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刻まれてる誓い

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刻まれてる誓い

高坂海美と別れてから誰とも会う事はなかった。
途中温泉を見つけたが少し探索したが目ぼしいものもなく離脱した。
その後歩き続ける事1時間以上、何一つ進歩がなかった。

誰とも会うことは出来ず情報も集まることは一切なかった。
持っている情報は徳川まつりが生き残ろうと動いている事。
高坂海美が協力者になって動いてくれる事。
現状わかっている事実はこれだけだ。

今の所2人にしか会っていなく通った施設からも情報は得られていない。
その時点で情報の点でかなり遅れていると言える。

――――その差を埋めるための時間は、もうすぐやってくる。

定時放送、あの時プロデューサーさんが言っていたものが言っていた通りならもうすぐ始まるはずである。
入る情報は最低ラインでも死亡者と禁止エリアについてくらいだろう。
だがそれでも今の自分のとっては十分な情報となる。

「……墓地がすぐ近くにあるそうですが~……あ、ありましたね~♪」

情報を聞きそびれないようにどこかの施設にでも行って聞ければいいと考えたのだが、あるのは墓地くらいだ。
温泉があるところで待っていればよかったとも言えなくはないがあそこで2時間前後待っていては進展はもっとなかっただろう。
結局は行ってみなければわからないのである。

「それではここで一時休憩としましょうか……もうそろそろ放送も始まるはずですから」

墓地の敷地内に入る。
特に記述点はない墓地と言った感じではある。
休憩所のようなベンチと机が置いてある場所がある。
その周りはほとんど墓石で埋められていると言った感じの墓地だ。

「……」

ベンチに座り、荷物から端末を取り出す。
名簿や地図を開き色々確認する。
禁止エリアについての詳細、現在の位置などなど。
放送が開始されるまでほとんど時間がないとはいえ少しでも時間があるのならば何度もルールを読み返しておくべきだろう。
どこか違う施設ならば施設内を探索すると言うのもありかもしれないがここは墓地である。
どこからどこへ行っても墓でこれといった施設はない。
ならば今するべきことはルールについて見返す事だけだ。

しかしながら、ルールを見返したところで進展はあまりない。
それは覚悟したことではあったが、やはり今の状況は芳しくない。
せめて誰か人と遭遇できれば……多少のこの停止した状況も打開できるはずである。

「この放送が終了したらすぐに出発するのが得策でしょうかね~?」

そう言った所で誰も答えてくれるわけもなく。
自分の声は静寂の中へと消えて行った。

と、その時であった。
ぴーんぽーんぱーんぽーん。
そんなどこか抜けたような音が流れた。

『――――――――ただ今より、第一回定時放送を開始します』

その数秒後、どこかからか聞こえてきたのは誰でもない……プロデューサーの声だった。
淡々と文を読み上げている、と言った印象を受ける。
放送終了後に端末に情報は提供される。
聞き逃しても端末で確認が取れる。
という事らしい、そうだったならばこんな場所でわざわざ聞き逃さないように、と考えていた自分が馬鹿らしくなる。
やろうと考えて動いた事全てが裏目に出ている、そんな感じがした。

『それでは、まずは開始からここまでの死者の発表を行います』

……ここからがある意味本番である。
この6時間の間に死んだ人、そして人数である。
出来るだけ人が少なければいいのだが、どうなるか。
1人目の名前が呼ばれる――――。



天海春香



       ◆         ◆         ◆



放送が終わりを告げた。
禁止エリアについては現状考えないで問題はない。
今いるエリアが潰されたり、近くのエリアがなっているわけではないから。

だがそれよりも考えさせられるのが、この6時間で死んだ死者の数だ。
12人、30分に1人は死んでいる計算ともなる。
この時点で殺し合いに乗っている人数は少なくとも6人はいると見ていいだろう。
いくら彼女――――徳川まつりでも6時間で12人を殺して回るのは不可能なはずだ。

(……そう考えると悠長にしている余裕はなさそう、ですかね~)

このまま行けばまず間違いなくどんどん犠牲者が増えてしまう。
その前に殺し合いに乗っていない人を探し出して仲間に引き入れたい……のだが。
それにはまず人と会わなければいけない。
そして今人に会う気配は全くない。

「……困りましたね~」

だがこれ以上考える事は放送からはないであろう。
1時間で12人の犠牲者が出た。
禁止エリアは現状気にしなくていい。
それだけが、情報なのだ。



「……はぁ」



そう、言い聞かせようとしたのに。
頭から、全然離れてくれない。


『天海春香』


彼女の名前が、先ほどの放送で呼ばれたその名前が。
放送で呼ばれたという事は、まず間違いなく死んでいると考えていいのだろう。

はっきりと言うのならば、かなり動揺した。
彼女なら、天海春香ならば、生きているのではないかと。
心のどこかでそんな甘えがあったから。

そんなわけがないのに。
心のどこかで、この殺し合いを打破しようと真っ直ぐに歩んでいるのだと。
そう考えていたのだ。

どれだけ真っ直ぐな人であろうとも、強い人であろうとも、死ぬ。
これが『バトルロワイアル』なのだと、痛感する。


「……」


でも、ここで悲しんでいる余裕など、ない。
確かに悲しいと言えば悲しい。
だが彼女が、天海春香がそんな私を見て良かったと思うだろうか。

少しでも、彼女の分もこの殺し合いを止めると決意をする方が。
彼女は喜ぶのではないだろうか。
それは私の勝手な考えかもしれないけれど。
何も残せず死ぬなんてことを、してはいけないと思う。


「……今は悲しむことはやめましょう」


「全部、この殺し合いを終わらせたその時……悲しむことにしましょう」


「だから……そこで見ていてくださいね……」




「私が……『私達』がこの殺し合いを終わらせてあげますから♪」






【一日目/日中/G-6墓地】

天空橋朋花
[状態]健康、固い決意
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、不明支給品1~2(銃に匹敵するような武器はない)
[思考・行動]
基本:プロデューサーに罰を与える
 1:誰か人と合流する
 2:徳川まつりへの対策を考えておく




ただ、私から……聖母ではなく天空橋朋花個人から言いたいことが一つだけあります。
春香さん……貴方の事だからきっと、生き残って皆を笑顔にしようと考えていたのでしょう。
だから私が貴方の分まで……この殺し合いを生き残って皆を笑顔にしてみせます。



「――――さようなら……私のともだち、春香ちゃん」



だから……天空の上で私を見てくれていると、嬉しいです。


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