171 名無しさん@ピンキー sage 2008/08/19(火) 17:28:34 ID:UlgCzGbo
アルト×シェリルで投下。
前スレ2-330の続編
Tシャツにデニム、大きめのサングラス、気楽な観光客スタイルのシェリルは、強烈な日差しの下、石畳の大通に出た。
直射日光で何もかもが押しつぶされそうに漂白された景色の中、人の気配はない。
千年の歴史を閲(けみ)した遺跡のただ中で、シェリルは周囲を見渡した。
路面から立ち上る陽炎の揺らめき。
揺らめきの狭間から、しなやかなシルエットが現れる。南アジア風の丈の短いタイトなシャツと、巻きスカート。頭からヴェールを被いている。手首と足首を飾るのは黄金の環。
ヴェールの間からのぞく切れ長の目。緑の瞳が、シェリルの青い瞳と重なる。
次の瞬間、異国の姫君は裳裾を翻した。
思わず追いかけるシェリル。
迷路に似て、入り組んだ路地を通る。
向こうの角にチラリと見えた裾を追う。
壁に響く、装身具につけられた鈴の音がシェリルを導く。
追っては姿を見失う。見失っては、姿を見せて誘う。
姫君は走っているように見えないのに、追いつけそうで追いつけない。
焦らされ、導かれてたどり着いたのは、人工池の中心に設えられた舞台。
そこに立つ姫君はヴェールを外した。美しく整った顔立ちが現れる。艶やかな朱唇には微笑みをたたえていた。
シェリルは、いつの間にか舞台に立ち、美姫の舞に合わせて歌いだす。
Samsara Junction
命と時の円環が
この瞬間に重なる
つないだこの手は
遥かな過去に抱きしめてくれた手
Samsara Junction
時間に追われたウサギ
螺旋を駆け上ってゆけば
まだ見ぬ未来に結ばれる
永遠がこの一瞬に
スタッフの声がセットに響き渡る。
「これで、シェリル・ノームさんの出演シーン、撮影終了です。お疲れ様でした」
参加スタッフたちの拍手の中で、シェリルは手を挙げて応えた。
ビデオ・クリップの制作は、この後いくつかの短いシーンを撮影し、編集の工程へと引き継がれる。
「お疲れ様、アルト」
シェリルは美姫姿のアルトの首に腕をまわして、頬にキスした。
「ああ、シェリルもお疲れ……お前、本当にこのスタイルが気に入ったんだな」
「そうよ。いっぱいインスピレーションをもらったもの」
このビデオのイメージは、ジョージ山森監督の実験的な短編映画『廃都』と、主演したアルトの女装に多大な影響を受けている。
アルトとシェリルはセットから楽屋へと向った。
「ねえ、アルト、ちょっと確かめたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「メイク落とす前に……こっち」
シェリルは機材を保管しておく倉庫にアルトを連れ込んだ。人の気配は無い。
「キスした時に気づいたんだけど」
シェリルの手がアルトの胸をまさぐった。
「おいっ」
驚いてたしなめようとするアルト。
「やっぱり、バストを作ってあるのね」
「監督の指示で、衣裳がタイトだからシルエットを整えるために……いつまで触ってるんだよ」
「やだ、すごいリアルな手触り……乳首まで作ってあるのね」
シェリルは人差し指と親指でつまんだ。
「お前なぁ」
「アルト、顔が赤くなってる…ヘンな気持になってきた?」
そう言うシェリルの頬も染まっている。
「バカ。いつまで触ってるんだよ」
「胸がこう、ってことは」
シェリルの手がアルトの胸から、腰へと回った。
「あー、やっぱりこっちもパッドが入ってる。しかも、何、このムニムニ感。やだ、気持ちいい」
二人は胸を合わせて抱き合う姿勢になっていた。
アルトも手を伸ばしてデニムに包まれたシェリルの尻を鷲掴みにした。
「あ……ダメ」
わずかに抗う素振りを見せたシェリルの唇をキスで塞いで、弾力のある丸みを揉む。
キスをやめると、唇が触れ合いそうな距離でシェリルが囁いた。
「ん、アルトったら…」
反応しているアルトの体に、自分の体を押し付けるシェリル。
「続きは……帰ってから、な」
アルトは名残を惜しみながら、体を離した。
帰宅してから、シェリルはビデオクリップ撮影でアルトが着けていたのに近い長さの巻きスカートを探して身に着けてみた。
大きな姿見の前で歩いてみては首をひねっている。
「こうかしら? 違うわ」
「どうした?」
振り返ると、白いシャツとブルージーンズの寛いだ服装に着替えたアルトが、アイスティーを入れたグラスを二つ手に持っている。
「撮影の時、アルトが滑るように歩いていたでしょう? あの動きを真似してみたの」
「なんば歩きか」
アルトは、グラスをひとつシェリルに手渡す。
「やっぱり歌舞伎の動き? どうやるの?」
シェリルはソファに座ると、アイスティーを一口飲んだ。
「そうだな」
アルトはグラスをテーブルに置くと、シェリルの向って右の位置から、左へ向けて歩いた。
「これが普通の歩き方。なんば歩きだと…」
今度は左から右へ。歩幅が短くなり、足の裏全体で同時に接地する。左足と一緒に左手が出て、右足と一緒に右手が出る。
「ああ、そう、そうね。早そうに見えないのに、すごく早く動いていたわ。ニンジャみたい」
「昔の日本人は、この歩き方だったんだ。歌舞伎だけじゃなくて、日常の動作とか、武道もそう。和服だと、この歩き方の方が裾がさばけて素早く動けるし、エネルギー効率も良いから長く歩いても疲れない」
「それで、アルトが和服着てても、着崩れしにくいのね」
シェリルは去年の夏祭りを思い出した。アルトに見立ててもらった浴衣を着たのだが、30分毎にアルトが裾と襟を直してもらった。
「練習しなくちゃ」
シェリルはグラスを置いて立ち上がると、姿見に向かってアルトの動きを真似した。
「手の動きはあんまり気にしなくていいぞ。それより、体をねじらない様に……そう」
後ろから動きを見守るアルト。
「でも、なんで練習するんだ?」
シェリルは裾を翻して振り返った。
「だって、和服着るなら、エレガントに着こなしたいじゃない」
「努力家だな」
「あら、アルト、知らなかった?」
シェリルが微笑んだ。
「知ってた」
「…もう、歌舞伎の御曹司なんか好きになるんじゃなかった」
「後悔しているのか?」
「ええ」
シェリルの肯定に、アルトは鼻白む。その表情を確かめてから、シェリルは付け加えた。
「もっと早く出会ってたら良かったのに」
「からかうなよ」
アルトはソファに座って、シェリルの動きを眺めていた。
小一時間ほど練習して、シェリルは一息ついた。
ソファに座ったシェリルに、アルトは入れなおしたアイスティーを渡す。
「はぁ…普段、使わない筋肉を使うのって疲れるわね」
シェリルは冷えた紅茶を喉を鳴らして飲んだ。
「次は、和服を着て練習してみるか?」
「そうね、そうしようかしら」
グラスをテーブルに戻すと、シェリルはアルトの膝をまたいで座った。アルトの両頬を掌で挟むと、唇を合わせる。
「ん」
アルトの腕がシェリルの背中に回り、ぐっと抱き寄せる。
シェリルはわずかに唇を離すと、舌先でアルトの唇を舐めた。そしてもう一度唇を合わせる。するりと滑りこませた舌は、アルトの歯並びを数え、歯と歯茎の境目の敏感な部分を愛撫する。
「んぅ……」
触れ合っているところから、アルトの体が反応しているのを感じ取る。顔の角度を変えて、さらに深く口づける。舌を絡め、アルトの舌の裏を舐めた。
アルトが猛然と舌を突き入れてくると、口腔へ迎え入れ、唇で締め付け吸う。
「んーっ」
アルトの手が、巻きスカートのスリットから入り込むと、ショーツの上から尻を揉んだ。
「あっ……スタジオの続き?」
シェリルが囁くと、アルトはぐいっと指を尻たぶに食い込ませた。そこから手を放し、シェリルを膝の上で反対に向かせた。アルトの唇が首筋に押し付けられる。両手がシェリルのTシャツの下に滑り込み、ブラジャーをずらして乳房を掌に収めた。
「ああ……」
シェリルは正面に置いた姿見に、自分たちの様子が映っているのを見た。
アルトの手が動くたびに、唇から甘い声が漏れる。掌で胸をこねまわされ、人差指と中指で乳首が抓まれる。
「んぁっ…あっ…あっ」
思わず目を閉じて、短く高い声をあげてしまう。
うっすらと目を開けると、鏡の中のアルトがシェリルの目を真っ直ぐに見ていた。
そして、見せつけるように大きな動きで胸を揉む。Tシャツの下で動く手と、それに合わせて歪む乳房が、体を熱くし、頭の中を白く蕩けさせてゆく。
「アルト……」
肩越しに手をまわしてアルトの頭を引き寄せる。振り向いて、アルトとキスした。夢中で舌を絡めあう。
アルトの左手は胸を愛撫し続け、右手が滑り下りてスカートの下でショーツを脱がせた。シェリルの長い脚に沿って丸まったショーツが滑り落ち、指先が足の間をまさぐる。
「アル…ト……ダメ……したら…っ」
繊細にして力強い指先は、スリットの形をなぞるように上下に愛撫した。既に濡れ初めていたそこは花開き、指先を湿らせた。指先が蜜をすくい取り、まだ包皮にくるまれたままの過敏な芽を滑らかに刺激した。
「んーっ……」
シェリルはアルトの腕の中で背中を反らせ、足をピンと伸ばした。
「ア……アルト……」
シェリルは骨まで軟らかくなったように体をしならせ、アルトの膝の上で向きを変えた。
「シェリル」
アルトは抱きよせ、唇を合わせる。
シェリルの唇はアルトの唇から頬へ、顎の下へと滑る。シャツ前を開け、現れた胸板に唇を押しつけた。滑らかな肌に舌が濡れた軌跡を残す。
膝から滑り降りて、ソファの上でひざまずいた。ジーンズの前を開け下着ごと押し下げると、猛っている男性器が跳ね上がった。
シェリルは横目でアルトを見上げながら、唇を開いて欲望を咥える。
熱い溜息がシェリルの髪に降ってきた。
どうやったらアルトが喜ぶか、十分に知っている。舌で刺激し、高ぶると唇で締め付けて顔を動かす。
口腔に溢れる唾液と先走りを飲み下しながら、愛撫に集中する。
アルトの手が伸びて、シェリルの濡れた場所に指を挿入した。滴るほどに熱くなった中を刺激する。
「むーぅんっ……」
アルトを咥えたまま呻いた。
指が生み出す快楽に、一瞬気が遠くなりそうになったが、再び唇での愛撫に集中する。指で袋を揉みながら、舌先で先端にある切れ込みをこじる。
互いに与える快感は急激な上昇曲線を描く。
先にアルトが弾けた。
シェリルは口腔内で溢れる青臭い体液を舌の裏で受け止め啜る。脈打ちが収まるまで、口唇での奉仕を続けた。
「来て…」
ゆったりしたソファの上でアルトに組み敷かれたシェリルは、体を開いてみせた。
無言で侵入してくるアルト。
「ああっ……」
受け止めて体をうねらせる。
技巧も何もなく、シェリルを求める動きにスプリングがかすかに軋む。
アルトの腰に足をからめて、もっと深く受け入れようとした。荒々しく不規則な動きが、シェリルを突き上げる。
次第に動きはリズミカルになり、アルトの切羽詰まった息遣いを感じながら上り詰めた。
「ああっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ」
荒い呼吸は、どちらのものともわからないほど混ざり合っていた。
やがて息が整ってくると、手足を絡め合うように抱き合いながら唇を合わせた。
「シェリル」
アルトは囁くと、一つになったまま体を入れ替えた。
「うん……」
どこかあどけない表情で、シェリルは体を起こした。中心に収めたアルトが、まだ固いままなのを感じて幸せそうに眼を細める。
ゆるやかに体を揺らした。
つながっている場所から、じんわりと快さが広がる。
アルトの手がくびれた腰から胸へと愛撫する。
「何が見える?」
アルトの視線が姿見の方を向いた。
シェリルもそちらを見る。
「アルトの上に乗ってる私が見える……ああ…わ」
「綺麗だ」
アルトの掌が下から乳房を絞り上げるように揉む。人差し指がツンと尖った乳首を愛撫し、豊かな乳房に埋め込むように押した。指が離れると、桜色の乳首が再び尖る。
「愛されているから……んっ…よ。アルトに…ぃ」
シェリルは上体をかがめて、アルトの口元に右の乳首を差し出した。
アルトは頭を持ち上げて乳首を唇に含む。
伝わってくる鋭い快感と一緒に、微笑ましい気分がこみあげてくる。
「んくっ……大きな赤ちゃんみたい」
アルトがきつく吸って、シェリルに声を上げさせた。下から力強い突き上げが襲ってくる。
シェリルはアルトの胸に顔を伏せて、上下の動きを受け止めた。
ひっきりなしに声が出る。
「おおっ」
アルトの太い溜息とともに体の奥に迸りを浴びる。
意識が溶けてゆき、手足から力が失われた。
<終>
アルト×シェリルで投下。
前スレ2-330の続編
Tシャツにデニム、大きめのサングラス、気楽な観光客スタイルのシェリルは、強烈な日差しの下、石畳の大通に出た。
直射日光で何もかもが押しつぶされそうに漂白された景色の中、人の気配はない。
千年の歴史を閲(けみ)した遺跡のただ中で、シェリルは周囲を見渡した。
路面から立ち上る陽炎の揺らめき。
揺らめきの狭間から、しなやかなシルエットが現れる。南アジア風の丈の短いタイトなシャツと、巻きスカート。頭からヴェールを被いている。手首と足首を飾るのは黄金の環。
ヴェールの間からのぞく切れ長の目。緑の瞳が、シェリルの青い瞳と重なる。
次の瞬間、異国の姫君は裳裾を翻した。
思わず追いかけるシェリル。
迷路に似て、入り組んだ路地を通る。
向こうの角にチラリと見えた裾を追う。
壁に響く、装身具につけられた鈴の音がシェリルを導く。
追っては姿を見失う。見失っては、姿を見せて誘う。
姫君は走っているように見えないのに、追いつけそうで追いつけない。
焦らされ、導かれてたどり着いたのは、人工池の中心に設えられた舞台。
そこに立つ姫君はヴェールを外した。美しく整った顔立ちが現れる。艶やかな朱唇には微笑みをたたえていた。
シェリルは、いつの間にか舞台に立ち、美姫の舞に合わせて歌いだす。
Samsara Junction
命と時の円環が
この瞬間に重なる
つないだこの手は
遥かな過去に抱きしめてくれた手
Samsara Junction
時間に追われたウサギ
螺旋を駆け上ってゆけば
まだ見ぬ未来に結ばれる
永遠がこの一瞬に
スタッフの声がセットに響き渡る。
「これで、シェリル・ノームさんの出演シーン、撮影終了です。お疲れ様でした」
参加スタッフたちの拍手の中で、シェリルは手を挙げて応えた。
ビデオ・クリップの制作は、この後いくつかの短いシーンを撮影し、編集の工程へと引き継がれる。
「お疲れ様、アルト」
シェリルは美姫姿のアルトの首に腕をまわして、頬にキスした。
「ああ、シェリルもお疲れ……お前、本当にこのスタイルが気に入ったんだな」
「そうよ。いっぱいインスピレーションをもらったもの」
このビデオのイメージは、ジョージ山森監督の実験的な短編映画『廃都』と、主演したアルトの女装に多大な影響を受けている。
アルトとシェリルはセットから楽屋へと向った。
「ねえ、アルト、ちょっと確かめたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「メイク落とす前に……こっち」
シェリルは機材を保管しておく倉庫にアルトを連れ込んだ。人の気配は無い。
「キスした時に気づいたんだけど」
シェリルの手がアルトの胸をまさぐった。
「おいっ」
驚いてたしなめようとするアルト。
「やっぱり、バストを作ってあるのね」
「監督の指示で、衣裳がタイトだからシルエットを整えるために……いつまで触ってるんだよ」
「やだ、すごいリアルな手触り……乳首まで作ってあるのね」
シェリルは人差し指と親指でつまんだ。
「お前なぁ」
「アルト、顔が赤くなってる…ヘンな気持になってきた?」
そう言うシェリルの頬も染まっている。
「バカ。いつまで触ってるんだよ」
「胸がこう、ってことは」
シェリルの手がアルトの胸から、腰へと回った。
「あー、やっぱりこっちもパッドが入ってる。しかも、何、このムニムニ感。やだ、気持ちいい」
二人は胸を合わせて抱き合う姿勢になっていた。
アルトも手を伸ばしてデニムに包まれたシェリルの尻を鷲掴みにした。
「あ……ダメ」
わずかに抗う素振りを見せたシェリルの唇をキスで塞いで、弾力のある丸みを揉む。
キスをやめると、唇が触れ合いそうな距離でシェリルが囁いた。
「ん、アルトったら…」
反応しているアルトの体に、自分の体を押し付けるシェリル。
「続きは……帰ってから、な」
アルトは名残を惜しみながら、体を離した。
帰宅してから、シェリルはビデオクリップ撮影でアルトが着けていたのに近い長さの巻きスカートを探して身に着けてみた。
大きな姿見の前で歩いてみては首をひねっている。
「こうかしら? 違うわ」
「どうした?」
振り返ると、白いシャツとブルージーンズの寛いだ服装に着替えたアルトが、アイスティーを入れたグラスを二つ手に持っている。
「撮影の時、アルトが滑るように歩いていたでしょう? あの動きを真似してみたの」
「なんば歩きか」
アルトは、グラスをひとつシェリルに手渡す。
「やっぱり歌舞伎の動き? どうやるの?」
シェリルはソファに座ると、アイスティーを一口飲んだ。
「そうだな」
アルトはグラスをテーブルに置くと、シェリルの向って右の位置から、左へ向けて歩いた。
「これが普通の歩き方。なんば歩きだと…」
今度は左から右へ。歩幅が短くなり、足の裏全体で同時に接地する。左足と一緒に左手が出て、右足と一緒に右手が出る。
「ああ、そう、そうね。早そうに見えないのに、すごく早く動いていたわ。ニンジャみたい」
「昔の日本人は、この歩き方だったんだ。歌舞伎だけじゃなくて、日常の動作とか、武道もそう。和服だと、この歩き方の方が裾がさばけて素早く動けるし、エネルギー効率も良いから長く歩いても疲れない」
「それで、アルトが和服着てても、着崩れしにくいのね」
シェリルは去年の夏祭りを思い出した。アルトに見立ててもらった浴衣を着たのだが、30分毎にアルトが裾と襟を直してもらった。
「練習しなくちゃ」
シェリルはグラスを置いて立ち上がると、姿見に向かってアルトの動きを真似した。
「手の動きはあんまり気にしなくていいぞ。それより、体をねじらない様に……そう」
後ろから動きを見守るアルト。
「でも、なんで練習するんだ?」
シェリルは裾を翻して振り返った。
「だって、和服着るなら、エレガントに着こなしたいじゃない」
「努力家だな」
「あら、アルト、知らなかった?」
シェリルが微笑んだ。
「知ってた」
「…もう、歌舞伎の御曹司なんか好きになるんじゃなかった」
「後悔しているのか?」
「ええ」
シェリルの肯定に、アルトは鼻白む。その表情を確かめてから、シェリルは付け加えた。
「もっと早く出会ってたら良かったのに」
「からかうなよ」
アルトはソファに座って、シェリルの動きを眺めていた。
小一時間ほど練習して、シェリルは一息ついた。
ソファに座ったシェリルに、アルトは入れなおしたアイスティーを渡す。
「はぁ…普段、使わない筋肉を使うのって疲れるわね」
シェリルは冷えた紅茶を喉を鳴らして飲んだ。
「次は、和服を着て練習してみるか?」
「そうね、そうしようかしら」
グラスをテーブルに戻すと、シェリルはアルトの膝をまたいで座った。アルトの両頬を掌で挟むと、唇を合わせる。
「ん」
アルトの腕がシェリルの背中に回り、ぐっと抱き寄せる。
シェリルはわずかに唇を離すと、舌先でアルトの唇を舐めた。そしてもう一度唇を合わせる。するりと滑りこませた舌は、アルトの歯並びを数え、歯と歯茎の境目の敏感な部分を愛撫する。
「んぅ……」
触れ合っているところから、アルトの体が反応しているのを感じ取る。顔の角度を変えて、さらに深く口づける。舌を絡め、アルトの舌の裏を舐めた。
アルトが猛然と舌を突き入れてくると、口腔へ迎え入れ、唇で締め付け吸う。
「んーっ」
アルトの手が、巻きスカートのスリットから入り込むと、ショーツの上から尻を揉んだ。
「あっ……スタジオの続き?」
シェリルが囁くと、アルトはぐいっと指を尻たぶに食い込ませた。そこから手を放し、シェリルを膝の上で反対に向かせた。アルトの唇が首筋に押し付けられる。両手がシェリルのTシャツの下に滑り込み、ブラジャーをずらして乳房を掌に収めた。
「ああ……」
シェリルは正面に置いた姿見に、自分たちの様子が映っているのを見た。
アルトの手が動くたびに、唇から甘い声が漏れる。掌で胸をこねまわされ、人差指と中指で乳首が抓まれる。
「んぁっ…あっ…あっ」
思わず目を閉じて、短く高い声をあげてしまう。
うっすらと目を開けると、鏡の中のアルトがシェリルの目を真っ直ぐに見ていた。
そして、見せつけるように大きな動きで胸を揉む。Tシャツの下で動く手と、それに合わせて歪む乳房が、体を熱くし、頭の中を白く蕩けさせてゆく。
「アルト……」
肩越しに手をまわしてアルトの頭を引き寄せる。振り向いて、アルトとキスした。夢中で舌を絡めあう。
アルトの左手は胸を愛撫し続け、右手が滑り下りてスカートの下でショーツを脱がせた。シェリルの長い脚に沿って丸まったショーツが滑り落ち、指先が足の間をまさぐる。
「アル…ト……ダメ……したら…っ」
繊細にして力強い指先は、スリットの形をなぞるように上下に愛撫した。既に濡れ初めていたそこは花開き、指先を湿らせた。指先が蜜をすくい取り、まだ包皮にくるまれたままの過敏な芽を滑らかに刺激した。
「んーっ……」
シェリルはアルトの腕の中で背中を反らせ、足をピンと伸ばした。
「ア……アルト……」
シェリルは骨まで軟らかくなったように体をしならせ、アルトの膝の上で向きを変えた。
「シェリル」
アルトは抱きよせ、唇を合わせる。
シェリルの唇はアルトの唇から頬へ、顎の下へと滑る。シャツ前を開け、現れた胸板に唇を押しつけた。滑らかな肌に舌が濡れた軌跡を残す。
膝から滑り降りて、ソファの上でひざまずいた。ジーンズの前を開け下着ごと押し下げると、猛っている男性器が跳ね上がった。
シェリルは横目でアルトを見上げながら、唇を開いて欲望を咥える。
熱い溜息がシェリルの髪に降ってきた。
どうやったらアルトが喜ぶか、十分に知っている。舌で刺激し、高ぶると唇で締め付けて顔を動かす。
口腔に溢れる唾液と先走りを飲み下しながら、愛撫に集中する。
アルトの手が伸びて、シェリルの濡れた場所に指を挿入した。滴るほどに熱くなった中を刺激する。
「むーぅんっ……」
アルトを咥えたまま呻いた。
指が生み出す快楽に、一瞬気が遠くなりそうになったが、再び唇での愛撫に集中する。指で袋を揉みながら、舌先で先端にある切れ込みをこじる。
互いに与える快感は急激な上昇曲線を描く。
先にアルトが弾けた。
シェリルは口腔内で溢れる青臭い体液を舌の裏で受け止め啜る。脈打ちが収まるまで、口唇での奉仕を続けた。
「来て…」
ゆったりしたソファの上でアルトに組み敷かれたシェリルは、体を開いてみせた。
無言で侵入してくるアルト。
「ああっ……」
受け止めて体をうねらせる。
技巧も何もなく、シェリルを求める動きにスプリングがかすかに軋む。
アルトの腰に足をからめて、もっと深く受け入れようとした。荒々しく不規則な動きが、シェリルを突き上げる。
次第に動きはリズミカルになり、アルトの切羽詰まった息遣いを感じながら上り詰めた。
「ああっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ」
荒い呼吸は、どちらのものともわからないほど混ざり合っていた。
やがて息が整ってくると、手足を絡め合うように抱き合いながら唇を合わせた。
「シェリル」
アルトは囁くと、一つになったまま体を入れ替えた。
「うん……」
どこかあどけない表情で、シェリルは体を起こした。中心に収めたアルトが、まだ固いままなのを感じて幸せそうに眼を細める。
ゆるやかに体を揺らした。
つながっている場所から、じんわりと快さが広がる。
アルトの手がくびれた腰から胸へと愛撫する。
「何が見える?」
アルトの視線が姿見の方を向いた。
シェリルもそちらを見る。
「アルトの上に乗ってる私が見える……ああ…わ」
「綺麗だ」
アルトの掌が下から乳房を絞り上げるように揉む。人差し指がツンと尖った乳首を愛撫し、豊かな乳房に埋め込むように押した。指が離れると、桜色の乳首が再び尖る。
「愛されているから……んっ…よ。アルトに…ぃ」
シェリルは上体をかがめて、アルトの口元に右の乳首を差し出した。
アルトは頭を持ち上げて乳首を唇に含む。
伝わってくる鋭い快感と一緒に、微笑ましい気分がこみあげてくる。
「んくっ……大きな赤ちゃんみたい」
アルトがきつく吸って、シェリルに声を上げさせた。下から力強い突き上げが襲ってくる。
シェリルはアルトの胸に顔を伏せて、上下の動きを受け止めた。
ひっきりなしに声が出る。
「おおっ」
アルトの太い溜息とともに体の奥に迸りを浴びる。
意識が溶けてゆき、手足から力が失われた。
<終>