アラキの旅 #1

(投稿者:A4R1)


リリ>

そろそろ、十さんは飛行機に乗り込んだ頃でしょう。
2年ぶりに外国に行けるという事で、かなりテンションを上げていましたからね。

…勢いあまって飛行機の座席や壁を壊していなければいいんですけどねぇ…。
まぁ、フライ等の襲撃への交戦で。と、いう口実で何とかしそうね、あの人は。
後は、セテさんが頑張ってくれることを祈るしかないですね…。

あの人は一人になるとフラリと他のMAIDさん達に会いに行こうとするんですよねぇ…。

過去に。ジークフリートさんに会いたいがために、たった一人で数十名ほどの兵士さんと銃撃戦を繰り広げたみたいですし…。
十さんは一丁の拳銃でその兵のみなさんを退けた…と。それも、自身は無傷で…。
会えたのかどうかは分かりませんが…。
あの人の事ですから、会ったとしても、照れたり緊張したりしてまともに話せなかったことでしょうね。

…しかし、そもそもそれほどの戦闘力とMAIDの開発力と教育知識がありながら、なぜどこの組織にも属しようとしないのでしょう?
何か考えがあるからだと思いますが…私が考えてもしょうがないことですね。きっと。

…おや、そろそろですね。
さて、私も頑張らなければ…。



MAIDの一人>

誰かの声が聞こえる

胸のあたりが温かい気がする

誰かが私を待っている?

行かなきゃ

待っている人のもとへ


…よう…おはよう。」

「あぁ…どこだ?ここ。」
…ん?

「このおへやひろいんだね~。」
ボク以外の誰かが話をしてる…。

「おはよう。キキ。まだ寝ぼけてるのね。」
キキ?あぁ、ボクのことだ。やっと目の前がはっきりしてきた。
「目覚めはどう?」
「うーん…まだちょっと…。」
金属の柵みたいなものをまたぐとちょっとふらついてしまった。
「おとと…。」
「まだかんぜんにおきてないね。」
「よし、オレが一発平手をくれてやろう。」
「ぇっ!?」
「こらこらっ!!本当にやっちゃいけないわよ!イイ!!」
「わかってるよ。」
すぐ隣にいた赤い髪の人が残念そうに言う。
…本当に叩かれるかと思った…。

「もう大丈夫だよ、ばっちり目が覚めた。」
「そうか…ちょっと残念だな…。」
その鋭い眼が不機嫌さを露わにしている…。
「怖いよ…。」

大きくため息をつき、物言いたげに黄色い髪の子に視線を向ける。
「お前は…。」
「いやいやいやいや!!!ミミはいらないよっ!!」
ミミと言った子が必死に拒否した。
「イイ、およしなさい。」
「あ~あ…。」
たった今ボク達が出たばかりの物に寄りかかった。
「ん?あれは!?」
テーブルの上にクリーム色の物が…あれはっ!!
「『プリン』ね。あなたたちが目覚めたら食べさせてと「食っていいのか!!」
「そうだけど「うわーーい!!」
「ちょ「一人一個だよ!!」
「人の話を聞きなさーい!!」


キキ>

ふう、美味しかった。
「もう、話していいよね…?」
あふれそうな涙を緑がかったロングヘアーで拭いてる…。
あ、ちゃんとハンカチで拭いてたみたい…。

「いいよー。」
「返事が呑気すぎじゃない?」
「えぇ呑気すぎると思うわ。今はけっこうちょっと大変な状況よ。」
けっこうちょっと大変?
でも、目は真剣だ。
「どういう事だ?」

「実はね…そのプリンを作った人は旅に出ているの。」
「え…。」
プリンは大好きだけど、そこまで大変な訳じゃな「何ーッ!?
 おかわりはねぇのかよ!!」
「イイ、耳元で怒鳴らないで…。」
「す、すまない…だが、リリ!!」
「な、何ですか?」
イイの迫力にリリさんがちょっぴりたじろぐ。
「そいつはどこ行った!?」
なおも詰め寄る。
「顔が近いよ!!」
「え、えーと…友人のお見舞いに行くと…。」
そこまで聞くと、ボクとミミに向きかえった。

「オレ達もいますぐ行くぞ!!」
「れっつごーごー!!」
二人が突然ドアへ走り出した!
「ま、待って!!」
「待ちなさい!!」
勢いよく外へ駈け出そうとした二人をチョークで何とかひき止めた。
「外は『G』がはこびっていて、丸腰で出たら命の保障はありません!!」
「そもそもどこに向かったのか聞いてないのに出かけても会えるわけがないよ!!」
「じょ、じょういえばぁ~!!」
「わ、わずれでだぜ…。」



やっと落ち着いた二人を(、イイは完全に気絶させてから)解放して椅子に座らせた。
でも、ミミはジッとする素振りもみせず、目の前のテーブルを叩いて催促を始めた。

「ねぇねぇ、ぶきってなぁ~に?」
「落ち着きなさい。こっちにあるからね。」
うずうずしているミミを連れて向かったのは、巨大な鋼鉄製のロッカーかな?
「この中に武器が?」
「聞いた話によればこの中にあるらしいけれど…。どういう物が入っているのかまでは聞いていないわ…。」
「なにかなー?」

錠が下りる音がしたとき、よくわからないけど『トキメキ』と言う言葉が頭をよぎった。


そして、扉が開くと『それ』が右側にあった。
「おっ!これだぁ~!!」
ショットガンとハンドガン二丁とロケットランチャーが「待ってた!!」と言わんばかりの輝きを放った。

「銃は一人一つ。それ以外の装備も一人一つよ。」
左下にも盾とグローブとリングが置かれている。
『それ以外』はこれのことだね。

左上の鉄のフタに怪しげな文字ペイントがあるけど…。
み、見なかったことにしておこう…。

「拳銃は二丁で一つらしいですよ。」
「じゃあ、オレはコイツをいただくぜ!!」
いつの間にか目を覚ましていたイイがランチャーを後ろから持って行った!!
「ミミはこれー!!」
あぁっ!
「早っ!!」
イイに気を取られてるうちにショットガンを取られてた!!
「キキはハンドガンね。」
「はやいものがーち!!」

あぁぁ…。
せ、せめて防具はお目当てのものを…。
「じ、じゃ、このシールドはボクの!!」
「っ!!!」
突然、イイが顔を青くしてドン引きした。
「ど、どうしたの!?」
「と、とととと、トゲ、トゲこええぇぇーッ!!!」
たった今手にしたばかりのランチャーに額を押し付けて震えだした。
「はっはぁ~ん。先端恐怖症かぁ~。」
「いがいなじゃくてんをもってるんだねぇ~。」
「もう、グローブしか残ってないわよー。」
「あ、あぁ、もうそれでいい…。」

「…落ち着いた?」
「…あぁ…なんとかな…。」
「じゃ、話を始めるわよ。」
「おっけー。」

「まず、私の名前はリリ、あなた達とともに「プリンを作った人を追いかけるんだね!?」
「そ、そうなるわね…。」
「ミミちゃん!しっ!」
リリさんがため息をついて席を立った。

「お、おこった?」
「いやいや…。」
やんわりと否定されてホッとしたみたい。
「厳密には『私達の製作者』ですけどね…。」
本棚から一枚の紙を持って来た。
「で、その製作者はどこ行った。」
「ここから東に向かったわ。」
指差した場所は楼蘭皇国の右端。
そこから東は海…。
「…泳ぐのか?」
「ミミおよげないよー!!」
不安げに言う二人に微笑みながら言う。
「いえ、船が用意されているからそれで渡りましょう。」

「船ね。」
「えぇ、アルトメリア連邦に向かったらしいわ。
 私達も向かいましょう。」
「はい!」
「あぁ!」
「おっけー!」



リリ>

しかし…あの人は西のエントリヒに向かうと言ったはず…。
それなのに、ノートには「アルトメリアを経由してくれ。」と…。

これは、試練なのでしょうか…。

それとも…。




関連項目

最終更新:2008年11月23日 18:37
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。