆面の怪人を目の前に、呆けたような声を漏らした。
彼女の視線が、釘付けになる。
正確には――その怪人物が抱えている、壊れたアンティークドールに。

全身ボロボロで着衣すら剥ぎ取られ、何より一番の特徴である頭部が無い。
知らぬ者はもちろん、知ってる者でも判別困難な壊れきったジャンク。
それでも金糸雀はそれが真紅であることを理解した。
理屈や推測ではなく、直感的に理解した。

理解して――そして、瞬時に沸騰した。

「真紅に……何したのかしらぁっ!?」
「な……なに、って……」
「とぼけないでなのかしら! その顔に巻いてるの、どうみても真紅の服なのかしら!」

金糸雀は激昂する。
相手の表情は見えない。赤い覆面と蝶の仮面に隠され、全く読めない。
けれど、その覆面の材料には見覚えがある。
ローゼンメイデン第五ドール、真紅が着ていたドレスの生地。小柄な怪人が抱えているドールの服。
それすなわち、ジャンクと化して倒れ伏した真紅の亡骸を、さらに辱めたということ!
いや、それどころか、もしかしたら……!

「もしかして、あなたッ…………!」
「ッ……!」

もしかして、真紅の首をもぎ取ったのもこいつなのか?
もしかして、真紅をジャンクにしたのもこいつなのか?
冷静に考えれば微妙に違うと分かるそれらの推測。だがその冷静さこそ今の彼女に縁遠いもので。
鋭く睨み上げる金糸雀に、覆面の怪人は息を飲む。
息を飲むと同時に、反射的にその腕が上げられて――そこに握られていたのは、鈍く光る拳銃。
隠しようのない、殺意の証。

覆面さえなければ、表情から相手の怯えが理解できたかもしれない。違う選択肢を取れたかもしれない。
けれど、この場においてその仮定は意味がない。
ほんの少し指先を曲げるだけで相手をジャンクにできる暴力を前に、金糸雀は、

逃げなかった。
むしろ、自ら怪人に突進した。

「ゆ・る・さ・な・い・の・か・し・ら・ぁ~~ッ!!」

怯えて身を竦ませているより、動き回った方が当たり辛い。
中途半端な距離にある時は、距離を開くより詰めた方が当てられにくい。
しかし金糸雀の頭にあったのは、そんな合理的な判断などではなく。
銃声が響く。頬を銃弾が掠める。
それに怯むことなく、金糸雀は1本しかない腕を伸ばす。彼女が持つほぼ唯一の武器を伸ばす。
――コチョコチョ手袋。
指先を少し動かせば、その刺激に耐えられる人間などいない。
突然の刺激に身を丸める怪人の腕から、真紅の残骸が零れ落ちる。そしてまた、拳銃も零れ落ちる。
金糸雀は、飛びつくようにして手を伸ばす。
小さな手が掴み取ったのは、真紅の亡骸――ではなく、転がり滑っていった拳銃の方。

(真紅、ちょっとだけ待って貰うのかしら! こいつをとっちめてから、きっと頭も探してきてあげるのかしら!)

壊れた姉妹を後回しにすることを心の中で謝り、金糸雀はそして余熱の残るFNブローニングをキャッチする。
拾い上げる動作と構える動作が流れるように繋がる。
薔薇乙女の身体には大きすぎる銃、しかも左手一本。それでも構わず、金糸雀はその引き金を――!

           *    *    *

(え――?)

みかは、驚いていた。
ずっと抱えていたものと同じくらいの体格の人形と出会ったこと、にではなく。
その人形に突然むき出しの憎悪をぶつけられたこと、にでもなく。

(私、なんで――なんで、撃っちゃった、んだろ――)

手の中に残る、発砲の反動の衝撃。じんわりと残る痺れ。
「コチョコチョ手袋」の攻撃で銃を取り落としても、すぐには消えないその感触。
こちらに突進してくる黄色い服の人形のことも気にせず、みかは自分の手を見つめて自問する。

(だって、私――ここに、来たのは、)

人形が銃を拾う。人形が銃を向ける。人形が引き金に指をかける。
冷酷に迫る死を眼前にして、みかは逃げようとしない。避けようとしない。人形から銃を取り返そうとしない。
だって。

(もう、全部終わりにしたい、と思ったから――だから――なのに――!)

全ての希望を失ったはずだった。天国を望んだはずだった。そのために高い場所を求めていたはずだった。
ならば塔から身を投げるのも、ここで誰かに殺されるのも、大差ない「終わり」の形のはず。
その、はずなのに。

再び霧の中に銃声が響く――当たらない。反動で人形がひっくり返る。
チャフの武装練金「アリス・イン・ワンダーランド」は、中にいる者の距離感と方向感覚を狂わせる。
持ち主の闘志、持ち主の戦意に従い、持ち主の意識的・無意識的なコントロールに従い、狂わせる。
……そして、闘志の根源にある、生物全てが持つ共通の本能とは。

(もう、諦めたはずなのに、なんで――!)

呆然と立ち尽くしたみかに向け、少女人形は諦めることなく再度引き金を引く。連続して引く。
今度は体育座りのような姿勢で、両膝で銃身を固定して。
確かにこの姿勢なら、隻腕で小柄な人形でも連射が出来る。そして、下手な鉄砲数撃てば。

その多くがあさっての方向に飛んでいく中、銃弾の1発がみかの方向に直進してくる。
「アリス・イン・ワンダーランド」が乱すのはあくまで相手の感覚だけだ。銃弾の進路自体は妨げない。
避けられずにみかの身体を穿つ――と思われたその弾丸は、しかし空中で軌道を変える。

(なんで――こんな――こんな、何もしなければ、すぐに「終われる」のに――!)

「エスパーぼうし」によるサイコキネシス、それを利用した力場の防御。
拳銃弾ではそうそう貫けるものではない。逸らされ曲げられ外されて、虚しく地面に突き刺さる。
みかはそして、自分の本当の願いを知る。

(つまり――私、は――)

遠くから撃ってもラチが開かないと見たか、人形が再び突進してくる。拳銃片手に突っ込んでくる。
それをただ眺めながら、みかは自分との対話を続ける。

敵意のままに向かってきた人形に、拳銃を向けた理由。
人の闘志を受けて発動する武装練金が、ちゃんとチャフとしての機能を発揮した理由。
そして、念じるだけで超能力が発揮できるひみつ道具が、防御用の力場を展開した理由。
それは。

(私は――ほんとうは、生きたかったんだ。
 死のうと思ってたはずなのに、ほんとうは、死にたくなかったんだ。
 ベルフラウちゃんを殺して、取り返しのつかないことをして、それでもまだ、生きたかったんだ――!)

生きたい。死にたくない。平和な日常では意識することすらない、当たり前すぎる願い。
闘志の根源であり、無意識の思いであり、誰もが譲れないものであり。
それを自ら認識することができた瞬間、みかは、身体に重たい衝撃を覚える。
みかは、ゆっくりと、視線を下げる。

  懐に飛び込んでいた黄色い服の人形が、ゼロ距離で、銃を撃ち放っていた。
  残る残弾全てを、銃口を押し付けるようにして、みかの身体に叩き込んでいた。

ごぽり、と口から熱いものが零れる。
がくり、と膝が折れる。
その勢いで、蝶の仮面が外れ、頭からずり落ちた「エスパーぼうし」がころころと床を転がる。

零距離射撃なら、「アリス・イン・ワンダーランド」の幻惑効果も意味がない。
零距離射撃なら、「エスパーぼうし」のサイコキネシス防御も効果がない。
まさに、「生きたい」と再認識した瞬間に捻じ込まれた致命傷。子供のように薄い胸に穿たれた銃創。
眩暈がする。
視界が揺らぐ。
現実が遠のいていく。
死者の幻影すら見える気がする。
例えばそう、自分が撃ち殺してしまった、ベルフラウが、すぐそこに――

「――みか先生ッ!!」

――幻影では、なかった。
霧の中、テラスの柵の向こう。
不思議な形をした剣に乗って、ベルフラウ=マルティーニがそこにいた。
確かに、いた。

           *    *    *

「――みか先生ッ!!」

霧の濃さが、そして霧の幻惑効果が、僅かな遅れに繋がった。
一番高い塔の頂点を目指していたはずなのに、霧の中に入った途端に方向感覚を失って。
それでも銃声を耳にし、それを頼りに飛んできたベルフラウは、絶叫する。
倒れこむようにテラスに着地しながら、魔剣に命じる。

「ダイレク――劫焔撃ッ!!」
「だ、ダイレクなのかしらッ!? それにあなたは……!」

霧の中、みかを襲った小柄な人影。
その正体を見極めるよりも先に、激情のままに大技の名を叫ぶ。
相手が何者であれ、みかを襲うものを許してはおけない。これ以上彼女を傷つけさせるわけにはいかない。
つい数分前にイエローに語った言葉も忘れ、ベルフラウは一気に決着をつけるべく、
『火』のクロウカードで覚えた魔法の扱いから、直観的にダイレクの機能を引き出す。
炎のソードエレメンタル・イフリートの力。
刀身に炎を纏わせて飛ばす、『イフリートアロー』。
小さな人形など一瞬で燃え尽くしてしまう劫火が、唸りを上げて飛んでいく。

だが、大概にして大技というのは溜めが長くモーションも大きい。それが慣れない道具と技ならば尚更のこと。
黄色い人影は弾切れになった銃を投げ捨て、横っ飛びに跳ぶ。劫火の突撃を紙一重で回避する。
攻撃をかわしつつ拾い上げたのは、手の形のオブジェのついた奇妙な帽子。
床に転がっていた、ベルフラウにも見覚えのある道具。

「やっぱりこの帽子、そうなのかしら! なら……!」
「え……貴女、は……! カナリ……!」

隻腕の小人が素早くその帽子を被る。相手の正体に気付いたベルフラウの思考が、一瞬止まる。
そこに居たのは、間違いない。イエローが「カナリア」と呼んでいたあの人形。
イエローと共に雛苺との戦いに乱入し、イエローと共に行動し、イエローを見捨てて(?)立ち去った人物。
その金糸雀が、今、ここでみか先生を襲っている――?! いったいどういう経緯で――?!
思わず思い浮かんだ疑問に、ベルフラウの動きが僅かに止まる。そしてそれこそが致命的なミス。

「サイキックぅぅぅぅぅぅ……」
「っ!! いけない、ダイレクッ、もう1度……!」
「いきなり最終楽章! 『破壊のシンフォニー』!!」

大概にして大技というのは溜めが長くモーションも大きく、しかしそこさえクリアすれば実に有効なもの。
念動力によって大気が大きく動かされ、金糸雀を中心とした凄まじい竜巻が巻き起こる。
左手1本で、今ここには存在しないバイオリンを支える手つき。
そう、金糸雀は「エスパーぼうし」を用いて自らの持ち技を再現したのだ。攻防一体の必殺技。
立っていられない。元々、まともに立っている体力すら残ってなかった。
周囲を取り巻く霧が渦を巻く。みかの被っていた蝶の仮面が舞い上がる。
再度の突撃を敢行した魔剣ダイレクも風の壁に遮られ、ベルフラウの身体は宙を舞う。
内臓が持ち上げられるような浮遊感――そして衝撃。

「――がふっ!?」

そのままの勢いで、塔の外壁に叩きつけられる。テラスの上、倒れて動けぬみかのすぐ傍に崩れ落ちる。
優雅さのカケラもない濁った声を吐き、ベルフラウの意識が一瞬飛びかける。
ただでさえ命に関わる銃創を負っていた彼女に、これは決定的なトドメとなった。
もう立ち上がる力もない。ダイレクに指示を飛ばす余裕もない。ベルフラウの中には、もう何も残っていない。

ふと、倒れていたもの同士、互いの目が合う。
血の塊を吐き出しながら、みかもベルフラウを見ている。
風で剥がれ落ちた覆面の下、酷い火傷を負った顔で、それでも心配そうに悲しそうにベルフラウを見ている。
みかは、静かに震える手を伸ばす。
ベルフラウもまた、震える手を伸ばす。
なおも暴風が吹き荒れる中、2つの手が、ゆっくりと――

           *    *    *

金糸雀に、本気の殺意があったわけではない。
辱められた真紅の亡骸を前に、ちょっとだけ頭に血が昇ってしまっただけ。
表情の読めぬ覆面の怪人に銃を向けられ、必死になってしまっただけ。
息つく間もなく新手に襲われ、しかもその相手が雛苺と戦っていた一味の1人で、焦ってしまっただけ。

だが、それよりも何よりも。
ローゼンメイデン第ニドール・金糸雀は、姉妹思いのドールである。
姉妹のためを思えばこそ、本気が出せる。自分以外の誰かのためにしか本気が出せない。
そして、慣れない本気は、しばしば手加減を忘れさせてしまう。
ただ、それだけのこと。

暴風が収まる。霧が薄れていく。
城を覆っていた魔性の霧が、掠れて晴れて消えていく。
星空を取り戻した塔のテラス、そこに残されていたのは。

ひとり荒い息をつく、金糸雀と。
ボロボロになって打ち捨てられた、真紅の残骸と。
誰かの指示を待つかのように、静かに浮かんでいる魔剣と。
そして、2つ並んだ、まだ温もりの残る人間の屍。

           *    *    *








――放課後の到来を告げる鐘が、広い校舎に響き渡る。
ぼんやりとしていたベルフラウは、ハッと目を覚ました。
窓の外には濃く白い霧。
座っていたのは、無個性な椅子。1人分の小さな机。板張りの床。教壇。教卓。黒板。その上のスピーカー。
見慣れぬ「日本の典型的な学校の教室」の景色に、しばし呆然とする。

「どうしたのベルちゃん、ボーッとして。らしくないわよ」
「あ、な、なんでもないですわ。ええと……」
「富永、よ。こっち来たばっかりだからすぐに名前覚えられないのも、無理ないけどね」

顔を上げれば、声をかけてくれた女生徒が、優しく微笑んでいる。
よく見れば、彼女1人ではない。何人もの生徒がベルフラウの机を囲んでいる。

「珍しいねぇ、トミーがそんな優しい言葉かけるなんて。こりゃ明日は雨でも降るかな?」
「私だっていつも毒舌ばっか吐いてらんないわよ。てか小林とベルちゃんじゃそりゃ態度も変わるって」
「そうそう、みか先生も可愛いけど、ベルちゃんも可愛いもんねー。私、ちっちゃい子大好き♪」
「ふむ、確かに北川の言う通り、この子はいい素材だな! この漫画界の巨匠(←予定)・渡辺が保障する!」
「おいおい、あんま留学生弄りまわすなよ~。目ぇ回しちゃってるじゃないか。ほどほどになー」
「おやじの言う通りだぞ! 留学生だけじゃなくて、もっと美しい俺のことも見てくれぇ!」
「関、あんたはお呼びじゃないわよ。邪魔にならない隅っこで鏡でも見てなさい」
「あっはっは。委員長も言うなぁ~」
「ああ……末武が楽しそうに笑ってる……! 末武かっこいい……!」

……まぁ、一部はベルフラウなどそっちのけでじゃれあってたりもするが、それでもみんな、楽しく笑っていて。
遥か遠くの国からの留学生、それも飛び級の天才少女をすぐに受け入れ、優しく包んでくれる友人たち。
何故だか胸が熱くなる。思わず涙が零れそうになる。
と、そんな生徒たちの輪に、外から声をかける者が2人。

「おーい、まだみんな残ってるのかー? そろそろ帰れよ~!」
「あ、レックスせんせーい!」
「先生、次の召喚術のテスト、何出るんですかー?」
「ああ、それはだね……」
「こらこら、あなたたち、そんなこと聞かない! レックス先生も、まともに答える必要ないですからね!」
「ちぇ~っ、みか先生のいじわる~」

教室を覗き込み声をかけてきたのは、赤い髪の男性教師と、子供のような体格の女性教師。
思わず生徒のストレートな問いに答えそうになった青年を、小柄な女性がたしなめる。

  それは当たり前のような日常。ありえたかもしれない日常。そして、実際には存在しなかった日常。

やがて赤い髪の青年教師の再度の促しに応え、教室にたむろっていた生徒たちが帰り始める。
1人欠け、2人欠け、別れの言葉と共に次々と出て行って、最後に残ったのは2人だけ。
ベルフラウ。そして、後から来たみか先生。
2人は並んで窓の外に目を向ける。なんとはなしに、同じ方向をぼんやりと眺める。

「……あれが、みか先生の生徒たちですの?」
「うん。みんなとってもいい子たちだよ。
 ……あれが、ベルフラウの先生なんだよね」
「ええ。とってもいい人でしたわ」

沈黙。
その短い会話は、さっきの光景が現実でないことを認めるものだ。
この淡い幻想を、浸ることも出来た自己欺瞞を、破壊してしまうものだ。
チャフの武装練金、「アリス・イン・ワンダーランド」密集形態。
最期の力を振り絞って描き出した幻覚は、しかし精神攻撃のために使われたのではなく。

「……生きて、あの子たちの所に帰りたかったなぁ……」
「ええ……生きて、先生ともう1度会いたかった……」

それぞれの口から静かに漏れたのは、未練。
納得など出来るはずもない。割り切れる道理もない。
みかはこの島で結局何も成し遂げておらず、何も残せていない。
ベルフラウも、最期にせめて、と思ったみかへの想いを、面と向かって伝えることが出来なかった。
どちらも帰りたい場所があり、再び会いたい人々がいた。その願いも、もう叶わない。
それでも。

「でもね……これだけは自信もって、言える。
 私、ベルフラウちゃんに出会えて、本当に良かった」
「私もですわ。みか先生に出会えて、本当に良かった。それだけは確かですわ」

語りきれない想いを込めて、2人はその手を重ねる。互いに肩を寄せ合う。
2人に残された時間はもう少ない。現実世界ではロクに言葉も発せられぬ体、元々時間は無かったのだ。
幻覚世界が静かに崩れていく。砂が零れ落ちるように、さらさらと崩れていく。
2人の命が、優しく崩れていく。

淡い光に包まれ、消えゆく意識の中、2人はそして、本当の師弟のように微笑み合った。





           *    *    *

目の前には、しっかりと手を取り合った2つの屍。
不思議と、その表情に苦痛の色はない。どこか満たされたような、安らかな寝顔。
何か眩しいものでも見てしまったかのように目を細めると、金糸雀は彼女たちに背を向ける。
そっと、壊れた人形に手を伸ばす。

「真紅……」

一目見た時から、判っていた。それでも改めて確認してしまう。
真紅のローザミスティカは、そこにはない。近くに気配もない。
どこか遠くで壊され、首をもがれ、命を失い、その身体だけがここまで運ばれてきたのだろう。
金糸雀は泣きそうな表情を浮かべて天を仰ぐ。

「真紅も……翠星石も、ジャンクになっちゃったのかしら。
 そして、カナもまたジャンクなのかしら。もうアリスにはなれないのかしら。
 でも……!」

薔薇乙女の姉妹全てが共有する強い想い。それが「アリスになること」。
究極の少女として、人形師ローゼンが追い求めた「アリス」。
それが実際どんなものなのかは、彼女たちにもよく分からない。想像も出来ない。
けれども、彼女たちがそれを目指すことこそ、敬愛する「お父様」ローゼンの願い。彼女たちの存在意義。
傷つき、片腕を失い、「完全なる少女」への道から外れてしまった彼女は、それでも想う。
散っていった姉妹たちの無念を思い、決意を固める。
自分のためではなく、姉妹たちのために決意を固める。

「もう、カナは人殺しになっちゃったのかしら。もう、みっちゃんに合わせる顔もないのかしら。
 でも、お父様のためにも……真紅と翠星石のためにも……
 ローザミスティカだけでも、全部持ち帰らなきゃ、なのかしら……!」

究極の少女「アリス」になるために示された唯一の方法、それは「全てのローザミスティカを集めること」。
1つでも欠ければ、「アリス」は生まれない。「アリス」にはなれない。
こんなところでローザミスティカが失われてしまったら、誰も「アリス」になれなくなる。
そんなことになったら……「お父様」が、きっと悲しむ。

必ずしも自分でなくていいのだ。まだ生きているはずの、蒼星石か雛苺でもいい。
ともかく、ローゼンメイデンの誰かが優勝して、全てのローザミスティカを元の世界に持ち帰ること。
ここに呼ばれていない水銀燈でもいいから、誰かが「アリス」になれる可能性を繋げること。
それが、真紅の残骸に誓った金糸雀の願い。
自分のためではなく、誰かのためにこそ本気になれる、金糸雀の誓い。

「そんなことは無いとは思うけど……もしも蒼星石や雛苺が納得してくれない時は、戦わなきゃかしら……!」

あの2人が、この自分の方針に同調してくれるのなら話は楽だ。
それなら、共に戦い、他の参加者たちをやっつけ、最後の最後に自分のローザミスティカを託してもいい。
けれど、もしも同意してくれないのなら……「お父様」の、姉妹共通の願いを踏みにじるというのなら。
申し訳ないが、戦って倒してでもローザミスティカを奪わなければならない。
姉妹を倒し、ジャンクとしてでも、全てのローザミスティカを持ち帰らなければならない。

「――ダイレク」

人工精霊ピチカートを呼ぶかのように小さく囁くと、主を失った魔剣は従順な様子で擦り寄って来る。
イエローがその所有権をベルフラウに譲渡し、そのベルフラウが死亡。ゆえに今のダイレクはフリーな存在。
最初に拾ったものが、その新たなる主となる。
かつてイエローと出会った時に、その入手を望んだ圧倒的な戦力。
あの時のような浮ついた気持ちではなく、今度は確固たる信念と想いをもってその力を手にする。

金糸雀はここ半日の出会いを思い返す。
イエローのようにいい人もいるにはいるが、どうやらこの島の人間たちは、基本的にドールに厳しいらしい。
彼女の弁解に聞く耳も持たず、問答無用で襲ってきた拳法使いの魔法使い。
金糸雀のことを見殺しにし、囮に使い捨てたガンマンの少女。
雛苺に寄ってたかって攻撃を加えていた人間たち。
おもむろに金糸雀に銃を向けてきた、覆面のみか。
イエローの遺品、ダイレクを拾って勝手に使い、金糸雀を襲おうとしたベルフラウ。
……最後は完全に金糸雀の想像で、しかも真相から大きく外れていたが、それはともかく。
人間たちが信用ならない中にあって、ダイレクの存在は本当に頼りになる。貴重な戦力となる。
たぶん、ダイレクの力があったとしても、かなり厳しくきつい戦いになるのだろうが。

「真紅……悪いけど、片手を借りるのかしら。カナに、勇気を分けて欲しいのかしら」

真紅の残骸、その球体関節の所から右腕を捻り取る。
捻り取って、自分の欠落した右腕の場所に当てる。旅行用救急セットの糸と針を使い、手荒に繋ぎ合わせる。
もちろん、こんな乱暴な処置で繋いだ腕が動くようになるはずもない。
神業級の職人(マエストロ)の手にでもかからない限り、ここまでの破損は直せはしない。
せいぜい見かけの欠損が補われ、身体の重量バランスが取り戻せた程度だ。

それでも金糸雀は、心の中に熱いものが湧き上がってくるのを感じとる。
動かぬ右腕から、勇気が湧き上がってくる気がする。
もう、今の彼女に迷いはない。ヒラリと魔剣に飛び乗ると、高らかに宣言する。

「行くわよ、ダイレク! まずは、昼間に回れなかった所から探すのかしら!」

ローゼンメイデンの誰かの優勝を目指しながら、同時に真紅と翠星石のローザミスティカを探さねばならない。
昼間に彼女が歩き回った範囲はごく狭く、島はまだまだ広い。探さねばならない範囲は多すぎる。
けれど、それがどうしたと言うのだ。
彼女の名前はローゼンメイデン第ニドール、金糸雀。
薔薇乙女一の頭脳派にして一番の策士。
何回・何十回・何百回失敗してもへこたれない、強靭で粘り強い意志の持ち主。
強い決意と共に、そして彼女は空中に飛び出した。



【Fー3/城の上空/一日目/夜中】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(極大)、全身打撲及び擦過傷、右腕の球体関節から先は真紅の腕(動かない)、強い決意
[装備]:魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー、コチョコチョ手袋(左手のみ)@ドラえもん、
    エスパーぼうし@ドラえもん、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]:支給品一式。素昆布@銀魂、翠星石の如雨露@ローゼンメイデン、
    旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
[服装]:普段通りの服。ただし右肩から先が破けて関節が露出している
[思考]:お父様のためにも、カナが頑張らなきゃかしら!
第一行動方針:島のどこかにあるはずの翠星石と真紅のローザミスティカ、真紅の頭部を探す。
第二行動方針:そのために、これまで歩き回ったエリアから離れ、まだ訪れていない場所を探して回る。
第三行動方針:ローゼンメイデン以外の仲間には容赦しない。
第四行動方針:雛苺か蒼星石に会えたら自分の計画と決意を伝える。協力してくれないなら戦って倒す。
基本行動方針:ローザミスティカを持ち帰るため、ローゼンメイデンの誰か(自分も候補に含む)の優勝を図る
[備考]:金糸雀は、イエローが死んだと思い込んでいます。
   第一回放送を、翠星石の名前が呼ばれた所までしか聞いていません。

【鈴木みか@せんせいのお時間 死亡】
【ベルフラウ=マルティーニ@サモンナイト3 死亡】

[備考]:城の塔・最上階のテラス、みかたちの死体の傍に、
FNブローニングM1910(残弾なし)、核鉄LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)@武装練金、
首と右腕の無い真紅の残骸  が落ちています。
パピヨンマスク@武装練金、が、金糸雀の引き起こした竜巻に乗ってどこかに飛んで行きました。


≪206:天国『不思議の国の霧のしろ』 時系列順に読む 213:Sweets Time≫
≪209:キアリクは効きますか? 投下順に読む 211:強さのカタチ、……とその代償≫
≪206:天国『不思議の国の霧のしろ』 ベルフラウの登場SSを読む GAME OVER
鈴木みかの登場SSを読む
イエローの登場SSを読む 221:ゼンマイを、一まき。≫
≪181:今度は私がこの花を 雛苺の登場SSを読む
木之本桜の登場SSを読む
≪192:それぞれの道、だからこそ… 金糸雀の登場SSを読む 227:Humpty Dumpty sat on a wall≫

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