マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
89 名無しさん@ピンキー 2008/08/04(月) 23:55:56 ID:TZ81m9KI
カプはアルト×シェリル

夢で見た記念にそのまま書き上げて初投下します。
バレスレ(19話放映時点)の内容がかなり影響しているので、嫌な方はスルーしてください。


90:甘き棘を抜くは誰そ:2008/08/04(月) 23:57:13 ID: TZ81m9KI (7)
辺りは夕闇に包まれていた。つい先ほどまで耳障りに感じていた人々の喧騒も
かき消されたように無くなり、欲していたはずの静けさが逆にシェリルの不安を
大きなものにしていく。
視線を巡らせても待ち人の姿を見つけることが出来ず、だるい身体を折りたたむように
俯いてふっとため息をついた。
「約束、したわけじゃないのにね……」
自分の居場所を言って、一方的に切った電話。疑問と苛立ちが入り混じった制止の声が
途切れた。彼はきっと怒っているだろう。
「こんな時にまで、なんで素直になれないんだろ?」
抱きしめて欲しい、なんて言うのは簡単なはずなのに、言葉にできない。
それでも受け止めてもらえなければ身も心もバラバラに砕けそうで、シェリルは
震える手で自分の身体を抱きしめた。

「私、もうダメかも……」
唐突にケータイから聞こえてきた、普段の彼女からは想像もつかないようなか細い声に
アルトは混乱した。
「はぁ? お前、何言ってるんだ?」
つまらない冗談は止せ、といつもの悪戯として片付けたかったのだが、流れる沈黙の中に
押し殺した感情が感じ取れて彼は急ぎ言葉を続ける。
「何かあったのか? 今どこにいる?」
しばらく間を置いてから、ポツリと答えるシェリルの声は震えていた。
泣いているのだろうか?
「とにかくそこで待ってろ、すぐ――」
耳にはツー、ツー、と通話が途切れたことを示す電子音が聞こえ、アルトは舌打ちする。
「クソッ! なんだってんだ、いったい!! 」
悪態をつきながら、しかし彼は素早く上着を引っつかむと足早に部屋を後にした。

ふと見上げると、そこには無数の星が煌いていた。さっきまでのプログラムされた空では
なく、本物の宇宙。シェリルは手を伸ばしてその一つを掴む真似をする。
「小さい頃も、よくやってたっけ」
孤児の自分に向けられる冷ややかな視線。けれどもうなだれまいと必死に上を向いて
いつか掴んでやるのだと宇宙に向けて手を広げていた。
そして、努力して努力して努力して、自分の力で一番輝く宝石を掴み取った。
人々は幸運と呼んだけど、実力で勝ち取ったのだと誇らしく思っていた。
そう信じていた。けれど……。
手の中にあったのは、他人が用意したイミテーションだった。
眩しいくらいに輝いていたそれは、もはや色を失い、地に落ちる。
「会いたい……」
消え入りそうなシェリルのつぶやきに被さるようにして、彼女の名を呼ぶ声が
聞こえた。



ようやく探し人の姿を見つけて、アルトは声を掛けようと前に進み出た。
が、その足が止まる。
空に手を伸ばす彼女は、泣いてなどいなかった。
しかし、このまま闇に紛れて消えてしまうのではと思えるほどに儚げで、
彼の心は少なからず波打った。それを静めようと一つ大きく息を吐く。
「シェリル!」
いつものように少し苛立ったぶっきらぼうな調子で名を呼ぶと、彼女はこちらを向いた。
「遅いわよ、アルト」
弱弱しい作り笑顔だったが、いつもの高飛車なその物言いにアルトはほっとした。
このままいつもの軽口を叩き合うものだと思っていた。
だから、彼女の口から出た次の言葉は、アルトをひどく動揺させた。
「私、もう歌うのやめる。……歌わないわ」
意味を理解できないでいるままに、シェリルは彼の胸に飛び込んでくる。
言葉を見つけられず、震える彼女を抱きとめてやるしかできなかった。
「もう、歌わないの」アルトの腕の中で、シェリルはか細い声で繰り返した。

歌わない、と告げた時の、彼の表情が棘となってシェリルの心に刺さる。
そう、私だって自分の言葉に驚いてる。私が歌わないなんて。
だからお互いの顔が見えないように、シェリルは彼の胸にしがみついた。
「お前……。『歌わずにはいられない』って、言ってたじゃないか」
そうね、私の身体からはいつだって歌があふれていた。
歌うことが全てだった。歌うことで私は、シェリル・ノームでいられた。
その私から歌を取り上げたら、そしたら私は――。
「私は、何なのかしら?」
グレイスの“あなたはもう用済みなの、元銀河の妖精さん”という言葉が
耳の奥でこだまする。
頬を伝う涙に押されて、様々な感情が堰を切ったように流れ出しシェリルは叫んだ。
「私は、何なの!!」
不意に背中に回された腕の力が強まって、シェリルは顔をあげる。
そこには優しくまっすぐな瞳で自分を見つめるアルトの顔があった。
「お前は、お前だろ? シェリル」

何があったのか、とは聞けなかった。
それほどまでに、初めて見る彼女の泣く姿は衝撃的だった。
普段の気丈な彼女からは想像もできなかった、消え入りそうな声と震える肩。
搾り出すような「私は何?」という言葉に、アルトは胸の内から湧き上がる感情を
そのままに、シェリルを抱く腕に力を込めた。
「お前は、お前だろ? シェリル」
涙を湛えたまま見上げる瞳に優しく笑いかけながらアルトは続ける。
「自信家で、プライドが高くて、世間知らずで、わがままで――」
「なっ?」
「けど、プロ意識は尊敬する程で、稀にではあるが真理をついたことを言う」
「……稀に、は余計じゃない?」
「出会ってからそんなに長い時間は経ってないが、オレの観察眼はいいトコついてる
と思うぜ」
頭にポンと手を乗せると、シェリルは安心したように少しだけ笑った。
「それがオレの見てきたシェリルで、そしてオレは――」
そうだ、オレはずっとそんなお前のことを……。
次の言葉を告げようとしたアルトの腕の中が、ふと軽くなった。
「って、おい! シェリル!!」



気を失ったシェリルを、アルトは苦心してSMSに運び込んだ。
ミシェルに第2の“女を連れ込む裏技”とやらを無理やり聞かされて迷惑していたが
覚えておいて本当によかったと思う。ふと思い出して、ドアにハンカチを挟んだ。
ベッドを覗き込むと、熱が上がったのか額に汗が粒となって浮かんでいる。
濡れたタオルで拭いてやると、アルトはふうと息をついて壁にもたれかかった。
――体調は回復していない。そして先程の尋常じゃない様子は……。何が起こっている?
ギャラクシー、そしてフォールドクォーツ。シェリルにも何か……。
「……んっ」
ベッドから掠れた声と身じろぎする音が聞こえて、アルトは思考を中断しガードに手を掛けた。
「気がついたか?」
「ここ、は……?」
未だ朦朧とした様子で、シェリルは尋ねる。身を起こそうとするのを制止したが
大丈夫だと聞かないので、アルトはその背中に手を添えた。
「オレの部屋だ。ったく、これで2度目だぞ」
「そっか。前にも、こんなことあったわね」
「前にも、って。あのなぁ、あれからまだ数日しか経ってないんだぜ」
呆れ顔のアルトに、ゴメンとシェリルは胸の前で手を合わせた。
「運び込むのにどれだけ苦労したか……。しかも大事なこと言う寸前に倒れられるし」
「大事なこと?」
お前はお前だ、と笑顔を向けてくれたアルトに安心して、張り詰めてた心が緩んで。
その後、何か言ってくれたような気がする。とても聞きたかった、言葉。
はっとした表情のシェリルに、拗ねた顔をしながら、まぁ今更誤魔化すのもカッコ悪いし
とアルトは照れたように視線を逸らす。
「前に、『心配するのはどうして?』って、お前聞いたよな?」
「……うん」
“当然だろ?”という言葉が嬉しかった。そんなこと、初めて言われたから。
「あの時は、どう答えていいのか分からなかったけど、今は……」
だから、もっと欲しかった。答えを聞きたかった。だけど。
「はっきり自覚した。オレは、お前のこと――」
「言わないで」
シェリルは人差し指をアルトの唇に押し当て、頭を振った。
「っなん!?」
「嬉しい。ほんとはすごく聞きたい。でもダメ。今聞いたらフェアじゃない」
告白を2度も遮られ、怒りがフツフツと込み上げたアルトだったが、シェリルの言葉に
思わず苦笑いをした。
「お前って、ほんっっっとうに意地っ張りだな」
「そうね。自分でも呆れるくらい。だけど、これも“私”なのよね」
二人はしばらくお互いを睨むように見つめていたが、やがてクスクスと笑い出した。
「ありがと、アルト。……わがままついでに一つお願いがあるんだけど」
「なんだよ?」
シェリルはすっと真顔に戻り、アルトの首に腕を絡める。
「抱いて」
驚きのあまり硬直するアルトに口付けし、シェリルはそのままベッドに引き倒した。



過去の触れるだけのものとは違う、舌を差し入れ絡ませる濃密なキスに
アルトは狼狽し、呼吸するのを忘れていた。しばらくされるがままになっていたが
息苦しさで我に返り、慌てて力任せに身体を引き剥がす。
「お、おまっ!! 何考えて――」
抗議の声を止めたのは、困惑の色が滲んだシェリルの懇願する瞳だった。
――こうなることを望んでいないわけじゃない。欲望だって、人並みにある。
けれど、今こうするのは、まるで弱みに付け込んでいるようで……。
行動を決めかねているアルトを見透かしたように、シェリルは彼の胸に手を添えて
コクリと頷いた。そして静かに瞼を閉じる。
彼女は本当は、もっと別のものを求めているんだろう、とアルトは理解した。
けれどそれが何かは本人にも分かっていないし、恐らく自分にも与えられるものじゃない。
代価行為に縋ろうとしている自分たちをもどかしく思いつつも、こんな未熟さだって
必要なことなのかもしれない、と思った。
額にかかるピンクがかったブロンドの髪を掻きあげると、シェリルは瞼を薄く開いて
不安そうに揺れる瞳を覗かせた。彼女を安心させようと、アルトは自然にゆっくりと
唇を重ねていた。
はじめは啄ばむように、けれども次第に深く熱を帯びてくる。挑発的に絡む舌の動きに
煽られて、アルトはワンピースの裾がかかる膝あたりに右手を差し入れ、身体のラインに
沿って捲り上げた。露になった太ももの感触を愛でつつ、合わさった唇を離して
のけぞった白い首を吸うと、シェリルは「……ぁ」と息を漏らす。
左手で背中のファスナーを下げ、ホックを外し、一気に脱がすと、滑らかな象牙色の肌が
目に眩しく映った。その美しさに見惚れていると、シェリルの腕が隠すように胸元の上で
クロスした。
「あんまり、ジロジロ見ないでよ」
頬を赤く染めながら、シェリルは恥ずかしそうに視線を逸らす。この部屋の照明はONか
OFFしかなく、彼女の身体は煌々と光に照らされていた。
いまさら、と笑いながらアルトはシャツを器用に脱いで、肌を合わせる。
「人の肌って、すごく……気持ちがいいのね」
身体のあちこちに触れる唇や細く長い指に敏感に反応しながら、シェリルは囁くように
言った。時々沸き起こる眩暈にも似た快感に身を震わせつつ、彼女は己の欲を解放する。
――もっと、もっと感じたい。グチャグチャに貪りあって、ドロドロに溶けて……。
アルトが入ってくる痛みをも歓喜に変えて、シェリルは背中に回した手に力を込めた。
――そうして、また生まれたい。あなたの腕の中で、新しい私に。
身体を揺らすリズムに合わせて彼女は高らかに声をあげた。
「っあ、は……、アル…ト、もっとギュって、抱きしめて」
シェリルの言葉にアルトは優しくキスを落として、隙間がなくなるようにお互いの身体を
密着させる。そしてそのまま二人は上りつめて、やがて絶頂を迎えた。



恍惚に浸りながらも事後の気恥ずかしさを覚えて、シェリルはシーツを手繰り寄せ
反対側に身体の向きを変える。
アルトはまだ荒い息を整えつつ、そんな彼女を背後から包み込んだ。
すると、アルト、とシェリルはクルリと向き直って声を掛ける。そして彼の胸に
顔を埋めて頬を摺り寄せた。
「私、納得できないステージには上がらないわ。だから、もう歌わない」
何も言わずに待ってくれるアルトに微笑んで、だけど、と言葉を続ける。
「いつか、もう一度、歌おうと思えたら……。うん、きっと思えるから、その時は」
あなたに聴いてもらいたい。一番に。あなただけに、届けたい。
「そしたら、聞かせてね。今日聞けなかったあなたの言葉」
ねだるような上目遣いの視線に赤面するも、アルトはすぐさま意地悪そうに片方の唇の
端を持ち上げて目を細めた。
「さあ、どーだかな。それまでに心変わりしないという保障はないね」
「それはないわね。だって私はシェリルだもの」
そう断言すると、シェリルは優雅に笑って目の前のしかめっ面にキスをした。

〈了〉

以上です。

自分が19話を見ている夢を見たわけですが。そのまま文章にするのって
難しいですね。
それでは、失礼しました。
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