……私は彼の横でゆっくりと考えていた。
このまま記憶が戻らなかったらと。
彼は記憶を無くした私にも優しくしてくれた。
…………だからこそ、記憶が無かったとしても、よく分かることは何個かある。
かつての私も彼に惹かれたのであろうこと。
彼は優しくしているつもりはなく、奔放に振る舞い、私にも揶揄い半分で話しかけていること。
……そして決して届かないこと。
夜空の星々なら……多分、姉みたいに手が届く。
名月すらも取ってくれと言われたら取ることができる。
それでも……彼には決して手が届かない。
……でもそれで良かった。
かつての人々が決して触れることができない北極星を道標としたように……明るく、決して手が届かず、簡単には乱されないもの。
それが私の心の道標である喜びを噛み締めながら……私は目の前の花火の輝きを見つめていた。
このまま記憶が戻らなかったらと。
彼は記憶を無くした私にも優しくしてくれた。
…………だからこそ、記憶が無かったとしても、よく分かることは何個かある。
かつての私も彼に惹かれたのであろうこと。
彼は優しくしているつもりはなく、奔放に振る舞い、私にも揶揄い半分で話しかけていること。
……そして決して届かないこと。
夜空の星々なら……多分、姉みたいに手が届く。
名月すらも取ってくれと言われたら取ることができる。
それでも……彼には決して手が届かない。
……でもそれで良かった。
かつての人々が決して触れることができない北極星を道標としたように……明るく、決して手が届かず、簡単には乱されないもの。
それが私の心の道標である喜びを噛み締めながら……私は目の前の花火の輝きを見つめていた。