404 名無しさん@ピンキー sage 2008/06/25(水) 20:26:15 ID:sCaI9rN0
艦長×モニカで投下
ギリアム大尉の冥福を祈る
艦長×モニカで投下
ギリアム大尉の冥福を祈る
405 長いお別れ sage 2008/06/25(水) 20:26:52 ID:sCaI9rN0
フロンティア船団にとって、初のバジュラとの遭遇戦の後、ジェフリー・ワイルダー艦長とオズマ・リー少佐は略礼服を着て
ヘンリー・ギリアム大尉の自宅へと向かった。ヘンリーの妻・エミーに報告するためだ。
扉の前で、どちらからともなく顔を見合わせる。
ジェフリーがインターフォンのボタンを押した。
「はい」
スピーカー越しに、エミーの声がした。
「ジェフリー・ワイルダーです。エミー・ギリアム夫人に、ご報告に参りました」
「……」
息を呑む気配がした。
ドアが開く。
褐色の髪の白人系の女性・エミーが現れた。家事の途中らしく、エプロンを手に持っている。
「まさか……」
エミーは両手で口元を覆った。ジェフリーとオズマの二人がそろって訪れた意味を理解している。
「残念な報告です。ヘンリーは……業務中の事故で亡くなりました」
エミーの足元がぐらつく。オズマがすかさず彼女を支えた。
フロンティア船団にとって、初のバジュラとの遭遇戦の後、ジェフリー・ワイルダー艦長とオズマ・リー少佐は略礼服を着て
ヘンリー・ギリアム大尉の自宅へと向かった。ヘンリーの妻・エミーに報告するためだ。
扉の前で、どちらからともなく顔を見合わせる。
ジェフリーがインターフォンのボタンを押した。
「はい」
スピーカー越しに、エミーの声がした。
「ジェフリー・ワイルダーです。エミー・ギリアム夫人に、ご報告に参りました」
「……」
息を呑む気配がした。
ドアが開く。
褐色の髪の白人系の女性・エミーが現れた。家事の途中らしく、エプロンを手に持っている。
「まさか……」
エミーは両手で口元を覆った。ジェフリーとオズマの二人がそろって訪れた意味を理解している。
「残念な報告です。ヘンリーは……業務中の事故で亡くなりました」
エミーの足元がぐらつく。オズマがすかさず彼女を支えた。
SMS社屋内の休憩室。バーカウンターが設えられていて、ボビー・マルゴー大尉がバーテンダーの役を務めていた。
カウンターにいるのは、オズマとジェフリー。
「……監察医に感謝しなきゃなりませんな」
オズマが深いため息とともに言った。
「まったくだ」
ジェフリーがうなずいた。
SMSの業務内容は外部には極秘で、任務中の死亡・戦死も事故死として処理される。
契約についてはエミーも知っていたので、無理に聞くことはなかった。
ただ、ヘンリーの死に顔を確認したいと言われた。
バジュラに握り潰された死体がどんなに酷い状態なのか知っているオズマはためらったが、結局押し切られた。
「遺品が回収できたんだから、遺体もあるんでしょう?!」
血を吐くような叫び。
エミーは遺体安置室でヘンリーと対面して泣き崩れた。
唯一の救いは、監察医の手によってギリアムの遺体が、ちょっと見には損傷が分からないほど修復されていた事だった
「何回やっても……慣れるものではないな」
ジェフリーの言葉に、オズマは聞き入った。まったくの同感だ。
ボビーがカクテルグラスを三つ、カウンターの上に出した。透明な液体を注ぐ。
「ギムレットか」
オズマは芳香で見当がついたようだ。
「そう“長いお別れ”よ」
ボビーの言葉にジェフリーは時計を見上げた。
「ギムレットには早すぎる……と言うことは無いな」
レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説を踏まえた言葉をつぶやいて、ジェフリーはグラスを掲げた。
「戦友に」
オズマもボビーも唱和した。
カウンターにいるのは、オズマとジェフリー。
「……監察医に感謝しなきゃなりませんな」
オズマが深いため息とともに言った。
「まったくだ」
ジェフリーがうなずいた。
SMSの業務内容は外部には極秘で、任務中の死亡・戦死も事故死として処理される。
契約についてはエミーも知っていたので、無理に聞くことはなかった。
ただ、ヘンリーの死に顔を確認したいと言われた。
バジュラに握り潰された死体がどんなに酷い状態なのか知っているオズマはためらったが、結局押し切られた。
「遺品が回収できたんだから、遺体もあるんでしょう?!」
血を吐くような叫び。
エミーは遺体安置室でヘンリーと対面して泣き崩れた。
唯一の救いは、監察医の手によってギリアムの遺体が、ちょっと見には損傷が分からないほど修復されていた事だった
「何回やっても……慣れるものではないな」
ジェフリーの言葉に、オズマは聞き入った。まったくの同感だ。
ボビーがカクテルグラスを三つ、カウンターの上に出した。透明な液体を注ぐ。
「ギムレットか」
オズマは芳香で見当がついたようだ。
「そう“長いお別れ”よ」
ボビーの言葉にジェフリーは時計を見上げた。
「ギムレットには早すぎる……と言うことは無いな」
レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説を踏まえた言葉をつぶやいて、ジェフリーはグラスを掲げた。
「戦友に」
オズマもボビーも唱和した。
ボビーが退出し、オズマも戦闘後の報告書を仕上げにオフィスへ向かった。
一人残ったジェフリーは手酌でスコッチを煽っていた。
グラスに2杯飲んだところで、人の気配がした。
「艦長……その、ご苦労様です」
振り返るとモニカ・ラングがいた。
「仕事は終わったのか?」
ジェフリーはボトルに蓋をした。
「はい」
「ご苦労。こんな夜は早めに帰ることだ」
「あの……ジェフ」
モニカが二人の間だけでしか使わない愛称で呼びかけた。
ジェフリーの片眉が上がった。
「何か、できることはありませんか? 私にできること……」
その気遣いは嬉しかったが、嬉しさを表情にするには、あまりにたくさんの死を見てきた。
だからジェフリーは黙って立ち上がると、すれ違いざまにモニカの尻を軽く叩いた。
「はいっ」
モニカの声を背中で聞いて、ジェフリーは休憩室を出た。
一人残ったジェフリーは手酌でスコッチを煽っていた。
グラスに2杯飲んだところで、人の気配がした。
「艦長……その、ご苦労様です」
振り返るとモニカ・ラングがいた。
「仕事は終わったのか?」
ジェフリーはボトルに蓋をした。
「はい」
「ご苦労。こんな夜は早めに帰ることだ」
「あの……ジェフ」
モニカが二人の間だけでしか使わない愛称で呼びかけた。
ジェフリーの片眉が上がった。
「何か、できることはありませんか? 私にできること……」
その気遣いは嬉しかったが、嬉しさを表情にするには、あまりにたくさんの死を見てきた。
だからジェフリーは黙って立ち上がると、すれ違いざまにモニカの尻を軽く叩いた。
「はいっ」
モニカの声を背中で聞いて、ジェフリーは休憩室を出た。
マクロス・クォーターの艦長を拝命してから、ジェフリーは、ほとんど自宅に戻っていない。
休暇中に寝に戻るだけだ。週に1回のハウスキーパーを頼んでいるので、汚れてはいないが、生活感もない。
SMSからタクシーを拾って帰宅すると、合鍵を渡してあるモニカが先に来ていた。
ジーンズにキャミソールの組み合わせは、制服姿を見慣れているジェフリーには新鮮に映る。
「お帰りなさい、ジェフ」
家に明かりが点っていて、誰かが待っているのは良いことだ。殊に、こんな夜には。
フロンティアのどこかには、帰る家を無くした人もいる。家はあっても、帰ってこない家族を待つ人もいる。
「ただいま。食事はどうした?」
「はいっ、済ませてます。ジェフは?」
「まだだ」
モニカは、弾かれたようにキッチンに向かった。冷蔵庫の中を見る。
「えーと、パック食品ばっかり……」
「かまわん、気を使うな」
「一工夫すると、美味しくなるんですよ」
モニカはラザニアのパックを取り出した。レンジにセットして暖めながら、調味料類を探す。
「ええと……あ、ローズマリーがある」
インスタントのスープにハーブを少し入れる。
ジャケットを脱いで、ネクタイを外したジェフリーは、テーブルの上にモニカが皿を並べているのを見た。
「パックのままでかまわんのに」
「見た目も大切です。召し上がれ」
「すまん」
テーブルに差し向かいで座る。スープを一口、食べ飽きているインスタントなのに、味が違う。
「なるほど、香をつけたか」
「はい」
そんなジェフリーの様子を、モニカは向かいの席から見守っている。
ジェフリーは黙々と食事を済ませた。食器を洗浄機にセットして、居間に戻った。
モニカはソファでニュースを見ていた。
背筋がピンと伸びていて、まだ、この部屋に慣れていないようだ。
(この部屋よりは、この関係か)
ジェフリーは後ろから近寄って、モニカの肩を抱いた。
「ジェフ……」
モニカがジェフリーの腕に手を添えた。
しばらく、そのままの姿勢でいたが、モニカがおずおずと言った。
「あの……シャワー」
「使わなくていい」
ジェフリーはモニカを横抱きにした。
「そのっ」
腕の中でモニカが頬を赤らめて、まくれあがりかけたキャミソールの裾を押し下げた。
そっとベッドに横たえると、ジェフリーは唇を合わせた。
「ん……」
モニカも、つたないながら一生懸命応えようとしている。
唇を合わせながら、キャミソールをまくり上げ、ブラジャーをずらした。
かすかに汗の匂いが立ち上る。
その肌に顔を埋めた。
水を弾きそうな瑞々しい肌。自分の肌とは大違いだ。その瑞々しさが愛おしくて、掌全体を使って撫でる。
「ジェフっ……」
その呼吸も、肌の香も、汗さえも、命の証が、この上なく愛おしい。
休暇中に寝に戻るだけだ。週に1回のハウスキーパーを頼んでいるので、汚れてはいないが、生活感もない。
SMSからタクシーを拾って帰宅すると、合鍵を渡してあるモニカが先に来ていた。
ジーンズにキャミソールの組み合わせは、制服姿を見慣れているジェフリーには新鮮に映る。
「お帰りなさい、ジェフ」
家に明かりが点っていて、誰かが待っているのは良いことだ。殊に、こんな夜には。
フロンティアのどこかには、帰る家を無くした人もいる。家はあっても、帰ってこない家族を待つ人もいる。
「ただいま。食事はどうした?」
「はいっ、済ませてます。ジェフは?」
「まだだ」
モニカは、弾かれたようにキッチンに向かった。冷蔵庫の中を見る。
「えーと、パック食品ばっかり……」
「かまわん、気を使うな」
「一工夫すると、美味しくなるんですよ」
モニカはラザニアのパックを取り出した。レンジにセットして暖めながら、調味料類を探す。
「ええと……あ、ローズマリーがある」
インスタントのスープにハーブを少し入れる。
ジャケットを脱いで、ネクタイを外したジェフリーは、テーブルの上にモニカが皿を並べているのを見た。
「パックのままでかまわんのに」
「見た目も大切です。召し上がれ」
「すまん」
テーブルに差し向かいで座る。スープを一口、食べ飽きているインスタントなのに、味が違う。
「なるほど、香をつけたか」
「はい」
そんなジェフリーの様子を、モニカは向かいの席から見守っている。
ジェフリーは黙々と食事を済ませた。食器を洗浄機にセットして、居間に戻った。
モニカはソファでニュースを見ていた。
背筋がピンと伸びていて、まだ、この部屋に慣れていないようだ。
(この部屋よりは、この関係か)
ジェフリーは後ろから近寄って、モニカの肩を抱いた。
「ジェフ……」
モニカがジェフリーの腕に手を添えた。
しばらく、そのままの姿勢でいたが、モニカがおずおずと言った。
「あの……シャワー」
「使わなくていい」
ジェフリーはモニカを横抱きにした。
「そのっ」
腕の中でモニカが頬を赤らめて、まくれあがりかけたキャミソールの裾を押し下げた。
そっとベッドに横たえると、ジェフリーは唇を合わせた。
「ん……」
モニカも、つたないながら一生懸命応えようとしている。
唇を合わせながら、キャミソールをまくり上げ、ブラジャーをずらした。
かすかに汗の匂いが立ち上る。
その肌に顔を埋めた。
水を弾きそうな瑞々しい肌。自分の肌とは大違いだ。その瑞々しさが愛おしくて、掌全体を使って撫でる。
「ジェフっ……」
その呼吸も、肌の香も、汗さえも、命の証が、この上なく愛おしい。
体を重ねるまで、ジェフリーは丁寧にモニカを高めてくれた。
最初の時から、そうだった。
時間をかけて愛撫されているうちに、モニカは身も心も開いてゆく。
ジェフリーが入ってきた瞬間は、あくまで滑らかで、モニカは自分自身のため息が甘く響くのを耳にした。
しかし、今夜は、少し様子が違った。
侵入してきたジェフリーは激しく動いた。
「ジェフっ?……あっ」
技巧などではなしに、どこか必死で切羽詰った動き。
痛みはないが、モニカは戸惑った。
動きに翻弄されているうちに、モニカはジェフリーが泣いているのではないかと思った。
何も証拠はないが、直感が囁いた。
涙を流す代わりに、激しいセックスを。
ジェフリーの動きに逆らうのを止め、出来るだけ体を柔軟にする。どこまでも深く受け入れられるように。
モニカは押し寄せる性感のなかで、切れ切れにそんなことを考えた。
最初の時から、そうだった。
時間をかけて愛撫されているうちに、モニカは身も心も開いてゆく。
ジェフリーが入ってきた瞬間は、あくまで滑らかで、モニカは自分自身のため息が甘く響くのを耳にした。
しかし、今夜は、少し様子が違った。
侵入してきたジェフリーは激しく動いた。
「ジェフっ?……あっ」
技巧などではなしに、どこか必死で切羽詰った動き。
痛みはないが、モニカは戸惑った。
動きに翻弄されているうちに、モニカはジェフリーが泣いているのではないかと思った。
何も証拠はないが、直感が囁いた。
涙を流す代わりに、激しいセックスを。
ジェフリーの動きに逆らうのを止め、出来るだけ体を柔軟にする。どこまでも深く受け入れられるように。
モニカは押し寄せる性感のなかで、切れ切れにそんなことを考えた。
何度かの頂が手足に気だるさを残す頃。
モニカは荒い息を落ち着かせるように深い呼吸を繰り返した。
覆いかぶさっているジェフリーの肩を抱きしめる。
「あっ……」
萎えたジェフリーの男性がモニカの中から押し出される感触に声を漏らした。
ジェフリーも、そのままの姿勢で呼吸を整えると、ベッドから降りた。
裸の後姿が年齢に似合わないほど引き締まっているのを見て、モニカは見とれてしまう。
ジェフリーはキッチンでミネラルウォーターを二つのグラスに入れると、寝室に戻って片方をモニカに渡した。
「あ……ありがとう」
モニカは、グラスを受け取ってぼんやりとジェフリーを見た。
股間の陰毛に白いものが混じっているのが、ルームランプの淡い光の中で見て取れた。
ジェフリーはモニカに背を向けて、ベッドのふちに座った。ミネラルウォーターを喉を鳴らして飲む。
「……何か、話して下さい」
モニカがねだった。
「おとぎ話が良いか? 昔話か?」
「何でもいいです。ジェフの声が聞きたいんです」
ジェフリーは手を伸ばしてモニカの頬を撫でた。
「子供の頃、航海実習に参加したことがある」
「本物の海?」
「ああ、そうだ。
一週間ばかりの航海だったな。昔ながらの帆船で。聞くと勇壮に聞こえるが、実際はほとんど皆が船酔いでダウンしてた」
「船酔い? フォールド酔いみたいなものですか?」
「フォールド酔いの何倍もヒドイのを想像してくれ」
「想像しました」
「ふっ…」
ジェフリーは目を細めた。
「その船の二等航海士が教えてくれた言葉がある。実は、彼も船酔いがひどい体質なんだそうだ」
「それなのに二等航海士?」
「ああ。アマチュアは船酔いしたことで打ちのめされて、もう何もできなくなる。
だが、プロは船酔いでも仕事をこなす術を知っている。かっこいいと思ったな」
モニカは頷いた。
「プロの宇宙船乗りにはなれたと思う……だが、今でもプロの軍人になれたのかどうか自信が無い」
「そんな、艦長……そんなこと」
「自信が無いなりに、仕事はこなすがね……これはトップシークレットだ」
「軍事機密ですね」
モニカがくすっと笑った。
「ああ」
ジェフリーはグラスをサイドテーブルに置くと、モニカの隣に滑り込んできた。
「少し寝よう……子守唄が欲しいか?」
太い腕を伸ばして、モニカを抱き寄せる。モニカもグラスをサイドテーブルにおいて、ジェフリーの胸に顔を埋めた。
「こうしているだけでいいです。心臓の音で安心するんです」
ジェフリーがモニカの髪を撫でているうちに、どちらからともなく眠りに落ちていった。
モニカは荒い息を落ち着かせるように深い呼吸を繰り返した。
覆いかぶさっているジェフリーの肩を抱きしめる。
「あっ……」
萎えたジェフリーの男性がモニカの中から押し出される感触に声を漏らした。
ジェフリーも、そのままの姿勢で呼吸を整えると、ベッドから降りた。
裸の後姿が年齢に似合わないほど引き締まっているのを見て、モニカは見とれてしまう。
ジェフリーはキッチンでミネラルウォーターを二つのグラスに入れると、寝室に戻って片方をモニカに渡した。
「あ……ありがとう」
モニカは、グラスを受け取ってぼんやりとジェフリーを見た。
股間の陰毛に白いものが混じっているのが、ルームランプの淡い光の中で見て取れた。
ジェフリーはモニカに背を向けて、ベッドのふちに座った。ミネラルウォーターを喉を鳴らして飲む。
「……何か、話して下さい」
モニカがねだった。
「おとぎ話が良いか? 昔話か?」
「何でもいいです。ジェフの声が聞きたいんです」
ジェフリーは手を伸ばしてモニカの頬を撫でた。
「子供の頃、航海実習に参加したことがある」
「本物の海?」
「ああ、そうだ。
一週間ばかりの航海だったな。昔ながらの帆船で。聞くと勇壮に聞こえるが、実際はほとんど皆が船酔いでダウンしてた」
「船酔い? フォールド酔いみたいなものですか?」
「フォールド酔いの何倍もヒドイのを想像してくれ」
「想像しました」
「ふっ…」
ジェフリーは目を細めた。
「その船の二等航海士が教えてくれた言葉がある。実は、彼も船酔いがひどい体質なんだそうだ」
「それなのに二等航海士?」
「ああ。アマチュアは船酔いしたことで打ちのめされて、もう何もできなくなる。
だが、プロは船酔いでも仕事をこなす術を知っている。かっこいいと思ったな」
モニカは頷いた。
「プロの宇宙船乗りにはなれたと思う……だが、今でもプロの軍人になれたのかどうか自信が無い」
「そんな、艦長……そんなこと」
「自信が無いなりに、仕事はこなすがね……これはトップシークレットだ」
「軍事機密ですね」
モニカがくすっと笑った。
「ああ」
ジェフリーはグラスをサイドテーブルに置くと、モニカの隣に滑り込んできた。
「少し寝よう……子守唄が欲しいか?」
太い腕を伸ばして、モニカを抱き寄せる。モニカもグラスをサイドテーブルにおいて、ジェフリーの胸に顔を埋めた。
「こうしているだけでいいです。心臓の音で安心するんです」
ジェフリーがモニカの髪を撫でているうちに、どちらからともなく眠りに落ちていった。
<終>