真夜中のお菓子パーティにようこそ ◆2kaleidoSM
しんのすけとクロエの二人がいた場所から最も近い場所にあった、みまつやという施設。
現在地を確かめたクロエは、まずそこを目指すことにした。
クロエとしては柳洞寺を目指すべきところなのではあったが、目の前にいる幼稚園児を連れて向かうには遠い。
まずは今のこの状況について、色々整理しなければならない。
それにみまつやという名前だけでは一体どんな建物なのかが分からない。
何かの店だろうとは思うが。
「ねえねえくおえー。さっきの服はどうしたのー?」
「ちょっと着替えてきたのよ。あの服だとちょっと目立つじゃない。だからこう、普通の服にね」
「おおー。すごいゾー!くおえちゃんは着替えるのも早いんだなー。
でもオラも負けないゾ。早脱ぎには自信あるんだゾ!」
「今ここでやらないでね」
ちなみに結局しんのすけの名前の呼び方について修正することはできなかった。
あの後何度も訂正したのだが、子供の思い込みとは恐ろしいものだ。
「はぁ…、ねえ、クロエって呼びにくいでしょ。クロでいいわよ」
「くろー?何か犬の名前みたいだゾ」
「そりゃそうだ」
「オラんちにもシロって犬がいるんだゾ。お利口さんで、オラの言うことちゃんと聞いてくれるんだー」
と、そんなやり取りを繰り広げつつも、みまつやなる場所へと辿り着いた二人。
看板にデカデカと店の名前が書いてあるので間違いはないだろう。
「何かと思ったら、ただの雑貨屋ね。何だっていちいち地図に示したのかしら…?」
「おじゃましまーす。だれかいないのー?」
と、しんのすけは店に入っていく。
中には無論人の気配はない。
ゴソ ゴソ
店の中には、人の気配はなかった。
「…………」
「よいしょ、よいしょ」
店の前においてあるアイスボックス。
その開いた入れ口の中に上半身を突っ込んだ状態でもぞもぞ動く小さなお尻があった。
「よいしょ、っと」
と、バタンとガラス戸を閉じ、小さな上半身が体を起こした。
セーターを着た、緑のツーサイドアップな髪の少女。年は自分よりもいくつか下、しかししんのすけよりは上といったくらいだろうか。
少女は、その手に持ったアイスキャンデーを開け、口に咥える。
「………」
シャク、シャク
ひたすらにアイスを咀嚼し続ける少女。
食べていたそれが無くなったところで、意識がこちらに向いたのか気がついたようにこちらを向いて。
「……食べる?」
アイスの1本を差し出しながら、少女はそう言った。
◇
「それで、名前は?」
「ゆま!」
先に店の中へ入ってゴロゴロと転がり続けていたしんのすけに続いてみまつやに入ったクロとゆま。
ゆまはそこが一般家庭の家屋と変わりないものと見ると、まず真っ先に台所へと向かっていった。
しばらく待った後、彼女はその両手に大量のお菓子の山を抱えて戻ってきた。
一人で食べるには多い量でもあったし、皆で分けるつもりなのだろうかと思ったが、ゆまは自分の周りだけに固めて食品を置いていた。
「オラにも一つちょーだい!」
「いいよー」
「モグモグ…、うーん、やっぱり甘ーいお饅頭には渋いお茶が欲しいところですなー」
と、しんのすけが言えば分けている辺り別に深く意識した行動ではないのだろうが。
「ねえ、しんのすけ君、ゆまちゃん。この名簿の字って、読める?」
「えーっと、あ、これオラの名前ー」
「えーっと、…ゆまよく分かんない」
スマホの名簿を見せるが、小学生低学年くらいと幼稚園の子供に読ませるには限界があったようだ。
とりあえず、クロは分かる限りで名前を読み上げてみる。
「友達とか、家族の人っていた?」
「マサオくんと風間くんー」
「キョーコもマミさんもいないの?」
「名簿には載ってないかな。じゃあゆまちゃんの知ってる人はいないのね?」
しんのすけの反応した名は二つ。
しかしゆまの言う知り合いの名前は名簿に記載されていなかった。
「う~ん、あ、でもまどかって名前は聞いたことあるかも」
「お友達?」
「おりこが殺した人が、そんな名前だったかも」
「…うん?」
「ゆまの魔法でも助けられなかったの…」
自分よりも幼いだろう子供の口から飛び出た殺し、などという物騒な言葉に一瞬首を傾げ。
さらにその次に出てきた言葉に思わず問いかけていたクロ。
「…魔法って?」
「あ、えっとね、ゆまは魔法少女なんだよ」
「お?」
グデーと転がっていたしんのすけがムクリと起き上がる。
瞳には若干の好奇心。
「まほーしょーじょって、もえPみたいに変身できるの?」
「うん、見ててー」
そう言ってその手に小さな宝石を出したゆま。
と、体が一瞬光に包まれたかと思うと、セーターを纏っていたはずの体をフリルのついた緑の服とネコミミを着込んだ可愛らしい姿へと変わっていた。
「おー!すごいぞー!」
「えへへ。怪我とかも治せるんだよー」
驚きで褒めるしんのすけと照れるゆま。
(魔法少女、ねぇ…)
ふとクロの脳裏をよぎったのはあのヘンテコステッキのルビー。
確かに格好に似通ったところはあるが、あれとはまた別の原理による力のようだ。
「ねえ、ゆまちゃんはどうやって魔法少女になったのかな?」
「キュゥべえと契約したんだよ。何でも願いを叶えてあげるから魔法少女になって戦って欲しいって」
「ふーん…」
「いいなー。何でも願い叶えてもらえるなら、オラだってお願いしたいゾ」
「だけどね、このソウルジェムが濁っちゃうと、マジョになっちゃうみたいなの。ゆま達の戦ってるのもマジョっていうんだけど」
「ホーホー。いわゆるマックポスタというやつですかな。
まるでこの前テレビでやってたサギの手口みたいだゾ」
まあクロとしてもあまり深入りしたいわけでもなかったしこんな小さな子供が込み入った話を把握してるとも思えなかったこともあって今そう深く聞きはしなかった。
とりあえずそれはおいおい聞いていくとして、まずはこれからのことだ。
「ねえ、ゆまちゃんはこれからどうしたい?」
「キョーコのところに帰りたいんだけど、どうしたらいいか分からないの…」
「じゃあさ、ちょっと一緒に行かない?おねーさん達もここから出る方法考えてて、今友達を探してるところなの」
「そうなの?ゆまも一緒に行ってもいいの?」
「ええ」
クロとしてはあまり同行者が増えすぎるということについての懸念はあった。
だがさすがに助けた手前そのままバイバイというわけにはいかない、一般人のしんのすけを連れている以上一人も二人もそう変わらない。
それにこのゆまという少女が魔法少女なる者だというなら連れて行くことがそこまで負担になることはないだろう。
「じゃあ、ゆまのお菓子分けてあげるね」
「夜にお菓子食べたらカーチャンに怒られるゾ」
「まあ、これからちょっと歩くわけだしここである程度お腹に詰めておいたほうがいいんじゃないかしらね。
というか二人は大丈夫なの?こんな夜に歩き回るのって」
「ちょっと眠い気もするけど、早くおうちに帰って寝たいし、カーチャンも心配してるだろうから禅は叩けって言うゾ」
「善は急げ、ね」
「ゆまは平気。夜起きてるのも慣れてるし」
「そう、なら決まり。でもその前に」
とりあえずの行動は決まった。
行く道中にはしんのすけの通っていたというふたば幼稚園も存在する。余裕があれば寄ってみるのもいいだろう。
だがその前に、とゆまが台所から持ってきたお菓子の山に目をやる。
「今のうちに腹ごしらえだけでもしておきますか」
「ほほーい」
今後何があるか分からないし、支給品に入っている方はある程度残しておけるようにしたほうがいいだろうし。
一口齧ってみたが変なものが入っている様子もない。何の変哲もない食べ物だ。
そうして三人は出発する前の準備として、みまつやの中でちゃぶ台の上に積み上げられたお菓子の山を各々の胃の中に黙々と片付けた。
何故か妙にチョコが多かったような気がするが、きっと気のせいだろう。
【C-3/みまつや/深夜】
【
クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:イリヤ、美遊との合流の為、柳洞寺に向かう。
2:しんのすけ、ゆまととりあえず一緒に行動する
3:本当にアメリカ大統領の息子が居るのかしら?
※参戦時期は少なくともイリヤとの和解以降。
【
野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:風間くんとマサオくんを探す。
2:クロちゃん、ゆまちゃんに着いていくゾ。
3:ゆまちゃん、もえPみたいでかっこいいゾ
4:セリムくん……。
※セリムをアメリカ大統領の息子だと思っています。
【千歳ゆま@魔法少女まどか☆マギカシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:キョーコのところに帰る
1:クロ、しんのすけと一緒に行動する
※本編2巻終了後からの参戦です
最終更新:2014年03月12日 08:54