21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

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その建物の中は明るい状態で見たならば、白と灰色、そして無機質な機械の密集した何かの施設だと気付いただろう。
その建物の外は明るい状態で見たならば、金網と高圧線にぐるりと取り囲まれた発電施設だと気付いただろう。
そして外と大して違わない暗闇の中で一組の男女、いや、男と少女が対峙していた。

発端はカナンにあった。この島に気付いたときには飛ばされていたが、幸か不幸か眼前には大きな施設があった。
自分の荷物とルールブックの確認をし、友人の名前をそこに見つけた際に彼女は内心で僅かに動揺したが彼女は
即座に辺りの探索の第一歩としてこの発電所へと乗り込んだ。

闇雲に探しても見つかる可能性は低く、万一合流ができたとしてもアテもない逃亡劇などいくらも続けられる
ものではない。生き残る為に最初に拠点を確保しておきたかった。そしてこの男がいたというわけである。最初の会場には
カナンもその名を聞いたことのある者が何人かいた。冗談だと思えるほどに冗談ではない面子、直後に見せしめ。

即刻この催しの危険度を理解したつもりだった。この発電所でもそういった参加者に会えば戦いは免れないだろう。
彼女の日常について離れない悪臭を早速嗅ぐことになることも織り込んで突入したというのに。
男の方は飛び込んできたカナンに銃を向けられ警告されても既に諦めでもしたかのように無反応だった。

厳密に言えば男の方は全く少女を相手にしておらずしきりに施設内の計器や機械を調べている。その姿はあまりにも
無防備だった。敵対する意思はおろか抵抗の素振りさえ無い事が少女、カナンの神経を逆なでしていた。少女は全くの
暗闇の中でもそれなりに見える目を持ってはいたがそれでも眼前の男の顔、それも頭部だけは全く分からなかった。
しばらく様子を見ていると男の方から声をかけられた。

(何かで顔を隠しているのか?例えば防毒マスクや何か薄い布を用いて............)
「それで?お前はこの殺し合いとやらに乗るつもりなのか?」 「!?」
「悪い事は言わねえ、自分が一番人を殺せるとでも思ってるんだったら止めときな、馬鹿を見るだけだぜ」

男は手を休めず何か考え事をしながらカナンにそう言ってきた。カナンも先ほどの出来事を思い出す限り自分の力
だけでは主催者を名乗る者たちと渡り合う事は到底不可能そうだと思ったが、目の前の男のいい様に妙な
苛立ちを覚えつい反目してしまう。

「フン、でなければどうだと言うんだ。現状で取りうる行動の指針や策もまだ見つかっていない、何もかもが始まった
ばかりのこの状況で早速諦めるのか、冗談ではない。とりあえずお前を殺してこの場の安全を確保してもいいんだぞ」

だがこの男は何処吹く風といった態だ。暗闇の中で島の各施設に電力を供給していることを示す計器群の明かりが男の
ほの白い顔を浮き上がらせる。彼は穏やかに言った。

「余計だめだな、俺程度を殺したくらいで安全が確保できるなんて言ってるようじゃこの先死ぬだけだ。大人しく
隠れてた方が良い。命がいくつあっても話にならん」

「生憎だが私でなく私の連れにとっては安全の確保に繋がる。彼女にしてみればお前如きでも脅威になり得るからな」

カナンがそう言って銃の引き金に指を掛けると男はぷっと吹き出した。その不気味さに片方の眉が上がる。

「なんだ、始めっからそう言えばいいじゃねえか、要はツレの為にわざわざ人殺しをしてやるんだってな」
自分の意図を言い直されたがカナンは冷静だった。息を吸うとはっきりと告げる。

「悪いか、私はもとより手を汚しているから一切問題はない。貴様もそうだろう。だがこの殺し合いには見せしめの
為、ただ死ぬだけの人数合わせで連れてこられた奴も多くいる。まるで私達のスコア代わりと言わんばかりにな」
「だから私は」と言いかけたところでそれまでカナンを小馬鹿にしたような態度を取っていた男は今度は
やれやれとこぼして台詞に割って入る。

「悪いとは言わねえよ、だがお前の言っているそれは間違いだ。お前ら若い連中は決断したことに対して凄ぇ力を
発揮する。だがその一方で考えを途中でやめたり、物事を側面からしか見なかったり決め付けてかかる所がある」

自分の行動の指針をいきなり間違いだと否定されたことで敵意が増すが何故か体が動かない。男は続ける。

「誰かを守る為に誰かを殺す、時にはそうするしかない時もある。だが今はその時とは違うしそれが今守りたい
相手を守ることにもならない。わかるか、今こうしてる間にもお前のツレが誰かに殺されてるかも知れないんだぞ」

相手の言いたいことは分かっている。自分の友人、大沢マリアを助ける為に探すか、他の参加者を排除するか
は一番最初に考えた。だが闇雲に探して見つかるわけがない。そのために已む無く後者を選んだのだ。

「だが居場所も知れないなら脅威を排除しながら探すしかない。まだ生きていると信じて、探して、
首輪を外して逃げて、それができないなら優勝して、そして............生き返らせる」

ルールブックに記されていた事から考えられる限りの善後策を考えて、それがどういうことか分かっていながら
言う少女の言葉を黙って聞いていた男がまた切り返す、それはとても辛辣で真っ直ぐな糾弾だった。

「違う、お前のソレは仲間を信じてるんじゃねえ、死んでるかも知れねえってことを考えず、自分が殺し合いに
乗るための理由に仕立て上げただけだ。一番考えたくないことは仲間の存在に甘えて向き合わねぇ。
闇雲に探しても見つからないなんて言ってるのもそうだ。他の誰かを殺しながらだってそれは闇雲に探す事と
ここでは何も変らん。少なくともお前のやろうとしてることは相手を信じることとは何も関係がない」

もしも同じ事を考えている者がいれば、その者が非力であればあるほど守ろう思った誰かは率先して
狙われていくことになるだろう。今自分の傍にいない以上参加者を減らす事と安全の確保はイコールにはならない。

「それに生き返らせるなんてことも眉唾だ、あの時の事を思い出せば願いを聞いた後にこっちを殺しにかかる
なんてのも考えられるし、できることとやってくれることは別だろう。そもそも殺し合いに乗らせるだけなら人質に
して脅すだけでいい。もし優勝して自分の恋人でも生き返らせてくれってなれば、結果からしたら初めから
出さなくても良かったことになる。つまり殺し合いに乗らせるための動機であとはお役御免と考えるのが普通だ」

考えていても始まらないと思って行動を開始したカナンだが、目の前の男の言葉を聞くたび頭が重たくなってくる。
こういう見世物の為に自分達は招集されたのだと、ルールがある以上恐らく優勝時の事も見世物の一環として
守られるだろうくらいに考えていたが根拠は無く、主催者側への不審はそのままでるのには変わりなかった。

言葉を聞くたびにマリアへの焦りが募っていく、そして自分にしてみればこの手でなんとしても殺したい相手が
別の誰かに殺されているかもしれないということも思い浮かび内心は大分荒れだしていた。

「ならどうすると言うのだ、この首輪を外せないのはお前も同じだ、偉そうなことを言うな!」
つい動揺を隠せずに声を張り上げてしまったことに他ならぬ少女自身が驚いたが相手の男は平静そのもの
の声で注意を促してきた。
「本気で何とかしようと考えてるなら、もう少し静かにしたらどうだ、俺もそろそろ本題に入りたい」

そう告げて「これでも首に巻いておけ」と何かを放って来る。闇の中でソレを掴む、慣れた手触り、これは............
「トイレットペーパー?」「ここにあった奴だ」「何故コレを?」「首輪の盗撮対策だ」「盗撮?」「首輪での監視
と言えば盗聴か盗撮だ、刑務所では割と珍しくもないな」「!?それなら」

短い問答を繰り返した後カナンは銃を何処かへと仕舞うとデイパックからメモ帳と筆記用具でノートに
文字を書く、その音を聞いて白い顔色の男は「いいぞ、良く気付いたな」と褒めてくる。


「だがこっちの方がいい、一番安全だ」
同じくデイパックを持ってくると男はカナンの手元に指先を持ってくる。一瞬警戒を取り戻したがその指で男は
自分の手に何かを書き始める。そしてその手を首から上に持ってくる。カナンも意図を理解し自分の手を
首から上に持って行き、手と指による筆談の準備をする。

「これは俺がメキシコの刑務所にいた時の話だ、今回の事件とそっくりの出来事を経験した奴が同じ
独房に入ってきたことがあってな、中東での捕虜の人身売買の話は知ってるか」
そう男が切り出してきた。
「ああ、以前大々的にニュースに流れた事件だな、もしかしてあれもそうなのか」
「惜しいな、正解は、アレは参加者集めが露見して、こんなことはもっと昔から横行してたってことだ」

「そして俺が刑務所にいた時に入ってきた奴は当時の殺し合いの勝利者だった、そいつは死刑囚だった」
「無駄がないな、どちらにせよ結末が同じ人間にやらせる所は皮肉だが」
「違う、そいつは死ぬ為に自分から新しく罪を犯した、殺し合いの勝利者になる為にしたことに
堪えられなかったんだ。ただ攫われてきただけの難民だったんだそうだ。勝利の褒章も嘘っぱち、ただ
放逐されただけたった。」

いつかのあの日を思い出すように、男はとうとうと語っていく。間近になってカナンはようやくこの男の顔を見た。
白いマスクをしている。何故そんなものを被っているのか気にはなったがぎりぎりで話の続きに集中する。
すると手を指先で叩かれた、話と別に「本題」を話すつもりなのだろう。カナンは意識を切り替える。

「だから、ここまで冷静だったのか。そいつの話を聞いていたから」
「ああ、とは言っても首輪も違うものだし、逃走防止用の兵士や機雷もないから何もかもってわけじゃない、
だがやることはいつも同じさ、技術屋と仲間を集めて脱出を図る、そいつも裏切りがなければ皆生還して
いた筈だって、何回も俺に言ってきた。刑が執行されるその日まで」

今度はカナンが黙ってマスクの男の話を聞いていた。彼の落ち着きようは死線を潜ったのではなく一度は
土壇場まで行ったが故のものなのだろう。カナンの中での評価や警戒は大分薄れていた。
(元死刑囚か、この風体で生きているという事は脱獄したのだろうな。道理で)

「結局最初に私がやろうとしていた事と何も変らないな、聞くだけ損をした」
「そんなこと一言も言ってなかったじゃねぇか」「殺すつもりだったからなもしそれが本題なら筆談の準備も
いらなかったことになるが」


言われてマスクの男は方を竦めて「悪いが、つい話しちまったな」と言う。しかしこの間に「本題」は既に
話された後だ。今交わしている言葉は無意味にも思えたが一応のカムフラージュだった。

「本題」の中身はこうだ。
首輪で自分達を監視しているということは首輪には、殺し合いの進み具合を知る為の簡単な生死を判断
するためのセンサー、首を吹き飛ばす爆薬、そして逃亡防止用に参加者が逃げたことを知る為の仕組み、
そしてこの殺し合いをひっくり返させないために首輪を外せる者やそれに順ずる者を察知し排除する役目も
負った盗聴器もしくは監視カメラの機能が含まれていると考えられる。

その中でマスクの男が真っ先に目をつけたのは「逃走防止用に参加者が逃げた事を察知する仕組み」である。
逃走した際に首輪が爆発する。先ずどうやって逃走を知るのか、盗聴であれば迂闊な者が喋った時に知る事
になる。監視カメラなら島の周囲の風景から遠退いて行けばわかることである。ではどうやって爆発するのか、
盗聴ならば判断の必要性から主催側が自分で首輪に爆発の指令を送ることになる。監視カメラなら島から
一定距離離れたことを感知し自動で爆発するよう仕向けることができる。ここだ。爆発の指令はどこから
来るのか。始めは主催からであることは当然として、構造としてどこから発信されるのか、あの会場からなのか、
違う。その場に居合わせずしてその場のことを知ることは、魔法でもなければ、機械を通してであるならば
知りたい情報を受信しまた発信する事のできる施設を利用している筈だ。

そうでなければこの島という「場」の意味がない。言い換えればこの島が殺し合いの場に選ばれたのは
この島にも首輪の情報が得られ、首輪を爆破するための仕掛けがあるからこそに他ならない。
この仮定に則れば先ほどの爆破指令がどこから来るのかという問いに新しい選択肢が出現する。

それはつまりこの島全体を覆う様に全域にその電気信号を送受信することのできる施設が大きな一つとして
あるか、もしくは島を覆えるように地図に有る各施設からそれぞれの地点から受け取って、指令を出しているか
あるいはその両方というものである。

(そしてそれらは恐らく島全体に供給される電力によって機能している)
カナンはマスクの男の「本題」とそこから来る頼み、そして自分の意思で発電所の外を走っている。
事はまさに一刻を争うものだ。それ故に彼女は今、友人のことを想い、走っている。

支給された食料は2,3日分この発電所が破壊されれば、島の中の電力供給は停止する。となればこの仮説
から考える限り、指令を飛ばせる所は予備電力が備わっており、こちらの食料の日数分以上保つ施設に
限られる。始まって間もないからこそこの破壊工作は行える。時間が経てば首輪の機能に気付いた者が
出始め、主催に警戒されるようになるだろう。初めの内だからこそ戦闘の巻き添えだと誤魔化せる。


もちろん根拠はないし、仮にこの考えがあっていても首輪の構造が分からなければ意味が無い。
島全体を電波で覆われているなら、逃亡者の有無は首輪が島の電波を感知できなくなった事を
感知した時に発覚するという可能性も出てくるからであり、その時首輪が自動で爆発するのか、それとも
指令を受け取って爆発するのかが分からなければ、島全体をデッドゾーンに塗り替えることにもなりかねない。

大きな危険地帯が出来るのか、それとも一大安全地帯が生まれるのか、それはまだ分からないが確かめて
おく必要は充分にあった。そしてマスクの男はカナンにいくつか頼み事をした。

「済まないがもし同業者に会ってそいつらが脱出も考えてるようなら、あんたからそれとなく打診してくれ、
有る程度の力がなけりゃ単なる命乞いで一蹴されちまうだろう、そういう奴らの説得にはどうやらオレより
お前の方が向いてそうだからな。無茶な頼みだ、聞かないでもいい。オレもやって見るからよ」

カナンは走っている。生き残ろうと思うなら、目先を負うばかりではダメだ、マリアが気がかりだが最後に
どうにもできずに共倒れになるなら、他の参加者を始末して助けられないのも、自分が先に死ぬのも、
探している間に死なれるのも全て同じだ。望むことが有るなら今は欲張らなければダメだ。全てを望む勢いで。
傭兵としてはあまりに馬鹿げた選択。だが今それに賭けるしかない。

デイパックにはマスクの男から受け取ったC4爆薬が4つ、他にはデリンジャー一丁とはずれと思わしきシートのみ
それでもカナンは走っている。向かう先は研究所、手近な目標として向かっていた。
褐色の肌を夜に埋めながらカナンは思い出す、マスクの男が最後に言っていた言葉を

「余計なお世話だろうが言っといてやる。大事なモンほど無くすのは怖いし考えられないもんだ、だから無くした時、
奪われた時、誰かを憎んだり、何も考えられなくなって必死に目を逸らそうとする。けどよ、本当に大事なら絶対
目を逸らすんじゃねえ、最後の時までそいつを見といてやんな。頭ん中も時間も誰にも譲ってやるんじゃねえぞ」

闇の中に轟音が響き渡る。マスクの男が発電所の破壊したのだろう、彼は診療所に向かうと言っていた。
急がねばならない。夜が明ける前にやらなければならない。

「・・・行ったか、生きろよ嬢ちゃん。忘れんな、分かり合うことも、信じ合う事も、別に大事なことじゃねえ。
何が大事かなんて決められてねんだ。信じるってことはなんとなくでできちまう様なモンなんだ」

そう呟くと彼、マスクド竹之内はゆっくりと目を閉じて年の離れた学友たちを思い浮かべると、診療所へと歩き出した。


【一日目 D-8 発電所 深夜】

【カナン@CANAAN】
[状態]:健康 
[装備]:レミントンデリンジャー@現実 弾数残り12発
     C4爆弾x4@現実
    矢印パネル@428 
[道具]:基本支給品×1 矢印パネルは一回きりですが踏んだ人の頭と人生をくるくるさせます。
[思考]
基本:マリアと生きて帰るためにやれる事をやる。
1:研究所の調査及び結果次第では爆破
2:マリアを探す
3:他の殺し屋や傭兵など味方にできそうなら一応説得を試みる。(マリア以外の民間人には話す気はない)

【一日目 D-8 発電所 深夜】
【マスクド竹之内@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康
[装備]:C4爆弾x4@現実(最初は15個あった)
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2(未確認)
[思考]
基本:仲間と帰る為にますは首輪のタイムリミットを外す。
1:仲間を探しながら診療所へ向かう。
2:殺し合いが起きているかどうか確かめ、可能ならば説得を試みる。
[備考]
メキシコの刑務所の話は知恵の輪の話の前段階というオリ設定。

タイトル名は Behind The Mask でお願いします。

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