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1-768

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匿名ユーザー

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1-686からの続編です



768 プラスティック・ムーン(1/4) sage 2008/06/01(日) 00:31:05 ID:GDMu00Uf
BGM『Take the 'A' Train』
http://jp.youtube.com/watch?v=qhK-zYfFsIY



ゼントラーディ用のリニアでフォルモへ。
「な、なんだジロジロ見て」
クランクランは居心地悪そうに、身じろぎした。
その装いはアダルトでセクシーだった。
白のホルターネック・ノースリーブシャツは背中が大胆に見えているカット。
黒のタイトスカートに、黒い光沢のあるヒール。
大きく開いた胸元にはシンプルなデザインのネックレスが輝いている。
「いや、いつもとイメージが違うなって」
ゼントラーディ・サイズのミシェルは目を細めた。こちらの服装はSMSの制服。
「それはそうだろう。戦場に相応しい武装を選ぶのはゼントラーディの嗜みだ」
クランクランらしい言い回しだが、受け取り方によっては裏があるようにも思える。
(女の武器を使うつもりか?)
ミシェルは顔には出さないもののドキっとさせられた。。
いつものクランクランの私服は、ミシェルから見ると少女趣味過ぎるか、配色が賑やかでポップ過ぎる傾向があった。
「もしかして……ネネのコーディネイト?」
ミシェルは、クランクランの部下で、ドレッシーなファッションを好む女性を思い浮かべた。
「オマエのそういう所、キライだ」
ぷい、と顔を背けるクランクラン。図星だったようだ。
「だとしたら、武装の選択は的確だったな。ほら、あっちとあっち……クランが気になっているみたいだ」
同じ車両に乗り合わせたゼントラーディの男性が、クランクランに向かってさりげなく視線を送っている。
「そ、そうか……」
まんざらでも無さそうなクランクラン。顔はミシェルからそむけたままだが、声から察するに機嫌は悪くなさそうだ。
「今夜は戦果が期待できそうだ。よく似あっている」
「そ、そうか……」
ミシェルにしてみれば挨拶代わりのような褒め言葉だが、クランクランの声は少し上ずっていた。
ミシェルに表情を見せてくれないが、地球人類と比べると外側に向けて尖っているゼントラーディ特有の耳朶が赤く染まっていた。


769 プラスティック・ムーン(2/4) sage 2008/06/01(日) 00:32:11 ID:GDMu00Uf
BGM『Saturday Night』
http://jp.youtube.com/watch?v=NXoQLoLMQHg



『プラスティック・ムーン』がジャズ・クラブの名前だった。
エントランスの上では店名に因んだのか、擬人化された月が三日月から満月に変化しながら浮遊している。
店に入る前に、ひと悶着持ち上がった。
「お客様、当店ではそのようなお召し物は…」
店員が慇懃ながらもキッパリとミシェルを拒んだ。やはりドレスコードがあるらしい。
「我々は軍務についているんだ。時間の関係で、着替える暇がなかったんだ」
クランクランが抗議しても、店員は難色を示した。
「せめてタイを…」
ミシェルは解決策を思いついた。
「クラン、借りるよ」
クランクランの青く長い髪をまとめているリボンのうちの一つをほどいて、それをネクタイのように結ぶ。
「これで、どうかな?」
「結構です」
店員は微笑んで店内へ通してくれた。
「限られた戦力の柔軟な運用、だな」
クランクランが呟いた。
「軍事の原則、さ」
ウィンクするミシェル。


770 プラスティック・ムーン(3/4) sage 2008/06/01(日) 00:33:27 ID:GDMu00Uf
BGM『Unforgettable』
http://jp.youtube.com/watch?v=53ith7bNN8w



店内は混雑していて音楽ファンの人気を集めているようだった。
「へぇ、これは……」
ミシェルは感心して店内を眺めた。
ゼントラーディのポップ・カルチャーは、基本的に地球人類の模倣の範囲を出ていない。文化というものに触れて、まだ歴史が浅いためだろう。
しかし、音楽に関しては独自の展開を見せている。地球人類の五倍という身体のスケールは、ゼントラーディの歌唱に独特の響きと迫力をもたらしているからだ。
マイクローンの固定客やファンもいるようで、『プラスティック・ムーン』の店内にもマイクローン用の桟敷席が設けられている。その席も着飾った男女で埋まっている。
「ゼントラーディ・ジャズ、か」
ミシェルはクランクランの持っていたチケットで指定された席に座った。差向いにクランクラン。
静かに近寄ってきたウェイターに飲み物をオーダーする。
「ちょっと意外だな。クランが、こういう所に誘ってくれるなんて」
「たまには、奇襲をかけないとな」
クランがステージの方を眺めながら言った。
「ああ、効果的な作戦だった」
ミシェルは調子を合せてあいづちを打つ。
「それに……音楽の趣味はジェシカの影響だ」
クランクランは言ってから、しまったと口元を覆った。ジェシカは、若くして自ら命を絶ったミシェルの姉。
二人とも同じ面影を脳裏に浮かべた。
「そうだったのか……そうだな、そう言えば」
ミシェルの脳裏にジェシカの部屋にあった本棚が思い浮かんだ。ジャズのタイトルがついた音楽ディスクが並んでいた。
ミシェルはウェイトレスを呼び止め、もう一つカクテルを頼んだ。
ほどなくして、三つのグラスが運ばれてくる。
ひとつはクランクランの前に。ひとつはミシェルの前に。最後の一つは空席に。
「乾杯」
二人は三つのグラスの縁を合わせた。
ミシェルにとっては心の傷を刺激する筈の名前だったが、今、クランクランとこうして思い出を共有しているのは嫌な気持ちでは無かった。


771 プラスティック・ムーン(4/4) sage 2008/06/01(日) 00:34:12 ID:GDMu00Uf
BGM『Stardust』
http://jp.youtube.com/watch?v=tFyKAUBkdOs



ショータイムが終わり店を出た二人。
銀河核恒星系に特有の濃密な星々が夜空に輝いている。
「クラン……」
ミシェルは口を閉じた。
「なんだ?」
クランの返事を聞いてから、おもむろに続けた。
「……ありがとう」
「どうした、お前らしくない」
「姉さんの名前を、こんな風に思い出せるなんて、考えてもみなかった」
星の光が作り出す、淡い影が二つ路面に並んでいた。
「礼を言われるようなことではない。お前が成長しただけだ」
「クランの支援のおかげでもある」
「フン」
鼻で笑いながら、クランクランはネックレスを指でつまんでいじった。
ミシェルに聞こえないように、口の中で呟く。
「戦果評価は……作戦は成功したが、戦術的には失敗、というところか」

<終>
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