LIAR LIFE
「志保ちゃんも紗代子さんも亜美も、どこにいったんだろうね」
大きなコンサート会場の近くにある、四方に道を長く伸ばす十字路。
その中心に三人は立って(一人は横にバイクを引きながら)、考え込んでいた。
その中心に三人は立って(一人は横にバイクを引きながら)、考え込んでいた。
「三択か……」
「紗代子さんが、二人の方向に行ったって事は?」
「オレとのり子は見てないけど……なくもないな。紗代子に限って言えば、四択になるのか」
「紗代子さんが、二人の方向に行ったって事は?」
「オレとのり子は見てないけど……なくもないな。紗代子に限って言えば、四択になるのか」
春日未来、永吉昴、福田のり子。
このイベントが始まり、この時に至るまで様々な事があった。
今、確実に一つ共通しているのは、この殺し合いには乗っていないという事。
彼女達は強い決意のもとに、この凄惨なイベントを止めようとしていた。
このイベントが始まり、この時に至るまで様々な事があった。
今、確実に一つ共通しているのは、この殺し合いには乗っていないという事。
彼女達は強い決意のもとに、この凄惨なイベントを止めようとしていた。
そんな三人がまず危惧していたのは、危険人物によるこれ以上の被害の拡大だ。
今、彼女達が把握している、殺し合いに乗っている人物は意外と多い。
三人が退けたばかりの少女、北沢志保。
それに加えて、未来が襲われた高山紗代子と、のり子が目撃した双海亜美がいる。
止めなくてはならない。が、どこにいるかはわからない。
彼女達がどこへ行ったのか。どの方向にでも行ける十字路だからこそ、その選択は悩ましかった。
今、彼女達が把握している、殺し合いに乗っている人物は意外と多い。
三人が退けたばかりの少女、北沢志保。
それに加えて、未来が襲われた高山紗代子と、のり子が目撃した双海亜美がいる。
止めなくてはならない。が、どこにいるかはわからない。
彼女達がどこへ行ったのか。どの方向にでも行ける十字路だからこそ、その選択は悩ましかった。
「……そうだなぁ、これは別れて探した方が効率がいいかもしれないね」
「三人だったら、ちょうど右と左とまっすぐで一人ずつか……」
「三人だったら、ちょうど右と左とまっすぐで一人ずつか……」
結局のところ、どれだけ悩もうがアテはない。
だったらここで別れて別々に探した方がいいかもしれない。のり子は、そう提案していた。
だったらここで別れて別々に探した方がいいかもしれない。のり子は、そう提案していた。
「……っ、で、でも危険だよ! もしまた襲われたら……!」
未来はその提案に、不安そうな表情を浮かべ、難色を示して声を上げる。
個々に別れてしまうと、いざ危険人物に会って襲われた時に危険だ。
それは、実際に襲われた未来が何よりも分かっていた。
個々に別れてしまうと、いざ危険人物に会って襲われた時に危険だ。
それは、実際に襲われた未来が何よりも分かっていた。
「確かに……オレも未来も、ちょっと万全とはいえないしな」
「ぅ……ごめん」
「だから気にすんなってば」
「ぅ……ごめん」
「だから気にすんなってば」
それに、未来も昴も、相手こそ違えど多くの打撲傷を負っている。
未来の方は、紗代子がそこまで力も技術もなかったが故に引きずっている様子はないが、昴の方はそこそこ重い。
一人では歩くのも難儀するような傷であったのを、すっかり失念していた。のり子は自分の落ち度である事もあって小さな声で詫びる。
未来の方は、紗代子がそこまで力も技術もなかったが故に引きずっている様子はないが、昴の方はそこそこ重い。
一人では歩くのも難儀するような傷であったのを、すっかり失念していた。のり子は自分の落ち度である事もあって小さな声で詫びる。
「それに……オレは痛いだけだけど、他のみんなはそれどころじゃないかもしれないんだ。止まってられないよ」
ぎゅっと、昴の拳が握られる。
今まで、たくさんの危機があった。救えなかった子もいた。それを強く悔やんだ。悔しかったし、哀しかった。
だからこそ、止まれない。これ以上悔しさを、哀しさを残さない為にも、前を向き、進み続ける。
それが、昴の決意であった。二人も、それに同調するように頷く。
今まで、たくさんの危機があった。救えなかった子もいた。それを強く悔やんだ。悔しかったし、哀しかった。
だからこそ、止まれない。これ以上悔しさを、哀しさを残さない為にも、前を向き、進み続ける。
それが、昴の決意であった。二人も、それに同調するように頷く。
「人に会うなら街、だけど。未来はもう行ったんだよね」
「紗代子さんを追って、すぐこっちに来たから……いる、のかなぁ」
「……街にトンボ返りするかどうかだな。それと志保と、亜美も」
「紗代子さんを追って、すぐこっちに来たから……いる、のかなぁ」
「……街にトンボ返りするかどうかだな。それと志保と、亜美も」
彼女達は再合流した際に、軽い状況の整理もしていた。
今までの事を、今度は一切包み隠さず。それ故に危険人物の情報も共有した。
そして、未来が街で行動していた事も、そこで紗代子以外の子に会えていない事も分かっている。
改めて、南の街で捜索をするか。少なくとも、何もないという事はなさそうだが。
今までの事を、今度は一切包み隠さず。それ故に危険人物の情報も共有した。
そして、未来が街で行動していた事も、そこで紗代子以外の子に会えていない事も分かっている。
改めて、南の街で捜索をするか。少なくとも、何もないという事はなさそうだが。
悩んでも仕方がない。動かないよりも、とにかく動いて探した方がいい。
昴が、そんな提案をしようと声を出そうとした、瞬間。
昴が、そんな提案をしようと声を出そうとした、瞬間。
「…二人とも、下がって」
不意に、のり子の声のトーンが下がった。
「誰か来る」
「っ……」
「っ……」
一番前にいたのり子が、昴と未来を庇うように手を広げ、様子を伺う。
四つの道の内の一つ、南の街へ続く道に、人影が見えたのだ。
まず間違いなく、同じ事務所の仲間のうちの誰かだろう。
――そして、危険な可能性のある、誰か。
四つの道の内の一つ、南の街へ続く道に、人影が見えたのだ。
まず間違いなく、同じ事務所の仲間のうちの誰かだろう。
――そして、危険な可能性のある、誰か。
「昴」
「何?」
「バイクの運転、できそう?」
「……………何が言いたいんだよ」
「何?」
「バイクの運転、できそう?」
「……………何が言いたいんだよ」
遠くからの人影から目を逸らさず、のり子は昴に声をかける。
要領の得ない問いかけ。イエスかノーかより、昴は何故それを今聞くのかを気にかけていた。
要領の得ない問いかけ。イエスかノーかより、昴は何故それを今聞くのかを気にかけていた。
「もし、最悪の時は」
「言っとくけど、俺はもう誰も見捨てないからな」
「……だろうね、言うと思った」
「言っとくけど、俺はもう誰も見捨てないからな」
「……だろうね、言うと思った」
のり子の言いたい事は、分かっていた。
しかし、だ。それではダメだ。そんな事をすれば、昴が心の内に決めていた事が、できなくなってしまう。
綺麗事だからこそ、綺麗事を貫くつもりだからこそ、現実的な事は考えつつも、自分は曲げない。
しかし、だ。それではダメだ。そんな事をすれば、昴が心の内に決めていた事が、できなくなってしまう。
綺麗事だからこそ、綺麗事を貫くつもりだからこそ、現実的な事は考えつつも、自分は曲げない。
「じゃあせめて、アタシに守らせてよ。襲ってくるようなら、一番動けるアタシがいくからね」
「分かった、無茶すんなよ」
「分かった、無茶すんなよ」
それでも、最悪の事態に備えて覚悟を決めておくことは必要だった。
相手がこちらを確認し次第襲ってくるような危険人物なら、隠れる場所の少ないこの十字路は危険だ。
もう、現実から逃げはしない。けれど生きる為、死なない為に退く事は必要だろう。
その為に、元々一番身体能力が高い上に負傷も少ないのり子が二人を守るというのは、一番合理的だった。
それに対しては昴も、その横にいる未来も頷き、相手の出方を伺う。
相手がこちらを確認し次第襲ってくるような危険人物なら、隠れる場所の少ないこの十字路は危険だ。
もう、現実から逃げはしない。けれど生きる為、死なない為に退く事は必要だろう。
その為に、元々一番身体能力が高い上に負傷も少ないのり子が二人を守るというのは、一番合理的だった。
それに対しては昴も、その横にいる未来も頷き、相手の出方を伺う。
――その少女は、血に濡れた剣を握りしめて、こちらを見ていた。
* * *
十字路で合流した少女、高槻やよいは、三人に対し襲い掛かってくるという事はなかった。
声をかければ、普通に反応してくれた。ひどく挙動不審であるという点を除けば、ある程度は三人が知っている『高槻やよい』そのものであった。
精神的に疲弊している彼女を落ち着かせつつ、情報交換を行う。滞りもなく、それは終わった。
声をかければ、普通に反応してくれた。ひどく挙動不審であるという点を除けば、ある程度は三人が知っている『高槻やよい』そのものであった。
精神的に疲弊している彼女を落ち着かせつつ、情報交換を行う。滞りもなく、それは終わった。
三人がやよいから引き出した情報――結論から言えば、彼女は人を殺していた。
会話の中で察したとか、そういう事ではない。やよい自身が素直に、そう告げたのだ。
会話の中で察したとか、そういう事ではない。やよい自身が素直に、そう告げたのだ。
彼女が話した経緯はこうだ。
この殺し合いが始まって、まず佐竹美奈子と合流し、そしてその後に千早と恵美、さらに亜利沙とも合流した。
皆、この殺し合いを打破するために頑張っていたのだが、そこでやよいは間違いを犯してしまった。
疑心暗鬼と恐怖に苛まれたやよいは、料理に毒を盛ってしまった、と言うのだ。
味見をした美奈子が死に、バレる事を恐れたやよいはそこから逃亡。
だが恵美が追いつかれ、取っ組み合いながらの言い合いとなり、そのさなかで勢い余って。
この殺し合いが始まって、まず佐竹美奈子と合流し、そしてその後に千早と恵美、さらに亜利沙とも合流した。
皆、この殺し合いを打破するために頑張っていたのだが、そこでやよいは間違いを犯してしまった。
疑心暗鬼と恐怖に苛まれたやよいは、料理に毒を盛ってしまった、と言うのだ。
味見をした美奈子が死に、バレる事を恐れたやよいはそこから逃亡。
だが恵美が追いつかれ、取っ組み合いながらの言い合いとなり、そのさなかで勢い余って。
そして、今に至る。
俯き、何度も何度もごめんなさいを連呼しているやよいを見て、三人は目を合わす。
二人も殺した。それは間違いなく、許されざる罪だろう。
けれど今の彼女は、明らかに錯乱しており正常ではない。
もうそれ以上にやろうとするような雰囲気は感じられない、ように見える。
俯き、何度も何度もごめんなさいを連呼しているやよいを見て、三人は目を合わす。
二人も殺した。それは間違いなく、許されざる罪だろう。
けれど今の彼女は、明らかに錯乱しており正常ではない。
もうそれ以上にやろうとするような雰囲気は感じられない、ように見える。
「そっか……正直に言ってくれてありがとう、やよい」
また、二人の仲間が死んでしまった。
その報告は昴にも、のり子や未来にとっても重くのしかかる事実だ。
けれど、今の彼女達は悔やむ以上にやる事がある。
その報告は昴にも、のり子や未来にとっても重くのしかかる事実だ。
けれど、今の彼女達は悔やむ以上にやる事がある。
「なぁ、のり子」
「……あぁ。昴のしたいようにすればいいと思うよ」
「……あぁ。昴のしたいようにすればいいと思うよ」
同行者の二人に対して、確認を取る。昴一人だけの判断で結論を取るわけにもいかない。
とはいえ、今ののり子がいるのは昴あっての事。
彼女が何か決めたのなら、それについていくし、何を言うつもりなのかも大体わかっていた。
未来も、同意見だとばかりに頷いた。
とはいえ、今ののり子がいるのは昴あっての事。
彼女が何か決めたのなら、それについていくし、何を言うつもりなのかも大体わかっていた。
未来も、同意見だとばかりに頷いた。
やよいは俯きがちに、こちらを伺っている。自分がこれからどのように扱われるかが、不安なのだろう。
仲間を殺した、自分が。
仲間を殺した、自分が。
「亜利沙と千早は、どこにいるか分かる?」
「っ…分からないです。走るのに夢中で……」
「っ…分からないです。走るのに夢中で……」
やよいの話を聞く限り、美奈子と恵美は死んでしまったが、千早と亜利沙がまだ生きている。
その所在を……さっきまでやよいがいた場所を聞こうとしたが、錯乱していた彼女は分からない、という。
二人がその後に何をして、どういう思いでいるのかは分からないが。
それでも、まだ生きているのなら、まだ間に合うのなら。
その所在を……さっきまでやよいがいた場所を聞こうとしたが、錯乱していた彼女は分からない、という。
二人がその後に何をして、どういう思いでいるのかは分からないが。
それでも、まだ生きているのなら、まだ間に合うのなら。
「まだ街にいるかな……とりあえず、二人とも合流したいな」
一刻も早く、二人とも合流したい。
二人も、眼前で仲間をみすみす見殺しにしてしまったというのなら、それはとても辛い事だと思う。
今、二人は何を思っているのか。とにかく放っておくわけにはいかない。
その言葉を聞いて、やよいがびくりと震えた。会い辛いだろうが、ここで甘やかすわけにはいかない。
二人も、眼前で仲間をみすみす見殺しにしてしまったというのなら、それはとても辛い事だと思う。
今、二人は何を思っているのか。とにかく放っておくわけにはいかない。
その言葉を聞いて、やよいがびくりと震えた。会い辛いだろうが、ここで甘やかすわけにはいかない。
「やよいも、一緒にいくぞ」
「……い、いいんですか? 私、その……」
「許すかどうかは、まだオレには何とも言えない。
まずは、千早と亜利沙に会って、謝って……それからだと、思う」
「……い、いいんですか? 私、その……」
「許すかどうかは、まだオレには何とも言えない。
まずは、千早と亜利沙に会って、謝って……それからだと、思う」
自分がさして咎められずに話が進んでいる事に対し、やよいは意外そうに言葉をあげた。
もう戻れない存在を許せない、切り捨てるなんて言えば、自分が望む道など到底進めない。
だから、一緒に行こう……そう言いれば良かったのだが、事はそう単純ではない。
やよいの周辺で何が起きたのか、傍から聞いただけではまだ分からない事が多すぎる。
他に当事者のいない状況で、判断を下すわけにもいかない。
もう戻れない存在を許せない、切り捨てるなんて言えば、自分が望む道など到底進めない。
だから、一緒に行こう……そう言いれば良かったのだが、事はそう単純ではない。
やよいの周辺で何が起きたのか、傍から聞いただけではまだ分からない事が多すぎる。
他に当事者のいない状況で、判断を下すわけにもいかない。
「それまでは、悪いけど目を離すわけにもいかない。オレは、信じたいけどな」
「……わかりました」
「……わかりました」
やよいは控え目に頷き、従う。今の彼女には拒否権なんてない。
そはいえ、その様は至っておとなしく、何か暴れだすといった気配なんてもちろんない。
大丈夫だとは思うけれど……一応。そのぐらいの程度で、昴は釘を刺していた。
そはいえ、その様は至っておとなしく、何か暴れだすといった気配なんてもちろんない。
大丈夫だとは思うけれど……一応。そのぐらいの程度で、昴は釘を刺していた。
「未来、のり子。南の街に行って、二人の事も探そう」
「うんっ」
「分かったよ」
「うんっ」
「分かったよ」
行先は、決まった。探し人も増えた。
止めなきゃいけないのは、志保、紗代子、亜美。そして見つけ出さなきゃいけないのは、千早と亜利沙。
そのうち、千早と亜利沙は南の街にいる可能性が高い。
具体的な場所は分からなかったが、分からないならしらみ潰しに探すだけだ。
止めなきゃいけないのは、志保、紗代子、亜美。そして見つけ出さなきゃいけないのは、千早と亜利沙。
そのうち、千早と亜利沙は南の街にいる可能性が高い。
具体的な場所は分からなかったが、分からないならしらみ潰しに探すだけだ。
「よし、道は決まったな……行こう、三人とも!」
こうして彼女達は十字路のうち、やよいがやってきた方向へと歩を進める。
すぐ向こうに、街と思われる光景は見えている。
あの街に、他の皆はいるだろうか――各々の想いを胸に、歩んでいく。
すぐ向こうに、街と思われる光景は見えている。
あの街に、他の皆はいるだろうか――各々の想いを胸に、歩んでいく。
* * *
―――やよいが三人に話した事は、概ね真実だ。
毒を盛ったのは自分だし、恵美を殺したのも自分だ。一切の言い逃れができないから、素直にそう言った。
だが、その説明の中にたった一つだけ。
広い海に一滴の毒を垂らすかのように、一つだけ嘘を織り交ぜた。
毒を盛ったのは自分だし、恵美を殺したのも自分だ。一切の言い逃れができないから、素直にそう言った。
だが、その説明の中にたった一つだけ。
広い海に一滴の毒を垂らすかのように、一つだけ嘘を織り交ぜた。
(……私は、間違ってなんかいない)
間違いを、犯した。
やよいは人を殺した今でも、そんな事は全然思っていない。
彼女は未だに、殺し、生き残って最後の一人となる事に肯定的であった。
やよいは人を殺した今でも、そんな事は全然思っていない。
彼女は未だに、殺し、生き残って最後の一人となる事に肯定的であった。
恵美を殺して逃げてきたやよいは、その道の先に見つけた三人に対して冷静に分析していた。
出会った瞬間に、彼女達は殺し合いに乗っておらず――そして今の自分を警戒しているのを察した。
当たり前だ。今の自分は人を殺して、その返り血にまみれているのだから。
出会った瞬間に、彼女達は殺し合いに乗っておらず――そして今の自分を警戒しているのを察した。
当たり前だ。今の自分は人を殺して、その返り血にまみれているのだから。
次に考えたのは、この状況下を、どうやって切り抜けるか。
武器を持っているとはいえ、やよいは非力である。数でも、身体能力でも劣っている以上、勝ち目は薄い。
ならばまた自分を偽り、集団の中に取り入るか。しかし亜利沙や千早が生きている以上、どこかしらでボロが出る可能性が高い。
逃げる事も考えた。だが逃げ切れるかどうか分からないし、その道中で危険な存在に見つかるかもしれず、危険があった。
武器を持っているとはいえ、やよいは非力である。数でも、身体能力でも劣っている以上、勝ち目は薄い。
ならばまた自分を偽り、集団の中に取り入るか。しかし亜利沙や千早が生きている以上、どこかしらでボロが出る可能性が高い。
逃げる事も考えた。だが逃げ切れるかどうか分からないし、その道中で危険な存在に見つかるかもしれず、危険があった。
どの選択肢も、成功率はあまり高くない。
だからやよいは、ボロが出るかもしれない嘘をつくよりかは、いっそ真実を話す手段に出た。
永吉昴、福田のり子、春日未来。とても切り捨てる非情な決断をするとは思えない。
彼女達ならば、罪を後悔していると告白すれば受け入れる……そう踏んだのだ。
良心につけこむ卑劣な手口。また、自分の心がちくりと痛んだ気がしていた。
だからやよいは、ボロが出るかもしれない嘘をつくよりかは、いっそ真実を話す手段に出た。
永吉昴、福田のり子、春日未来。とても切り捨てる非情な決断をするとは思えない。
彼女達ならば、罪を後悔していると告白すれば受け入れる……そう踏んだのだ。
良心につけこむ卑劣な手口。また、自分の心がちくりと痛んだ気がしていた。
ただ、その最中で精神的に落ち着いていなかったそぶりをみせたのは、実のところ演技ではない。
けれど、それはあくまで『もしかしたらバレるかもしれない』と考えていたからだ。
誰かを殺した、それに対して後ろめたい気持ちはともかく、恐怖や動揺なんてもう感じていない。
しかし別の恐怖をわざと隠さない事で、彼女達が誤解するようにしたのである。
その成果もあって、ある程度信じてもらえただろう……やよいは、そう判断する。
けれど、それはあくまで『もしかしたらバレるかもしれない』と考えていたからだ。
誰かを殺した、それに対して後ろめたい気持ちはともかく、恐怖や動揺なんてもう感じていない。
しかし別の恐怖をわざと隠さない事で、彼女達が誤解するようにしたのである。
その成果もあって、ある程度信じてもらえただろう……やよいは、そう判断する。
(でも……そう上手くもいかないみたいです)
望んでいた流れは、許されて、守ってもらう事だった。
けれど、やはりというべきかそううまくは進まなかった。彼女達は思っていた以上に、冷静だったのである。
千早や亜利沙との合流も、正直反対したかったが、反対したところで聞き入れてもらえる可能性は薄く、警戒が深まるだけ。
二人との合流は避けられそうにもない。今の自分が、それでも受け入れられる事を願うしかなかった。
けれど、やはりというべきかそううまくは進まなかった。彼女達は思っていた以上に、冷静だったのである。
千早や亜利沙との合流も、正直反対したかったが、反対したところで聞き入れてもらえる可能性は薄く、警戒が深まるだけ。
二人との合流は避けられそうにもない。今の自分が、それでも受け入れられる事を願うしかなかった。
『いきなりこんな所に放り込まれて……みんな死んで……ずっと不安で……
それでも、諦めきれなくて……生きたくて……精一杯、足掻いて……
なのにアンタは! そんな気持ちを踏み躙った! 仲間のフリして近づいて! 最初から裏切るつもりで!』
それでも、諦めきれなくて……生きたくて……精一杯、足掻いて……
なのにアンタは! そんな気持ちを踏み躙った! 仲間のフリして近づいて! 最初から裏切るつもりで!』
また、同じ事を繰り返そうとしている。仲間を欺き、安心の隙を突いて。
それを責め立てるように、脳裏に記憶が浮かび上がってくる。
怒りを隠そうともせずにこちらに詰め寄る、彼女の声が忘れられない。
そして、そんな彼女の体を貫いた感触も。
それを責め立てるように、脳裏に記憶が浮かび上がってくる。
怒りを隠そうともせずにこちらに詰め寄る、彼女の声が忘れられない。
そして、そんな彼女の体を貫いた感触も。
もし。
もしも仮に、あの時の恵美に対して、今の偽りの自分のような事をしたとしたら。
彼女は、自分を許してくれただろうか。それとも―――
もしも仮に、あの時の恵美に対して、今の偽りの自分のような事をしたとしたら。
彼女は、自分を許してくれただろうか。それとも―――
(………関係ない、ですね)
そんな思考を、必要がないとばかりにさっさと切り捨てる。
今更、そんな事を考えたところで意味はない。
もう後に引くことなんて、過去に戻る事なんて、できないのだから。
今更、そんな事を考えたところで意味はない。
もう後に引くことなんて、過去に戻る事なんて、できないのだから。
未来が、控え目な笑顔を浮かべてる。
昴が、しっかりと前を見据えている。
のり子が、後ろで皆を見守っている。
やよいはそんな空間の中で、自分だけがドス黒く、浮いているように思えた。
昴が、しっかりと前を見据えている。
のり子が、後ろで皆を見守っている。
やよいはそんな空間の中で、自分だけがドス黒く、浮いているように思えた。
―――なぜならまだ、彼女は手を掴んでいないのだから。
【一日目/午後/E-3】
【永吉昴】
[状態]身体的疲労(大)
[装備]リュックサック(缶詰入り)
[所持品]
[思考・行動]
基本:プロデューサーの真意を知った上で、彼の手を掴む。
1:皆の手を掴んで、プロデューサーの手を掴む。
2:南の街を捜索。志保と亜美、そして紗代子の手も掴む。
[状態]身体的疲労(大)
[装備]リュックサック(缶詰入り)
[所持品]
[思考・行動]
基本:プロデューサーの真意を知った上で、彼の手を掴む。
1:皆の手を掴んで、プロデューサーの手を掴む。
2:南の街を捜索。志保と亜美、そして紗代子の手も掴む。
【福田のり子】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]バイク
[思考・行動]
基本:昴とともに行動。 昴を信じる
1:昴と共に行動。絶対に守ってみせる。
2:南の街を捜索。
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]バイク
[思考・行動]
基本:昴とともに行動。 昴を信じる
1:昴と共に行動。絶対に守ってみせる。
2:南の街を捜索。
【春日未来】
[状態]健康
[装備]屍人形(半壊状態)
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
1:皆でまた、楽しくアイドルがしたい
2:皆を探してプロデューサーさんを止める
3:南の街を捜索。
[状態]健康
[装備]屍人形(半壊状態)
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
1:皆でまた、楽しくアイドルがしたい
2:皆を探してプロデューサーさんを止める
3:南の街を捜索。
【高槻やよい】
[状態]健康
[装備]きらめく細剣
[所持品]支給品一式(二人分)、ランダム支給品(1~2)
[思考・行動]
基本:最後の一人になる。
1:焦燥。絶対に死ねない。
2:反省しているフリをして、また皆を欺く。
[状態]健康
[装備]きらめく細剣
[所持品]支給品一式(二人分)、ランダム支給品(1~2)
[思考・行動]
基本:最後の一人になる。
1:焦燥。絶対に死ねない。
2:反省しているフリをして、また皆を欺く。
| アノコノエガオノタメダケニ | 時系列順に読む | されど願いを胸に |
|---|---|---|
| 選んだこのみちを歩いてくから | 投下順に読む | されど願いを胸に |
| ひなた | 春日未来 | |
| 永吉昴 | ||
| 福田のり子 | ||
| 紳士の昼食会 | 高槻やよい |