(エルス)
概要
前大戦後に計画されていたG4型巡洋戦艦を基本とし、条約制限ぎりぎりの基準排水量35,000トンの16インチ砲搭載戦艦として計画された。
しかし、攻撃力・防御力・速力全ての両立は条約の制約上難しく、本級は攻撃力を重視し、防御力や速力は当時の標準として建造されることとなった。
艦体は弩級艦として初の水平甲板型を採用し、三連装16インチ砲三基を前甲板に全て装備するなど、独特な形状で注目され、艦橋や機関区スペースは艦尾部に集中配置した。
そんな中、1924年に開催されたセントグラール会議で軍縮条約が締結され、各国ごとに艦艇の保有量が取り決められる事となるが、本級は16インチ砲搭載戦艦として期待されており、本級がこの軍縮条約の煽りを受ける事は無かったが、エントリヒ海軍の
カイザーシュラハト級二番艦バルバロッサの保有を認めさせる為に皇帝が本級の事を口に出したのは王室海軍では汚点として知られている。
一番艦のトラウブリッジは就役後に本国艦隊の旗艦となり、1930年と1933年の二度に亘る近代化改修を受けたが、機関部の不具合によりその低速さと繰艦も難しい等の多くの欠点を露呈する事になった。
その後は二番艦のケッペル、やや間を置いて三番艦のコーンウォリスと続けて進水し、それぞれ近代化改修や改装を受けてそれぞれ作戦に従事している。
一番艦トラウブリッジ艦歴
1921年3月2日 |
発注 |
1921年12月24日 |
起工 |
1924年9月1日 |
進水 |
1926年10月17日 |
就役 |
1930年5月11日 |
第一次近代化改修 |
1933年6月29日 |
第二次近代化改修 |
性能諸元(第二次近代化改修後)
艦種区分 |
戦艦 |
排水量 |
33,950t(基準) |
全長 |
216.7m |
全幅 |
32m |
喫水 |
10.4m |
機関 |
アドミラリティ三胴式重油専焼水管缶8基+カーマイン・ブレイク式ギヤード・タービン2基2軸推進、45,000hp |
速力 |
23ノット |
航続距離 |
7500海里/16ノット |
兵装 |
45口径16インチ3連装砲3基、50口径6インチ連装砲8基、40口径4.7インチ単装砲6基、40mm4連装スクーガー機関砲6基、24.5インチ魚雷発射管2門 |
装甲 |
水線部356㎜ 甲板159mm |
航空艤装 |
水上機二基、カタパルト一基(1935年ケッペル) |
乗員 |
1,354名 |
製作会社 |
アロースミス・マンスフィールド |
同型艦
(1930年と1933年に近代化改修。指揮通信機能の強化や増加装甲の追加、機関出力強化等)
(1934年に近代化改装。電探及び各種精密機器とカタパルト一基を設置し、水上機使用可)
(主砲を42口径15インチ連装砲へ変更。単装砲と連装砲を撤去し、機関砲数を62基とした)
三番艦コーンウォリス
王室海軍内では、三番艦コーンウォリスがトラウブリッジ級最良であると言われている。以下に一番艦、二番艦とどのように違うのかを記す。
1.基本的にトラウブリッジ級の設計ではあるが、各所に大幅な設計変更が見られる。
2.大陸戦争時の大型軽巡洋艦フレイヤ級が搭載していた42口径15インチ連装砲を装備している。
3.単装砲と連装砲を撤去し、対空火器を充実させている。
4.以上により船体重量が軽くなり、トラウブリッジ級最速を誇る。
この4点である。しかし、繰艦性の劣悪さや砲塔取り付け位置の問題などはそのままである為、コーンウォリスが他国の戦艦よりも優れているとは言い切れない。
関連項目
最終更新:2009年12月07日 10:19