第一回放送
「…………」
某所、暗い部屋の中。
男――プロデューサーの眼前には、大きなモニターに映し出された、とある島の地図があった。
その上に表示されているのは、50個の、点。
ある点は動きつづけ、ある点は止まっていて。
―――そしてある点は、赤くなってもう二度と動く事はない。
男――プロデューサーの眼前には、大きなモニターに映し出された、とある島の地図があった。
その上に表示されているのは、50個の、点。
ある点は動きつづけ、ある点は止まっていて。
―――そしてある点は、赤くなってもう二度と動く事はない。
「……ふぅ」
小さく、ため息をつく。
男はこのイベントの開催を宣言した後、場所を移してこうして監視を行っていた。
各地に小型カメラがあり、それらが多くのモニターに様々な映像を映し出す。
死角がないとは言い切れないが、首輪には盗聴機能もある為、集団が集まって動かない等、怪しいところがあればそれをオンにして確認もできる。
故に、このイベントを破綻させようとする動きがあれば、それに先手を打つ事も不可能ではない、という事だ。
勿論、そう易々とこちらが介入するつもりはないが。
男はこのイベントの開催を宣言した後、場所を移してこうして監視を行っていた。
各地に小型カメラがあり、それらが多くのモニターに様々な映像を映し出す。
死角がないとは言い切れないが、首輪には盗聴機能もある為、集団が集まって動かない等、怪しいところがあればそれをオンにして確認もできる。
故に、このイベントを破綻させようとする動きがあれば、それに先手を打つ事も不可能ではない、という事だ。
勿論、そう易々とこちらが介入するつもりはないが。
そして、時計をみやる。もうすぐ、一つの区切りを過ぎようとしていた。
――12人。
50人中の、12人。
頭の中で、そんな単語が脳裏をよぎる。
この島で死んでしまった、アイドル達の数だ。
数にして、およそ4分の1。それが多いのかどうかなんて、分からない。
50人中の、12人。
頭の中で、そんな単語が脳裏をよぎる。
この島で死んでしまった、アイドル達の数だ。
数にして、およそ4分の1。それが多いのかどうかなんて、分からない。
けれど、一つ分かるのは。
もう後戻りはできないという事。
もう後戻りはできないという事。
彼女達は手を汚し、その命は失われていく。
もう二度と、戻りはしない。
あの輝きは戻ってくることはないのだ。
他でもない――自分のせいで。
もう二度と、戻りはしない。
あの輝きは戻ってくることはないのだ。
他でもない――自分のせいで。
そんな事を思考しながら、男は溜め息をつき。
その姿に、ぱしゃり、とプラッシュが焚かれた。
「……っ」
その突然の光に、プロデューサーは目を背ける。
「いい表情ですね。一枚、撮らせていただきました」
そこには、一人の女性が立っていた。
「……カメラマン、さん」
彼女を視認したプロデューサーは、その名を呼ぶ。
カメラマン、というのは職業であり名前ではない。
けれど、彼にそれ以外に呼ぶ名前はなく。今は、そう呼ぶしかなかった。
カメラマン、というのは職業であり名前ではない。
けれど、彼にそれ以外に呼ぶ名前はなく。今は、そう呼ぶしかなかった。
「お疲れ様です、プロデューサーさん」
隣に歩み寄り、手に持っていたカメラを置く。
彼女は、プロデューサーが日常の時に仕事仲間として、お世話になっていた人物だ。
765プロダクション外の人物だが、彼が仕事をする時はほぼ確実と言っていいほど一緒になる。
勿論その時に名前は知っていたはずだが、彼女はそれを偽名なのだという。
それ以外にも、プロデューサーは彼女に対して仕事の付き合い以上の事は知らなかった。
分かっているのは、彼女とは今も共に『仕事』をしているという事。
彼女は、プロデューサーが日常の時に仕事仲間として、お世話になっていた人物だ。
765プロダクション外の人物だが、彼が仕事をする時はほぼ確実と言っていいほど一緒になる。
勿論その時に名前は知っていたはずだが、彼女はそれを偽名なのだという。
それ以外にも、プロデューサーは彼女に対して仕事の付き合い以上の事は知らなかった。
分かっているのは、彼女とは今も共に『仕事』をしているという事。
「……順調ですね」
――そして、彼女がこの『仕事』を持ちかけてきたという事だけだった。
「ええ……」
「やはり、皆さんはいい反応をしますね。期待以上です」
「やはり、皆さんはいい反応をしますね。期待以上です」
眼前に流れる幾多の映像をみて、彼女は笑みを浮かべる。
その内心は、プロデューサーにも分からない。彼女はあくまで、『仕事』の内容を伝えるばかりだ。
そして、それに彼はただ従うのみ。
その内心は、プロデューサーにも分からない。彼女はあくまで、『仕事』の内容を伝えるばかりだ。
そして、それに彼はただ従うのみ。
「何より、こういう波乱があるから面白いんですよ」
そんなプロデューサーの反応など気にも留めず、女性は一つの赤い点に注目した。
それが表す事実は、たった一つ。
それが表す事実は、たった一つ。
天海春香の、死。
個性豊かな50人のアイドルが所属する765プロの中でも、彼女はまた特別だった。
特筆すべき何かがあるわけではない。けれど、彼女はよく輪の中心にいた。
彼女の存在に影響を受けた子は多い。具体的にリーダーというものを決めていなかったものの、彼女がまとめ役をする事は多かった。
そんな彼女は、もうこの世にいない。それが影響する事は、多い。
特筆すべき何かがあるわけではない。けれど、彼女はよく輪の中心にいた。
彼女の存在に影響を受けた子は多い。具体的にリーダーというものを決めていなかったものの、彼女がまとめ役をする事は多かった。
そんな彼女は、もうこの世にいない。それが影響する事は、多い。
「……このイベントがどう転ぶかは、彼女達に一任しています。
さて、この事実がみんなに知れ渡ったら、どう動くのか……楽しみです」
さて、この事実がみんなに知れ渡ったら、どう動くのか……楽しみです」
その事実は、もうすぐ行われる『放送』によって、皆に知れ渡る。
天海春香の死、だけではない。
命を落とした12人のアイドル達の事もだ。
それに対して影響を受けない子は、おそらく存在しない。
少なからず、皆が何かしらを想う筈だ。
天海春香の死、だけではない。
命を落とした12人のアイドル達の事もだ。
それに対して影響を受けない子は、おそらく存在しない。
少なからず、皆が何かしらを想う筈だ。
目の前で動く点は、様々な思考を抱えながら動き続ける。
アイドルとして輝くものもあれば、ただ生きたいと願い、足掻くものもいる。
実に多種多様だ。そんな現状をみて、カメラマンであった彼女は満足そうに頷いていた。
アイドルとして輝くものもあれば、ただ生きたいと願い、足掻くものもいる。
実に多種多様だ。そんな現状をみて、カメラマンであった彼女は満足そうに頷いていた。
「では、そろそろ準備の方をお願いします」
「はい」
「はい」
女性が声をかけて、男は立ち上がる。
そのまま別の部屋に向かい、闇の中へと消えていった。
そのまま別の部屋に向かい、闇の中へと消えていった。
「……ねえ。あなたは、どう思いますか?」
一人になった中で、女性は口を開く。
――いや、一人ではない。闇の中に紛れて、また別の女性が機械の前で作業をしていた。
彼女は、カメラマンが――他の皆も馴染みのある、緑色の制服を着た一人の女性。
その問いかけには、何の反応もしない。ただ、自らの職務を全うするだけ。
――いや、一人ではない。闇の中に紛れて、また別の女性が機械の前で作業をしていた。
彼女は、カメラマンが――他の皆も馴染みのある、緑色の制服を着た一人の女性。
その問いかけには、何の反応もしない。ただ、自らの職務を全うするだけ。
その首には、彼女達と同じ首輪が怪しく光っていた。
* * *
ぴーんぽーんぱーんぽーん。
『――――――――ただ今より、第一回定時放送を開始します。
この放送では、放送間で死亡した者の名前を挙げ、そして、進入禁止となるエリアの発表を行います。
ここで上げた情報は、放送終了後に携帯端末に送信されます。
聞き逃した事があれば、それを確認してください。
聞き逃した事があれば、それを確認してください。
それでは、まずは開始からここまでの死者の発表を行います。
天海春香。
菊地真。
横山奈緒。
矢吹可奈。
百瀬莉緒。
野々原茜。
二階堂千鶴。
ジュリア。
宮尾美也。
中谷育。
伊吹翼。
木下ひなた。
……以上、12名です。
天海春香。
菊地真。
横山奈緒。
矢吹可奈。
百瀬莉緒。
野々原茜。
二階堂千鶴。
ジュリア。
宮尾美也。
中谷育。
伊吹翼。
木下ひなた。
……以上、12名です。
続いて、禁止エリアを発表します。
C-3、H-4。この二つです。こちらは、今から3時間後……15時になった瞬間に、禁止エリアへと変化します。
進入禁止エリアは最初の説明の通り、進入した場合に警告音が鳴ったのち、それでも出ない場合は首輪が爆発しますので、お気を付けください。
C-3、H-4。この二つです。こちらは、今から3時間後……15時になった瞬間に、禁止エリアへと変化します。
進入禁止エリアは最初の説明の通り、進入した場合に警告音が鳴ったのち、それでも出ない場合は首輪が爆発しますので、お気を付けください。
……最後の1人となるまで、この殺し合いは終了しませんので、皆様には是非ご理解いただきますよう存じます。
それでは、これで第一回放送を終了します』
それでは、これで第一回放送を終了します』
その男の声は、最後まで他人行儀のまま、その放送を終えた。
【残り 38人】
| 未来へのストローク | 時系列順に読む | アナタガ欲シイ |
|---|---|---|
| 未来へのストローク | 投下順に読む | アナタガ欲シイ |
| オープニング | プロデューサー | |
| カメラマン | ||
| 音無小鳥 |