バッドエンドは突然に◆b8v2QbKrCM
中途半端な情報は、時に誤った情報以上に判断を狂わせる。
病院の窓を飛び出し、西へ向かう獣達を追ったあすかの判断もそうであった。
赤いドレスを着た
古手梨花を真紅と誤認。
常盤台中学の制服を着た
竜宮レナを
御坂美琴と誤認。
(まさか、あの黒服の男は――!)
そして更に、黒いスーツを着たニコラス・D・ウルフウッドを無常矜持と誤認しつつあった。
あすかがこうも誤認を重ねるのも、ある意味当然のことである。
彼が知る範囲で、黒尽くめという外見と、少女を拉致する姑息さを併せ持つのは無常矜持ただ一人。
それも
ストレイト・クーガーからの伝聞であり、信憑性のかなり高い情報だったのだ。
低空を滑るように移動しながら、あすかは歯噛みした。
(建物が邪魔に……)
もしここが開けた土地であったなら、獣達の姿をじっくり観察し、誤解を解けたかもしれない。
だが現在地は市街地、それもメインストリートから離れた複雑な路地の真っ只中であった。
当然、西を目指すルートも一直線ではなく、獣達が進路を調節するたびに、建物の死角に入り込んでしまう。
あすかが空中からの追跡に限界を感じ始めた頃――
「……しまった!」
ついにあすかは獣達の姿を見失ってしまった。
実際は獣が建物の陰で停止したため、あすかからは見えなくなっただけである。
いわば単なる小休止だ。
しかしあすかにしてみれば、追跡を撒かれたとしか思えなかった。
心の内から激しい焦燥感が湧き上がる。
目と鼻の先で攫われたのみならず、追跡にも失敗して見失ってしまうとは。
あすかは急速に高度を落とし、路面すれすれを滑走する。
直前まで獣達が進んでいたルートを辿ればきっと追いつくはずだ――そう考えて。
◇ ◇ ◇
「方角はこっちでいいのか?」
「ああ、まっすぐ西に突っ切れば大通りに出るはずや」
チョッパーが膝に広げた地図を覗き込みながら、ウルフウッドは指先で道をなぞった。
その傍らでは、レナと梨花が遠慮気味に水分を補給している。
現在位置はE-4とE-5の境界付近。
病院から1kmほど離れたそこで、四人は数分程度の小休止を取っていた。
状況を省みれば、一秒を惜しんで前進するべきなのかもしれない。
しかし地勢がよくないのだ。
病院から劇場を迂回して川の南を目指すなら、必然的にメインストリートを外れることになる。
それはつまり、網の目のように巡らされた道を抜けなければならないことを意味する。
真西に進んでいるつもりでも、道なりに進んでいくうちに、進行方向が歪んでしまうかもしれない。
こうして現在位置を再確認しているのも、見知らぬ街を確実に抜けるための措置であった。
「よし、行こう!」
「もうちょっと休んだほうがいいよ。チョッパー君が一番体力使っちゃうんだから」
地図をたたみ、先を急ごうとするチョッパーを、レナは穏やかに制した。
ただでさえ劇場でダメージを追った上、ここまでメンバーの足として頑張ってきたのだ。
必然的に、疲労も最大であるに違いない。
しかしチョッパーが自分からそれを主張することはないだろう。
「そうなのですよ。遠慮はダメなのです」
「……わかった」
レナの勧めに梨花も同調する。
確かに先を急ぎたいところではあるが、無理をするのは望ましくない。
それが原因で危険に晒されては本末転倒だ。
チョッパーも二人の意図を悟り、再び路傍に腰を下ろした。
「やれやれ……」
傍らのやり取りを横目に、ウルフウッドは間断なく周囲を警戒し続けていた。
辺りは遮蔽物の多い市街地。
隠れてこちらを伺うには絶好の環境である。
例えばビルの屋上。
例えばテナントの一室。
例えばブロック塀の向こう側。
こういうとき、火傷顔の女の荷物から得た探知機が欲しくなってしまう。
それさえあれば、相手がどこに隠れていようと一発で見抜くことができる。
だが、それはグラハムを探すライダーにこそ必要な代物だ。
こちらは探知機の代わりに数の利で補うしかない。
一人よりも二人、二人よりも三人、三人よりも四人。
注視する目が多ければ多いほど、探知機を持たない分を補える。
「…………!」
ウルフウッドの視線がビルの一角に止まる。
他よりは高いものの、高層とは言いがたい程度の雑居ビル。
距離はおおよそ二〇〇メートル。
直線的に繋がる道はない。
(誰かおったな)
はっきりと目撃したわけではない。
何かが光った、何かが動いた――その程度の違和感。
だが、それでも警戒するには充分すぎる。
二〇〇メートル『もの』距離と考えるのは素人だ。
現実は『たったの』二〇〇メートルでしかない。
達人的な狙撃手であれば、この五倍以上の距離からでも当ててくるだろう。
そして、あのビルのように見晴らしのいい高所は絶好の狙撃地点なのだ。
(場所を変えたほうがええ)
ウルフウッドはおもむろに腰を上げた。
――さて、どう説明したものか。
狙撃されるかもしれないから場所を変えよう、と言えば分かってくれるだろうか。
◇ ◇ ◇
同時刻、雑居ビル六階。
ラッドはつい先ほどまで構えていたバズーカを、デイパックに押し込めた。
装填していた風貝も取り外し、通常弾頭を撃てるように切り替えておく。
「ちっ……勘のいい奴だ。
せっかく景気良くズガーンといってやろうと思ったのによ」
悪態を吐きながら、がらんどうのテナントを後にする。
ウルフウッドの直感は的中していた。
あの瞬間、ラッドはまさにバーンバズーカの照準を合わせていた真っ最中であった。
ラッドの不幸、ウルフウッドの幸運は、バズーカの照準器が狙撃向きでなかったこと。
狙撃よりも機動射撃に対応した兵器であったため、狙いを定めるのに時間が掛かってしまったのだ。
加えて言うなら、ラッドが一撃で全員を巻き込もうと拘ってしまったことにも原因があるだろう。
「それより、あそこ何人いたんだ? 四人か? 三人と一匹か?
黒い服は間違いなくニコラスとかいうヤロウで、赤い服着てたのがあのクソガキだな。
着替えてんじゃねぇよ、見間違えるとこだったじゃねぇか。
それとも服装に気を使うほど余裕綽々ですってか?
思ってんだろうなぁ。
ラッド・ルッソは両腕なくして再起不能だから安全です、とか思い込んでるんだろうなぁ。
もう一度両手で首絞めてやったら、すげぇ顔するんだろうなぁ……!」
饒舌に独白しながら階段を降りていく。
狙撃こそ失敗したが、ラッドはさほど落胆していなかった。
相手の人数を把握できただけでも充分な収穫といえる。
ラッドが服装の違いを看破できたのは、ひとえに相手が動いていなかったからに他ならない。
高速で疾走する相手を見ていた
橘あすかとは条件が違うのだ。
「鹿っぽい奴は宇宙人の同類かもな。もう一人の餓鬼は地下の電気女か?
いや、ありゃ別人だったな。同じ服なんか着やがって紛らわしい。
むかつく奴を一気にぶっ殺せるかと思ったのに、期待しただけ大損だな。
……とりあえず、何か新しい武器が要るか。いつまでも大砲ひとつじゃあな」
成し得なかった一手よりも、次の一手に思考が傾けられていく。
二時間以上の休息を挟んだことで、肉体の機能はかなり取り戻されている。
しかしバズーカの残弾も風貝の容量も無限ではない。
いつかは確実に使い切ってしまう上、どうすれば補充できるのかも分からないのだ。
できることなら、早急に新しい武器を手に入れておきたいところである。
入り口付近に置かれていた無料配布の紙マッチをごっそりと掴み取り、ポケットに突っ込む。
こんなモノでも使いようはあるだろう。
殺し以外にも、色々と。
標的を殺す他の目的を定め、意気揚々とビルから出ようとした瞬間――
「うおっ!」
「わあっ!」
歩道を滑るように移動していた何者かとぶつかりかけた。
その男は驚いて安定を失ったものの、転ぶことなく路面に着地した。
「すみません、急いでいたもので! 大丈夫です……か? ……っ!?」
男は反射的に謝罪を口にしようとしたが、すぐに体勢を整えてラッドと対峙する。
ラッドを見据える男の眼差しは、初対面の相手へ向ける類のものではない。
具体的に喩えるなら、警察官が逃走中の凶悪犯を捕らえようとする瞬間のようだった。
そしてラッドは直感する。
こいつは自分のことを知っている、と。
「おいおい、怖い顔するなって。何も取って食いやしねぇ」
「騙されませんよ。そのバッグにはバズーカが隠してあるんでしょう?
それで何人殺してきたんですか」
男が警戒を向ける一方で、ラッドも男を観察する。
自分を追い詰めうる情報網があるなら、早めに断っておいたほうがいい。
そういえば、この服装には見覚えがある。
地下で戦闘になったストレイト・クーガーと同じものだ。
とても私服とは思えないデザインなので、恐らくは何かしらの制服だろう。
――組織のネットワークで情報が流れたか?
否、それは考えにくい。
ストレイト・クーガーの名が放送で呼ばれたのは、地下での戦闘の直後だった。
仲間に情報を伝えるには時間的な猶予が少なすぎる。
ここはひとつ、鎌をかけてみるべきか。
「何か急いでたみたいだけどよ、誰か探してたのか?
――例えば黒服の男とか」
眼前の男の表情が明らかに変わる。
ラッドは口元を歪めて笑みを作ると、デイパックからバズーカを引きずり出した。
「貴様っ……!」
「慌てんじゃねぇよ」
身構える男を嘲笑うように、ラッドはバズーカを投げ捨てた。
更にデイパックをも放り投げる。
「質問だ。黒服の男はお前の敵か?」
「敵……になると思いますね」
言葉を選んだ回答だが、これだけでも充分だ。
この男がニコラスの敵であるというなら話は早い。
「それなら利害一致だな。俺も奴には痛い目に合わされたんだ。
知ってるかもしれねぇが、奴は銃使いだ。それもかなり強えぇ。
少なくとも俺と戦ったときは拳銃を使ってたな」
男が口を挟む暇もなく矢継ぎ早にしゃべり倒す。
相手も困惑こそしているものの、話を遮ろうとはしてこない。
聞きたいのだ。
自分がこれから戦うであろう相手の情報を、少しでも得ておきたいのだ。
話し手が危険人物であっても関係ない。
銃を使うなんて、当たり前過ぎて偽情報として流す価値もない。
これがもし『奴は銃を持っていないし強くもない』という内容だったら疑う余地もあるだろう。
しかし、ラッドが語る情報が嘘であったとしても、想定より弱いことになるだけで不利益はない。
だからこそ遮らない。
心の片隅に留めておくだけでも有意義であるがゆえに。
「さて、俺は情報を提供した。
お前も見返りに何か教えてくれるのが筋じゃないか?」
「ええっ!?」
理不尽なのは明らかだ。
勝手に喋っただけだろう、と突っぱねられても当然である。
それはラッドも分かっている。
だから、ここで一歩引いてみる。
「なにも上等な話を聞こうとは思ってねぇ。どうして奴を追いかけてるのか聞かせてくれ」
男は視線を落とし、悩む素振りを見せた。
ラッドが知りたいのは、どこで自分のことを知ったのかということだ。
情報網を聞き出して断ち切れば、憂いなく殺しを続けられるだろう。
だが、直接訊ねたところで答えるはずもない。
ならばせめて、周辺的な問いから足がかりだけでも引き出せれば御の字だ。
「……攫われた仲間を助けにいくんです」
「仲間ぁ?」
予想外の答えにラッドは眉を顰めた。
遠くから見ただけだが、あの四人の間に不穏な雰囲気は感じられなかった。
あの中に拉致された者がいたというのか。
少なくとも黒服の男本人と連れの餓鬼は除外。
となると、鹿か女。
「仲間って、鹿みてぇな生き物のことか?」
「違います! 女の子ですよ!」
そっちか、とラッドは合点した。
電気女と同じ服を着た女がこいつの仲間で、それを攫ったのが黒服の男。
何となくだが大筋の流れは掴めてきた。
しかし、どうしても納得できないことがあった。
攫われた奴が、あんな風に馴れ合えたりするものなのか?
もしかしたら遠目にそう見えただけで、実際には違う関係があったのかもしれない。
だが、特に赤い服の餓鬼とのやり取りは、馴染み深い友人とのそれを思わせるものだった。
少なくとも誘拐犯と肩を並べて仲良く水分補給なんてしないだろう。
こいつ何か誤解してるんじゃないのか――?
思考がそこまで及んだ瞬間、ラッドの笑みが一層深まった。
「俺の勘違いかもしれねぇけどよ。
攫われた仲間って、ミサ何とかだのミコ何とかだの、そういう名前じゃねぇか?」
「ッ……あなたに話す必要はありません」
――当たりだ。
ラッドは背中に回していた手を戦慄かせ、骨が軋むほどに強く握った。
笑い出したくなるのを堪えるので精一杯だ。
電気女と何も関係がないのなら、いいえ違いますの一言で充分だったのだ。
こいつを電気女が仲間だという前提で考えれば全てが一本に繋がる。
自分に警戒心を露わにしたことも、バズーカの存在を知っていたことも。
先ほどの問い掛けで言葉を濁したことも説明できる。
ああ、我慢した甲斐があったというものだ。
殺したい衝動を抑え込み、心にもない台詞を吐いただけの価値がある。
殺したい相手の居場所が二つも同時に分かるなんて。
できれば今すぐにでも――
丁重に、丁寧に、心を込めて、じっくりと――!
◇ ◇ ◇
あすかは焦っていた。
病院を飛び出し、その後真紅と美琴を見失って早数分。
直前まで進んでいた道を辿ってここまできたが……
「つれねぇな。共闘するかもしれないんだぜ?」
よりによってこの男に捕まるとは。
あすかの目の前では、白いスーツの男が狂ったような笑みを顔面に貼り付けている。
こいつが美琴から聞いた危険人物であることは疑いようがない。
ありとあらゆる特徴が、人格も含めて合致しているのだ。
「冗談でしょう。あなたと一緒に戦うなんて願い下げですよ」
美琴の話によれば、こいつは彼女に対して明確な殺意を抱いている。
もし攫われてしまった仲間が美琴のことであると知れたら――
「余計な時間を使いました。先を急ぎます」
これまでに明かしてしまった情報だけでも、許容範囲ギリギリだ。
奴が黒服の男の一行を目撃していたなら、仲間を攫われたという発言から、美琴のことに思い至るかもしれない。
自分達の関係までは気付かずとも、美琴イコール黒服の仲間と誤解する危険もある。
どちらにせよ、この辺りでお引取り願うのが賢明だろう。
場合によっては力尽くでも。
「無理にでもついてくるつもりなら……」
「そりゃそうだな。共闘なんて俺もゴメンだ」
「……あれ?」
あっさりと引き下がられ、あすかは思わず面食らった。
武力による排除すら選択肢に入れていたというのに、説得することなく解決だなんて。
もちろん違和感は大いにある。
戦闘狂とも殺人狂とも言える輩が、殺すと決めた相手を簡単に見逃すものだろうか。
だが、男の心変わりを追及する暇はなかった。
優先順位は真紅と美琴の身の安全が一番だ。
この狂人との会話で生じたタイムロスはせいぜい二分か三分。
急げば充分取り戻せる。
「とにかく! もしついてくるようなら、あなたも敵とみなして排除しますよ!」
「分かってるよ。……そうだ、煙草吸いたいんだが、火ィ持ってないか」
言いかけた言葉を繰り返し、念を押すあすか。
しかしラッドは暖簾に腕押しとばかりに動じない。
紙煙草を探して背広をまさぐり――
――カァーン
そんな音を立てて、何かが落ちた。
それは掌大の貝のようなもので。
ラッドの表情が『しまった』と歪むのを、あすかは見逃さなかった。
「動くな!」
慌ててそれを拾おうとしたラッドを、大声で制する。
自分とラッドの周囲にエタニティ・エイトを配し、落ちた貝とラッドを引き離していく。
「僕が拾います。あなたは動かないでください」
やはり何か企んでいたのだ。
黒服の男を追うために背を向けた瞬間、この貝で攻撃するつもりだったのだろう。
どう見てもただの貝だが、外見で能力を判断できないことはあすかも承知している。
彼が助け出そうとしている二人など、その最たるものではないか。
身を屈め、奇妙な貝へ腕を伸ばす。
彼女達は様々な"強さ"を見せてくれた。
パートナーと姉妹を次々に失っても折れない"強さ"を。
自らが犯した罪に正面から向き合う"強さ"を。
そんな彼女達と比べ、自分は何をしてきた?
罪なき人々を救うと決意しておきながら、一体誰を救えたというのだ?
ならばせめて、彼女達を護り抜かなければ――
「悪いな、火ィあったわ」
その言葉と、あすかが異臭に気が付いたのは、ほぼ同時であった。
燃える紙マッチが弾かれる。
直感的に可燃ガスと悟り、後方へ飛び退く。
しかし人体の成し得る動きよりも、爆風の方が遥かに速い。
青い炎風と共に炸裂した閃光を最後に、あすかの視界が黒く塗り潰される。
一瞬遅れ、全身を激痛が走り抜けた。
「ぐうっ!」
焼かれた――
服を、肌を、瞳を――
息を吸い込む。
それだけで爛れた粘膜が苦痛を訴える。
「――――!」
己のアルターの名前すら言葉にならない。
しかし、それでも。
刹那、あすかの意識は途切れた。
◇ ◇ ◇
ウルフウッドが駆けつけたときには、全てが終わっていた。
アスファルトを焼いた爆発痕。
砕け散った貝の欠片。
中ほどから圧し折れたバズーカの砲身。
そして、無残な少年の亡骸。
全身を焼かれ、胸から上を爆発で吹き飛ばされている。
人相どころか頭部そのものが消し炭となり、死に顔すら残っていない。
即死であることは疑いようもないだろう。
「……まさか」
ウルフウッドが見下ろしているのは、残骸に成り果てたバズーカである。
見紛うはずがあるものか。
劇場で白いスーツの男が使っていた武器に間違いない。
「こりゃまずいで」
爆発音から数分と経っていない。
まだ奴は近くにいるのだろう。
休息は、終わりだ。
◇ ◇ ◇
ウルフウッドの足音が遠退いていく。
ラッドは身を潜めていた路地から離れ、ウルフウッドとは反対向きに歩き出した。
「思ったよりしぶとかったじゃねぇか……」
爆発の原因は単純な仕掛け。
貝の可動部にマッチを差し込んで固定し、可燃ガスを出しっぱなしにするというものだ。
押ボタンに細工をして、作動しっぱなしにする細工を想像すればいい。
そうして橘あすかを葬ったラズロだったが、しかし無傷というわけではなかった。
左腕が、糸の切れた操り人形のようにだらんと垂れている。
ガス爆発だけで仕留め切れなかったと判断した直後、ラッドは即座にバズーカを拾い上げていた。
最初から予定していた通りの行動。
しかしそれはあすかに見切られていたのだ。
引き金を引いた瞬間、ラッドに八つの宝珠が殺到し、その身に幾つものダメージを叩き込んだ。
その結果が折れた左腕であり、破壊されたバズーカである。
だが、肉体の傷は徐々に癒えてきている。
むしろ最初よりも治りがいいくらいだ。
しかし破壊されたバズーカまでは戻らない。
風貝はここで使い捨てるつもりだったからいいものを、これは手痛い損失だった。
「良いモン入っててくれよ?」
ラッドは肩から提げたあすかのデイパックを叩いた。
外装はかなり焼け焦げているが、どうやら中身は無事のようだ。
バズーカの代わりの武器が入っていれば、それでよし。
入っていなければ、調達できるまで派手な真似ができなくなってしまう。
「さて、どっちを殺すか……」
ウルフウッド達は引き続きは西へ向かうのだろう。
今から追いかければ間に合うかもしれないが、先を急がれれば難しい。
そしてもう一方――
「ぶつかりかけたときにした臭い……ありゃ消毒液の臭いだった。
てコトはだ! アイツはついさっきまで病院にいたってことだよなぁ!
電気女と一緒によぉ!」
殺意は増大し加速する。
手の届く場所に獲物がいると知ればこそ。
【橘あすか@スクライド 死亡】
【残り26人】
【E-5 西端/1日目 夕方】
【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:左腕骨折、肋骨(右)骨折、腹部内出血 全て再生中 不死者化
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、螺湮城教本@Fate/Zero、不明支給品0~2個(未確認)
[思考・状況]
0:当面の標的を定める。
1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
3:ラズロ(リヴィオ)は特に念入りに殺す。
4:御坂と黒スーツの男(ウルフウッド)、子供(梨花)も殺す。
5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
6:宇宙人(
ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
9:グラハムについて少し気になる。
【備考】
※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(
エルルゥ)、火傷顔の女(
バラライカ)を殺したと思っています。
※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。
※リヴィオとラズロの違いに気付いていません。また、ラズロ(リヴィオ)のことを不死者だと考えています。
【E-4 東端/1日目 夕方】
【チーム名:○同盟チョッパー組】
1:主催者の打倒。
2:劇場を迂回して遊園地、廃坑、古城跡を訪れ21時までにB-4民家へ向かう。禁止エリアの場合H-4、G-4へ。
2:グラハムとの合流(先発が会えなかった場合)
3:
サカキ、ミュウツー、片目の男(
カズマ)、赤髪の男(クレア)、リヴィオ、ラッド、電気の少女(美琴)を警戒。
クレアという女性、佐山、小鳥遊、
アルルゥ、ヴァッシュを信用。アーチャーはやや信用。
ハクオロも一応信用。 真紅、沙都子は情報不足で保留。
※別世界から呼ばれたということを信じました。
※会場のループを知りました。
【
トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:腹部と顔にダメージ(中)、全身にダメージ(中)、疲労(小) 腕に○印 深い悲しみ、獣人形態
[装備]:なし 包帯、ランブルボール×4@ONE PIECE
[道具]:支給品一式×4(一食分、水1/10消費) タケコプター@
ドラえもん、 タオル、救急箱、病院で調達した医療道具
[思考・状況]
1:レナや皆を守り抜いてみせる。その為なら……
2:仲間と会いたい
3:グラハムの様子を見る。(別れている為現在実行不能)
4:ギラーミンを倒し、脱出する。
5:イスカンダルの臣下になるかはまだ決められない。
6:川に落ちたゾロが心配。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期はCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 深い悲しみ 私服 右腕に○印
[装備]: 包帯、デザートイーグル(残弾数6/6)、シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON、常盤台中学の制服
[道具]:支給品一式×4(3食分、水1/10消費)、ドライヤー 、双眼鏡、ゾロの地図
、デザートイーグルの予備弾×12 不死の酒(空瓶)、絶縁グローブ@ポケットモンスターSPECIAL、通り抜けフープ、 手榴弾×3、
ロベルタのメイド服@BLACK LAGOON、ガムテープ、ビニール紐(少し消費)、
[思考・状況]
1:必ず脱出する
2:グラハムが心配
3:何とかして首輪を外したい
4:イスカンダルの勧誘は保留。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※圭一と会話できたかは不明です。
※梨花とウルフウッドの仲について察したようです。
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 腕に○印
[装備]:なし、包帯、真紅の衣装
[道具]:支給品一式×3、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム、
蓮の杖@とある魔術の禁書目録、月天弓@終わりのクロニクル 、フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL
きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集
[思考・状況]
1:必ず生き残る。
※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:全身の数箇所に浅い傷、腕に○印
[装備]:デザートイーグル50AE(8/8 予備弾25)、包帯
[道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ、一式×2)、SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
○印のコイン、AMTオートマグ(0/7)、
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚、洋酒
ロベルタのスーツケース@BLACK LAGOON(ロケットランチャー残弾7、マシンガン残弾80%、徹甲弾残弾10)、ヴァッシュの衣装
AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、 二重牙@トライガン・マキシマム、二重牙@トライガン・マキシマム
拳銃の予備弾30発
[思考・状況]
0:先を急ぐ
1:梨花たちについて行く
2:古手梨花を守る。(別れたなら同行者に託す)
3:ヴァッシュとの合流。リヴィオについては保留。
4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません。
※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
※ラッドの再生がミカエルの眼の改造技術に起因するものではないかと推測を立てています。
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最終更新:2012年12月05日 02:29