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  • ハルヒ「キョン、キョン恐いよキョン!」

自分用SSまとめ

ハルヒ「キョン、キョン恐いよキョン!」

最終更新:2011年05月10日 15:48

meteor089

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ハルヒ「キョン、キョン恐いよキョン!」 ① ② ③ ④

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1 :名前なし:2009/05/06(水) 00:09:24.42 ID:L16jdEMsO

「あれ、ここは・・・・」

そこは見慣れたいつもの教室だった。俺はどうやら居眠りをしてしまったらしい。
冬の空気は冷たいが窓から差し込んでくる西日が暖かく、心地よい眠気を誘っている。

立ち上がり教室の隅にある時計に目をやると、短針は午後六時を回った位置にあった。
こりゃ大分寝てしまったようだな。確か掃除が終わって机に突っ伏しているうちにうとうとと・・・

いや違う、委員会の仕事が終わって教室に戻ってきてからだったかな、寝たのは。

はっきりと思い出せない。勉強疲れだろうか。先日の期末テストはなかなかの出来だったと思うが、まぁ自分にしては珍しくテスト勉強を頑張ったからな。

とりあえず早く家に帰らねばなるまい。妹や母に無駄に心配をかけると後々うるさいからな。





7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 00:15:12.31 ID:L16jdEMsO
「ただいま~」

「おかえりキョンくん~、今日は遅かったねぇー」

小学五年生の妹が相も変わらず元気な声で出迎える。こいつは本当に元気だねぇ。俺も小学生の時はこんなに元気だったかなと記憶を辿ってみるも、今とあまり変わらなかったような気もする。
しかし、実の兄のことをキョンくんと呼ぶのはいい加減やめてもらえないものか。

「キョンくん、昨日はシャミしゃべった~?」

妹は一体何を言っているのかね。ちなみにシャミとは先月からうちで飼っている猫のシャミセンのことだ。俺の妹だけに頭の出来はあまりよろしくないとは思っているし、サンタクロースの存在をいまだに信じている我が妹だが、さすがに「ネコしゃべった~?」はないだろう。

言葉を話すのはなぁ、理性を手に入れた人間だけに許された特権であり・・・と我が妹を諭していると、

「なに言ってるのキョンくん、このまえキョンくんがシャミとおしゃべりするって言ったんだよ」

んなばかな。そんなこと言った記憶は全く無いね。




10 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:24:30.50 ID:L16jdEMsO

「ぶー、キョンくんのいじわる。昨日はおしえてくれなかったんだから今日おしえてよ~。」

昨日も何も知らないものは知らないのだが・・・。
怒った顔で頬をふくらませていた妹だったが次の瞬間には

「あ、キョンくんご飯できてるよ。はやくはやく~」

はしゃぎながらトテトテと食卓へと駆けていくのであった。全く元気なものだ。

しかし、俺がシャミセンとおしゃべりをすると言った、か。
妹に特に嘘を言ってからかう様子は見られなかったのが気にかかるが、残念ながら俺にはその記憶が無い。本当だ。




11 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:26:25.59 ID:L16jdEMsO

「・・・昨日か」

何となく引っかかる。昨日、俺は何をしたか。普通に学校に通い、普通に下校するという特に執筆するほどのものでもないどこにでもいる高校生のごく一般的なスクールライフを送った・・・はずだが、

なぜだろう。昨日のことなのに自分の記憶に自信がもてない。さらに記憶を辿ろうとしたが、特に具体的な部分となると全く分からなくなる。弁当の具や谷口や国木田とした会話の内容、学校帰りに寄った店などについては全くもって覚えていない。

やはり勉強疲れかね。一応これでも国立大学を目指している身だ。つい最近担任の岡部に進路指導で呼び出され諭されたこともあり、まぁそれでなんとなくスイッチが入ったとも言えなくも無い。

どーでもいい昨日の記憶を留めている脳細胞に英単語を記憶させた方がよっぽど有意義に決まっている。俺の脳みそも少しは分かってきたのかね、と超ポジティブ思考でごまかすことにして、今日は記憶についてはこれ以上考えないことにして食卓に向かった。が、

この時は、翌日に思いも寄らぬ出来事が我が身にふりかかろうとは思ってもいなかった。




17 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:30:50.24 ID:L16jdEMsO

翌日。十二月二十一日

昨日の夜は何となく寝つきが悪かったためにイマイチ熟睡できず、その影響で朝に2度寝してしまったために予鈴ギリギリの到着かと思いきや、焦ったために逆に少しだけ余裕を持って我が学び舎に到着することができた、そんな俺に、

「ようキョン」

話しかけてきたのは悪友の谷口だった。成績は俺とどっこいどっこい、試験では毎回赤点スレスレを低空飛行する仲だ。
こいつのせいで、まぁ自分と同じ程度の成績の奴がのんびりしているのだから自分もまだ大丈夫だろうとどこかで思ってしまうために、何か勉強に身が入らなかったのかもしれないが、いかんせん今回の試験では俺のほうが上だろう。こいつの驚く顔を見るのが楽しみだぜ。

「おす谷口」

適当に挨拶を返す。

「でキョン、そろそろ頭は冷えたか?」

「頭が冷えた?何の話だ。確かに一週間前から風邪ははやっていたようだが、俺はひいてない。よって熱も出ていない。36度代だ、多分。むしろ風邪をひいて熱を出していたのはお前のほうだろう。」




19 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:32:35.68 ID:L16jdEMsO
「何言ってんだキョン、昨日はあれだけおかしい振る舞いをしといて今更誤魔化そうったってそうはいかねぇぞ。涼宮には会えたのか?え?あいつは昔からツラはいいからなぁ、黙って突っ立ってりゃ俺様的美的ランクAAを与えてやっても良かったものを、あの訳分からねぇ性格のせいでよぉ・・・まぁお前がヒトメボレするのもなんとなく分かるが、あいつはやめといた方がいい・・・」

「待て待て谷口、お前は何を言っている。おかしな振る舞いってなんだ。というか涼宮というのが誰なのかが分からん。そんな一発で漢字に変換できそうもない苗字の知り合いなんぞ俺にはいないぞ。」

「そうかぁ・・。キョン、お前の気持ちは分かる。授業を途中でボイコットしてしまうほどのヒトメボレをして涼宮に告白したはいいが、ものの見事に玉砕したわけだ。涼宮はそういう所は容赦ないからなぁ。あまりの玉砕っぷりにもうお前の中では思い出したくない記憶となっているんだろ。分かるぜキョン、まぁこのことは男と男の秘密にしといてやるよ・・・」




22 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:34:37.68 ID:L16jdEMsO
「授業をボイコットしたのか?俺が?」

谷口はさらに怪訝そうな顔をして、そこまで誤魔化そうとするならば昨日のお前のおかしな振る舞いを逐一教えてやるぜと言い、頼んでもないのに語り始めた。

谷口の話によると、昨日、いや一昨日から俺の調子はおかしかったらしい。我がクラス委員長である朝倉涼子に向かってお前はなぜここにいる、とか、お前は俺を殺したくなったことはあるか、とか、訳のわからないことを話し、谷口から涼宮とかいう奴の所在を聞いた途端、仮病を使い学校を抜け出したりしたらしい。

全く持って信じられん。というか覚えていない。記憶に無い。

「はぁ・・・。まだとぼけるかねぇ。まぁ相当なショックだったってのは分かるぜ。しかしなぁキョン、男はフられてフられt・・・」




23 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:36:25.97 ID:L16jdEMsO

谷口の話は途中から聞いていなかった。そういえば昨日は妹も変なことを言っていた。
谷口も、まぁ嘘をついているようには見えない。昨日、いや、一昨日もか。
俺の記憶があやふやなのは事実だ。

これはどういうことだろうか。若年性アルツハイマーか?
いやさすがに十代での発症は早すぎるだろ。しっかりしてくれよ俺。

予鈴直前に俺の後ろの席の住人である委員長・朝倉が教室に入ってきた。
朝倉も何か言ってくるのかと思いきや何も言わず、代わりに何か意味ありげな目線を俺に投げかけてきたところで担任の岡部が入ってきて俺は前を向いた。




29 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:47:10.81 ID:L16jdEMsO
ちなみに今は期末試験終了後の午前授業の日程だ。ああすばらしきかな午前授業。脳を休めるには最適な期間だ。

授業中や休憩時間までも、何人かのクラスメイトが怪訝そうな目で俺を見てきたが気にしないことにする。うららかな日差しのせいで窓際後方二番目というなかなかの席にいた俺は睡眠不足もたたり半分夢の世界のままに午前中は終り、午前中で学校が終わるというのにわざわざ弁当を作ってくれた母のためにもそれを残すのは心苦しいので、食べてから下校することにした。

しかしながらゆで卵が半熟ってのはどうなのかね。目玉焼きなら分かるが。後で文句でもつけてやろうかと考えていると、

「おっ、おいキョン!!」

谷口だった。焦った様子で近づいてくる。谷口よ、いくらアホなハイテンションだけがとりえのお前だからといって、他人が弁当を食っている時くらいは落ち着いて欲しいね。午前授業だというのに我が母がつくってくれた弁当がまずくなるじゃないか。




30 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:48:51.13 ID:L16jdEMsO

「うるせぇ、それどころじゃねぇよ!」

「何が起こったってんだ。AAA+の美少女でも見つけたのか。」

「涼宮が来ているぞ。お前に用があるらしい、職員室だ。」

なんと。

しかし涼宮ねぇ。そういや下の名前聞いてねぇな。全く、なんで一度も会ったことの無い奴に呼び出されにゃならんのだ、しかも他校の生徒に。他校に乗り込んでまでの用事なんだから相当重要なんだろうな。一応急いでおくか。

なぜかは分からないが、少しだけ楽しみだったな。最低でも職員室の扉を開けるまではそう思っていた。

職員室のドアを開く。そこには4つの人影があった。そのうちの2人は我が北高の制服、残りの2人は坂の下の進学校、光陽園の制服だった。




32 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:49:56.89 ID:L16jdEMsO
光陽園の制服を着た女子がこちらに進んでくる。腰まで伸びた長い黒髪に大きな目、整った顔立ちからは気の強そうなオーラが放たれている。

直感で分かったね。こいつが涼宮だって。

「お前が涼みッ・・・!!!」

言い終わらないうちに胸元に強い力が加えられた。反射的に振りほどこうとするが、なんというバカ力か、女子高生とは思えないね。

「ゲホッ、ゲホ、なにしやが」

「あんた、昨日はどんなトリックを使ったのよ!」

また言い終わらないうちに発言を中断された。とりあえずこの手を離しやがれ。

十秒程度にらめっこした後、涼宮らしき女は手を離した。それにしても妹や谷口や朝倉に続いてこいつらもまた昨日か。
一体何があったんだろうねぇ。どーせ例によって俺にはお前らが話すことの記憶は残ってないだろうがな。




33 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:51:23.00 ID:L16jdEMsO
「ったく、いきなり何しやがる。トリックも何も俺はお前らとは初対面だ。きちんと自己紹介して事情を説明してもらわにゃ困るね!」

「何言ってんの、昨日会ったでしょ。光陽園の前であたしたちを待ち伏せしてたじゃない。それから喫茶店に行ってあんたの話をきいてそれから・・・」

「涼宮さん」

もう一人の光陽園からのお客さんが口をひらいた。身長は俺よりも高く、顔にフヌケた微笑を浮かべている。
それなりにイケメンだと評価してやってもいいのだが、なぜかこいつを見ているとなんとなくムカついてくる。それからやはりこの女が涼宮で合っているようだな。

「どうやら、昨日の彼が言っていたことは本当のようです。そして今の彼と昨日の彼は別人なのでしょう。こちらの彼が覚えていないことが何よりの証拠です。」




35 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:53:22.50 ID:L16jdEMsO

「本当に私達のことを覚えていないのですか?私達だけではなく、こちらの北高のお二人とも面識は無いのでしょうか?」

光陽園の2人のインパクトが強すぎてほとんど視界に入ってこなかったが、あらためて俺は北高の制服を着た二人を見た。

一人は、

覚えている。ボブカットを更に短くしたような髪型が、眼鏡をかけ大人しそうな雰囲気を放つ顔を覆っている。半年ほど前図書館でこいつと会った。図書館の職員がみんな忙しそうにしている中、カウンターの前をうろちょろしていたこいつに声をかけ、図書カードを作ってやった、名前は確か・・・

「長門、長門だよな・・・確か、長門有希。前に図書館で会った・・・。」

「・・・そう」

長門は、そのそれなりに整った顔に微笑を浮かべた。いやいや、なんか俺も嬉しいね。最近は俺の記憶と周囲の記憶が食い違ってばかりだったからか、記憶が事実とが一致すると安心する。当たり前のことのはずなのだが。長門もそんな笑みを浮かべていたような気がする。




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 00:53:31.08 ID:9pN+Icq60
ああ、なるほど。




38 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:54:58.29 ID:L16jdEMsO
長門から右に約1mほど視線をずらして目に入ってきたのは、小柄な少女だった。しかしこれがまたすんげー美少女だった。俺と目が合った瞬間に目線をそらされてしまったのが何となくショックだったが、谷口に見せれば間違いなくAAAの評価を下すであろうぶっちぎりの美少女がそこにいた。

この人と直接会話をしたことは無いが、校内で何度か見かけたことがあるような気がする。たしか2年の・・・

「あ、朝比奈さん・・・ですよね?二年の・・・」

「は、はい」

なぜか怯えた様子で返答する朝比奈さんだったが、怯えている様子もまた可愛い。しかし今はそんなことを考えている場合ではない。

「朝比奈さんとは会話をするのは今が初めてなはずですが、そうですよね?」

「えっ・・・いえ、あのっ・・・その・・・」

「あんた、本当に何も覚えてないの?昨日のことなのよ?」

涼宮が割り込んできた。覚えてないものは覚えてない。なぜかは分からんが昨日と一昨日の記憶がはっきりしない病に感染してしまったのだ俺は。というかそんなに昨日が好きか、え?過去に囚われてばかりじゃ人は前に進めないぞ。




41 :名前なしなし:2009/05/06(水) 00:56:23.93 ID:L16jdEMsO

気が付くと俺たちは職員室中の視線を独占していた。ニヤケ野郎もそれに気が付いたのか、

「分かりました、ではあなたの昨日以前の行動について私達の知っている限りをお話しましょう。できれば5人きりで話ができる場所に移動したいのですが。」




42 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:00:20.35 ID:L16jdEMsO
俺を見られても困る。第一俺は部活にも応援団にも生徒会にも属していない。部室かプライベートルームを提供しろったって無理だね。そう思っていると、

「長門さん、いいわよね?」

「・・・かまわない」

えっ。

ということで俺たちは五人揃って移動中だ。先頭に光陽園の二人、続いて長門と朝比奈さん、最後尾に俺だ。向かっているのは通称「部室棟」の二階にあるらしい文芸部室。部室棟には入学直後の部活動見学の時に一回入ったきりだ。結局俺はどの部活動にも所属することなく帰宅部部員としての部活動を全うするべく毎日をすごしているのだが、まぁそんなことはどうでもいい。

というかなぜ光陽園の二人が先頭を歩いているのだろうか。周囲の目線をこれでもかと浴びまくっているが二人に気にする様子は無いし、他校に来たというのに全く迷う様子が無いのはなんでだ。忍び込みでもしたのだろうか。

文芸部室は思っていたより質素な部屋だった。本棚とパイプ椅子数個、折りたたみ式長テーブルとその上に置いてある旧式のデスクトップパソコン、目に付くのはこれくらいかな。しかしこのパソコンは大分古いな。アンティーク物だ。




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 01:00:35.76 ID:whDmWwUZO
キョンが、PCの前から消えた後の話か




44 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:01:41.55 ID:L16jdEMsO

俺はとりあえず本棚の近くのパイプ椅子に腰をかけた。向かいに朝比奈さんが座り、涼宮は朝比奈さんの隣、長門は窓際のイスに座る。ニヤケ野郎の分のイスは無かった。

「さて、どこからお話しましょうか。」

「まず自己紹介から頼む。最低でもお前にはしてもらわないと困る。苗字も名前もイニシャルも知らんからな。」

「おっと、これは失礼しました。僕は古泉一樹と申します。見ての通り光陽園の一年生です。よろしくお願いしますね。」

ニヤケた笑みと同時に手が差し出され、とりあえずは握り返しておいた。

「あたしは涼宮ハルヒ」

そんだけかよ。ハルヒってのか下の名前は。




46 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:02:50.89 ID:L16jdEMsO
「俺は・・」

「あんたはいいわ。もう知ってるもの。ジョン。ジョンでいいわよね。」

「お前は俺の話を中断させるのが趣味なのか?しかもなんだジョンて。俺にはいとこの叔母が勝手につけたマヌケなニックネームはあるがそんな欧米人的なあだ名で呼ばれたことは無いぞ。」

「なによあんた、キョンとかいうマヌケなあだ名がそんなに気に入ってるわけ?変な趣味してるわねぇ。気が知れないわ。」

「気に入ってはいない。どちらかといえばやめて欲しくはあるが、というかマヌケって言うな。自分でも自覚してはいるが他人に突っ込まれるとなぜかむかつく。」




47 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:04:53.09 ID:L16jdEMsO

「てゆーかなんでお前は俺のあだ名を知っているんだ。谷口にでも聞いたのか?」

「それも込みで、昨日以前のあなたの行動についてお話しましょう。」

古泉が言った。

「確認しておきますが、あなたの記憶がはっきりしているのはいつまでですか?昨日と一昨日の記憶が無いとおっしゃられておりましたが、では三日前はどうです?」

いちおう考えてみる。今日は十二月二十一日、三日前は十八日。何をした。俺は何をした。

「思い出せない・・・」

とりあえず形だけでもそれっぽくすれば浮かんでくるものもあるかと思い、考える人並みに考えるポーズを取った俺だったが、脳から有益なアウトプットがなされることは無かった。

「そうですか。十二月十八日といえば、あなたが朝比奈さんと長門さんに接触した日ですね。朝比奈さん、彼がどんな様子だったかをお話してくださいませんか?




52 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:10:01.69 ID:L16jdEMsO
俺は朝比奈さんの方を見る。この小柄な上級生はなぜか俺のことを恐がっているようだった。極度の人見知りなのだろうか。

「は、はい、えっと・・・」

朝比奈さんの話によると、あろうことか俺は廊下を歩いていた朝比奈さんにかけよりいきなり両肩を鷲づかみにし、涼宮がどうとか古泉がどうとか訳分からないことを連呼したらしい。この時点での朝比奈さんは涼宮とも古泉ともまだ会ってなかったらしいから、彼女も混乱するばかりだったという。

「わ、私のことを未来から来たとも言っていました。」

未来から来た?一体何のことだ。そういうオカルトチックな話には正直ついていけそうにないのだが。俺に記憶が無いことはもう書き飽きたが、しかし朝比奈さんの言っていることが本当ならば俺はこんな美少女に暴挙を働く所だったのか。なんということだ。




53 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:11:12.43 ID:L16jdEMsO

「それから、わ、わわ、」

なぜか顔を赤くしながら、

「わたしの、その、む、胸のここらへんに、ほ、星型のほくろがあるはずだから、見せてくれって・・・」

なんと。

「本当に俺がそんなことを言ったんですか?」

「は・・・はい」

なんたることだ。我が家系の末代までの恥だこれは。記憶が無いとはいえとりあえず謝っておかねばなるまい。

「朝比奈さん、すみませんでした。本当に申し訳ない。」

「いえっ、わ、私のほうこそグーで、その、殴ったりしてごめんなさい、痛かったですか?」

どうやら俺は手痛い反撃を食らっていたようだな。全然大丈夫ですよ朝比奈さん、どうやら殴られて当然のことを俺はしたみたいっすから。気にしないでください、覚えてないですし。なるほど、だから朝比奈さんは俺を恐がっていたのか。




54 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:12:22.61 ID:L16jdEMsO

しかしどうなってんだ。未来人?全く意味が分からない。未来人で思い浮かぶのはスーパーサイヤ人のトランクスくらいだが、朝比奈さんとトランクスに共通点があるとは微塵も思えない。

三日前の俺はこんな漫画の世界と現実とを混同してしまうほどに混乱していたとでも言うのかね。

「次にあなたが接触したのは長門さんですね」

とニヤケハンサム顔の古泉が言い、俺は長門を見る。

「・・わたしがいつものように部室で読書をしている時にあなたが突然あらわれた。そして私が宇宙人だとか、魔法のような力をいっぱい持っているとか、ホームラン専用バットを作ってくれたという話をしてくれた。でも、わたしには全くわからない話だった。」

未来人の次は宇宙人か。




57 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:14:03.46 ID:L16jdEMsO

「あなたはこうも言っていた。昨日と今日で世界が変わっている。ハルヒの変わりに朝倉がいる。朝倉はわたしの同類。それから情報統合思念体・・・」

長門は話しを続けるが、ますます意味が分からなくなってきた。こいつら全員で俺を篭絡しようとしているんじゃないかと思えるほどだ。記憶が無いとはいえ、未来人だとか宇宙人だとか世界が変わっただとか、こんな話をされたら何言ってんだこいつら?ってなるだろう普通なら。

「その日あなたはパソコンをいじって、帰った。」

「このパソコンに何かしらのカギになっていることは間違いないのよ!」

涼宮が口を挟んできた。

「どうです、記憶が戻ってきたりはしませんか?」

「全く無い。これはもう思い出すとかより元々その記憶自体が無いと表現した方がいいかもしれんな。俺の脳は見事に何も無いと言っている。」




58 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:17:03.92 ID:L16jdEMsO

「次の日もあなたはここに来てくれた。あなたは本棚にある本を手にとってある栞を見つけた。その栞には私の字でこう書いてあった」

『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』

その栞に書いてある文字は長門が書く文字と似ているが、長門自身は書いた覚えは無いのだという。じゃあ誰が書いたんだよ。

「向こうの世界の長門さんが書いたものだと思われます。どうやらその栞が、昨日以前のあなたにとって大事な手がかりとなるものだったのでしょう」

向こうの世界?なんじゃそりゃ。もうね、話が飛びすぎててわからん。お前、頭がおかしいんじゃねーのか。宇宙人とか未来人とかばっかだが、お前らはオカルトマニア研究会なのか?俺を勧誘しようってのなら他を当たってくれ。そんなもんに興味なんぞ無いからな。




60 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:18:20.70 ID:L16jdEMsO

「僕の頭がおかしくなったという可能性も十分にあります。僕自身も昨日の出来事については、その出来事を目の前で見ていたにもかかわらずまだ信じられない部分もあるのですよ。それについても追って説明しますので、とりあえず今は僕達の話を聞いていただけないでしょうか」

その後俺は本棚の本を端から端まで調べたらいが、その俺にとって必要な物はその栞以外には見つけられなかったらしい。

しかもその日の俺はなんと、長門の家に単身乗り込んだのだという。先ほど朝比奈さんに乱暴を働いた話を聞いたばかりなので、長門に対しても何かしてしまったのかと心配になり反射的に謝ろうとしたのだが、特にそのようなことはしなかったらしい。
ほっと長門の胸を撫で下ろす。途中朝倉がおでんを持って来て三人で食事をしたらしいが、今朝の朝倉の妙な目線はこのせいだったのだろうか。




61 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:20:00.07 ID:L16jdEMsO
さて、どうやら一番重要らしいのは昨日、十二月二十日だ。昨日は途中から記憶がある。

冒頭の通りだが、いねむりから目を覚ましたのが午後6時付近、それ以降の記憶は執筆した通りだ。
それから谷口の話によれば俺は学校を途中でぬけだし、涼宮に会いに行ったそうだが・・・。

「そこまで話を聞いているのでしたら説明は早いですね。僕と涼宮さんがあなたと出合ったのはまさに昨日です。光陽園も午前中で授業が終わる日程でしたから、掃除が終わった後、僕と涼宮さんは校門を出ました。」

「あんたに会ったのは校門を出てすぐ。いきなり「おい!」って声かけられて最初は何こいつ?って思ったんだけど、あんたはあたししか知らないはずのことを言った」

何を言ったんだ俺は。ハルヒは少し間を置いてからこう話した。

「あたしはね、まぁ自分でこんなこと言うのもなんか恥ずかしいから嫌なんだけど・・・いいわ、特別に説明してあげるから感謝しなさい」




63 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:21:29.29 ID:L16jdEMsO
「何に感謝しろって。行為の前にお礼を言うやつがどこにいる。」

「うるさいわね、とりあえず聞きなさいよ」

俺は塩をかけられたナメクジのように黙って涼宮の話を聞くことにした。




66 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:24:34.64 ID:L16jdEMsO

「中学一年生の時よ。ある夜にあたしは思うことがあって東中に忍び込もうとしたの。鍵は事前にくすねておいたんだけどね。さて忍び込もうと思った時にあたしに声をかけてくる奴がいたわ。「おい」ってね。そいつは北高の制服を着ていた。やけに協力的だったからあたしはそいつと一緒に、白線を引く道具あるでしょ?名前忘れたけど。それで校庭にメッセージを描いた。織姫と彦星宛のね。メッセージの内容は『わたしはここにいる』 描き終った後そいつに名前を聞いたわ。その時のそいつはこう答えた。『ジョン・スミス』ってね。 まぁその時は大して気にもしなかったんだけどね。校庭のメッセージは翌日には新聞に載るほどの大騒ぎになってたけど、あたしは自分から犯人を名乗り出たわ。別に悪いことをしたつもりなんかなかったもん。だけど、犯人に私以外に北高の生徒がいたこと、そいつがジョン・スミスだと名乗ったこと、それからメッセージの内容については誰にも言ってない。だから私以外に分かる人がいるはずなかったの」




67 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:25:39.01 ID:L16jdEMsO

なるほどな。この際夜中に忍び込んで織姫と彦星宛のメッセージを描いたなんてアホなことについては突っ込まないでおこう。そして、昨日の俺がお前にいったことってのは・・・

「そう、あんたがあたしに言ったのは、自分がジョン・スミスだってことと描いたメッセージの内容の『わたしはここにいる』について」

なるほどな、いやしかし待て、ええと、飛びすぎた話ばかりで大分頭が混乱しているがそれだとおかしい話になるのは俺だって分かる。

「おかしいだろ、お前とジョン・スミスが出会ったのが三年前だから、仮にそいつが北高の一年だったとしても昨日の時点ではもう卒業しているだろう。出会えるはずがない。昨日の俺が本当にそんなことを言ったとしても時間的にありえないだろう」

「あたしもそう思っていたわ。でもね、三年前のあの日にジョンに会った後、あたしは北高の生徒を全員調べたわ。張り込みだってした。でもジョンらしき人を見つけることはできなかった。なぜならジョンはもう北高にはいなかったから。」




68 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:26:41.15 ID:L16jdEMsO

もう反論する気すら起きない。話が破綻しているだろう。こいつらは話が読めているみたいだが俺にはもう大分前から話がかみ合っていない。帰っていいかな、俺。

「この後、あなたと私達は駅前の喫茶店に場所を移し、さらに興味深いお話を聞かせてくれました。そうですね、昨日の彼と今の彼を分けて説明するために、昨日の彼をジョンさん、こちらの彼をキョンさんとして分けて考えましょう。涼宮さん、いいですよね?」

俺のニックネームなのに古泉は涼宮に許可を求める。俺に求めろ、俺に。
まぁいいわとの涼宮の一言で俺はジョンからキョンに戻った。全然嬉しくないがな。

ジョン、まぁつまり昨日までの俺が古泉達に話して聞かせた内容を一部紹介すると、ジョンの世界では涼宮は北高に入学し、古泉も北高に転校してきたらしい。
涼宮には自分の思い描いた通りに周囲を変える得体の知れないスーパーパワーが宿っているが本人はぞれに気付いておらず、その力のせいでジョンやSOS団の面々が大分苦労した話、あ、SOS団ってのはジョンの世界でこの五人が結成した謎の団のことらしい。




69 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:28:13.24 ID:L16jdEMsO

北高では同好会って位置づけになってるらしいが生徒会には認められてないとかなんとか。これがまたマヌケな正式名称で、世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、略してSOS団らしいが、ジョンの方の俺はなぜこんな団の結成を止めなかったのかね。止めようとしたがハルヒの勢いに押されて仕方なくって感じなのだろうか。そんな気がする。

そんなジョンの世界だったが、十二月十八日を境におかしくなってしまった。つまり、俺たちの世界に迷い込んでしまった、あるいは世界そのものがジョンを残して全て変わってしまったと言うのだ。
ジョンは世界を元に戻したいらしく行動していたらしいが。




72 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:29:58.33 ID:L16jdEMsO

「特にジョンは三年前のあの七夕の日の時間遡行については詳しく語ってくれたわ」

ジョンの世界では未来人である朝比奈さんの力でジョンと朝比奈さんは三年前の七夕、ハルヒと共にメッセージを描いた日に時間遡行し、メッセージを描いた後、ジョンの世界では神がかった宇宙人的力を持つ長門に三年間の間時間を止めてもらい元の時間軸に復帰した、という話だった。

「つまり私がジョンと会った日にしか、ジョンは私達と同じ場所に存在していなかったということよ。さっきは北高の生徒を全員調べたり張り込みしたと言ったけどその時にはジョンはもういなかったの。いくら探しても見つからなかったわけ。」

ハルヒはでかい目をきらきら輝かせながら説明する。まるで昔から願っていた夢がかなったとでもいうように。反対に俺の顔は台風直前の空模様並に曇っていたことだろう。

確かに、タイムトラベルができるとなれば先ほどの話もつじつまが合う。タイムトラベルを信じるとすればだが。

ここまで来ると俺は半ばヤケになっていた。




73 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:30:52.23 ID:L16jdEMsO
「とても今すぐに信じろといわれても無理な話だ。しかしまぁ、今は信じるとか信じないとかは脇に置いておいて、とりあえずそうであると仮定するってことでいいだろうか。まぁそうしないと話が先にすすまなそうだしな。」

「なによ!あたしの言ったことが信じられないって言うの?失礼しちゃうわね」

「仕方ないだろう。信じられる奴がそうそういるわけながい。いるとすればよっぽど頭のいい奴か悪い奴だね。まぁ俺の妹なら信じそうではあるが。」

「まぁまぁ涼宮さん、それで良いではないですか。先ほど言いましたとおり、説明している僕でさえ半信半疑な所があります。あなたの言うとおり、仮定しないと話が先に進まないのですよ」

「ちなみにあなたは、失礼、ジョンさんは僕のことについても語ってくれました」




74 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:32:32.60 ID:L16jdEMsO

この古泉は超能力者だったらしい。涼宮の機嫌が悪いと閉鎖空間なるアホ空間が出現し、ついでにそこではビルの高さほどもある巨人も出現するらしい。この巨人を倒すのが古泉の役割であり、倒さないと閉鎖空間が広がり続け、終いには閉鎖空間が現実世界と取って代わるとかなんとか。さっき言ったとおり、こいつの言っていることも正しいと仮定したさ。仮定だけどな。

宇宙人に未来人に超能力者に得体の知れないマヌケパワーを持つ奴の集まるSOS団か。さぞ楽しかろうなぁジョンは。ん、待て、ほかの四人には特別な属性があるが俺にはどうなんだ、何か聞いてないのか?

「あんたには何も無いわ」

マジかよ。

「彼は、自分には何の属性も無い唯の一高校生なのになぜ自分がSOS団にいるのかが一番不思議だとも言っていました。なぜなんでしょうねぇ」

「ふん、何のとりえも無いのに団に入れてあげたんだから、あたしに感謝の一つでもしなさいよ」




76 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:33:53.40 ID:L16jdEMsO

何故にお前に感謝しなければならん。するならばあっちのお前だろう。まあ多分ジョンはしてないだろうがな。

フン、と涼宮は顔をそらした。うーむ。今朝谷口が言っていたが、確かにこいつはツラはいい。
朝比奈さんと比べてもそんなに見劣りしないしな。男にはモテそうだ。まぁ今はそんなことはどうでもいい、聞きたいことがある。

「ジョンは元の世界に戻したい、戻りたいと言っていたそうだが、その後どうなったんだ?俺がここにいるってことはジョンはどうにかなったってことなのか?」

そういうと古泉は少しだけ神妙な顔をして、

「そうですね、その部分についてまだ触れていませんでしたね。」

古泉は少し間をおいてから言った。




79 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:36:22.47 ID:L16jdEMsO

「喫茶店を出た僕たちは北高に向かいました」

北高に?なぜだ。

「侵入するためよ」

あっさり言いやがった。なぜ侵入したんだ。何が目的だったんだ。

「なんとなく見たくなったのよ。ジョンが言ったSOS団ってのをね。楽しそうだったもの。五人集めてあたしたちも団を作るってのも悪くないかなと思ったのよ。五人集めてみて思ったわ、当たりだって。ピンと来たわね、なんかこう、エジソンが蒸気機関を発明した時のアレみたいに!」

ピンときたって感覚についてはまぁなんとなくわかるが。

「のどかわいたわ、みくるちゃん、お茶」
「えっ、お、お茶ですか?えっと、な、長門さん、このコンロつかえますか?」

上級生には見えないが一応上級生である朝比奈さんをいつのまにかちゃん呼ばわりしお茶をオーダーするなんてなんという図々しさか。これがハルヒクオリティか。こりゃジョンも苦労しただろうに。朝比奈さんもそんなに健気にハルヒの命令に従わなくてもいいのに。




80 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:38:12.33 ID:L16jdEMsO

「僕ら五人がこの文芸部室にあつまったその時、急にパソコンの電源が入りました」

古泉はそう言って旧型のデスクトップパソコンを指差す。

「彼はパソコンの電源が入るや否やディスプレイに釘付けになり、かなり集中していましたね。僕らの話し声なんかは聞こえていない様子でした。彼は最後にこう言いました」

『なぜなら俺は、SOS団の団員その1だからだ』

どういう意味だ。

「彼がキーボードの何かのキーを押した瞬間、多分エンターキーですね、ジョンさんはいきなり消失しました」

消失したって、どういうことだ。想像がつかんぞ。

「目の前からいきなり消えた、ということです」

「最初はビックリしたんだけど、何かトリックを使ったんじゃないかって思ったわ。だから今日北高を訪ねて来たわけよ。もしあんたがいたらトリックって可能性もあるからね。でもあんたはいたけど、記憶は無かった。ジョンの言葉を信じるしかないわ」




82 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:39:40.13 ID:L16jdEMsO

「そういえば長門さん、彼が消える直前のディスプレイの様子をあなたは見ていたのではありませんか?」

「・・・・・・」

長門は無言のままうなずき、

「・・・・見ていた。画面にはわたしがいた」

どういうことだ、長門。




83 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:41:29.71 ID:L16jdEMsO

「わたしの、多分別の世界のわたしの彼へのメッセージが表示された」

一字一句正確には覚えていないけど、と長門は続ける。

  このメッセージが表示されたということは、そこにはあなた、わたし、涼宮ハルヒ古泉一樹、朝比奈みくるがいるはずである。

  それが鍵。あなたは答えを見つけ出した。

  これは緊急脱出プログラムである。起動させる場合はエンターキーを、そうでない場合はそれ以外のキーを選択せよ。起動させればあなたは時空改変の機会を得るが成功する保障はできない。

このプログラムが実行されるのは一度だけ。実行されなかった場合はそのまま削除される。Ready?

こんな感じだったと思う、と長門。長門が話してくれた栞について思い出す。そこに書いてあったカギというのがこの五人でジョンは時間内にそれを集めた。ジョンはエンターキーを押してこのプログラムを起動させた・・・ということなのか?




85 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:45:18.68 ID:L16jdEMsO

「そういうことになるのでしょうね」

と古泉。

「僕たちがジョンさんについて知っていることはここまでです。なんせ消えてしまったわけですからね。どうしようもありません。もっとも、あなたが一世一代の演技をしているなら別ですが」

古泉はそう言って喉奥から不快な音を出した。何度も言うようだがここ三日の記憶は無い。ったく、いい加減言い飽きたぜ。

「そのジョンが消えたのが何時頃なんだ?」

「はずかしながら、僕も気が動転していて正確なところまでは覚えていないのですが、午後五時から六時の間だと思われます。・・・そうか、あなたの記憶がはっきりしているのがそれ以降だということですね」




86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 01:46:54.70 ID:Y4ZjBYmUO
なるほど、異世界サイドの話か




87 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:47:46.86 ID:L16jdEMsO

勘のいい奴だ。その通り、俺は午後六時に教室で目覚めた。気が付いたら教室にいたんだ。そこで俺とジョンが入れ替わったってことなのか。

しかしながら、あっちの長門は世界の命運をジョンに預けたのか。さっきのSOS団の話を聞いた限りでも長門には大分世話になっていたようだな。そう言って長門をちらりと見ると、恥ずかしそうに顔をうつむかせる。よく見ると長門も結構かわいいな。隠れファンとか結構多いんじゃないか?眼鏡を取った顔も見てみたいね。

「そうですね、ジョンさんはあちらの長門さんに絶対の信頼をよせていたようです。微笑ましい限りです」

すみませんといいながらくっくっと笑う古泉。しかしまぁ、お前らの言っていることを全て信じたとして、これからどうしようってんだ。もうこの世界にジョンはいないんだから何も手がかりは無いだろ。ジョンの話をネタにSF本でも書こうってのか?

「何言ってんの、そんなつまらないことするわけないじゃない」




88 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:49:11.07 ID:L16jdEMsO

「お前は今全国のSFファンを敵に廻した。だったら何をするんだ?」

「決まってるじゃない!ジョンを追うのよ!」

「何を言っている。確かにそれはそれで面白そうではあるが、もう一度言うがジョンはもうこの世界にいないのだ、手がかりが無いじゃないか。」

「あんたもアホね!始める前から諦めてどーするのよ。やらないで後悔するよりやって後悔したほうがいいって言うでしょ。青春は待ってはくれないわ、当たって砕けろ精神で突進するべきなのよ!」




90 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:52:12.41 ID:L16jdEMsO

お前の青春に俺を巻き込まんでほしいねといい終わる前にハルヒはすっくと立ち上がり、椅子に片足をのせて石原裕次郎がかっこつけたときのポーズみたいな姿勢をして、

「みんな、いいわね!これからSOS団はジョンの後を追います!ジョンがあのあとどうなったのかは分かりません。時空改変に成功してもとの世界に無事にもどれたのか、あるいは失敗して次元の狭間でバッツ達を待っているのかもしれません。もし後者だったら助けてあげる必要があります。どっちにしろ、ジョンの無事を見届けなければなりません。明日からジョンの後を追うための手がかりを探しに入ります!いいわね!文句があるならジョンを見つけた後に文章で提出しなさい。いちおう見てあげるわ」

長門は座ったまま、朝比奈さんは人数分のお茶をトレーに置いた所で、古泉は微笑したまま、俺は何と反論すればよいかと考えながらハルヒを見ていた。




91 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:53:18.68 ID:L16jdEMsO

「いちおう聞くが、SOS団ってのは俺たちのことか?ん?団員構成を教えてくれ」

「何アホなこと言ってんの、あたしたち五人に決まっているでしょ!そうね、団長はもちろんあたし、副団長に古泉くん、副副団長に長門さんと、あーめんどいから有希でいいわよね!、有希とみくるちゃん、キョンあんたはパシリよ!」

パシリて。

「定期集会は毎週土曜、とりあえず明日は北高も光陽園も午前授業だから駅前に集合!午後1時には来なさいよ!それからみんな、ジョンを救出するための策を考えてきなさい!いいわね!」

どうやらジョンは、次元の狭間にとじこめられている設定で決まりらしい。やれやれ。

時計を見ると、午後六時を回っている。大分話し込んでしまったみたいだ。俺は朝比奈さんがせっかく入れてくれたお茶を飲み干した。もったいないもんね。さすが天使のような朝比奈さんが入れてくれたお茶だけあって愛情というスパイスがふんだんに入っているね。ただのお茶のはずなのにただのお茶の三十倍はおいしいですよ。




93 :名前なしなし:2009/05/06(水) 01:55:43.96 ID:L16jdEMsO

帰り際、俺は長門に呼び止められた。

「どうした、長門」

長門の漆黒の瞳が俺を見つめる。

「・・・・・・・お礼、言ってなかったから・・・」

「お礼って何のだ?」

「・・・・・・・図書館のカード」

あぁ、気にしなくていいぞ。部室の本棚とかもちらっと見せてもらったが、あれは全部お前が読んだ本なのか?本が好きなんだな。

「・・・そう」

「何やってんのキョン、有希ー。早く行くわよー!」

「行こうぜ長門」

「・・・・・・」

音も無くうなずいた長門と共に、俺は玄関へと向かった。


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キョン 消失ハルヒ 消失長門 消失古泉 消失みくる 消失世界
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