Alliance for MASTER◆YhwgnUsKHs

 殺し合いが始まって14時間以上が過ぎた。
 高くなった日も徐々にその光を翳らせ、だんだんと地平線に近づいていく。
 それに合わせ空もまただんだんと暗い色に染まっていく。
 そんな1日の中でも過ごしやすくもなってきた環境。しかし



 ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!



 殺し合いという状況は、そんな日向の下の休憩も許しはしない。



 *****



 ダダダダダダダダダダダダダダダダ!!


 連続した破裂音が晴れやかな空に木霊する。
 それと同時にいくつもの閃光が辺りのものを照らし出す。
 ベンチ。歩道。バスの時刻表。切符売り場。改札口。そして看板。
 そこには『C-5駅』という実際ではありえない駅名がデカデカと表示されていた。


 説明するまでもないが、そこはC-4駅駅前。
 そこが今連続した破裂音と閃光に包まれていた。『光と音のイリュージョン』というと遊園地のイベントのようで軽々しいが、おそらく実際にそれを見てそんなことを
言えるセンスや神経を持つのはどこかの運び屋会社やどこかの戦闘部隊の人間たちくらいだろう。


 破裂音は銃声。閃光はマズルフラッシュ。
 放たれる元は――何の冗談か大きな十字架。
 パニッシャーと呼ばれる強力兵装。それがこのイベントを彩る楽器であり照明装置であり、殺戮兵器であった。


 それを構えるは1人の女。
 またも何の冗談かメイド服を風にたなびかせ、しっかり足をふんばり十字架を抱え銃撃を放ち続けている。
 その眼光は冷徹そのもの。
 撃つことへの躊躇いも、撃つ相手への怒りも、撃っていることへの悲しみも、撃っていることへの喜びも無い。
 ただ撃つ。それをする。それしかその目からは感じない。
 それは彼女の視線の先の者に対しても全く同じだろう。


 銃声と共に閃光。それと同時に彼女が見る、駅の屋根。
 そこが弾けとび、哀れ屋根は蜂の巣。今まで駅を守ってきていた木板たちは無数の木片へと成り下がる。吹き飛んだそれが落ちる前に、その隣の箇所が同じ末路を辿る。


 そこを走る者がいた。
 全力で駆け抜けているであろうそれは、またまた何の冗談か、人ではなかった。
 白い体、ぐにゃりと曲がっているのが特徴的な尻尾。カンガルーのような脚。
 そしてもう冗談極まったかのように、それが構えている物は滑稽だった。
 右手に大きな剣、これはまだいい。現実的ではないがまだ武器として通用する。
 が、左手に持っているのは――どう見てもスプーンだった。
 食器のスプーン。その大きなものを持っている。


 それの名はミュウツーといった。
 伝説のポケモンミュウの睫毛から採取された遺伝子からロケット団によって作り出された150番目のポケモン。
 それは必死に屋根の上を走っていた。
 当然だ。なぜなら彼が少しでもいた場所が、1秒後には穴開きチーズになっているのだから。少しでも足を緩めれば、空を舞う木片は肉片と血に早変わりだ。
 軽機関銃といえるパニッシャーの銃弾は並みの数ではなく、いくらかはミュウツーに向かってくるが、それを彼は超人的感覚を頼りに大剣V-Siと念のスプーンで弾いて
いた。ただしこれは銃弾が彼に定まっていない状態でこれだ。もし彼の足が遅れていたら捌ききれていないだろう。



 もしこれをどこかの外人が見ていたら、笑いながら言うだろう。
 『おいみなよ。メイドがイエス・キリストと一緒に、スプーンで食事に来たエイリアンとスターウォーズを始めやがった』と。



 もっとも実際にこの光景を見ていた『彼』はそういうことを言う性格ではなかった。



 *****



 屋根の上を駆ける異形をメイドの弾幕が追っていく。
 異形の方は駅の上を移動していく。スピードについてはそれなりのようだが、剣やスプーンで防ぐのが手一杯で相手との距離が詰められないようだ。確かにここで近づこう
とするのは自殺行為。軽機関銃の嵐の中に飛び込むとなると、捨て身の攻撃となるがどうやら異形はそこには踏み切れないらしい。
 ではメイドの一方的優勢かと言えばそうでもない。『彼』から見ればあのパニッシャーの攻撃はあまりに温い。彼が知っているそれならば屋根は穴だらけどころか骨組みす
ら木っ端微塵にできるはずだ。威力も連射数も明らかに少ない。
 さらに言えば、これは彼の経験からの見地なのだがメイドは手を緩めているように思える。それこそ連射できるところをいくらか小休止を入れている。(ただしその間には
拳銃で威嚇してカバーしている)
 彼が推測するに、おそらく彼女は弾を温存しているのだろう。思ったよりも相手が手ごわく、弾を無駄遣いするのを恐れている。この後の相手に際してこの武器をただの
鉄塊にしてよいものか。そこがメイドの優勢を崩している。


 メイドの小休止、そこを異形が突くのが先か。
 異形の足が鈍りメイドが撃ち貫くのが先か。
 勝負はそこにかかっていた。



(だけど)



 それは、彼には関係ないことだ。



 駅前からいくらか離れた茂みの中。そこに『彼』、リヴィオ・ザ・ダブルファングはいた。
 大柄な体を屈め茂みに潜み、2人の戦いを見守っている。
 いや、手元に拳銃を持ちその視線が鋭くメイドに向かって突き刺さっている様子を考慮すれば、こう言い直した方がいいだろう。


 彼はメイドを殺す隙を伺っていた。


 劇場を後にしここまで北上してきた彼がその戦いに気づくことは容易だった。なにせ音が激しすぎる。
 そして彼にはこの音に聞き覚えがあった。
 当然だ。
 彼のよく知る男たちはこれを愛用する者たちばかりなのだから。
 最強の個人兵装パニッシャー。それに気づいた彼はその音の方向へ迷い無く足を向けた。
 こうして今に至る。


(アレを手に入れられれば――ラズロの戦力は格段に上がる)


 未だ眠り続けるラズロ。その彼が最も愛用し最も力を引き出せる兵装が今彼の目の前にある。
 ただし障害は2つ。兵装を独占する女とその相手だ。
 交渉して貰えるとは最初から思っていない。だから女を殺すことはまず決定事項だ。問題はその方法にある。
 中途半端な攻撃では手痛い反撃を食らう。いくらか治ってきたとはいえ手負いの身だ。あの武器の恐ろしさを身をもって知りたくはない。


 さらに女を殺せばいいという問題でもない。
 直後に相手にパニッシャーを奪われてしまっては話にならない。


 つまりリヴィオの取れる最善は、2人を一度にあるいは間断なく殺すこと。
 次点で女を仕留め、相手が動くより先にパニッシャーを入手し離脱する。もしくは相手が倒された後に女を仕留める。


 AA弾は残り4発。
 2人の戦いをこのまま見守るのも確実性に欠ける。二人が戦場を移動してしまっては厄介だ。
 かといってここから女を仕留めるにも少し遠い。
 万全の状態ならば一気に相手に近づくのだが、ウルフウッドに与えられた胸部内へのダメージは制限の影響もあって未だに完治していない。


(くそ――俺にできることは、せめてアレをラズロに渡すことなのに)


 それすらできない自分に悔しさが募る。それを阻む怪我を与えた人物に不覚を喫した自分に腹が立つ。


 デイパックを見やる。そこにはココに来る途中、ビルの崩落現場にあったデイパックから見つけた日本刀が入っている。
 それでの接近戦も考えたが、すぐに却下した。自分の本分は銃撃戦。刀などそうそう使えるものではない。


(――次だ。次にあいつが連射を止めた時に勝負を賭ける)


 リヴィオは腹を決めた。
 何が何でもラズロに後を繋げる。その為に何が何でもパニッシャーを手に入れる。
 メイドが連射を切り相手に銃を向けた瞬間、一気に茂みを抜けて接近。
 確実射程に入った瞬間にメイドの命を断つ。そしてそのまま駆け抜けてパニッシャーを手にする。
 少しでもしくじれば後は無い。ウルフウッドの時のような失態はもうできない。してはいけない。


 メイドの掃射が止まった。
 もうすぐだ。もうすぐ。
 彼は足に力を込め、隻腕に銃を握り締める。
 集中する。銃を向けた瞬間に飛び出せるように。胸部の痛みで足が鈍らないように。有効射程に入ればすぐに銃を撃てるように――




 ガサッ!!



 茂みから飛び出し一気に相手へと近づく。




 ただし――



「ッ!!」



 近づかれたのは――リヴィオの方だった。





 *****




(くっ……厄介な相手に当たってしまったな)


 ミュウツーにとって今の状況は芳しいものではなかった。


 駅に着いた直後に鉢合わせし、問答無用でマシンガンの掃射を受けた。瞬時に屋根の上に飛び上がったものの、掃射の連続を未だに受け続けている。
 掃射自体に脅威を感じているのではない。問題は今の状況そのものだ。
 相手は問答無用の攻撃から見て間違いなく優勝狙いの殺戮者だ。つまりミュウツーにとっては生きていた方が都合がいい相手で自分がわざわざ戦う必要は無い。むしろ
戦いは避けるべきだ。
 なのに今のこの有様だ。逃げようとしても掃射の間に拳銃で狙われてはそれもできない。(ちなみに逃げようとかがんでいるのをリヴィオは遠かったこともあり接近し
ようとしていると勘違いした)
 ミュウツーにとっては最悪の状況だ。


 ロベルタもそんなミュウツーの意志は察していた。相手が逃げようとしている事はわかっている。
 だが南下を決めて見つけた獲物だ。わざわざ逃す気はない。
 相手がこちらは掃射しかできないと思ってきている今がチャンスだ。


 ロベルタはパニッシャーを反転させた。制限でいくらか軽いとはいえ巨大な十字架をバトンのように軽々と回すメイドというのはなんとも恐ろしい光景だった。


「!?」


 ミュウツーがそれを見てV-Swを構える。敵の攻撃を見極めようとパニッシャーを凝視する。


 ロベルタが反転させたパニッシャーからミサイルランチャーを発射する――





「ストップ!」




「!?」



 ――前に、突然凛とした声が響き渡った。
 2人がそちらに目を向ける。


 そこに佇んでいたのは騎士のような服に身を包んだ灰色の髪の少女、そしてその後ろに無表情でいる大柄の男だった。
 ロベルタは既に拳銃を少女に向けている。ミュウツーも片手を少女に向ける。
 それに対し、少女、ナイン・ザ・コードギアスは全く動揺していない様子だった。


「待ちなさい。貴方達、ひどく無駄な事をしてるって気がつかないの?」
「……」
「……」


 その言葉にミュウツーはまさに自分の考えていた事を言い当てられて歯をきしませた。
 一方ロベルタは――――遠慮なく銃の引き金を引いた。


 パァン! ガキィ!!


「メイドの癖に物騒ね。ああ、でも聞いた話じゃ物騒なメカメイドがいるとかいないとか」
「貴女も……ですか」


 ロベルタは銃弾を弾いてみせたナインの硬質化した腕を見て顔を歪めた。脳裏に浮かぶのは園崎魅音。目の前の少女も同じような特異的な存在とロベルタは判断する。


「まあいいわ。貴方、聞いた情報から考えて単独行動の優勝狙いよね?
 で、そこの白いのもそう。そうよね?」


 そう言ってナインはミュウツーを見た。
 その物言いにミュウツーは疑問を抱いたが――ナインの顔を直視できた瞬間、その疑問は消えた。


(この女……あの時の女だったのか)


 機械巨人を相手にしたあの一戦。確かにあの時この女はその場にいた。髪型、服装、そして雰囲気が全く違った為なかなか気づけなかった。


(何があったというんだ? まるで別人だ。同行していた女が死んだからか?)


 自分が森で追っていた時と同一人物とは思えないその変化に彼は戸惑いを隠せなかった。
 そんな彼を無視してナインは話を続ける。


「優勝狙いが互いに潰し合う…………これじゃあ殺し合いを嫌がって徒党を組んでる連中が得するだけでしょ?」
「それはどうでしょうか」


 ナインの論にロベルタは取り付く島もなく反論する。


「もしかして『私達が殺す分くらい自分で殺せる』とか思ってるのかしら」
「…………」


 無言という形でそれを肯定するロベルタにナインは嘆息した。


「ココの連中を甘く見てるんじゃない? 私だって3人組についさっき手痛い反撃を喰らっちゃってね」
「貴女が力不足なだけでは?」
「言ってくれるわね。でも少なくとも既に組んでいて強力な連中がいるのは確か。
 あなた達も心当たりくらいないのかしら」
「私は 『4人』 !?」


 突然3人の脳裏に言葉が『聞こえた』。
 奇妙な感覚だが、耳で聞いたというよりそう表現するのが正しい感覚だった。


『オレは4人組を見かけている。しかもその前にもう1人組んでいた男がいた。つまり元来は5人組ということだ。
 その別れた男はバイクを自由に駆る巨躯の男だった。4人組の方も侮れない奴らだろう』
「…………今のは」
「もしや」
「あなた?」


 3人の視線がミュウツーに向けられると、彼は静かに頷いた。
 そして彼のナインへの敵意も薄れているのがその様子から感じられた。
 彼に向けてのナインの反応は、不敵な笑みだった。


「情報ありがとう。で、あなたは私の静止を聞いてくれたってことでいいのね?」
『オレも優勝狙いが減ると困るからな』
「ふうん…………で、残ったのはあなただけなんだけど?」


 ナインの視線にロベルタは未だ銃口で応える。


「貴女は心当たりないの?」
「生憎ここで徒党を組んだ相手との遭遇がありませんもので。
 それに集団相手は慣れておりますので、貴方方の力不足としか感じておりません」
「本当にそう? じゃあ――――いつもならありえない事態。これはどう?」


(っ……)


 心当たりがないと言えば嘘になる。
 その辺の女学生程度の娘に首を絞められるなど考えられなかった。
 その辺の女学生程度の娘を2度も逃すこともまずありえないことだった。
 そもそも胸から腕が突き出てくること事態あり得ない。
 水銀が自由自在に動く事も――


「そっちは心当たりがあるみたいね。そしてそういう連中が力を合わせてしまったら?
 貴女の『慣れてる』集団戦と果たして同じでいられるの?
 私やそこの白いのの異常性はもうわかってるわよね。こういうのがゴロゴロしてる。そう考えていいはず。
 そんなのが組んでばかりの場所で利害が一致してる者たちが潰し合い……馬鹿らしいと思わない?」
「…………」


 ロベルタはナインを敵意の篭った視線で睨み、一息置いた後――銃を降ろした。



「貴女の戯言を最後まで聞いて差し上げましょう。ただし少しでも奇妙なそぶりをすれば容赦は致しません」
『本題の予想はついているがな』



 苦々しそうな言い方を隠さないロベルタ、いたって冷静なミュウツーにナインは2人の顔を真正面から見据えた。
 その目に宿るは決意。絶対の意志。何かを成し遂げようと言うその瞳。


 その瞳に2人が既視感を覚えたのは錯覚ではないだろう。
 なぜならば――



「単刀直入に言うわ。私達、手を組まない?」



 それは『誰かの為』の意志なのだから。




 *****



「話になりません、とだけ申しましょう」


 ロベルタにとってこの提案は2度目の経験だった。
 1度目は夜に黒服の男サカキから。そして彼女はその提案を蹴った。
 今度も同じだ。手を組む必要など無い。自分は犬。同じような犬と馴れ合う道理はない。


「そもそも手を組んだ場合のこちらのメリットというものが不明瞭でございます。
 貴女の異常性は見させていただきましたが、そこの男はかなりの手負い。
 そのような者を―」
「彼、肉体の治癒能力がかなり速いんですって。だから、数時間もすれば大分治るそうよ?」
「…………」
「貴方はどう?」


 ナインは無言になってしまったロベルタから目を外し、ミュウツーに視線をやる。
 腕を組んでいた白い異形がその静かな視線でこちらを見てくる。


『オレは乗らせてもらう。1人で立ち向かうことの限界性にはオレもそろそろ感づいてきていた。
 お前たちをせいぜい利用させてもらうとしよう』
「そういうことよ。別に絶対の信頼を置けって言ってるんじゃない。
 せいぜい利用しろ、って言っているの」
「…………」


 ロベルタは3人を見やる。
 ミュウツーがあちらに回った以上、今の状況は単純に1対3と考えてもいい。
 異形の力は既に知っている。手負いの男ですらその眼光や佇まいから只者ではないことはわかる。少女ですらその腕は剣に変わる。銃弾に反応できた瞬発性も見逃せない。


 パニッシャーならばいくらか立ち回りはできる。
 3人どころか5人以上でも相手をできる自信はある。



 だが、どこかでこう思う自分がいる。



『今そこまで無理をしていいのだろうか』



「…………」



 人数はまだ半分近く。
 この距離で3人を相手取るにはハイリスクに過ぎる。
 手痛い反撃を喰らう。そしてロベルタには今のところ再生能力という手段などない。
 1対1だったサカキの時とは状況が違う。



「撃ちたければ背後からいつでも狙えばいいわ。ただし、その行動の意味を後悔しないならね。
 何が何でも生き残りたいなら。何が何でも帰りたいなら。
 どんな手も尽くす。どんな相手も利用する。そして自分は絶対死なない。
 ――そうでしょ?」


 そう語りかけるナインの瞳は変わっていなかった。絶対の意志を、強い決意を感じる瞳。
 無言で佇んでいる男も、白い異形も同じ瞳だった。
 泥に血に闇に塗れても、何かの、誰かの為に生き残る決意。
 それはまさに汚れた狂犬のような目だった。


(犬ならば犬と群れるもまた道理、でしょうか……)


「わかりました。
 ただし利用価値を失った場合は即刻見捨てさせていただきますので」
「こちらも同じよ」
『ああ』
「…………」


 こうして4人は一応の手を結ぶ。
 それぞれの目的と思惑を秘めて。



 ****



 やれやれ。なんとか収まりがついたわね。


 奴らに対抗するには私1人だけでは駄目だ。
 こちらも協力、利用しなくては歯が立たないもの。


 それに私の目的は全ての参加者を蘇らせる事。
 今は黙ってるけど、いずれ明かしてみようかしら。
 この中の誰でもいい。主催から力を奪い全員を蘇らせてもとの世界に帰る。私としてはそれで構わない。何よりも優先するべきなのはナナリーの蘇生なのだから。
 今ここで言わないのは3人の目的がわからないから。
 けれど全員蘇らせる、という目的と反するものがそうあるとは思えない。
 だから他の3人にこのことを打ち明けるのも良いでしょうね。



 さて、一応情報交換、それと支給品をチェックして物によっては分配しましょうか。もっとも素直に見せてくれるかは怪しいけどね。
 にしても概念核兵器まであるなんて……本当ふざけてるわね。
 そういえば後ろのリヴィオ、というのはあの十字架の武器を渡すのを協力条件にしておいたのよね。あのメイドが渡してくれればいいけど。


 それと、4人一団で行動するか、二手に分かれるかも問題ね。前者なら戦力、後者なら迅速さ重視になる。
 2手に別れた場合は美琴に言ったことを本当に実行してみるのもいいかもね。北と西での挟み撃ち。電車があるから移動は出来るし。
 あと内訳も問題ね。


 ――――あの白いのと2人きりは勘弁して欲しいわね。



 ――――だって、殺したくなってしまうもの。



 ――――でもまだ駄目。利用できる内はせいぜい利用する。だから我慢しなくちゃ。



 ――――大丈夫。私は絶対やってみせる。主催者を倒し、全員を蘇らせる。たとえ他の者に託してでも。




 ――――ナナリーの為に――――




 ****




 俺の目的はただ1つ。パニッシャーだ。
 その為にナインと名乗った少女の提案も呑んだ。それに、ウルフウッドさんから受けた傷は大きい。
 もし組んだなら敵と遭遇した時攻撃される確率は低下する。ただし、仲間に攻撃される確率も高いのは問題だけど――その時は、容赦しない。
 なにしろこの中の誰もあの弾のことは知らないんだから。


 女が素直に渡してくれればそれでよし。渡してくれなかったなら――チャンスを伺う。
 あるいは女が誰かに殺されるのを願おう。



 ――――絶対に俺は死ぬわけには行かない。必ずパニッシャーを手に入れてみせる。




 ――――亡きマスターC、そしてラズロの為に――――



 ****



 今は群れよう。けれど牙はなおも貴方方に向いている。隙あらば喉元を食いちぎるでしょう。
 いずれにしても利用しこちらの消耗を減らす。


 そういえば、あの男もまた集団を組むと言っていましたね。
 最後に見たのは学校近く…………彼とのゲーム、ここで終わらせるのも良いでしょう。
 まだ彼らがあの周辺にいたら、そしてこいつらがあの周辺へ行く事を容認した場合ですが。


 それから何時まで組むかもはっきりさせておかねば。
 残り人数が何人とわかったときか、あるいは24時まで、など。
 いつまでも馴れ合うつもりはございませんので、その辺りは決めておきましょう。



 ――――今はまだ見逃しましょう。ですが、必ずや貴方方全員に死を。私は帰らなければならないのだから。



 ――――鉄槌を与えなければならない奴らの下に。そしてガルシア坊ちゃまの下に――――




 ****




 オレとしては好都合な展開だ。
 殺戮者が潰し合うのが回避され、協力して他の集団とぶつかる。1日中に半数を割って欲しいオレとしてはな。
 最善は自らは消耗せずそこで残り疲弊した者を倒すのが最善だが――3人とも同じことを考えているだろうな。
 要は仲間に敵をあてがて、自分はそれを避ける。それの早い者勝ちか。『仲間』とは名ばかりの集団だな。


 所詮は利害の一致か。
 だが単体戦力が優れているのは文句をつけようが無い。男の方は未確認だが、弱いとは思えん。
 これだけいればあのバイクの男にも勝てるとすら思える戦力だ。
 人数としては病院方向に向かった一団と同じだが……奴らはどこに行ったのか。
 病院より先は禁止エリア。となると戻って北か西。北は奴が向かっていたはずだから、西の駅に向かえば奴らを迎撃できるだろうか。
 一応進言してみるか。



 ――――オレは絶対に優勝せねばならない。たとえこいつらと手を組んででもだ。



 ――――全てはマスターの為に――――




 ****



 マスター。
 起源はラテン語『magister』。師を表し、原義は「より偉い人物」。
 名詞としては主人、主君、師、達人、~に精通した人などの意味が一般的だろうか。


 『マスター』と言う言葉を使っているのはミュウツーのみだが、他の3人はどうだろうか。


 ナイト・オブ・ナナリーを名乗るナイン・ザ・コードギアス。
 彼女にとっては親友と言う位置だろうが、体裁としては『主君』と言えるだろう。


 リヴィオとラズロの戦う原動力であるマスターC。
 彼は彼らにとって紛うことなき『師』であった。
 またリヴィオにとってのラズロもまた『師』であり『達人』。自分の上を行く存在であると認識している。


 亡き主人の復讐を誓うロベルタ。
 彼はまさに『主人』である。そしてその息子もまた『主人』であり大切なものだ。




 きしくも4人とも誰かの為に戦っている。
 それぞれの『マスター』の為に。




 それから、マスターには限定的な意味でこんなものも存在する。
 競技やスポーツで使われる用途なのだが、優勝を狙う集団と言う意味ではこの意味も該当するであろう。










 『勝利者』という意味が。






【C-4駅前/一日目 夕方】


ブレンヒルト・シルト@終わりのクロニクル】
[状態]:疲労(中)、左半身に火傷(小)、左腕欠損(ARMSで代替)、ARMS復旧率90%
[装備]:汗で湿った尊秋多学院制服(左袖欠損)、ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS(左腕に擬態)、全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero
     アリス・ザ・コードギアスの衣装@ナイトメア・オブ・ナナリー
[道具]:支給品一式×2、アンフェタミン@Fate/Zero
[思考・状況]
 基本行動方針:優勝狙い
1:殺し合いに優勝し、優勝者の褒美でナナリーを含む全ての参加者を『蘇らせる』
2:望みが同じ参加者とは協力する
3:リヴィオ、ロベルタ、ミュウツーと手を組む。具体的な方策を話し合う。
  全員蘇生についても話す予定。
4:佐山と新庄には注意(特に佐山)
5:1st-G概念を行使できるアイテムを手に入れる
6:ミュウツー、ラッド、詩音を許すつもりはない
7:御坂美琴、真紅、橘あすかは見つけ次第殺す
8:ARMSが完全に回復するまでどこかで休憩する。
※ARMSコアの位置は左胸です。
※アリスの衣装はネモが変化した姿です。ネモの意識、特別な力はありません
※髪を切りました
※ARMSは電撃を学びました、以後電撃を浴びても操作不能にはなりません。


【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]全身治癒中、内臓にダメージ、左腕再生中・見かけは復元、背中にダメージ小、胸にダメージ中 背中のロボットアーム故障
[装備]M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×14、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×4@トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式×6、
    スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾20発)@BLACK LAGOON、
    ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、.45口径弾24発装填済みマガジン×3、45口径弾×24(未装填)
    天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース、ミリィのスタンガン(残弾7発)@トライガン・マキシマム、三代目鬼徹@ワンピース
[思考・状況]
 0:ラズロが戻るまで必ず生き抜く。
 1:参加者の排除。ウルフウッドとヴァッシュに出会ったら決着を付ける?
 2:ウルフウッドを強く意識。
 3:身体が万全になるまで戦闘は避ける。
 4:ロベルタからパニッシャーを手に入れる。
 4:ナイン、ロベルタ、ミュウツーと手を組む。具体的な方策を話し合う。
【備考】
 ※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
 ※とりかえ手ぶくろによって左腕を肩口から奪われました。
 ※ラズロとの会話が出来ません。いつ戻ってくるか、もしくはこのまま消えたままかは不明です。




【ロベルタ@BLACK LAGOON】
[状態]:メイド服を着用 薬物依存、疲労(中) 右腕に切り傷(応急処置済み) 、肋骨にヒビ、腹部にダメージ小、眼鏡なし 、
[装備]:パ二ッシャー@トライガン・マキシマム(弾丸数20% ロケットランチャーの弾丸数2/2) コルト・ローマン(6/6)@トライガン・マキシマム
    投擲剣・黒鍵×4@Fate/zero
[道具]:支給品一式×3(水1/4消費)、コルト・ローマンの予備弾35 グロック26(弾、0/10発)@現実世界
    謎の錠剤入りの瓶@BLACK LAGOON(残量 55%) レッドのMTB@ポケットモンスターSPECIAL
    パ二ッシャーの予備弾丸 2回分、ロケットランチャーの予備弾頭1個、キュプリオトの剣@Fate/Zero 、首輪(詩音)
[思考・状況]
1:サカキとのゲームに乗り、殺し合いに優勝する。
2:必ず生きて帰り、復讐を果たす。
3:ナイン、リヴィオ、ミュウツーと手を組む。具体的な方策を話し合う。
  心を許す気はない。
【備考】
※原作6巻終了後より参加
※康一、ヴァッシュの名前はまだ知りません。(よって康一が死んだことも未把握)
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。


【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
【状態】:疲労(大)、右手負傷(小)
【装備】:機殻剣『V-Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル
【所持品】:基本支給品一式、どこでもドア@ドラえもん
【思考・行動】
 0:当面は様子を見つつ、ギラーミンのいう『ノルマ』をこなす。
 1:マスター(カツラ)を救う為、24時間以内に参加者を32人以下まで減らす。
 2:隙を見て参加者に攻撃を加える
 3:ナイン、リヴィオ、ロベルタと手を組む。具体的な方策を話し合う。
 3:男(ラッド)には殺害数を稼いで貰う。殺すのは後回し。
 4:魅音かハクオロが細胞を移植し、自分を追ってきたら相手をする。 魅音の死に気づいていない?
 5:イエローを殺した相手を見つけたらたとえ後回しにしたほうが都合がよさそうでも容赦しない。
 6:もしギラーミンの言葉に嘘があったら……?
 ※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
  念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
 ※念による探知能力や、バリアボールを周りに張り浮遊する能力は使えません。
 ※名簿を見ていないため、レッド、サカキの存在を知りません。
 ※ギラーミンに課せられたノルマは以下のとおり
  『24時間経過するまでに、参加者が32人以下でない場合、カツラを殺す。
   48時間経過するまでに、ミュウツーが優勝できなかった場合も同様。』
 ※カツラが本当にギラーミンに拉致されているかは分かりません。偽者の可能性もあります。
 ※V-Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
  使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。
 ※男(ラッド)と戦った相手が「左腕が刀になる女」であると知りました。
 ※ギラーミンから連絡のないことへの疑問、もしカツラが捕まっていないという確証を得られたら?
 ※なぜギラーミンの約束したカツラからの言葉が無くなっていたのかは不明です。




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誰かの願いが叶うころ(後編) ブレンヒルト・シルト 殺意と鉄血が呼ぶは死の熱風‐Santana‐
瞬間 リヴィオ・ザ・ダブルファング 殺意と鉄血が呼ぶは死の熱風‐Santana‐
within spitting distance ロベルタ 殺意と鉄血が呼ぶは死の熱風‐Santana‐
EPISODE163 疾走 ミュウツー 殺意と鉄血が呼ぶは死の熱風‐Santana‐


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最終更新:2012年12月05日 02:30