砂の城
それでは、これで第一回放送を終了します』
「はぁ……」
可奈の死をあらためて認識させられてさらに心が沈む。
可奈の最後の姿が瞼に焼き付いている。
可奈の言葉が耳に残っている。
可奈との約束がある。
可奈の歌が。
可奈の死をあらためて認識させられてさらに心が沈む。
可奈の最後の姿が瞼に焼き付いている。
可奈の言葉が耳に残っている。
可奈との約束がある。
可奈の歌が。
「……」ブンブン
頭を振ってその考えを振り払う。
いつもの私はどこに行ってしまったのか。
頭を振ってその考えを振り払う。
いつもの私はどこに行ってしまったのか。
「状況を整理しなきゃ……」
サッカー場にあったドリンクを補給しつつ、独り言がこぼれる。
12人。もう12人の死がある。
12人。もう12人の死がある。
私は2人しか殺していない。
殺すのを躊躇しないように訓練されている私ですらこれなのだ。
ということは、10人程殺人者がいるのではないか?
みんな杏奈のようになっているのかもしれない。
もう誰も信じられない。仲間を作れる状況ではなくなってしまった。
殺すのを躊躇しないように訓練されている私ですらこれなのだ。
ということは、10人程殺人者がいるのではないか?
みんな杏奈のようになっているのかもしれない。
もう誰も信じられない。仲間を作れる状況ではなくなってしまった。
「ということは、私が積極的に動く意味は今ない……」
その独り言は本心か、殺人が嫌だから正当化しているだけなのか。
杏奈を殺人者に突き落としておいてなんたる考えか、と自分が少しだけ嫌になっていく。
杏奈を殺人者に突き落としておいてなんたる考えか、と自分が少しだけ嫌になっていく。
「ふぅ……」
長期戦にしても短期決戦になるにせよ、装備や食料、情報が重要であることは疑いない。
まずはゆっくり体制を整えて行こう。
長期戦にしても短期決戦になるにせよ、装備や食料、情報が重要であることは疑いない。
まずはゆっくり体制を整えて行こう。
と思ったのだが、とりあえずの武器はあり、食糧もまだある。
情報だが、これは正直あっている人が少なすぎてわからない。
少なくとも向かいのホテルには誰もいなさそうだ、ということぐらいか。
情報だが、これは正直あっている人が少なすぎてわからない。
少なくとも向かいのホテルには誰もいなさそうだ、ということぐらいか。
「何も進展してないじゃない……」
志保は放送で情報を手に入れられるのではないか、
そしてジョーカーである自分は個人的に情報をもらえないか、と期待していたのだ。
志保は放送で情報を手に入れられるのではないか、
そしてジョーカーである自分は個人的に情報をもらえないか、と期待していたのだ。
しかし、そんなことはなかった。タブレットにも何も連絡が入ってこない。
プロデューサーは志保に自力でなんとかしてほしいらしい。
頼りにならない、とタブレットを見ながらつぶやく。
プロデューサーは志保に自力でなんとかしてほしいらしい。
頼りにならない、とタブレットを見ながらつぶやく。
思えば、プロデューサーさんはジョーカーとして志保に活躍してほしいと言いながら
武器は拳銃1丁しか渡してない。
もう少し多く渡してほしかったと毒づきそうになり、あわてて止める。
武器は拳銃1丁しか渡してない。
もう少し多く渡してほしかったと毒づきそうになり、あわてて止める。
プロデューサーさんはアイドルの会話をその気になれば聞ける、と言っていた。
生き残るためにはプロデューサーの機嫌を損なうわけにはいけない。
私が杏奈をたきつけたのも把握しているはずだし、
私が奈緒を殺したのも把握しているはずだし、
私が可奈を殺したのだって把握しているはずだ。
私はプロデューサーさんのために働いている。他の人よりずっとうまくやっているはずだ。
プロデューサーさん、もうちょっと私のこと見てもいいんですよ?」
生き残るためにはプロデューサーの機嫌を損なうわけにはいけない。
私が杏奈をたきつけたのも把握しているはずだし、
私が奈緒を殺したのも把握しているはずだし、
私が可奈を殺したのだって把握しているはずだ。
私はプロデューサーさんのために働いている。他の人よりずっとうまくやっているはずだ。
プロデューサーさん、もうちょっと私のこと見てもいいんですよ?」
……いつから声に出していたのだろうか。まったく、情けない。
頭を振って雑念を振り払う。今ここに敵が来ていたらどうするつもりだったんだろう。
私にはやるべきことがあるのだ。
私にはやるべきことがあるのだ。
さて、体勢を整えるのにサッカー場は向かない。どこから人が入ってくるかわからないし、
食料があるが睡眠場所や生活用品が十分にはない。
一応タオルとスポーツドリンク、着替え用のユニフォームはあったので放送前に回収して収納しておいた。
食料があるが睡眠場所や生活用品が十分にはない。
一応タオルとスポーツドリンク、着替え用のユニフォームはあったので放送前に回収して収納しておいた。
籠城に向いていて、さらに誰も行かなそうな場所に向かおう。
その道中で情報と武器を集めていくのがいいだろう……
そんな口当たりはいいが実行できるかは怪しい考えが志保を支配していく。
すると、志保はあることに気づいた。
その道中で情報と武器を集めていくのがいいだろう……
そんな口当たりはいいが実行できるかは怪しい考えが志保を支配していく。
すると、志保はあることに気づいた。
「あれ……?」
そんなことをしているうちに、タブレットの電池が減っていたのだ。
充電をしながら使おうと思って支給品を見たが……
そんなことをしているうちに、タブレットの電池が減っていたのだ。
充電をしながら使おうと思って支給品を見たが……
充電機がない。
ない。
ない。
一瞬、プロデューサーが入れ忘れたのかと思ったが、そんなはずはない。
これだけ大がかりな仕掛けをしておいてこんなミスはありえない。
私に嫌がらせでもないだろう。私は『ジョーカー』なのだから。
これだけ大がかりな仕掛けをしておいてこんなミスはありえない。
私に嫌がらせでもないだろう。私は『ジョーカー』なのだから。
「プロデューサー……!」
怒りにも、感嘆にも似た声が出る。
あの人はこんな場所でも罠を張っている。タブレットの電池がなくても放送を聞けばいいのだから
即座にまずいことはない。
しかし、充電器をどこかで調達しないと情報戦で負ける可能性があるということだ。
あわてて考える-どこに充電器があるか。
怒りにも、感嘆にも似た声が出る。
あの人はこんな場所でも罠を張っている。タブレットの電池がなくても放送を聞けばいいのだから
即座にまずいことはない。
しかし、充電器をどこかで調達しないと情報戦で負ける可能性があるということだ。
あわてて考える-どこに充電器があるか。
「ショッピングセンター……」
まず、ショッピングセンターにはあるだろう。しかし、あそこには杏奈がいる……
杏奈はこっちに殺意を向けてくる可能性が高い。却下だ。
まず、ショッピングセンターにはあるだろう。しかし、あそこには杏奈がいる……
杏奈はこっちに殺意を向けてくる可能性が高い。却下だ。
「コンビニ……もないし」
考えがまとまらない、そんなとき一つの施設が目に留まる。
考えがまとまらない、そんなとき一つの施設が目に留まる。
「発電所?」
もちろん、発電所はこの島の電気を供給している存在であり、この段階ではそれ以上でもそれ以下でもなかった。
しかし、志保はその場所で充電ができるのでは、そして籠城できそうな工場らも近くにあり、
そこに向かうのがよさそうだと思った
今考える力があまり残っていなかったその思いつきに身をゆだねることにした。
もちろん、発電所はこの島の電気を供給している存在であり、この段階ではそれ以上でもそれ以下でもなかった。
しかし、志保はその場所で充電ができるのでは、そして籠城できそうな工場らも近くにあり、
そこに向かうのがよさそうだと思った
今考える力があまり残っていなかったその思いつきに身をゆだねることにした。
「街の方には人が多いだろうし……」
人に会いたくない。こんな自分を見せたくない。
とすると……
人に会いたくない。こんな自分を見せたくない。
とすると……
「コンサートホールの脇を通って」
地図は頭に入れた。禁止エリアにも一切引っ掛かっていない。
この細い道を好んで歩くよりは近くの街を通る人の方が多いだろう、という計算もあった。
地図は頭に入れた。禁止エリアにも一切引っ掛かっていない。
この細い道を好んで歩くよりは近くの街を通る人の方が多いだろう、という計算もあった。
「……」
志保にその気はなく、その上気づいていたら自己嫌悪だったのだろうが、
短期的な思考を繰り返すことによって志保は落ち着きを取り戻していた。
可奈のことは頭にあったはずだが、身近な忙しさがそれを塗りつぶしていたのだ。
短期的な思考を繰り返すことによって志保は落ち着きを取り戻していた。
可奈のことは頭にあったはずだが、身近な忙しさがそれを塗りつぶしていたのだ。
「……」
この瞬間から、可奈の事は志保の頭から飛んだ。
薄っぺらな安寧。それは堕落か、適応か。
可奈、杏奈、奈緒から目を背けるように、志保は北に向かって歩き出した。
薄っぺらな安寧。それは堕落か、適応か。
可奈、杏奈、奈緒から目を背けるように、志保は北に向かって歩き出した。
【一日目/日中/E-2】
【北沢志保】
[状態]精神的にある程度の落ち着きを取り戻す
[装備]ベレッタM92(13/15)
[所持品]基本支給品一式、不明支給品0~1、9x19mmパラベラム弾入りマガジン(2)、タオル、着替え
[思考・行動]
基本:"ジョーカー"として動く
1:とにかく、人を殺して行く
2:嘘をついてなくちゃ――――
3:可奈の『呪い』を背負い続ける
4:放送を聴き終わるまでサッカー場に篭城する
5:人に会いたくない、見られたくない
6:発電所に行かなくちゃ
[状態]精神的にある程度の落ち着きを取り戻す
[装備]ベレッタM92(13/15)
[所持品]基本支給品一式、不明支給品0~1、9x19mmパラベラム弾入りマガジン(2)、タオル、着替え
[思考・行動]
基本:"ジョーカー"として動く
1:とにかく、人を殺して行く
2:嘘をついてなくちゃ――――
3:可奈の『呪い』を背負い続ける
4:放送を聴き終わるまでサッカー場に篭城する
5:人に会いたくない、見られたくない
6:発電所に行かなくちゃ
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