かいとう、りり ◆IEYD9V7.46
森の中に幾条もの、か細い光が落ちる。
月から零れ落ちたその光は刺すように鮮烈なものではない。
かといって、優しく照らすような光と表現するには頼りなく、
生い茂る枝葉の網を抜けて地面にまで辿り着くものは少なかった。
曖昧になった光は森の闇と溶け合い、水と墨汁を7対3で混ぜたような薄闇が広がっている。
半透明な黒の中には身を寄せ合った少年と少女がいて、彼らと向かい合うようにもう一人、少女が立っている。
口を開いているのは少年だけ。口調は重く、漂う空気もまた重い。
当然だ。その場所に立つ全員、互いが互いを警戒しあっているのだから。
ひとたび音がなくなれば、無言の重圧は全員に等しく圧し掛かる。
それに負けないように、切り開いていくように。
少年は心を込めて、言葉を紡ぐ。
月から零れ落ちたその光は刺すように鮮烈なものではない。
かといって、優しく照らすような光と表現するには頼りなく、
生い茂る枝葉の網を抜けて地面にまで辿り着くものは少なかった。
曖昧になった光は森の闇と溶け合い、水と墨汁を7対3で混ぜたような薄闇が広がっている。
半透明な黒の中には身を寄せ合った少年と少女がいて、彼らと向かい合うようにもう一人、少女が立っている。
口を開いているのは少年だけ。口調は重く、漂う空気もまた重い。
当然だ。その場所に立つ全員、互いが互いを警戒しあっているのだから。
ひとたび音がなくなれば、無言の重圧は全員に等しく圧し掛かる。
それに負けないように、切り開いていくように。
少年は心を込めて、言葉を紡ぐ。
* * *
「どうして」
ついには強い疑問を吐き出した。
「どうしてあなたは殺し合いに乗ったの!?
世界を救ったんでしょ!? 私なんかよりずっと力があるのに……!
どうしてジェダに立ち向かおうとしなかったの!?」
「それだよ」
世界を救ったんでしょ!? 私なんかよりずっと力があるのに……!
どうしてジェダに立ち向かおうとしなかったの!?」
「それだよ」
梨々は狐につままれたような顔をする。
自分が言ったことは多くないのに、何が『それ』なのか判別できない。
自分が言ったことは多くないのに、何が『それ』なのか判別できない。
「僕が勇者だって話すとみんな君みたいに期待した目で僕を見るんだ。
『これでこの場所も救われる』って。
もちろん、そういう想いから力を貰ったことだってあるよ。
……でも、いつも前向きに考えられたわけでもなかったんだ」
『これでこの場所も救われる』って。
もちろん、そういう想いから力を貰ったことだってあるよ。
……でも、いつも前向きに考えられたわけでもなかったんだ」
(……あ)
そこで梨々は自分の失言に気付いた。
が、遅い。レックスは非難するでもなく、ただただ正直な思いを吐露していく。
そこで梨々は自分の失言に気付いた。
が、遅い。レックスは非難するでもなく、ただただ正直な思いを吐露していく。
「僕だって怖かったんだ。天空の勇者だって人間だよ、
命令を受ければ躊躇い無く動けるキラーマシンなんかじゃない。
力があったって怖いものは怖いのに……。
ミルドラースと戦っているときだってそうだった。ううん、それだけじゃない。
魔物と戦うときはいつだって怖かったんだ。
それがやっと……やっと終わったばかりだった。
もう僕は戦わなくて良い、魔王だなんて得体の知れないものに立ち向かわなくていい、
家族と一緒に平穏に暮らしていいんだって思いながら眠りについて……、気がついたらここにいた。
……そのときにはもう駄目だった。本当に目の前が真っ暗だったんだ。
ミルドラースと同じかそれ以上の力を持っているジェダに立ち向かう勇気なんてこれっぽちもなかったよ。
それならいっそこの島にいる80人以上の人間を殺して、
優勝のご褒美でタバサと一緒に帰ることのほうがよっぽど楽だと思った……」
命令を受ければ躊躇い無く動けるキラーマシンなんかじゃない。
力があったって怖いものは怖いのに……。
ミルドラースと戦っているときだってそうだった。ううん、それだけじゃない。
魔物と戦うときはいつだって怖かったんだ。
それがやっと……やっと終わったばかりだった。
もう僕は戦わなくて良い、魔王だなんて得体の知れないものに立ち向かわなくていい、
家族と一緒に平穏に暮らしていいんだって思いながら眠りについて……、気がついたらここにいた。
……そのときにはもう駄目だった。本当に目の前が真っ暗だったんだ。
ミルドラースと同じかそれ以上の力を持っているジェダに立ち向かう勇気なんてこれっぽちもなかったよ。
それならいっそこの島にいる80人以上の人間を殺して、
優勝のご褒美でタバサと一緒に帰ることのほうがよっぽど楽だと思った……」
改めて、梨々は自分の失言に僅かな罪悪感を感じていた。
他人に役割を強制される苦しさは、十二分に知っていたはずなのに。
レックスと会ってそんなに時間が経ったわけではない。ゆっくり話を聞くのもこれが初めてだ。
そんな人間の深いところを察せずに悔やむのは、ただの自己満足であり傲慢なだけなのかもしれない。
それでも、梨々は湧き起こる感情の波が沈むのを感じずにはいられなかった。
うまい言葉が見つからないが、簡潔に言えば自分に似た経験を持つレックスに『同情』してしまったのだろう。
――だが、それでレックスのしたことを手放しで肯定するつもりは勿論無い。
他人に役割を強制される苦しさは、十二分に知っていたはずなのに。
レックスと会ってそんなに時間が経ったわけではない。ゆっくり話を聞くのもこれが初めてだ。
そんな人間の深いところを察せずに悔やむのは、ただの自己満足であり傲慢なだけなのかもしれない。
それでも、梨々は湧き起こる感情の波が沈むのを感じずにはいられなかった。
うまい言葉が見つからないが、簡潔に言えば自分に似た経験を持つレックスに『同情』してしまったのだろう。
――だが、それでレックスのしたことを手放しで肯定するつもりは勿論無い。
「だから私を襲ったの?」
「そうだよ。君だけじゃない、他にもたくさんの人を傷つけて……間違いなく、一人は殺した。
それで逃げ場を壊して吹っ切れたつもりだった。もう止まるつもりなんてなかったけど……」
「そうだよ。君だけじゃない、他にもたくさんの人を傷つけて……間違いなく、一人は殺した。
それで逃げ場を壊して吹っ切れたつもりだった。もう止まるつもりなんてなかったけど……」
口ごもるレックスに助け舟を出すように、梨々が問う。
「今、私と話をしているのは……アルルゥちゃんのおかげ?」
「うん」
「うん」
レックスが傍らのアルルゥの頭を撫でると、彼女はくすぐったそうに目を細める。
「……教えてくれた人たちがいたんだ。
血塗れの僕を見てタバサがどう思うのかってことを。
最初はタバサさえお父さんとお母さんのところに帰れればそれでいい、
僕はどうなってもいいと思っていた。
けれど、それじゃ駄目なんだ。あいつは優しいから、僕が一緒に帰れても帰れなくても、
きっとこの島で起こったことを一生忘れられずに生きていってしまうから……」
血塗れの僕を見てタバサがどう思うのかってことを。
最初はタバサさえお父さんとお母さんのところに帰れればそれでいい、
僕はどうなってもいいと思っていた。
けれど、それじゃ駄目なんだ。あいつは優しいから、僕が一緒に帰れても帰れなくても、
きっとこの島で起こったことを一生忘れられずに生きていってしまうから……」
レックスはそこで暫し目を伏せる。『もしも』の未来を今一度想像しているのだろう。
やがて、次に目を開いたときには、その顔に今までにない表情が刻まれていた。
迷いのない、抜けるように誇らしげな顔。
やがて、次に目を開いたときには、その顔に今までにない表情が刻まれていた。
迷いのない、抜けるように誇らしげな顔。
「結局、どんな理由であれタバサを傷つけるなんて僕にはできないんだ。
あいつは最後に見たときのまま、あの夜寝る前に別れたときと何も変わっていないはずなんだから。
あいつの心の中では、きっと今でも僕は天空の勇者のままなんだよ。
僕が殺し合いに乗ったなんて夢にも思っていないだろうし、
一緒にジェダを倒すのが当たり前だって思っているのに違いないんだ。
だから、僕はもう一度頑張るって決めた。
タバサ一人が僕を勇者だと思ってくれるなら、それだけで充分だから。
知らない人が何千人僕に期待するより、そっちのほうがずっと嬉しいし……、
……裏切りたくないって、心の底から思えるから。
自分勝手なことを言っているのは分かっているつもりだよ。
今まで傷つけた人、殺してしまった人にどう償えばいいのかも全然分からない。
ただ、君には謝っておきたかったから……ここで会えて、本当に良かった」
あいつは最後に見たときのまま、あの夜寝る前に別れたときと何も変わっていないはずなんだから。
あいつの心の中では、きっと今でも僕は天空の勇者のままなんだよ。
僕が殺し合いに乗ったなんて夢にも思っていないだろうし、
一緒にジェダを倒すのが当たり前だって思っているのに違いないんだ。
だから、僕はもう一度頑張るって決めた。
タバサ一人が僕を勇者だと思ってくれるなら、それだけで充分だから。
知らない人が何千人僕に期待するより、そっちのほうがずっと嬉しいし……、
……裏切りたくないって、心の底から思えるから。
自分勝手なことを言っているのは分かっているつもりだよ。
今まで傷つけた人、殺してしまった人にどう償えばいいのかも全然分からない。
ただ、君には謝っておきたかったから……ここで会えて、本当に良かった」
ごめん、とレックスは頭を下げる。
その様子はどこまでも真っ直ぐ、真摯なもので。
疑う余地を差し挟めるものではなかった。
少なくとも、今ここにいるレックスの本心であることに間違いはないのだろう、と梨々は思う。
仮にこれが全部演技だとしても、そうまでして自分を騙すメリットがあるとはとても思えなかった。
(もしかして、この子なら……)
さくらを助けるために、一緒に来てくれるのではないか?
梨々の中に、そんなことを考えられるほどの余裕が生まれていた。
既に梨々の心からはレックスに対する憎しみや敵対心といった感情は抜け落ちている。
なぜなら彼女は決意したのだから、「さくらを助けるために精一杯頑張る」と。
その目的を達するために、眼前で頭を下げ続けるレックスを糾弾することに何か意味があるのか? ――否だ。
そんなことをしたって事態は何も好転しないのだから。
(けど、さすがに完全に信用するにはまだ早――)
思案に耽っている最中。視界の端に、差し出された手が映った。
その様子はどこまでも真っ直ぐ、真摯なもので。
疑う余地を差し挟めるものではなかった。
少なくとも、今ここにいるレックスの本心であることに間違いはないのだろう、と梨々は思う。
仮にこれが全部演技だとしても、そうまでして自分を騙すメリットがあるとはとても思えなかった。
(もしかして、この子なら……)
さくらを助けるために、一緒に来てくれるのではないか?
梨々の中に、そんなことを考えられるほどの余裕が生まれていた。
既に梨々の心からはレックスに対する憎しみや敵対心といった感情は抜け落ちている。
なぜなら彼女は決意したのだから、「さくらを助けるために精一杯頑張る」と。
その目的を達するために、眼前で頭を下げ続けるレックスを糾弾することに何か意味があるのか? ――否だ。
そんなことをしたって事態は何も好転しないのだから。
(けど、さすがに完全に信用するにはまだ早――)
思案に耽っている最中。視界の端に、差し出された手が映った。
「梨々、腕を見せて。僕がさせてしまった怪我の治療をしたいんだ」
「レックスおにーちゃん?」
「レックスおにーちゃん?」
アルルゥが何かを気遣うような声をレックスに向ける。
彼女が言わんとしていることを察し、レックスは小さく笑って返した。
彼女が言わんとしていることを察し、レックスは小さく笑って返した。
「いいんだよ、アルルゥ。確かにMPは残り少ないけど、元はといえば僕のせいだしね。
さあ、治療を……、あれ?」
さあ、治療を……、あれ?」
と、梨々の右腕を見たレックスから怪訝な声が漏れる。
白のスーツの袖をまくり、露わになった患部は内出血のため青紫色に痛々しく腫れていた。
骨折しているのは間違いないだろう。だが、レックスが想定していた怪我の状態と齟齬がある。
昼間にドラゴンの杖で殴った手応えからして、もっと酷い折れ方をしていると考えていたが……。
精々、亀裂骨折程度にしか見えない上に、ライデインのダメージも殆ど残っていないようだ。
当然不自由はあるが、これなら敢えて治癒呪文を使う必要はないだろう。
白のスーツの袖をまくり、露わになった患部は内出血のため青紫色に痛々しく腫れていた。
骨折しているのは間違いないだろう。だが、レックスが想定していた怪我の状態と齟齬がある。
昼間にドラゴンの杖で殴った手応えからして、もっと酷い折れ方をしていると考えていたが……。
精々、亀裂骨折程度にしか見えない上に、ライデインのダメージも殆ど残っていないようだ。
当然不自由はあるが、これなら敢えて治癒呪文を使う必要はないだろう。
「……梨々、あの後何か特別な処置でもしたの?
僕がつけた傷はもっと酷かったはずだけど?」
僕がつけた傷はもっと酷かったはずだけど?」
人間本来の治癒力の限界を超えている。
祝福の杖や神秘の鎧でもあれば納得もできたところだが。
祝福の杖や神秘の鎧でもあれば納得もできたところだが。
「多分、これのおかげだと思う」
レックスが考えを巡らせている間に、梨々は懐から六角形の金属片を取り出した。
「これは?」
「私にも分からないの。落ちていたものを拾っただけだから……」
「少し見せてもらってもいい?」
「いいけど……どうするの?」
「私にも分からないの。落ちていたものを拾っただけだから……」
「少し見せてもらってもいい?」
「いいけど……どうするの?」
こうするんだ、とレックスは微笑み、受け取った金属片に力を込める。
「……インパス」
すると、金属片を持った彼の手に淡い光が灯った。
その光景を梨々は目を白黒させながら見詰め……程なくして光は消える。
その光景を梨々は目を白黒させながら見詰め……程なくして光は消える。
「……なるほど。核鉄、武装錬金シルバースキンAT。
この状態で持っているだけで自動的に治癒がかかる……賢者の石の別の形か」
「それのこと分かるの?」
「まあね。さっきのは物の使い方を知るための呪文だから。
この核鉄は持っているだけで怪我の治りが早くなるけど、それだけじゃないみたいだ。
本当の形は相当固い防具、あるいは敵を縛る拘束具だよ、これは。
とてもいいものだと思う、大事に持っていたほうがいい」
「あ、ありがとう」
この状態で持っているだけで自動的に治癒がかかる……賢者の石の別の形か」
「それのこと分かるの?」
「まあね。さっきのは物の使い方を知るための呪文だから。
この核鉄は持っているだけで怪我の治りが早くなるけど、それだけじゃないみたいだ。
本当の形は相当固い防具、あるいは敵を縛る拘束具だよ、これは。
とてもいいものだと思う、大事に持っていたほうがいい」
「あ、ありがとう」
核鉄を受け取りながら梨々は答える。
「他に何か訊きたいことはある?
償いって言うには安すぎるけど……何でもするから」
償いって言うには安すぎるけど……何でもするから」
それじゃあ、と前置きをして梨々は話を始めた。
何としても、さくらを救い出すために。
何としても、さくらを救い出すために。
* * *
梨々はまず放送内容をレックスとアルルゥから聞き出した。
二人ともしっかりとメモを取っていたわけではないが、
少なくとも双葉の名前は呼ばれなかったらしく、梨々は胸を撫で下ろす。
アルルゥと敵対するきっかけになったイリヤとジーニアス、
そしてジーニアスの仲間だったプレセアはアルルゥの与り知らぬところで全員死んでしまい、
放送で名前が呼ばれたとのこと。
更に、放送後にレベッカがレックスとアルルゥを救うためにその身を犠牲にしたため、
事件の一番深いところにいた人物たちは皆、真相を覆い隠すようにこの世を去っていた。
結末に何があったのかは分からない。
だが、イリヤに確信的な疑念を抱いていた梨々は、
『プレセアおねーちゃんもジーニアスもベッキーもみんなやさしかった。
みんなアルルゥを守ってくれた、いいひとだった』
というアルルゥの言葉を信じ、盗んでいたサモナイト石を彼女に返しながらごめんねと謝った。
彼女に謝罪したのは罪悪感のため、なのかは分からない。
イリヤを悪だと決め付けてしまったほうが、この先躊躇うことが少なくなって自分が楽になるから、
という身勝手な理由から出た言葉だったのかもしれない。
訊きたいことを粗方訊き終えた梨々は、今度は自分とさくらの現状について説明し始めた。
二人ともしっかりとメモを取っていたわけではないが、
少なくとも双葉の名前は呼ばれなかったらしく、梨々は胸を撫で下ろす。
アルルゥと敵対するきっかけになったイリヤとジーニアス、
そしてジーニアスの仲間だったプレセアはアルルゥの与り知らぬところで全員死んでしまい、
放送で名前が呼ばれたとのこと。
更に、放送後にレベッカがレックスとアルルゥを救うためにその身を犠牲にしたため、
事件の一番深いところにいた人物たちは皆、真相を覆い隠すようにこの世を去っていた。
結末に何があったのかは分からない。
だが、イリヤに確信的な疑念を抱いていた梨々は、
『プレセアおねーちゃんもジーニアスもベッキーもみんなやさしかった。
みんなアルルゥを守ってくれた、いいひとだった』
というアルルゥの言葉を信じ、盗んでいたサモナイト石を彼女に返しながらごめんねと謝った。
彼女に謝罪したのは罪悪感のため、なのかは分からない。
イリヤを悪だと決め付けてしまったほうが、この先躊躇うことが少なくなって自分が楽になるから、
という身勝手な理由から出た言葉だったのかもしれない。
訊きたいことを粗方訊き終えた梨々は、今度は自分とさくらの現状について説明し始めた。
「雛苺……またあいつか」
梨々がここに来た経緯を知ったレックスは苦い顔をして、片手を額に当てながら重い息を吐いた。
自分と浅からぬ因縁を持つ殺人人形。
雛苺は梨々にも危害を加え、更には彼女の仲間である木之本桜を拉致していったらしい。
世間は狭いというが、この島ではそれが顕著だ。
派手なことを好みそうなあの人形の性格も鑑みれば嫌というほど納得もできた。
自分と浅からぬ因縁を持つ殺人人形。
雛苺は梨々にも危害を加え、更には彼女の仲間である木之本桜を拉致していったらしい。
世間は狭いというが、この島ではそれが顕著だ。
派手なことを好みそうなあの人形の性格も鑑みれば嫌というほど納得もできた。
「……レックスおにーちゃん」
「? どうしたのアルルゥ?」
「? どうしたのアルルゥ?」
大人しくしていたアルルゥが突然、不安そうにレックスの服の袖を掴んだ。
森の中においては、アルルゥの知覚は誰よりも鋭敏だ。
また何かを察したのだろうか?
そう思いながら、レックスは木々の隙間から東の夜空を見上げ、絶句した。
森の中においては、アルルゥの知覚は誰よりも鋭敏だ。
また何かを察したのだろうか?
そう思いながら、レックスは木々の隙間から東の夜空を見上げ、絶句した。
「あれは……」
そこに広がっていたのは瞬く星、群青の夜空。
そして、そのどちらでもない――目も眩む白。
気体というよりは、固形物と言った方がまだ近い。
一寸先は白しか見えない、濃密な霧が遠方に漂っていた。
既視感を覚えた梨々が思わず呟く。
そして、そのどちらでもない――目も眩む白。
気体というよりは、固形物と言った方がまだ近い。
一寸先は白しか見えない、濃密な霧が遠方に漂っていた。
既視感を覚えた梨々が思わず呟く。
「あの霧……私たちが病院の近くにいたときの……?」
「うん、間違いない。方向感覚を狂わせるあの霧だ。
……移動している、のかな。平原から北……多分、城に向かっている」
「うん、間違いない。方向感覚を狂わせるあの霧だ。
……移動している、のかな。平原から北……多分、城に向かっている」
レックスは自分の記憶を辿ってみる。
確かあの霧を出しているのは夕方に見た女の子。
不可解にも首のない真紅の身体を大事に抱えていたあの子のはずだ。
どういう目的で動いているのかは知らないが、恐らく彼女はあのとき城を目指していたはず。
順調に行けばとっくに城に辿り着いていたはずの彼女が、なぜ今もあんなところでウロウロしている?
なぜ突然、あんなものを展開した?
(霧を出さなければならない事情でもできた……? そうか、もしかして!)
ある確信を胸に梨々に対して口を開く。
確かあの霧を出しているのは夕方に見た女の子。
不可解にも首のない真紅の身体を大事に抱えていたあの子のはずだ。
どういう目的で動いているのかは知らないが、恐らく彼女はあのとき城を目指していたはず。
順調に行けばとっくに城に辿り着いていたはずの彼女が、なぜ今もあんなところでウロウロしている?
なぜ突然、あんなものを展開した?
(霧を出さなければならない事情でもできた……? そうか、もしかして!)
ある確信を胸に梨々に対して口を開く。
「梨々、確認するよ。君が雛苺に襲われたのは放送の直前、この森のどこかでだったよね?」
「うん、そうだけど……」
「だとするとそのときから2時間程度経っているから……」
「うん、そうだけど……」
「だとするとそのときから2時間程度経っているから……」
多分、と前置きをして、
「雛苺はあの霧の近くにいると思う」
レックスは簡潔に結論を叩きつけた。
「な……、どうしてそう思ったの!?」
「あの人形がどういう性格なのか君にも分かるよね。
あいつは息を潜めてジッとしていられるタイプなんかじゃない、
楽しければ損得勘定も何も関係なく動く。
もしもそんな騒がしいやつが森の西側を抜けようとすれば、
アルルゥが絶対何かに気付くはずなんだ。
しかも、あいつは今カボチャのモンスターとさくらを引き連れているんだから尚更目立つはず。
けれど僕たちがここで休んでいる間に感じた気配は、
忍び寄ってきていた梨々のものだけだった。
森の北と南は湖だから、もしこの森を脱出するなら東側しか残っていない。
それに……」
「あの人形がどういう性格なのか君にも分かるよね。
あいつは息を潜めてジッとしていられるタイプなんかじゃない、
楽しければ損得勘定も何も関係なく動く。
もしもそんな騒がしいやつが森の西側を抜けようとすれば、
アルルゥが絶対何かに気付くはずなんだ。
しかも、あいつは今カボチャのモンスターとさくらを引き連れているんだから尚更目立つはず。
けれど僕たちがここで休んでいる間に感じた気配は、
忍び寄ってきていた梨々のものだけだった。
森の北と南は湖だから、もしこの森を脱出するなら東側しか残っていない。
それに……」
言葉を区切り、東の空を見上げる。
視界の中央に、塗りつぶしたような白。
視界の中央に、塗りつぶしたような白。
「向こうで何かあったのは確実だよ」
レックスは断言し、再び様子を窺うように森の外の霧に目を向けている。
(確かにそうだ……きっとあそこで良くないことが起こってる)
レックスの講釈は信ずるに値する、と梨々は思った。
(さくらちゃんはあそこにいるかもしれない。それなら――)
頼むなら今しかないだろう。
胸に手を当て深呼吸。
意を決して、梨々はレックスに相対する。
(確かにそうだ……きっとあそこで良くないことが起こってる)
レックスの講釈は信ずるに値する、と梨々は思った。
(さくらちゃんはあそこにいるかもしれない。それなら――)
頼むなら今しかないだろう。
胸に手を当て深呼吸。
意を決して、梨々はレックスに相対する。
「あの、レックス……くん」
「助けるよ」
「助けるよ」
一言。
「さくらっていう子は助ける。
……誤解させないために最初に言っておくけど、正直今の僕じゃ雛苺には勝てない。
だから君には悪いけど、今回は雛苺とさくらがどういう状態にあるのかを探るための様子見になると思う。
だけど、さくらは絶対助けてみせるよ。
すぐには無理でもMPさえ回復すれば取れる手段はたくさんあるし、勝算だってあるから。
元々あいつには仕返しをしておきたかったし、……君には酷いことしたからそのお詫びも兼ねてね」
……誤解させないために最初に言っておくけど、正直今の僕じゃ雛苺には勝てない。
だから君には悪いけど、今回は雛苺とさくらがどういう状態にあるのかを探るための様子見になると思う。
だけど、さくらは絶対助けてみせるよ。
すぐには無理でもMPさえ回復すれば取れる手段はたくさんあるし、勝算だってあるから。
元々あいつには仕返しをしておきたかったし、……君には酷いことしたからそのお詫びも兼ねてね」
梨々にとって、願ってもいない言葉が並べられた。
人の言葉がこんなにも頼もしくて、安心を与えてくれる。
疑ってばかりのこのゲームで、そう思えたのは随分久しぶりな気がした。
はちきれんばかりの笑顔を浮かべ、梨々は念を押すようにレックスに尋ねる。
人の言葉がこんなにも頼もしくて、安心を与えてくれる。
疑ってばかりのこのゲームで、そう思えたのは随分久しぶりな気がした。
はちきれんばかりの笑顔を浮かべ、梨々は念を押すようにレックスに尋ねる。
「本当にいいの!?」
「うん」
「本当に一緒に来てくれるの!?」
「それは無理」
「うん」
「本当に一緒に来てくれるの!?」
「それは無理」
え? という声が漏れ、梨々の勢いは一気に削がれた。
意味が分からない。聞き間違いかとも思った。けど、レックスの表情は真剣そのものだ。
言い直す気も訂正する様子も全く見受けられない。
感情の下ろしどころが見つからず、梨々は戸惑いながらレックスを見詰める。
意味が分からない。聞き間違いかとも思った。けど、レックスの表情は真剣そのものだ。
言い直す気も訂正する様子も全く見受けられない。
感情の下ろしどころが見つからず、梨々は戸惑いながらレックスを見詰める。
「さくらはちゃんと助けるよ。……でも、君を連れて行くことはできない」
「そんな……どうして!?」
「忘れたの? ていうか、君が忘れちゃダメじゃないか……。
僕は一度はこのゲームに乗ったし、人をたくさん傷つけた。
僕と一緒にいたら、君もいらない恨みを買うことになるんだよ」
「そんな……どうして!?」
「忘れたの? ていうか、君が忘れちゃダメじゃないか……。
僕は一度はこのゲームに乗ったし、人をたくさん傷つけた。
僕と一緒にいたら、君もいらない恨みを買うことになるんだよ」
突きつけられた言葉に、梨々は息が詰まった。だが、
(え……苦しい? 何で?)
少し冷静に考えたら、そんな感情が浮かんできた。
(レックス君はさくらちゃんを助けてくれるって言ってくれた。
私のことまで気遣ってくれた。それなのに――)
なぜ息詰まる? なぜ苦しい?
それでいいはずなのに、うまくいっているはずなのに。
……このままでは何かがいけない気がする。何かが違う気がする。
だけど梨々にはその違和感を形にすることができない。
(え……苦しい? 何で?)
少し冷静に考えたら、そんな感情が浮かんできた。
(レックス君はさくらちゃんを助けてくれるって言ってくれた。
私のことまで気遣ってくれた。それなのに――)
なぜ息詰まる? なぜ苦しい?
それでいいはずなのに、うまくいっているはずなのに。
……このままでは何かがいけない気がする。何かが違う気がする。
だけど梨々にはその違和感を形にすることができない。
「そ、それじゃあその子、アルルゥちゃんはどうするの!?」
やっと口から出てくれたのは、ただの思い付きであり時間稼ぎだ。
梨々の抱える違和感の正体ではない。当てずっぽうの言葉では誰の心も揺らがない。
梨々の抱える違和感の正体ではない。当てずっぽうの言葉では誰の心も揺らがない。
「アルルゥも僕と同じだよ。この子も最初はジェダの言うことを鵜呑みにして、
人を殺そうと動いていたんだ。傷つけてしまった人もいる。
……僕たちは同じなんだ。色んな人から危険だと思われているもの同士。
だから、僕たちには一緒にいる理由がある」
人を殺そうと動いていたんだ。傷つけてしまった人もいる。
……僕たちは同じなんだ。色んな人から危険だと思われているもの同士。
だから、僕たちには一緒にいる理由がある」
けど、と呟きレックスは続ける。
「君は違うだろ? ……だったら僕たちと一緒にいちゃいけないよ。
あ、一人が不安なのかい? 大丈夫。君の持っている核鉄は強力だ。
それさえあれば誰が相手でも逃げ切れるはずだよ。使い方はさっき伝えたから平気だよね」
「そういうことじゃないよ!」
「そういうことじゃないって……じゃあ何が言いたいの?」
「それは……その……」
あ、一人が不安なのかい? 大丈夫。君の持っている核鉄は強力だ。
それさえあれば誰が相手でも逃げ切れるはずだよ。使い方はさっき伝えたから平気だよね」
「そういうことじゃないよ!」
「そういうことじゃないって……じゃあ何が言いたいの?」
「それは……その……」
梨々の声がどんどん弱くなる。そのまま意志が萎んでいくかのように。
やはり、掛けるべき言葉が見つからなかった。
やはり、掛けるべき言葉が見つからなかった。
「……時間が惜しい、用がないなら僕たちは行くよ。アルルゥ、動ける?」
「ん」
「ん」
短い返事を受けてレックスは歩き出した。その後をアルルゥが追っていく。
「待っ……!」
梨々は背を向けたレックスに手を伸ばしかける。
だが、結局その手は宙を泳ぐだけだった。
次に出てくる言葉も何もない。だけど、
(違う)
遠ざかる背中を見て、改めて思う。
(やっぱり違うよ、このまま行かせちゃダメなんだ。
けど、何が違うの……?)
確かに自分はさくらちゃんを助けてくれる人を捜していた。
そうして今、ちゃんと救い出してくれる人を見つけられたじゃないか。
自分なんかよりずっと力があって、ずっと頼りになる勇者が誓ってくれたんだ。
それなのに、何が不満なの? これ以上何か望むものがあるの?
あったとしても、それは唯の我侭――
だが、結局その手は宙を泳ぐだけだった。
次に出てくる言葉も何もない。だけど、
(違う)
遠ざかる背中を見て、改めて思う。
(やっぱり違うよ、このまま行かせちゃダメなんだ。
けど、何が違うの……?)
確かに自分はさくらちゃんを助けてくれる人を捜していた。
そうして今、ちゃんと救い出してくれる人を見つけられたじゃないか。
自分なんかよりずっと力があって、ずっと頼りになる勇者が誓ってくれたんだ。
それなのに、何が不満なの? これ以上何か望むものがあるの?
あったとしても、それは唯の我侭――
「心配しないで」
声が掛けられ、梨々は俯いていた顔を上げる。
10歩分の距離の向こうで、レックスが笑っていた。
10歩分の距離の向こうで、レックスが笑っていた。
「絶対、さくらを助けて君のところに連れてくるから」
そう言って、また笑った。
(……あ)
その瞬間。
(そっか)
笑顔の奥に何かが見えて。
(そうだったんだ!)
答えに辿り着いた梨々は、
(……あ)
その瞬間。
(そっか)
笑顔の奥に何かが見えて。
(そうだったんだ!)
答えに辿り着いた梨々は、
「待って!!」
心の底から叫んだ。
足を踏み出そうとしたレックスは再び向き直り、
足を踏み出そうとしたレックスは再び向き直り、
「……まだ何か用があるの?」
口調に僅かな拒絶の色を載せながら言い放つ。
梨々がどういうつもりなのかは知らないが、レックスとしてはこれ以上踏み込んでもらいたくはなかった。
それなのに彼女は、
梨々がどういうつもりなのかは知らないが、レックスとしてはこれ以上踏み込んでもらいたくはなかった。
それなのに彼女は、
「やっぱり私も一緒に行く!」
揺ぎ無い語調と共に、障害を蹴散らすように踏み込んできた。
レックスは呆れよりも先に衝撃を受けて。
次の瞬間には微かな苛立ちが割り込んでいた。
レックスは呆れよりも先に衝撃を受けて。
次の瞬間には微かな苛立ちが割り込んでいた。
「言ったはずだよ、僕たちと一緒にいても危険なだけ――」
「だってあなた言ったでしょ!?」
「だってあなた言ったでしょ!?」
忠言が封殺され、呼吸のリズムが乱れる。
「天空の勇者だって怖いものは怖いって!
人の期待に応えるのに疲れたからゲームに乗ろうともしたって!
私はあなたに重荷を背負わせるためにさくらちゃんの話をしたんじゃない!
一から十まで全部やってもらうために頼ったわけでもない!
……ただ、苦しいことを分けあって、協力しあえる人が欲しかったんだよ……」
人の期待に応えるのに疲れたからゲームに乗ろうともしたって!
私はあなたに重荷を背負わせるためにさくらちゃんの話をしたんじゃない!
一から十まで全部やってもらうために頼ったわけでもない!
……ただ、苦しいことを分けあって、協力しあえる人が欲しかったんだよ……」
奥に挟まっていたもどかしいものを吐ききり、梨々は呼吸を整える。
何がダメだったのか。やっとその答えが分かった。
一人で何でもしようとするレックスの背中が、百色が時折見せるそれとひどく重なって見えてしまったからだ。
(……百色のおじさんに助けられたとき心に誓ったんだ。
自分が生きている意味が欲しい、誰かの役に立ちたいって。
そのために、怪盗になるんだって!)
自分が力と能力を求めた原点に立ち返れば、抱えていた違和感の正体はすぐに見つかった。
なぜなら梨々は、あの背中と同じものを支えるために強くなりたいと願ったのだから。
何がダメだったのか。やっとその答えが分かった。
一人で何でもしようとするレックスの背中が、百色が時折見せるそれとひどく重なって見えてしまったからだ。
(……百色のおじさんに助けられたとき心に誓ったんだ。
自分が生きている意味が欲しい、誰かの役に立ちたいって。
そのために、怪盗になるんだって!)
自分が力と能力を求めた原点に立ち返れば、抱えていた違和感の正体はすぐに見つかった。
なぜなら梨々は、あの背中と同じものを支えるために強くなりたいと願ったのだから。
レックスは梨々の剣幕に得体の知れないものを感じていた。
生まれた感情の過程を、自分の持つ知識で表現しきることができない。
だが、過程は分からずとも行き着く先に何があるのかだけは重々に理解している。
――それは恐怖だ。
自分が梨々に話したことは偽りのない本心だった。
敵が怖いのも、周囲の期待に押し潰されそうになったのも本当のこと。
だから、今さら必死になってその部分を否定しても梨々には届かない。簡単に見透かされてしまう。
信頼を得たいがために恥を捨てて正直に告げたが、どうやらやりすぎてしまったらしい。
(……協力しあえる人……仲間……)
そんな存在を求めていたのはレックスも同じだ。
しかも、梨々のほうから申し出てくれるのはこの上なく嬉しかった。でも、
(君は、ダメだよ……)
これ以上自分が理由で梨々を傷つけてしまうのが怖かった。
全ての問題、自分を取り囲む壁の問題はこの感情『恐怖』に帰結する。
確実に守れる状態にあるなら連れて行くことも吝かではない。
だが、そんな保証がどこにある?
自分とアルルゥの買っている恨みの根は深く、広い。
それこそ、当人である自分たちにも見当がつかないほどのものだ。
いきなり遠距離からイオナズンで不意打ちされても全く文句が言えない、
それくらいの非道な行いを繰り返してきたというのに、無関係の梨々を連れて行けるはずがない。
それなのに、梨々は止まらない。何度も説明したのに止まってくれない。
彼女が一歩近づいてくるたびに、本当は堪らなく嬉しくて、同時に身が裂けるほどに悲しかった。
レックスは荒れ狂う感情の波を鎮めるように、細く長い息を吐いた。
後に残ったのは、――何かを諦めた薄い笑み。
生まれた感情の過程を、自分の持つ知識で表現しきることができない。
だが、過程は分からずとも行き着く先に何があるのかだけは重々に理解している。
――それは恐怖だ。
自分が梨々に話したことは偽りのない本心だった。
敵が怖いのも、周囲の期待に押し潰されそうになったのも本当のこと。
だから、今さら必死になってその部分を否定しても梨々には届かない。簡単に見透かされてしまう。
信頼を得たいがために恥を捨てて正直に告げたが、どうやらやりすぎてしまったらしい。
(……協力しあえる人……仲間……)
そんな存在を求めていたのはレックスも同じだ。
しかも、梨々のほうから申し出てくれるのはこの上なく嬉しかった。でも、
(君は、ダメだよ……)
これ以上自分が理由で梨々を傷つけてしまうのが怖かった。
全ての問題、自分を取り囲む壁の問題はこの感情『恐怖』に帰結する。
確実に守れる状態にあるなら連れて行くことも吝かではない。
だが、そんな保証がどこにある?
自分とアルルゥの買っている恨みの根は深く、広い。
それこそ、当人である自分たちにも見当がつかないほどのものだ。
いきなり遠距離からイオナズンで不意打ちされても全く文句が言えない、
それくらいの非道な行いを繰り返してきたというのに、無関係の梨々を連れて行けるはずがない。
それなのに、梨々は止まらない。何度も説明したのに止まってくれない。
彼女が一歩近づいてくるたびに、本当は堪らなく嬉しくて、同時に身が裂けるほどに悲しかった。
レックスは荒れ狂う感情の波を鎮めるように、細く長い息を吐いた。
後に残ったのは、――何かを諦めた薄い笑み。
(梨々は優しいんだね。本当に、今ここで会えて良かった。謝れて良かった。
――だから、僕は優しい君を本気で止めることができる)
できればこんな手は使いたくなかった。
けれど、彼女がどうしても止まってくれないなら――徹底的に拒絶する以外、手段が浮かばない。
――だから、僕は優しい君を本気で止めることができる)
できればこんな手は使いたくなかった。
けれど、彼女がどうしても止まってくれないなら――徹底的に拒絶する以外、手段が浮かばない。
だったら笑ってみせろ、レックス。
「……そんなにしつこいならハッキリ言ってあげるよ」
目を吊り上げて、嘲るように。見下すように、とびっきり冷たく笑うんだ。
何も悟らせちゃいけない。笑って塗りつぶしてそれで万事解決だ。
何も悟らせちゃいけない。笑って塗りつぶしてそれで万事解決だ。
「君がいても邪魔なんだ、迷惑なんだよ!
剣も魔法も使えない人間にうろちょろされても鬱陶しくて仕方がない!」
剣も魔法も使えない人間にうろちょろされても鬱陶しくて仕方がない!」
隔てた距離が生み出す、森の暗がり。それは今の僕に優しかった。
失望しているだろう梨々の表情を覆い隠してくれているから。
おかげで僕は辛辣な嘘を最後まで平気な顔で突き刺せる。
失望しているだろう梨々の表情を覆い隠してくれているから。
おかげで僕は辛辣な嘘を最後まで平気な顔で突き刺せる。
「足手まといなんていらない!
何も出来ないくせに、一々口答えするなッ!
無力な町人は安全なところで大人しく救われるのを待っていればいいんだよッ!」
何も出来ないくせに、一々口答えするなッ!
無力な町人は安全なところで大人しく救われるのを待っていればいいんだよッ!」
――ごめん。
耐え切れなくなり、声にも態度にも出さないように口の中で謝る。
身体に穴が空いたようだった。欠落を埋めるように、僕は荒めの呼吸を繰り返す。
おかしなものだ。僕は刺した側のはずなのに、何でこんなに穴だらけになっているんだろう。
痛いのは、悲しいのは梨々のほうなのに。僕が痛みを感じてはいけないのに。
ふと。
カサリ、という音が響いた。降り積もった落ち葉が踏まれる音。
その後も葉の潰れる音は止まらず、しかも大きくなっていく。
僕は目を見張った。背筋を駆け巡った悪寒と違わず、近づいてくる影がある。
まさか、なんで?
ここまで言ってまだ分かってくれないの?
僕はそう思いかけたけど、近づいてきた梨々の顔を見て納得した。
彼女は怒っているようだった。片時も僕に向けた視線を外そうとしない。
そこを動くな、とでも言いたげだ。彼女の憤慨を言外に物語っている、強烈な眼光だった。
既に互いの手が届く距離。彼女はそこで叩きつけるように鳴らしていた足音を止めた。
森の闇は意味をなくし、彼女の顔には月明かりが降り注いでいる。
白く輝く金髪は、弱い光しかないのに存外眩しい。
そうだね、怒るのも無理はない。
別れる前に一発や二発殴らないと気がすまないんだろう。
彼女の真っ直ぐな視線から逃げないように、僕も同じ視線を返す。
やがて彼女は左手を後ろに振りかぶった。
頬を狙った平手。今までの経験から半ば自動的にそう直感する。
無論、察したところで抵抗するつもりはない。
大きく楕円を描く軌道が、夜の空気を裂いていく。
僕は最後まで目を閉じなかった。……閉じなかったから、すぐに気付いた。
僕の眼前、文字通り目と鼻の先に梨々が何かを突きつけていることに。
近すぎて、最初は何だか分からなかった。
だけど、その正体が分かった瞬間。
僕はまず、マヌーサとメダパニの可能性を疑った。
身体に穴が空いたようだった。欠落を埋めるように、僕は荒めの呼吸を繰り返す。
おかしなものだ。僕は刺した側のはずなのに、何でこんなに穴だらけになっているんだろう。
痛いのは、悲しいのは梨々のほうなのに。僕が痛みを感じてはいけないのに。
ふと。
カサリ、という音が響いた。降り積もった落ち葉が踏まれる音。
その後も葉の潰れる音は止まらず、しかも大きくなっていく。
僕は目を見張った。背筋を駆け巡った悪寒と違わず、近づいてくる影がある。
まさか、なんで?
ここまで言ってまだ分かってくれないの?
僕はそう思いかけたけど、近づいてきた梨々の顔を見て納得した。
彼女は怒っているようだった。片時も僕に向けた視線を外そうとしない。
そこを動くな、とでも言いたげだ。彼女の憤慨を言外に物語っている、強烈な眼光だった。
既に互いの手が届く距離。彼女はそこで叩きつけるように鳴らしていた足音を止めた。
森の闇は意味をなくし、彼女の顔には月明かりが降り注いでいる。
白く輝く金髪は、弱い光しかないのに存外眩しい。
そうだね、怒るのも無理はない。
別れる前に一発や二発殴らないと気がすまないんだろう。
彼女の真っ直ぐな視線から逃げないように、僕も同じ視線を返す。
やがて彼女は左手を後ろに振りかぶった。
頬を狙った平手。今までの経験から半ば自動的にそう直感する。
無論、察したところで抵抗するつもりはない。
大きく楕円を描く軌道が、夜の空気を裂いていく。
僕は最後まで目を閉じなかった。……閉じなかったから、すぐに気付いた。
僕の眼前、文字通り目と鼻の先に梨々が何かを突きつけていることに。
近すぎて、最初は何だか分からなかった。
だけど、その正体が分かった瞬間。
僕はまず、マヌーサとメダパニの可能性を疑った。
「そ、それ僕のGIカードじゃないか!? え、あ、いつの間に!?」
素っ頓狂な声を出してしまい、僕は慌てて口を塞ぐ。
(しまった!? 何を間抜けな声を出しているんだ僕は!?
せっかく苦労して作っていた陰鬱な空気を自分で吹き飛ばしてどうする!?)
けどもう遅い。
慌てふためく僕を尻目に、とても意地の悪い、勝ち誇った笑みを浮かべる女の子がいる。
(しまった!? 何を間抜けな声を出しているんだ僕は!?
せっかく苦労して作っていた陰鬱な空気を自分で吹き飛ばしてどうする!?)
けどもう遅い。
慌てふためく僕を尻目に、とても意地の悪い、勝ち誇った笑みを浮かべる女の子がいる。
「あなたが私に治療をしてくれようとしたとき、
アルルゥちゃんに気が向いていた瞬間があったでしょ?
ごめんなさい、そのときにちょっと……。
あのときはあなたのこと信用しきれていなかったから、
ちょっとした保険のつもりだったの」
アルルゥちゃんに気が向いていた瞬間があったでしょ?
ごめんなさい、そのときにちょっと……。
あのときはあなたのこと信用しきれていなかったから、
ちょっとした保険のつもりだったの」
ごめんなさいと言いつつも、ちっとも悪びれた様子がない。
それどころか、梨々は僕に見せ付けるように更に強く微笑んだ。
瞳には燃えるような強い意志。口元には不敵な笑み。
……まずい、勝てる気がしない。
それどころか、梨々は僕に見せ付けるように更に強く微笑んだ。
瞳には燃えるような強い意志。口元には不敵な笑み。
……まずい、勝てる気がしない。
「さっき言ったよね、足手まといは連れて行かないって。
確かに私はあなたよりずっと弱いよ。
……けどね、それでも私に呆気なくカードを取られて、
しかも気付かずに立ち去ろうとするあなたなんかに、足手まといだなんて言わせない!」
確かに私はあなたよりずっと弱いよ。
……けどね、それでも私に呆気なくカードを取られて、
しかも気付かずに立ち去ろうとするあなたなんかに、足手まといだなんて言わせない!」
耳の中で梨々の大声が数度、ぐわんぐわんと反響する。
頭が痛くなり、僕は自然に肩を落としてしまった。身体中の骨がゴムにでもなった気分だ。
緊張の糸はどこにいった? 頼むから帰ってきてよ……。
最早、頭を掻きながら悪態をつくことだけが、僕に残された精一杯の抵抗だった。
頭が痛くなり、僕は自然に肩を落としてしまった。身体中の骨がゴムにでもなった気分だ。
緊張の糸はどこにいった? 頼むから帰ってきてよ……。
最早、頭を掻きながら悪態をつくことだけが、僕に残された精一杯の抵抗だった。
「……呆れた。君みたいに手癖の悪い女の子なかなかいないよ」
「誉めてくれてありがとう。
私が頑張ってもおじさんも双葉ちゃんもちっとも喜んでくれないんだよ。
ヒドイと思わない?」
「思わない」
「誉めてくれてありがとう。
私が頑張ってもおじさんも双葉ちゃんもちっとも喜んでくれないんだよ。
ヒドイと思わない?」
「思わない」
そうして僕たちは少し睨みあって。
やがて、吹き出す様に笑い合ってしまった。
アルルゥだけが事態の推移についていけずキョトンとしている。
置いてきぼりにしてしまったアルルゥにはちょっと悪いなあと思ったけど、
一緒に笑い始めてしまったらもうダメだった。
梨々を遠ざけようとする力が、もう全然出てきてくれない。
今このときだけは、色んなことがどうでも良くなってしまったんだから、
負けを認めるしかないんだろう。
贖罪のこととかジェダのこと。
降り積もっていた重圧がすぅっと軽くなっていったんだ。
だからって、消えたわけでは決してない。
何て言えばいいんだろう?
今まで両手を使って必死で抱えていたものに、取っ手が付いて持ちやすくなった。
そんな感じかな……。
やがて、吹き出す様に笑い合ってしまった。
アルルゥだけが事態の推移についていけずキョトンとしている。
置いてきぼりにしてしまったアルルゥにはちょっと悪いなあと思ったけど、
一緒に笑い始めてしまったらもうダメだった。
梨々を遠ざけようとする力が、もう全然出てきてくれない。
今このときだけは、色んなことがどうでも良くなってしまったんだから、
負けを認めるしかないんだろう。
贖罪のこととかジェダのこと。
降り積もっていた重圧がすぅっと軽くなっていったんだ。
だからって、消えたわけでは決してない。
何て言えばいいんだろう?
今まで両手を使って必死で抱えていたものに、取っ手が付いて持ちやすくなった。
そんな感じかな……。
「あー、笑いすぎた。お腹痛いよ。……梨々、君はとんでもない馬鹿だろ?
すっっっごく丁寧に僕やアルルゥと一緒にいることの危なさについて説明してあげたのにさ」
「危険? 丁度いいね、それなら私が核鉄で二人とも守ってあげるから。
だいたい、この島で安全なところがあるなら教えて欲しいよ。
それに私みたいな仲介人がいたほうが、あなたたちが傷つけた人に謝るときとか話がこじれ難いでしょ?
だいじょうぶ! おじさんと一緒に練習したから、口先で相手を煙に巻くのは得意だよ!」
「……ああ、そうだね。たった今実演したばっかりだもんね……。
てか、煙に巻いてどうするんだよ……」
すっっっごく丁寧に僕やアルルゥと一緒にいることの危なさについて説明してあげたのにさ」
「危険? 丁度いいね、それなら私が核鉄で二人とも守ってあげるから。
だいたい、この島で安全なところがあるなら教えて欲しいよ。
それに私みたいな仲介人がいたほうが、あなたたちが傷つけた人に謝るときとか話がこじれ難いでしょ?
だいじょうぶ! おじさんと一緒に練習したから、口先で相手を煙に巻くのは得意だよ!」
「……ああ、そうだね。たった今実演したばっかりだもんね……。
てか、煙に巻いてどうするんだよ……」
ガックリと首を垂れるレックス。
と思いきや、彼は不意に顔を上げて恭しく腕を振り始めた。何か思いついたらしい。
地面と平行になるように腕を構え、自分の腹の辺りに落ち着けながら頭を軽く下げている。
黒いスーツを着こなした執事がやりそうな気障な所作。
高貴な生まれだと聞いたが全然似合っていない、梨々は笑いを堪えながらそう評した。
やっているレックス自身もそれを自覚している、というより真面目に動くつもりはないのだろう。
彼が目指しているのは最初から三文芝居だ。
と思いきや、彼は不意に顔を上げて恭しく腕を振り始めた。何か思いついたらしい。
地面と平行になるように腕を構え、自分の腹の辺りに落ち着けながら頭を軽く下げている。
黒いスーツを着こなした執事がやりそうな気障な所作。
高貴な生まれだと聞いたが全然似合っていない、梨々は笑いを堪えながらそう評した。
やっているレックス自身もそれを自覚している、というより真面目に動くつもりはないのだろう。
彼が目指しているのは最初から三文芝居だ。
「えー、コホン。当パーティーは前衛に勇者、後衛に魔法使いを配しております。
ただ今遊撃的なことをこなせる職業、例えば盗賊とかを募集中~。
人手が足りません、向こう見ずで頑固な女の子でもいいので仲間になっていただけませんか~?」
ただ今遊撃的なことをこなせる職業、例えば盗賊とかを募集中~。
人手が足りません、向こう見ずで頑固な女の子でもいいので仲間になっていただけませんか~?」
道化の呼びかけはニヤリ、という笑みで締められる。
レックスが初めて見せる軽い仕草。豹変と言っても過言ではないそれを見て、梨々は直感的に悟った。
(……そっか。多分これが『勇者』じゃなくて『レックス』君の顔なんだ。
家族とか親しい人の前では、きっとこんな風にふざけたり、
おどけてみせたりしていることが多かったんだ)
そこにいたのは年相応の、どこにでもいる男の子だった。
……きっと、大切な一歩を踏み出したばかりの。
だったら、その足跡を無粋に踏み荒らしたりしてはいけない。
ユーモアたっぷりに次の一歩を手助けしないと。怪盗はエンターテイナーもこなすのだから。
レックスが初めて見せる軽い仕草。豹変と言っても過言ではないそれを見て、梨々は直感的に悟った。
(……そっか。多分これが『勇者』じゃなくて『レックス』君の顔なんだ。
家族とか親しい人の前では、きっとこんな風にふざけたり、
おどけてみせたりしていることが多かったんだ)
そこにいたのは年相応の、どこにでもいる男の子だった。
……きっと、大切な一歩を踏み出したばかりの。
だったら、その足跡を無粋に踏み荒らしたりしてはいけない。
ユーモアたっぷりに次の一歩を手助けしないと。怪盗はエンターテイナーもこなすのだから。
「ダメだよ」
道化には道化で返してみんなで楽しむ。
それが彼女なりのパーティーの礼儀。
それが彼女なりのパーティーの礼儀。
「私は盗賊じゃないもん、間違えないで。
それに向こう見ずでも頑固でもない。
大胆不敵、冷静沈着!
世のため人のため女の子だって盗んじゃう――――怪盗なんだから!」
それに向こう見ずでも頑固でもない。
大胆不敵、冷静沈着!
世のため人のため女の子だって盗んじゃう――――怪盗なんだから!」
決まった、とばかりに梨々は目を伏せ余韻を楽しんでいる。
対するレックスはポカンとした顔で、
対するレックスはポカンとした顔で、
「……盗賊と怪盗って何が違うの?」
地雷を踏んだ。
「判らないの!? 怪盗にはロマンがあるんだよ!
盗賊っていうのは悪いことするただの泥棒でしょ?
でもね、怪盗は違うんだよ。怪盗はね、――――……」
盗賊っていうのは悪いことするただの泥棒でしょ?
でもね、怪盗は違うんだよ。怪盗はね、――――……」
* * *
道なき道。草を踏み倒しながら、彼らは同じ方向に歩き出していた。
チケットは皆の手の中に。
夜は長く、夜会もこれから。
チケットは皆の手の中に。
夜は長く、夜会もこれから。
【E-4/森/一日目/夜中】
【梨々=ハミルトン@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:右腕及び全身各所に亀裂骨折(核鉄で回復中) 。
[装備]:白タキシード(パラシュート消費)&シルクハット@吉永さん家のガーゴイル +パンジーの花飾り
:核鉄『シルバースキン・アナザータイプ』@武装錬金
[道具]:支給品一式
[服装]:白タキシード&シルクハット
[思考]:怪盗はすごいんだよ正義の味方なんだよ!
どんな人にも負けないし厳重な警備だって簡単に突破するの!
それに芸術を理解する深い教養があって知的で――
第一行動方針:森の東、城前に現れた霧の調査。
第二行動方針:さくらを助ける。そのために、雛苺からさくらを盗む。
第三行動方針:殺し合いに乗ってない、友好的な人(候補としては薫?)を探す。
第四行動方針:双葉かリィンちゃんの友達及び小狼を探す。
[備考]:永沢、イリヤ、ベルフラウを危険人物と認識。薫の事も少し疑っている。
桜の知り合いの情報を聞いている。
18時の放送をレックスとアルルゥから聞きました。(但しどこまで正確かは不明)
【梨々=ハミルトン@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:右腕及び全身各所に亀裂骨折(核鉄で回復中) 。
[装備]:白タキシード(パラシュート消費)&シルクハット@吉永さん家のガーゴイル +パンジーの花飾り
:核鉄『シルバースキン・アナザータイプ』@武装錬金
[道具]:支給品一式
[服装]:白タキシード&シルクハット
[思考]:怪盗はすごいんだよ正義の味方なんだよ!
どんな人にも負けないし厳重な警備だって簡単に突破するの!
それに芸術を理解する深い教養があって知的で――
第一行動方針:森の東、城前に現れた霧の調査。
第二行動方針:さくらを助ける。そのために、雛苺からさくらを盗む。
第三行動方針:殺し合いに乗ってない、友好的な人(候補としては薫?)を探す。
第四行動方針:双葉かリィンちゃんの友達及び小狼を探す。
[備考]:永沢、イリヤ、ベルフラウを危険人物と認識。薫の事も少し疑っている。
桜の知り合いの情報を聞いている。
18時の放送をレックスとアルルゥから聞きました。(但しどこまで正確かは不明)
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:疲労、魔力大消費。
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り2回)
[道具]:基本支給品、GIのスペルカード(『交信』×1、『磁力』×1)@HUNTER×HUNTER、飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心
[思考]:口じゃなくて足動かないとまずいんじゃ……。
第一行動方針:森の東、城前に現れた霧の調査。ただし極力無理はしない。
第二行動方針:アルルゥと梨々を守りつつ、レミリアとタバサとさくらを捜す。
第三行動方針:余裕があったら、お城を調べてみたい。
第四行動方針:雛苺に対して対抗心。準備が整ったらリベンジする?
基本行動方針:勇者としてタバサの兄として誇れるよう生きる。でも敵には容赦しない。
[備考]:エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
アルルゥや真紅はモンスターの一種だと思っています。
ベッキーは死亡したと考えています。
[状態]:疲労、魔力大消費。
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り2回)
[道具]:基本支給品、GIのスペルカード(『交信』×1、『磁力』×1)@HUNTER×HUNTER、飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心
[思考]:口じゃなくて足動かないとまずいんじゃ……。
第一行動方針:森の東、城前に現れた霧の調査。ただし極力無理はしない。
第二行動方針:アルルゥと梨々を守りつつ、レミリアとタバサとさくらを捜す。
第三行動方針:余裕があったら、お城を調べてみたい。
第四行動方針:雛苺に対して対抗心。準備が整ったらリベンジする?
基本行動方針:勇者としてタバサの兄として誇れるよう生きる。でも敵には容赦しない。
[備考]:エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
アルルゥや真紅はモンスターの一種だと思っています。
ベッキーは死亡したと考えています。
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(中)、右腕の手首から先が動かない。
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品(食料-1)、クロウカード『泡』@カードキャプターさくら
[服装]:普段着である民族衣装風の着物(背中の部分が破れ、血で濡れている)
[思考]:ンアヴィワかえってきた、うれしい。
第一行動方針:レックスについていく。
第二行動方針:レミリアを捜して止める。
第三行動方針:イエローを捜したい。
基本行動方針:優勝以外の脱出の手段を捜す。敵は容赦しない。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
サモナイト石で召喚された魔獣は、必ず攻撃動作を一回行ってから消えます。攻撃を止めることは不可能。
本能的に、アリス・イン・ワンダーランドに対して嫌悪を覚えています。
ベッキーは死亡したと考えています。
[状態]:疲労(中)、魔力消費(中)、右腕の手首から先が動かない。
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品(食料-1)、クロウカード『泡』@カードキャプターさくら
[服装]:普段着である民族衣装風の着物(背中の部分が破れ、血で濡れている)
[思考]:ンアヴィワかえってきた、うれしい。
第一行動方針:レックスについていく。
第二行動方針:レミリアを捜して止める。
第三行動方針:イエローを捜したい。
基本行動方針:優勝以外の脱出の手段を捜す。敵は容赦しない。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
サモナイト石で召喚された魔獣は、必ず攻撃動作を一回行ってから消えます。攻撃を止めることは不可能。
本能的に、アリス・イン・ワンダーランドに対して嫌悪を覚えています。
ベッキーは死亡したと考えています。
≪213:Sweets Time | 時系列順に読む | 216:聖者は闇の中に堕ち、鬼は光の中で笑う≫ |
≪213:Sweets Time | 投下順に読む | 215:Bomb!Bomb!Sweet!≫ |
≪205:迷いはいらない | 梨々の登場SSを読む | 225:リドル・パーティ≫ |
レックスの登場SSを読む | ||
アルルゥの登場SSを読む |