マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
291 名無しさん@ピンキー 2008/09/07(日) 00:53:11 ID:evZkAdzh
アルト×シェリルで投下
寸止めだけど、V型感染症のせいなんだー
とあさっての方向に叫ぶ


292 空虚の輪郭 2008/09/07(日) 00:54:33 ID:evZkAdzh

  アイランド1の環境平衡は破局へと徐々に、しかし確実に向かっていた。
    しかし、その中にあって早乙女邸がある緑豊かな地区は、別世界のような静謐さを保っていた。

    早乙女邸の離れで蒲団を並べて添い寝した時、アルトはシェリルに話をせがまれた。
  ちょうど、子供が眠る前におとぎ話をねだるように。
    「聞かせて」
    空色の瞳が部屋の明かりにきらめいた。
    「そうだな……」
    アルトは部屋の中を見回した。思いついて、天袋から小さいが重たい箱を取り出した。
    蓋をあけて、シェリルの目の前に広げる。
    「綺麗ね。カードゲーム?」
    「そう。小倉百人一首……古い日本の定型詩を使ったゲーム。
   字は崩してあるから読めないかもしれないが、絵だけでも楽しめるだろ?」
    「エキゾチック……」
    それは母・美代の嫁入り道具のひとつで、その当時随一と謳われた日本画家が原画を描いた美術品だった。
    「有名な歌人ばかりで、それぞれに物語がある」
    アルトは、シェリルが思いつくままに取り上げた絵札にまつわる話を語って聞かせた。
    平安時代のプレイボーイとして知られた在原業平。
    長編恋愛小説を書きあげた紫式部。
    恋の歌の出来栄えを競った平兼盛と壬生忠見。
    故郷から遠く離れた地で栄達を手にし、それでも故郷を懐かしんだ阿倍仲麻呂。
    生者でありながら死後の世界で死者の魂を裁いたと伝えられる小野篁。
    次に取り上げた札を見て、シェリルが言った。
    「ねえ、どうして、この札だけ顔を描いてないの?」
    「それは、小野小町。当時、いや日本の歴史上、最も美しい女性だったという伝説がある。
   だから、画家は遠慮して後姿を描くのさ」
    「へぇ、上手いこと考えたわね。見る人の想像力をかきたてるわ」
    シェリルはカードを顔の近くに持ってきて、しげしげと眺めた。
    「じゃあ、きっと恋にまつわるドラマがあるんでしょう?」
    アルトは頷いて「深草少将百夜通(ふかくさしょうしょうももがよい)」の説話を教えた。
    美貌にひかれて、あまたの求婚者が押し寄せる中、小町は断り続けた。
    求婚者たちの中でも特に熱心な深草少将に、百夜、私の元に通い続けたら求婚を受け入れましょうと申し出る。
    深草少将は、雨の夜も、雪の夜も通い続け、小町の元に訪れた証しの栢(かや)の実を置いた。
    しかし、九十九夜にして病に倒れ、ついに結ばれることはなかった。
    小町も生涯独身を通したと言う。
    「悲しいお話ね」
    「ああ、そうだな」
    シェリルは天井を見上げた。
    「その……コマチって言う人、きっと自分の美貌に自信が持てなかったのね」
    「その札に書いてある和歌も、花の色は移りゆく。自分の美しさもいずれは…という詩だしな」
    「そうなんだ。詩は判らないけど……そのプロポーズした人に100夜通ってこいって言ったんでしょう?」
    「うん」
    「自分の美貌に自信が持てなかったから、愛情や誠実さを回数で確かめないと納得できなかったのよ」
    「……その解釈は思いつかなかったな。でも、いいところを突いているかもしれない」
    シェリルは横臥してアルトを見た。
    「独創的かしら?」
    「ああ」
    アルトが頷くと、シェリルはにっこり笑った。


    翌々日の午前中、夜間の軍務から解放されたアルトは早乙女邸の離れに戻った。
    残された時間をできるだけシェリルと過ごすために。
    障子をそっと開けると、床が延べられていて、シェリルがあどけない寝顔を見せていた。
    枕元には百人一首の絵札が散らばっていた。
    寝付く間際に眺めていたのだろうか。
    アルトは物音をたてないように、シェリルの傍に座って寝顔を見た。
    (良かった、昨夜は苦しまなかったみたいだな)
    横臥したシェリルの手には、後ろを向いた女性の札が握られていた。小野小町だ。
    (気に入ったんだな)
    アルトは散らばった札を箱に片付けた。
    「う……ん…アル…ト?」
    シェリルが目元を手の甲でこすった。
    「悪い、起こしたか」
    「いいのよ」
    シェリルは上体を起こした。
    「おはよう、アルト」
    「おはよう」
    アルトはシェリルにキスした。シェリルもアルトの肩を抱いて応える。
    「……アルト」
    唇を離すと、シェリルは頬を染めてうつむいた。
    「あのね、お願いがあるの」
    「どうかしたのか?」
    「ううん、どうもないわ。でも、今のうちに…」
    シェリルは立ち上がると、アルトが開けた障子を閉めた。
    緑溢れる庭の眺めが遮られ、代わりに障子を通して入ってくる柔らかな光が部屋を満たした。
    「見て欲しい、今の私を……変わってしまう前に」
    シェリルの手が寝間着にしている浴衣の帯にかかった。
    「お、おい」
    白い肌の上を浴衣が滑り落ちる。
    「どう?」
    うつむいたシェリルの表情は流れる髪に隠れて見えなかったが、肌が羞恥に染まっている。
  自分の体を抱くように手を回していた。
    美を追求する者が求めて止まない曲線で形作られた肢体を、障子紙を透かしてきた散乱光が包み込んでいる
  さまは、夢のようだった。
    手を伸ばせば触れられる夢だ。
    アルトはため息とともに言葉を吐き出した。
    「……言葉に、できない」
    「ダメ、言って」
    シェリルは顔を上げた。頬が染まっていて、少し硬い笑いを浮かべている。
    「手、降ろせよ」
    「うん」
    躊躇いがちにシェリルの手が下へと滑る。

    病に伏せりがちであっても、パフォーマンスで鍛えたラインは引き締まっていた。
    豊かな二つの乳房は誇らしげに張りつめて、先端の桜色の乳首が僅かに顔をそむけあっている。
    平らな腹部に陰影を与えている臍の窪み。
    すんなりと伸びた脚の間には、髪の色よりやや暗い色合いの淡い茂み。
    「あなにやし、えをとめを」
    アルトは呟いた。
    「何て言ったの?」
    「なんて美しい女だ……この世で一番最初のプロポーズの言葉」
    「そのまんまね」
    シェリルはクスッと笑った。
    「隅々まで見たい」
    アルトの言葉にシェリルは背中を見せた。流れ落ちるブロンドの髪を手でかきあげる。
    「こう?」
    滑らかなしみ一つない背中に、均整のとれた背筋。
    誰かが肩甲骨の描くラインを天使の羽と呼んでいたが、それが相応しいと思える。
    引き締まっていてなおかつ柔らかさを感じさせる尻。
    シェリルが体をわずかによじると、尻の少し上に魅力的なえくぼができた。
    「もっと、見たい」
    「あ……う、うん」
    シェリルは振り返ると、足の間を手で蔽い、柱に背中を預けて畳の上に座った。
    おずおずと足を広げる。
    「手、のけて」
    アルトはシェリルの足の間に座った。
    「ああ……」
    甘く掠れたため息とともに、シェリルはそこから手を外した。
    淡いブロンドの茂みの下には、控え目な形の花びらに縁取られた桜色のスリットがある。
    アルトは顔を寄せて見つめてから、ポツリと言った。
    「綺麗だ……ここも」
    「そ、そう?」
    「なんだか……ここだけ植物みたいだ。人間の体じゃなくて」
    シェリルは深呼吸しようとするが、自然と上ずってくる息に苦しさを覚える。
  何か言おうとして、言葉にならない。だから名前を呼んだ。
    「アルト」
    「シェリル」
    アルトは手を伸ばしてシェリルを抱き寄せた。
    ゆっくり唇を合わせる。
    今、世界は二人だけのものになった。

    <終>
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