力-Strength-(後編) ◆YhwgnUsKHs


「さて、物品の確認は済んだな」
「誰も我が財を持っておらぬとは。失望させる連中だ」
(持っていたら持っていたで盗人呼ばわりしたくせに)
(ここは大人しくしとけて)

 納得いかない梨花を小声でウルフウッドが諌めると、イスカンダルはやおら立つと一同を見渡し――



「では――お前たち、我が臣下にならぬか!?」
「ここで言うのかよ!!」



 唐突にも程がある言葉にまたもチョッパーのツッコミが飛ぶ。





 嘲笑と共に真っ先に答えたのはギルガメッシュだった。


「貴様、まだそのようなことが通ると思っているのか?」
「ほれ前にも申したであろう。お前の財と我が軍勢が合わされば」
「宇宙の果てまで征服できよう、か。ならば答えは前と同じだ。王は2人といらぬ」
「このような事態なのだから柔軟にいけんのか?」
「どのような事態だろうと曲げてはならぬものはある」
「あーったく。こういうときは正論言いおって」

 イスカンダルが諦めた様子で息を吐くと残った梨花とウルフウッドに向き直った。

「お主らはどうだ?」
「私は……」

 梨花はウルフウッドを見上げた。
 ウルフウッドはその自分に気を使ってるの見え見えな顔を見ると、軽く眉をゆがめた後――


 ゴチィン!

「~~~~~~!!」
「梨花ちゃん!?」
「おーいい音なりおった」
「ま、また殴ったわね!?」

 頭を抑えながら梨花が抗議すると、その額を今度はデコピンした。

「~~~~~~!!」
「梨花ちゃーーん!!」
「おー響いた響いた」
「な、なんなのよさっきから!」
「何ワイに遠慮しとんねん。行きたいところに行けばええやろが」
「で、でも……」
「どうせワイはお前なんぞどっか預けたらトンズラしよおもうてたしな」
「なっ!?」

 梨花が声を荒上げるのを無視してウルフウッドはイスカンダルに向き直る。

「というわけや。あいにく人の下っちゅうんはあまり好きやない。臣下なんちゅう堅苦しそうなのはお断りや」
「余は特に規律などしかんぞ。それに、細かく言うならば同盟だ。レナたちとは余が主催者を妥当するまでの過程を見せつけ余を主とさせる気にする、という
 盟約の下に動いておるのでな。だから厳密に部下と言うわけではないぞ」
「ほお……それでも」


「ふざけないで!!」


 更に言葉を続けようとしたウルフウッドを、梨花の怒声が遮った。
 それをチョッパーはきょとんとして見つめ、ギルガメッシュは愉悦の笑みを深くし、レナは意外にも冷静に梨花を見つめていた。


「ここまで一緒にいて、そんなんであっさり終わらせる気!?」
「だから言うたやろ。ワイにとってはどうでも」
「私にとっては違う!!」
「な……」

 ウルフウッドが唖然として梨花を凝視する。
 目の前の少女は涙を浮かべ、こっちに怒りをぶつけてくる。

「私は嬉しかった! あなたがいてくれて。
 私は楽しかった! あなたが話してくれて。
 私は安らいだ! あなたの励ましで!
 私は安心できた! あなたが守ってくれていたから!」
「お、おい……梨花」


「私にとって、貴方の存在はもう大きいの!
 そんな貴方がここでさよならで、気が済むわけないじゃない!!
 お願い……嫌なの。もう、私の手の届かないところで誰かが死ぬのは。
 お願い……一緒に、いて。そして―――死なないで
 もう……もう、消えないで……魅音みたいに、圭一みたいに。
 もう嫌なの……誰かがいなくなるのは嫌……!」
「…………」

 梨花は俯き、ウルフウッドの答えを待つ。
 共にきてくれるか、きてくれないのか。


「なんとも傲慢な願いだ。男を縛り男の生存を強制する。娘、それは神のみ許される所業ぞ」
(人のこと言えんだろうに)
「なにか言ったか」
「いや何も。どうするのだ?ウルフウッドよ。娘の涙ながらの嘆願。受けるも拒むもお前次第だぞ?」
「……決まっとる。こんなガキの世話はゴメンこうむるわ」
「なっ!?」
「お、おいお前!!」
「チョッパーくん待って!」

 梨花が顔を凍らせ、チョッパーが殴りかかろうとするのをレナが押しとめる。
 そしてウルフウッドは足を浮かし――


 イスカンダルに向き直った。






「1回どつきたい知り合いがおってな。そいつはとんでもないお人好しや。
 せやから、お前らみたいなのにはホイホイ吸い寄せられてくるかもしれへん。
 そういうわけや。お前らにはあのトンガリの餌になってもらうわ」
「え?」

 ウルフウッドの言葉に梨花が顔を上げる。


「それって……」
「ついていったる。主催者に一発ぶちかましたいんはワイも同じやし。
 ワイが出て行くとピーピーギャーギャー喧しいガキもおるし。
 そいつのせいでお前らが襲われたりするんは夢見悪い。それだけや」
「さっきは子供らしく泣いてろって!」
「アーアーキコエヘンキコエヘン」
「!!!!」
「梨花ちゃん落ち着いて!」
「わー!杖振り回すなー!うわーー!」

 蓮の杖をウルフウッドに向かって殴りつけようとする梨花をレナとチョッパーが抑える。
 対してウルフウッドはそしらぬ顔で口笛吹いている。


 けれど、誰もがどこか安心した顔をしていた。


 ****


「やれやれ。本当に飽きん連中よ」
「喧しいだけだ。雑種如きとあそこまで戯れるとは、つくづく気に入らん男だ」
「人のこといえんだろうに……さっきから何回これ言ってるんだ余は」

 わーぎゃー騒ぐ4人を尻目に舞台に座るギルガメッシュにイスカンダルが悠々と近づいてきた。

「何だ征服王」
「英雄王…………お前もまた、主催者に反逆する気か?」
「知れた事。我に殺し合いをさせるなど、聖杯戦争よりも愚かしい。我手づから磔刑に処してやるまで」
「孤高のままか」
「貴様こそ。雑種共と共に反逆か。そして全て貴様の軍勢になれば貴様の優勝になる。世迷言もいいところだ」
「やってみなければわかるまい。我が征服の基本はそこよ。確かめられてないならば可能性はある」
「フン。現に1人失っているのにか」
「そして2人得た。もちろんこれが最善とは思っておらん。レッドが生きている事が最善であった。
 だが、だからこそ進むのだ。屍の遺志を抱き、死しても残る遺志と共にな」
「ほう…………ならば、再戦と行こう」

 そう言うとギルガメッシュは舞台から降り立ちイスカンダルに向き直る。
 イスカンダルも顔を引き締め、その視線に応える。


「とはいっても武での優劣は既に決した。よって……次は総合的な戦で引導を渡してやる」
「何?」
「雑種共と共に行く貴様か、従者程度にしか使うつもりのない我か。どちらが先に主催者達に制裁へ下すかを競おうではないか。
 無論勝負は一度決している。もう一度敗北を味わいたくなければ拒否しても構わぬぞ?」
「おいおい……そう言われてはこの征服王、受けずにはいられないだろうが。
 よかろう。再戦と行こう。我が道と貴様の道。今は我が1敗。
 今度こそ打ち勝って見せようではないか」
「そうでなくては面白くない。やっとこのくだらぬ場にも面白みが出てきた」
「やれやれ」
「ああ、そうだ……レナとリカと、それとサトコにシオンだったな。
 貴様が失敗したとしても、コイツラは我が拾ってやってもよいぞ?」
「む?」
「ケイイチには面白いものを見せてもらった。よって、その仲間である4人には我が慈悲をくれてやろうと言っている。
 ……なんだ?間抜けにも口が開き放しだぞ。そこに槍を突っ込んで欲しいなら断る」
「いや、別に?」(むう……悪いものでも食ったのか?などと言ったら問答無用で槍を飛ばしてくるなこりゃ)

 ギルガメッシュが舞台から飛び降り床へ着地した。
 一見乱雑に見えるそれはけれどどこか優雅さも感じるものだった。
 その視線は騒いでいた4人に向けられている。
 視線に気付いた4人がギルガメッシュに気づき、警戒の目を向ける。
 『喧しい。殺すぞ』あたりの暴言を予想していた。


「雑種共よ。英雄王たる我が命じる。我が従者前原圭一を丁重に葬れ」



 *****




 動いた。


「!!」

 南劇場をずっと見張っていたカズマは座っていた街路樹からすぐさま腰をあげた。
 瞬時に構え、南劇場から堂々と構えも警戒もなく出てきた1人を見つめる。
 あの時見かけた大人数の1人だ。
 そして、あの中で1番カズマが――不快感を覚えた男だった。


「ほう? 汚らしい野良犬にも王を出迎える智恵くらいは存在したか」

 男、ギルガメッシュは目の前で構えるカズマに対して構えもせず立っている。
 カズマが目を向けたと同時に、手に持っていた何かを投げ捨てた。


「っ」

 それは首だった。
 見覚えがある火傷傷のある女の首。


「アレは気にするな。手に入れたかった者に余計なゴミがついてきたのでな。捨てたまでのことだ。
 にしてもあの狼。一度戻ってきたら女の服を剥ぎ取るとはな。我には関係のないことだが」

 カズマは気づかなかったが、バラライカの首からは首輪が取られていた。
 ギルガメッシュはイスカンダルたちが去った後、


「どういうつもりだ」





 カズマは油断せず周辺にも目を配った。
 さっきの連中がどこかから狙っているかもしれない。
 1人で出てきたのがそれだけ怪しい。


「駄犬よ……我を舐めるな」
「っ!!」


 ギルガメッシュがその美貌の眉間にしわを寄せカズマに威圧のまなざしを向けた。
 それにカズマは戦慄する。
 これほどの威圧感、そうそう出会えるものではない。
 カズマは警戒のレベルを一気に引き上げる。


「我1人で駄犬如き殺すのも容易い。むしろ簡単すぎてやるのも面倒だ。
 だが……駄犬に邪魔をされたくないことがあるのでな。
 戯れてやろう。さあ、我を楽しませよ。犬はそれが仕事であろう?」

 そう言うとギルガメッシュは嗤う。
 カズマを見下して嗤う。カズマを蔑み嗤う。カズマを屈服させてやろうと嗤う。



「やっぱりな」



 カズマの呟きと共に周りに穴が開いていき、アルター『シェルブリット』を形成していく。
 逃げるべきだろう。まだ怪我も治っていない。体力も回復しきってはいない。目の前の男を相手するのは危険だとわかっている。


 それでも


「てめえは……気にいらねえ」


 逃げるわけには行かない。
 逃げるという選択は消え失せた。


 見下す目は元々許せなくて。
 見下し蔑み人を人と見なさないその態度は、ある男を思い出させて。

 だから壊す。
 アイツの幻がちらつくなら、消し去る。
 目の前の男ごと。


「その目が気にいらねえんだよ!!」



 野良犬は吠え殴りかかる。
 英雄王は波紋を揺らめかせる。
 そして火蓋はきって落とされた。




 『戯れ』であり『喧嘩』である戦いの火蓋が。



【E-5劇場・南劇場周辺/午後】

【ギルガメッシュ@Fate/Zero】
[状態]:肩と腹に刺し傷(小・回復中)、不死(不完全)
[装備]:王の財宝(の鍵剣)、黒のライダースーツ、劇場のパンフレット
[道具]:必滅の黄薔薇@Fate/Zero(王の財宝内)、首輪<バラライカ>
[思考・状況]
 基本行動方針:ライダーより先に主催を滅ぼし、元の世界に帰還する。必要があれば他の参加者も殺す。
 0:圭一の仲間を脱出させてやってもいい。見つけたら保護。
 1:カズマの相手をしてやる。
 2:自分を楽しませ得る参加者を見定める。
 3:ゾロ、佐山に興味。梨花とウルフウッドについては当面様子見。
 4:圭一が自分のクラスを知っていた事に関しては・・・?
 5:宝具は見つけ次第我が物にする。天地乖離す開闢の星、天の鎖があれば特に優先する。
[備考]
 ※不死の酒を残らず飲み干しましたが、完全な不死は得られませんでした。
  具体的には、再生能力等が全て1/3程度。また、首か心臓部に致命傷を受ければ死にます。
 ※会場が自然にループしていることを把握しました。
 ※悪魔の実能力者がカナヅチという弱点を知っています。
 ※本編での経験から、螺湮城教本を手に入れる気にはならなかったようです。
 ※クーガーには強い印象を受けていますが、橘あすかのことは忘れました。
 ※文中台詞の"山猫"とはクーガーのことです。
 ※銃火器にはもう対処できます。
 ※ラッドが不死者だと思っていますが喰うつもりはありません。

【カズマ@スクライド】
【状態】:疲労(大) 全身にダメージ(大) 砂鉄まみれ 右腕に痛みと痺れ 右目の瞼が上がらない 右頬に小さな裂傷(アルターで応急処置済み)
     腹部と頬に打撃ダメージ、脇腹(打撃痕も)と左肩、左腕に銃創
【装備】:桐生水守のペンダント(チェーンのみ)、スタンドDISC『サバイバー』@ジョジョの奇妙な冒険
【道具】:基本支給品一式×4(食料を3食分、水を1/3消費したペットボトル×2、)、不明支給品(0~4)、聖剣グラム@終わりのクロニクル
    モンスターボール(ピカ)@ポケットモンスターSPECIAL、君島邦彦の拳銃@スクライド
【思考・状況】
1:ロストグラウンドに戻り、かなみを助ける。そのために優勝する
2:目の前のムカつく奴をぶっ飛ばす。
3:ギラーミンを殴り飛ばす
4:ムカつく連中をぶん殴る。(ゼロ:誰かはよく分かっていない、仗助:死亡を知らない、クレア、レヴィ、ライダー)
5:次に新庄、伊波と出会ったら……
6:メカポッポが言っていた、レッド、佐山、小鳥遊に興味。
※ループには気付いていません
※参戦次期原作20話直後。
※相手の部位が光ったり濁ったりすることについて疑問を抱きました。


 *****



「圭一……私達は行くわ」
「お願い。見守ってて。圭一くん」

 中央劇場脇の庭。
 そこに盛り上がった土とその上に黄金の鎧の破片が突き立てられていた。
 そこに手を合わせているのはレナと梨花だ。
 先ほどここに圭一の遺体を埋め終えたところだ。

 コレは全てギルガメッシュの命令だった。
 その命令は梨花達にとって好都合だった。元々圭一を埋めてやりたいとは思っていたし、それに――


『業績を成した者は墓を立て、後までその業績を讃えなければならない。
 圭一はこの英雄王の予想を覆した。一瞬とはいえこの我の予想を雑種に過ぎぬ者が超えたのだ。
 これは讃えるべきことだ。でなければ我の面目が立たぬ。
 よって、お前たちに圭一の墓を立てることを命じる。
 外の犬は我が相手をしておいてやる。早く行け』

 そう言ってギルガメッシュは外のカズマの元へ向かっていった。
 確かにあのままならどの道ここから出る時に自分達はカズマと闘いになっただろう。
 色々理由をつけていたが、自分達の為にやってくれたのだろうか。

「なんだかおれアイツのことよくわかんなくなってきたぞ?」
「分かればわかりやすい奴なのだがな。まあ深くは理解しようとせんことだ」
「する気はあらへん。ワイは最初から今までアイツのことはいけすかん」

 振り返るとイスカンダル、チョッパー、ウルフウッドが偶然にも同じ事を考えていたのかギルガメッシュについて話していたようだ。
 2人が戻ってくると、5人は集まり輪になった。
 レナが会場の地図を広げ地面に敷く。


「ここまでで私達の成果は正直芳しくありません。仲間を失い、守れなかった物も多い。
 でも、新たな仲間も出来ました」
 そこでレナが梨花とウルフウッドを見つめる。
 2人の腕には仲間の証である○印とそれを隠す包帯が巻かれている。ウルフウッドは嫌がったが、同盟の条件だと言われると渋々従った。
 レナの視線に梨花もウルフウッドも意志ある目で頷く。ウルフウッドはすぐに目を逸らしてしまったがレナは笑ってそれを気にしなかった。


「まだ私達は完全に負けたわけじゃない。この先、まだ危険人物がいる可能性はある。
 でもそれでも私達は仲間を捜さないと。
 だから私達は同じように、ノルマを決めて二手に別れたい。
 一度失敗してるのは分かってる。
 でも、やっぱりこれが情報面でも1番最善だと思うの。
 イスカンダルさん、みんな……いいかな?」

 レナの言葉に反対する者はいなかった。

「ま、せいぜい気張らせてもらうわ」
「ニコラスは強いもの。大丈夫よ。銃器だっていっぱい手に入ったんだから」
「銃なんてあまりぎょうさんあってもな……ま、無茶して使えるんやから文句は言えんか」
「そういうこと。……な、なにレナ。……私の口調がやっぱり気になる?」
「ううん。それは別に。むしろ……えへへへへ」
「な、なによニヤニヤ笑って!」
「せや。こないなガキの何がおもしろいねん」
「む……!」
「はぅ~~~~~! 鈍感なニコラスさんに怒る梨花ちゃんかぁいいよぉ~~~~!お持ち帰りぃぃぃぃぃ!」
「わーーーー!レナーーー!ストップストップーーー!」
「おーいレナ。完全に脱線しておるぞ」



「気を取り直して……それで、ここからどう向かうか。
 最初はここから分かれている道で東西に分かれようと思ってた。
 でも、それは無理になっちゃった」
「なんでだ!?」
「禁止エリアや。13時にF-6が禁止エリアになってもうて細い川と橋が進入禁止になってもうた。つまり」
「東に行ったら病院、神社にいけるけどその後は行き止まりになってしまうってことね」
「うん。だから悩んだんだけど……この際、東方向は見捨てようと思うの」
「ええええっ!? で、でもレナ!おれ病院の器具とかを手に入れておきたいよ!それにもしそこに人がいたら!」
「わかってる。だからチョッパーくんには病院までは行って欲しいの。でも、最低限の薬や機材をデイパックに入れたらすぐに戻ってきて」
「で、でもレナぁ!」
「いい?チョッパーくん。確かに病院や神社に隠れてる人はいるかもしれない。怪我した人かもしれない。
 でもここで考え方を変えてみて。隠れてる人の気持ちになるの」
「隠れてる人の?」
「なるほど。端的に言えば『チェス盤をひっくり返す』ってところかしらレナ」
「うん、例えるならそんなところ」

 レナは病院と神社を指差す。

「もしここに隠れていた人がいたとしたら、禁止エリアで南への脱出ルートを阻まれてたらどう思うかな?かな?」
「いざ北や東から外敵が来たら、袋のネズミやな」
「うん。泳いで逃げる、っていうのも音が立つし現実的じゃない。だから禁止エリアが指定された時点で隠れてた人も西か北に逃げてるはずだよ」
「なるほど。だが、医術師が病院に行くといっても1人で行かせる気か?」
「ううん。チョッパーくんの護衛も兼ねて一緒に誰か行ってもらって、ここで二手に分かれます。
 そしてチョッパー君たちが病院に行っている間にもう一組は出発して東に向かう。勿論グラハムさんの捜索も兼ねてね。
 チョッパー君たちも病院から戻ったらそのまま西に直進。もう1組を追う形で進んでもらいます。
 これは万が一先発組がグラハムさんと入れ違った時の場合も視野に入れています。
「で、おれ達は先発に追いつけばいいのか?」
「ううん。駅までは同じルートだけど、駅からは別れてもらうから暫くは会えないと思う」
「おい……嬢ちゃん、一体どないなルート行かせる気や」

「なら、簡単に教えるね。
 ルートは2つ。西ルートと東ルート。
 まず西ルート。これは後発のチョッパーくんたちに任せたいな。
 駅からそのまま南に行って、遊園地、廃坑、アーチャーさんのループの情報が確かなら、ここから北に繋がって、古城跡、山を降りてB-4、私達が誓いを立てたあの民家に」
「そこを集合場所とするわけか」
「学校はいいのか?」
「あまり欲を張ってもしょうがないし、トラブルも考えて余裕は持っておきたいから」
「成程。で、東のルートはどうなのだ?」

「東ルートは先発組。
 ここはE-2駅に着いたらそこを探索後、電車に乗ってG-7駅まで行ってもらいます。
 そこから映画館、消防署、ループして、モールを通ってB-4の民家に」
「なるほど、な」
「H-4で1回集まった方がよくないか?ほら、そんなに遠くないぞ?」
「でもすぐ南にあたるA-4が禁止エリアだから迂回することになっちゃう。
 だからそこでは合流しないで探索を続ける。
 B-4が禁止エリアになったら戻ってH-4。そこも駄目ならG-4で合流。
 時間は今から6時間後。今が15時くらいだから……21時。
 これでいいかな?かな?」

 ルートを説明し終えてレナが5人の顔を確認する。

「ま、ええんとちゃうか。ワイらは来た道戻ることになるがな」
「でもそれも何時間も前。それに、あの時声が聞こえたわ。遊園地に誰かいる可能性はあると思う」
「おれはいいぞ!」
「余も構わぬが……そうなると先発には余が入った方がよさそうだな」
「なんでです?」
「医術士は獣になれば他のものも乗ることができようが、その足に合わせるとなると先発は遅くなりそうだ。
 だが、余にはこれがある」

 そう言ってイスカンダルが叩いたのはヤマハV-MAX。元々イスカンダルに支給されていたものであり図書館に置き去りにしてしまったものだ。
 プケファラスで駆けつける道中図書館を確認したら消え失せていたため諦めていたが、まさか圭一のデイパックに入っているとは思わなかった。

「こいつは余にしか扱えん代物だ。これならば医術士の足に合わせられ、存分に施設の探索もできよう」
「なら、先発はイスカンダルさん組。後発はチョッパーくん組で、さっきのルートどおりにお願い」
「任されよう。今度こそは同胞を連れ帰り、お前たちを臣下にしてみせようぞ」
「……イスカンダル。おれ」
「お前の船長のことは知っておる。だから言ったであろう。結論は今でなくともよい。そう簡単に別の者の下にはつけまい。
 余は焦らん。お前がじっくり決めればよい」
「ありがとう、イスカンダル……」

「じゃあレナと梨花ちゃんとウルフウッドさん、誰が誰と一緒に行くか決めなくちゃね」
「そ、そうね……」
「ワイは何もいわへん。梨花、お前が決めたいよーに決めたらええ」
「ニコラス……」




 梨花は悩んでいた。
 普通ならばここは1人と2人に別れ、それぞれがイスカンダルかチョッパーと組むことになる。
 だが、そうなると梨花は少なくともレナかウルフウッド、どちらかとは一度別れなければならない。
 死なないと信じている。でも、もしかしたらと思う自分がいる。

 100年を共にした仲間か、ここで出会った、けれどずっと傍にいてくれたガンマンか。
 それとも偏りは出てしまうが、3人でチョッパーに着いていくか。

「私は……」




【E-5劇場・中央劇場東口前/1日目 午後】

【チーム名:○同盟チョッパー組】
1:主催者の打倒。
2:病院で薬や器具を調達。その後遊園地、廃坑、古城跡を訪れ21時までにB-4民家へ向かう。禁止エリアの場合H-4、G-4へ。
2:グラハムとの合流(先発が会えなかった場合)
3:サカキミュウツー、片目の男(カズマ)、赤髪の男(クレア)、リヴィオ、ラッド、電気の少女(美琴)を警戒。
  クレアという女性、佐山、小鳥遊、アルルゥ、ヴァッシュを信用。アーチャーはやや信用。
  ハクオロも一応信用。 真紅、沙都子は情報不足で保留。

トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:疲労(大)、腹部と顔にダメージ(中)、全身にダメージ(中) 腕に○印 深い悲しみ、獣形態
[装備]:なし 包帯、ランブルボール×4@ONE PIECE
[道具]:支給品一式×4(一食分、水1/10消費) タケコプター@ドラえもん、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1:レナや皆を守り抜いてみせる。その為なら……
2:仲間と会いたい
3:グラハムの様子を見る。(別れている為現在実行不能)
4:ギラーミンを倒し、脱出する。
5:イスカンダルの臣下になるかはまだ決められない。
6:川に落ちたゾロが心配。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期はCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※別世界から呼ばれたということを信じました。
※会場のループを知りました。


【E-5劇場・中央劇場西口前/1日目 午後】

【チーム名:○同盟ライダー組】
1:主催者の打倒。
2:F-3駅からG-6駅に向かい、映画館、消防署、モールを訪れ21時までにB-4民家へ向かう。禁止エリアの場合H-4、G-4へ。
2:グラハムとの合流
3:サカキ、ミュウツー、片目の男(カズマ)、赤髪の男(クレア)、リヴィオ、ラッド、電気の少女(美琴)を警戒。
  クレアという女性、佐山、小鳥遊、アルルゥ、ヴァッシュを信用。アーチャーはやや信用。
  ハクオロも一応信用。 真紅は情報不足で保留。




【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(中)、疲労(大)、腹部にダメージ(大)、全身に傷(小~中)および火傷(小) 腕に○印
[装備]:包帯、ヤマハV-MAX@Fate/zero
[道具]:基本支給品一式×3、きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集 、スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
     イリアス英語版、各作品世界の地図、拳銃の予備弾30発、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース、
     レッドの両腕(包帯と○印あり)、絶縁グローブ(軽く焦げ)@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]  
 1:アーチャーより先にバトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。
 2:レッドの意志を無駄にはしない。
 3:首輪を外すための手段を模索する。
 4:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
【備考】
※ヤマハV-MAXセイバー仕様@Fate/Zeroは図書館入り口に停めてあります。
※四次元ポケット@ドラえもんは図書館の中に放置されています。
※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。
  本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
※レッド・レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※自分は既に受肉させられているのではと考えています。
※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します
※アルルゥの存在を知りました。
※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません
※別世界から呼ばれたということを信じました。
※会場のループを知りました。

【E-4劇場・中央劇場東口前or西口前/1日目 午後】
※以下の3人は、チョッパー組とライダー組どちらに入っているのかは不明です。
 誰がどちらの組に入っているのかは後続の書き手に任せます。


竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 深い悲しみ 私服 右腕に○印 
[装備]: 包帯、デザートイーグル(残弾数6/6)、シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON
[道具]:支給品一式×4(3食分、水1/10消費)、ドライヤー 、双眼鏡、ゾロの地図
    二重牙@トライガン・マキシマム、デザートイーグルの予備弾×12
[思考・状況]
1:必ず脱出する。
2:誰と組むか、誰についてくかを決める。
3:グラハムが心配
4:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
5:何とかして首輪を外したい
6:イスカンダルの勧誘は保留。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※圭一と会話できたかは不明です。
※梨花とウルフウッドの仲について察したようです。
※別世界から呼ばれたということを信じました。
※会場のループを知りました。



古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 腕に○印
[装備]:なし、包帯
[道具]:支給品一式×3、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム、
    蓮の杖@とある魔術の禁書目録
[思考・状況]
 1:誰と組みたいか、誰についていくかを決める。
 2:必ず生き残る。
 ※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
 ※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
 ※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
 ※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
 ※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。
 ※スタープラチナを使えないことに気付きました。落としたことには気付いてません。
 ※ルフィと情報交換しました。
 ※別世界から呼ばれたということを信じました。
 ※会場のループを知りました。

【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:全身の数箇所に浅い傷、腕に○印
[装備]:デザートイーグル50AE(4/8 予備弾29)、包帯
[道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ、一式×2)、SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
    ○印のコイン、AMTオートマグ(0/7)、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚
    ロベルタのスーツケース@BLACK LAGOON(ロケットランチャー残弾7、マシンガン残弾80%、徹甲弾残弾10)、ヴァッシュの衣装
     AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)
[思考・状況]
 1:誰と組むか、誰についていくかを決める
 2:古手梨花を守る。(別れたなら同行者に託す)
 3:ヴァッシュとの合流。リヴィオについては保留。
 4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
 5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
 ※ルフィと情報交換しました。
 ※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません。
 ※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
 ※ラッドの再生がミカエルの眼の改造技術に起因するものではないかと推測を立てています。
 ※別世界から呼ばれたということを信じました。
 ※会場のループを知りました。


※以下の支給品の5人への分配状況は後続の書き手に任せます。
 不死の酒(空瓶)、探知機、通り抜けフープ、 手榴弾×3、ロベルタのメイド服@BLACK LAGOON、ガムテープ、ビニール紐(少し消費)、月天弓@終わりのクロニクル
 フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム、
 二重牙@トライガン・マキシマム

※既に所持済みだった支給品の分配も行われた可能性があります。


 *****





 動いた。



 南劇場の屋根から中央劇場屋根へ移動したミュウツーはそこで2組がそれぞれ逆方向に出て行くのを確認した。
 東に行く組と、西に行く組。
 ミュウツーとしてはあの時垣間見た集団が別れたのなら好都合だ。あれほどの大人数だ。積極的に殺人をこなす連中とは思えない。
 よって、倒しても問題はない。
 問題はどちらを追うか。

 東に向かった者か、西に向かった者か。


 やがてミュウツーは意を決すると、中央劇場の屋根を蹴った。
 自分が追い、仕留めると決めた組に向かう為に。

【E-5劇場・中央劇場屋根/1日目 午後】

【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
【状態】:疲労(中)
【装備】:機殻剣『V-Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル、アデルの十字槍@BACCANO!
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0~1個(確認済み)
【思考・行動】
 0:当面は様子を見つつ、ギラーミンのいう『ノルマ』をこなす。
 1:マスター(カツラ)を救う為、24時間以内に参加者を32人以下まで減らす。
 2:中央劇場から出た2組のどちらかを追う。
 2:隙を見て参加者に攻撃を加える
 3:男(ラッド)には殺害数を稼いで貰う。殺すのは後回し。
 4:魅音かハクオロが細胞を移植し、自分を追ってきたら相手をする。 魅音の死に気づいていない?
 5:イエローを殺した相手を見つけたらたとえ後回しにしたほうが都合がよさそうでも容赦しない。
 6:もしギラーミンの言葉に嘘があったら……?
※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
  念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
 ※念による探知能力や、バリアボールを周りに張り浮遊する能力は使えません。
 ※名簿を見ていないため、レッド、サカキの存在を知りません。
 ※ギラーミンに課せられたノルマは以下のとおり
  『24時間経過するまでに、参加者が32人以下でない場合、カツラを殺す。
   48時間経過するまでに、ミュウツーが優勝できなかった場合も同様。』
 ※カツラが本当にギラーミンに拉致されているかは分かりません。偽者の可能性もあります。
 ※V-Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
  使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。
 ※男(ラッド)と戦った相手が「左腕が刀になる女」であると知りました。
 ※ブレンヒルトの場所は見失っています。
 ※ギラーミンから連絡のないことへの疑問、もしカツラが捕まっていないという確証を得られたら?
 ※なぜギラーミンの約束したカツラからの言葉が無くなっていたのかは不明です。





 8のタロット、力または剛毅とも呼ばれる。

 逆位置の意味は『放棄、自信喪失』また『過信、自意識過剰』。

 正位置の意味は『意志、信念、努力』。


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最終更新:2012年12月05日 03:38