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閑話

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閑話

 私の慕っているアグス王国国王ミラクル…の秘書兼親衛隊長のソレン姐さんが実家に帰るらしい。理由は分からないけれど、とにかく休暇をもらったらしい。もらったと言うか強引に取ったらしい。この際それはどっちでも良い。
 で、私はソレン姐さんが居なくなるとはっきり言ってヒマなので付いて行くことにしました。ソレン姐さんの実家はアグス王国首都からかなり離れたど田舎にあるらしい。蜜柑が美味しいとか。実はこの蜜柑が食べたかったというのも、付いていく理由の一つだったりする。
 馬車を使えば良いのに、ソレン姐さんは歩くのが好きなので、当たり前のように徒歩。山道がきついです。
「それでミズカ。どうしてあなたがついてくるの?」

 私の前を歩くソレン姐さんが、突然に立ち止まった。そういう質問は城を出てすぐにするべきだと思ったけれど、あえて言わない。ソレン姐さんは怒ると半端なく怖い。
「えぇっと、ソレン姐さんの居るところにミズカ参上!みたいな」

 ヒマだからとか蜜柑が食べたいからとかは、内緒。
「それが答えになってないと、いつになったら理解するのかしら」

 ものすごく冷たい口調。ソレン姐さんは誰に対してもだいたいこんな感じ。付いたあだ名が『クールビューティ』なのも頷ける。誰が言い始めたのかは知らないけれど。普段はクールだけど突然『切れる』という事実は、私とミラクル王しかしらない。知らぬが仏とは良く言ったものです。知らぬが仏の使い方が合ってるのかどうかは置いておいて。
「はじめから理解するつもりがないのがミズカだったりして〜。みたいな」
「それから、語尾に『みたいな』ってつけるのやめなさいって前も言ったと思うけど?」
「えー、なんでですか!みたいな」
「馬鹿っぽいから」

 あっさりはっきりきっぱり。
 癖なのだからそう簡単には直らないと思うけど「努力します」とだけ答えておいた。一年くらいがんばれば直るかな? と。

 そいつらは。
 何の前触れもなく。
 唐突に、突然に、現れた。
「ここから先安全に通りたければ全財産置いてついでに服を脱ぎ捨てて俺に抱かれやがれ!」

 すごい。ワンブレスだ。…ってそんな場合でもない。
 現れたのは、体格の良い壮年の男と魔術師みたいな格好をした子供。さっきのワンブレスは体格の良い男の方。
 これはもうどこからどう見ても盗賊です。間違いなく盗賊です。もし間違っていたら、大好きなリンゴジュースを一ヶ月ほど我慢しても良い。別に意味はないれど。
「俺は泣く子は更に泣き喚くと思われる凶悪な盗賊、自称『アグスの狼』アッサーラ様だ!」

 体格の良い男が聞かれてもいないのに名乗る。しかも突っ込みどころ満載。めんどくさいのであえて突っ込まないけれど。
 ソレン姐さんの方をちらっと見る。表情は…いつも通り。笑顔も何もない『クールビューティ』のそれだ。この状況で笑顔だったらそれはそれですごいけれど。
「そしてこっちは息子のハジャだ」

 体格の良い男…アッサーラが魔術師みたいな格好をした子供を紹介する。聞いてない。興味ない。てゆーか何?だから何?
「あ、どうもっす。よろしくお願いします」

 子供…ハジャがぺこりと頭を下げる。案外礼儀正しい。ついついつられて「あ、ミズカです。みた…げほんげほん」とか言ってしまった。最後のわざとらしい咳払いは、『みたいな』って言いそうになったのを誤魔化したのだ。
「…何の用でしたっけ?早口なので理解に苦しみます。もう少しゆっくり喋れ糞野郎」

 ソレン姐さん、最後の方の言葉遣いが不良少女時代に戻ってます。声に出して指摘するほどの勇気は私にはないけれど。どうやらソレン姐さんは機嫌が悪いらしい。ミラクル王にセクハラでもされたのだろうか。…ありえる。「へっへっへソレンちゃん、今夜は寝かさないよ(はぁと」とか言って触ってきたに違いない。あの王様ならやりかねない。私も何度か誘われたことがある。もちろん毎回断るけれど。
「良い度胸じゃねーか!ねぇちゃんよぉ、そんなに死にたいか!」

 言うが同時。アッサーラが大斧を振りかぶり、ソレン姐さんへと振り降ろす。一刀両断スプラッター劇場…になるはずもなく。ソレン姐さんはあっさりその斧をかわした。そしてどこに忍ばせてあるのかとても謎なハリセンをスッと取り出し…。
「おんどれぇ!危ねぇじゃろぉがぁボケェ!」

 切れたようです。ハリセンでアッサーラをしばき倒す。文字通りに、しばき倒した。大地に顔を打ちつけ、アッサーラが呻く。
 ソレン姐さんは何事もなかったかの様に「何の用でしたっけ?」と再び問う。
「おおおおおい!親父!なんでこんな化け物みたいな女襲ったんだよ!この前の金髪の女僧侶並みに化け物じゃねーか!親父の馬鹿野郎!死んだらどうするんだよ!」

 ハジャがわめく。
「俺みたいな美人捕まえて何が化け物じゃこの糞ジャリがぁ!」

 ソレン姐さんがまた切れる。ソレン姐さんは普段、自分の事を『私』と言うのだが、切れた時は『俺』になるようです。それより何より自分で自分を美人と言うのもどうかとは思う。事実だから大きな問題ではないけれど。
 すぱこーん、すぱこーん、とハリセンを叩き付け、叩き上げる。おぉ、二連攻撃。ソレン姐さんのハリセンダブルアタックで、ハジャの体が宙を舞う。どうやったらハリセンで人をしばき倒したり宙に浮かせたりできるのだろう。
そしてまた何事もなかったかの様に「用がないならもう行きますね」と告げ、さっさと歩きはじめるソレン姐さん。クールだ。

 私は倒れてる二人に捨て台詞を吐くことにした。意味は特に無いし私は何もやってないけれど。
「大怪獣に蹂躙されたと思ってあきらめましょー。みたいな♪」

 自分的には完璧な捨て台詞。
「誰が怪獣じゃ!」

 聞こえていたらしい。ハリセンでしばかれた。痛い。
「みたいな、って言うな言うたろがぁボケェ!」

 またしばかれた。痛い。
 あうぅ。少し泣きました。ソレン姐さんの実家に着いたら、大量に蜜柑を食べてやる。心の奥底で誓った。

コメント

  • う〜ん、すごく忠実に書かれてますなぁ (^^) -- Kengo
  • えー!こんなに俺、ひどくないっす。俺はしかも常用なんですが(汗 -- それん@ねこ
  • 本編の方でソレンちゃん『私』って言ってたからさw 強引に俺って言わせたの♪ -- 葉奏
  • 俺ってやられやく(´・ω;;:;:;: -- ハジャ
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