402 :ミハシェリ:2010/02/16(火) 23:06:40 ID:xUHBvNpt
「アルトのヤツはさ……お姫様を守る騎士を演じたいのさ」
「ナイト……」
「幼い頃から女らしさを叩き込まれ、反発して家を飛び出してきたんだ。
テンプレートみたいな男らしさが頭のどこかに常にある。
ランカちゃんは、そういうアルトの一番弱いところをくすぐるタイプなんだよ」
シェリルはワインを舐める。酸味がやけに滲みる。
「まっすぐにアルトを見つめて全力で頼って正直に好意を示して一生懸命尽くそうとする。
わかりやすいくらいわかりやすい、庇護欲をそそる子だよ。
俺なんか天邪鬼だけど、ちょっとほだされそうになるもんな」
ミハエルがらしくもないほど素直な微笑みを浮かべる。
「わかるわ……」
シェリルもまた微笑む。
初めて会ったとき、自分に対する憧れを、あけすけなまでのまっすぐな好意を、めいっぱい力説された
ことを思い出す。
見ず知らずの女に照れもせずに好きなモノを大好きだと語る率直さ。
ほぼ同年代に対する感想ではないかもしれないが、ランカはいい意味で子どもなのだろう。
純真さを失っていない。
だからシェリルも応援したくなったのだ。
自分に憧れ、近づきたいと望み、そのように態度で示してくる娘はたくさんいたけれど、
ランカのように何か力になりたいと感じさせる子は今までいなかった。
彼女がこれまでの自分の立ち居地を揺るがしかねないほどの存在になりつつある今でも、
どこか守ってあげたくなるような雰囲気がある。
だから、ミハエルの言うことはよくわかった。わかりすぎるほどに。
「……アルトはランカちゃんを……」
「今のところはね」
「今のところ?」
「ランカちゃんにも言ったことだけど、先のことは誰にもわからない。シェリル、君次第さ」
「私次第?」
ミハエルは長い指を伸ばしてシェリルの髪をひと房摘み、それにそっと口付けながら艶かしい視線を向けてきた。
「君はいい女だよ、シェリル」
囁くような低い声と魅惑的な眼差しにシェリルの心臓が跳ねる。身体の中心が切なく締め付けられる。
ミハエルが百戦錬磨のプレイボーイだということはよく知っている。
そして自分が他人から思われているほどには、こういった駆け引きに長けていないこともわかっている。
それでもアルト以外に心が動くことなどないと思っていたのに、指先が震えるほど動揺している自分がいる。
自分の中の「牝」がミハエルに反応しているのを感じる。
「彼女」に磨き上げられた「牝」が生々しい「牡」に反応している。
全身が熱い。
ミハエルの悩ましい視線から目を反らすことができずに固まっていると、不意にミハエルが悪戯っぽい笑
みを閃かせた。
「ま、今更言うまでもないことだろうがね」
緊張感から解放されてシェリルはほっと息をつく。
「当然よ。私を誰だと思ってるの」
「アルトもいずれ君の魅力に気づく。君が君らしくあるだけでね。
ただ、それまでに、ランカちゃんが圧倒的リードを広げる可能性はある」
シェリルは大げさに肩をすくめてみせた。
「……何が言いたいワケ?」
「時には、弱さを見せることも必要だってこと」
「……それは私らしくないわ」
「弱みを見せたくない?」
――そうね、見せたくない。いつだって誰より輝いていたい。
だって、私はシェリル・ノームなんだから!
誰よりも強く誰よりも輝き、誰もの希望でありつづけたい。
それが私の存在理由。
だが、それはなぜだか口にしたくなかった。
「見せ方がわからないんだろ」
戸惑うほど優しい口調でミハエルが事実を突きつけてくる。
シェリルは視線を逸らして、シニカルに笑うしかない。シェリル・ノームを保つために。
「そうね、弱音なんて吐かないもの。そんな自分、想像もできないわ」
「俺が教えてあげようか?」
「え?」
「ナイト……」
「幼い頃から女らしさを叩き込まれ、反発して家を飛び出してきたんだ。
テンプレートみたいな男らしさが頭のどこかに常にある。
ランカちゃんは、そういうアルトの一番弱いところをくすぐるタイプなんだよ」
シェリルはワインを舐める。酸味がやけに滲みる。
「まっすぐにアルトを見つめて全力で頼って正直に好意を示して一生懸命尽くそうとする。
わかりやすいくらいわかりやすい、庇護欲をそそる子だよ。
俺なんか天邪鬼だけど、ちょっとほだされそうになるもんな」
ミハエルがらしくもないほど素直な微笑みを浮かべる。
「わかるわ……」
シェリルもまた微笑む。
初めて会ったとき、自分に対する憧れを、あけすけなまでのまっすぐな好意を、めいっぱい力説された
ことを思い出す。
見ず知らずの女に照れもせずに好きなモノを大好きだと語る率直さ。
ほぼ同年代に対する感想ではないかもしれないが、ランカはいい意味で子どもなのだろう。
純真さを失っていない。
だからシェリルも応援したくなったのだ。
自分に憧れ、近づきたいと望み、そのように態度で示してくる娘はたくさんいたけれど、
ランカのように何か力になりたいと感じさせる子は今までいなかった。
彼女がこれまでの自分の立ち居地を揺るがしかねないほどの存在になりつつある今でも、
どこか守ってあげたくなるような雰囲気がある。
だから、ミハエルの言うことはよくわかった。わかりすぎるほどに。
「……アルトはランカちゃんを……」
「今のところはね」
「今のところ?」
「ランカちゃんにも言ったことだけど、先のことは誰にもわからない。シェリル、君次第さ」
「私次第?」
ミハエルは長い指を伸ばしてシェリルの髪をひと房摘み、それにそっと口付けながら艶かしい視線を向けてきた。
「君はいい女だよ、シェリル」
囁くような低い声と魅惑的な眼差しにシェリルの心臓が跳ねる。身体の中心が切なく締め付けられる。
ミハエルが百戦錬磨のプレイボーイだということはよく知っている。
そして自分が他人から思われているほどには、こういった駆け引きに長けていないこともわかっている。
それでもアルト以外に心が動くことなどないと思っていたのに、指先が震えるほど動揺している自分がいる。
自分の中の「牝」がミハエルに反応しているのを感じる。
「彼女」に磨き上げられた「牝」が生々しい「牡」に反応している。
全身が熱い。
ミハエルの悩ましい視線から目を反らすことができずに固まっていると、不意にミハエルが悪戯っぽい笑
みを閃かせた。
「ま、今更言うまでもないことだろうがね」
緊張感から解放されてシェリルはほっと息をつく。
「当然よ。私を誰だと思ってるの」
「アルトもいずれ君の魅力に気づく。君が君らしくあるだけでね。
ただ、それまでに、ランカちゃんが圧倒的リードを広げる可能性はある」
シェリルは大げさに肩をすくめてみせた。
「……何が言いたいワケ?」
「時には、弱さを見せることも必要だってこと」
「……それは私らしくないわ」
「弱みを見せたくない?」
――そうね、見せたくない。いつだって誰より輝いていたい。
だって、私はシェリル・ノームなんだから!
誰よりも強く誰よりも輝き、誰もの希望でありつづけたい。
それが私の存在理由。
だが、それはなぜだか口にしたくなかった。
「見せ方がわからないんだろ」
戸惑うほど優しい口調でミハエルが事実を突きつけてくる。
シェリルは視線を逸らして、シニカルに笑うしかない。シェリル・ノームを保つために。
「そうね、弱音なんて吐かないもの。そんな自分、想像もできないわ」
「俺が教えてあげようか?」
「え?」
こういうのを書いてみたがエロが思い浮かばなかった