第十話 ◆ilZClmYqFI
彼はあの残酷な光景から一変、無意識の内に病院に移動させられた。
彼のベルトには代わりに黒い何かが巻き付いている。
彼のベルトには代わりに黒い何かが巻き付いている。
病院の一室の片隅で彼はうずくまっていた。
結局自分は臆病の弱虫。
この様な状況になれば、ただ自分をひたすら加虐する事しか出来ない。
典定的な弱者のタイプ。
それこそ自分を責める事で死の恐怖を紛らわせようとしたかもしれない。
だが所詮それも無駄なあがきだ。根本的な問題が解決される訳では無い。
マシュマロ国の王子、マロをそう襲う悪循環の螺旋。
自分も、状況も抑え切れていなかった。
確かにあの主催者は狂っている。だが、何故止められなかった。死体に凶行を加えようとした所さえ止められなかった。
「命を遊びに使うような、そんな人が…」
自分の世界には、少なくともそこまで行き着いた者は少なかった筈だ。
…まただ。結局知らない事を、自分の無知の責任を全て主催者に押し付けている。
主催者は悪だ。…だが自分は?
「あ、ああ、ああああ…」
マロはその片手に持つ『何か』を握りしめる。
結局自分は臆病の弱虫。
この様な状況になれば、ただ自分をひたすら加虐する事しか出来ない。
典定的な弱者のタイプ。
それこそ自分を責める事で死の恐怖を紛らわせようとしたかもしれない。
だが所詮それも無駄なあがきだ。根本的な問題が解決される訳では無い。
マシュマロ国の王子、マロをそう襲う悪循環の螺旋。
自分も、状況も抑え切れていなかった。
確かにあの主催者は狂っている。だが、何故止められなかった。死体に凶行を加えようとした所さえ止められなかった。
「命を遊びに使うような、そんな人が…」
自分の世界には、少なくともそこまで行き着いた者は少なかった筈だ。
…まただ。結局知らない事を、自分の無知の責任を全て主催者に押し付けている。
主催者は悪だ。…だが自分は?
「あ、ああ、ああああ…」
マロはその片手に持つ『何か』を握りしめる。
「そこに、誰か居るの?」
マロが居る部屋に、誰かが入って来た。
その青い髪が揺れ、美しく窓から入る光を煌めく様に反射している。
赤い服に身を包んだ少女は辺りの薬棚を見回しながら、マロに近づく。
「…」
「どうしたの?」
少女からは震える奇妙な白い物体が見えた。
怯えているのが分かったのか、少女は優しく近づく。
「ねえ、怖いのは分かるわ。でも、何とかしてこのゲームを止めさせなければいけないわ。」
マロはそれを黙って聞いた。
「だからお願い、手伝って。」
少なくともこの少女は行動を起こしている。
自分より、心が強い。
「お願い…」
(…黙れ。)
マロの中で何かが叫ぶ。…何が?
明らかに自分が今、少女を否定していた。
(誰だ…お前は誰だ!)
マロは得体の知れないそれ…自分に問う。
―一体これは何なのだ!?
そう思った瞬間、マロが片手に持っていた『何か』が光を放った。
マロが居る部屋に、誰かが入って来た。
その青い髪が揺れ、美しく窓から入る光を煌めく様に反射している。
赤い服に身を包んだ少女は辺りの薬棚を見回しながら、マロに近づく。
「…」
「どうしたの?」
少女からは震える奇妙な白い物体が見えた。
怯えているのが分かったのか、少女は優しく近づく。
「ねえ、怖いのは分かるわ。でも、何とかしてこのゲームを止めさせなければいけないわ。」
マロはそれを黙って聞いた。
「だからお願い、手伝って。」
少なくともこの少女は行動を起こしている。
自分より、心が強い。
「お願い…」
(…黙れ。)
マロの中で何かが叫ぶ。…何が?
明らかに自分が今、少女を否定していた。
(誰だ…お前は誰だ!)
マロは得体の知れないそれ…自分に問う。
―一体これは何なのだ!?
そう思った瞬間、マロが片手に持っていた『何か』が光を放った。
(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)
「きゃっ!?」
少女の脇腹を掠めながら、その拳は壁を貫いた。
壁から、冷たい風が吹いてくる。
それが少女の恐怖と衝撃をより掻き立てた。
マロの中で何かが変わっていく。
憤怒、嫉妬、傲慢、貪欲。
マロの思考がその感情に侵されていく。
(あああああああ)
少女の脇腹を掠めながら、その拳は壁を貫いた。
壁から、冷たい風が吹いてくる。
それが少女の恐怖と衝撃をより掻き立てた。
マロの中で何かが変わっていく。
憤怒、嫉妬、傲慢、貪欲。
マロの思考がその感情に侵されていく。
(あああああああ)
拳は少女に、執拗に降り懸かる。
少女はそれを全て寸前でかわす。
「何故…何故人を傷つけるの?」
マロはもうこの『負』の感情に身を任せるしかなかった。
沸き上がる破壊衝動。
まさにマロ自身を壊す為には完璧な、本来は湧かない筈の感情―
「お願い、やめて! こんな事をしても何の問題の解決にも…」
少女の願いは届かず、マロの暴走は続く。
病院の廊下に少女が逃げ込むと、その廊下の壁と床は僅かな時間で穴だらけになる。
その破片が飛び散る度に少女の頬に冷や汗が伝わる。
マロの今の身体の状況をよく表す光景である。
「あなたを傷つけたくないわ、だか…」
刹那、少女の姿がマロの目の前から消える。
だが、それでマロの暴走が治まる訳でも無く、破壊活動の矛先は病院へ向けられる。
少女はそれを全て寸前でかわす。
「何故…何故人を傷つけるの?」
マロはもうこの『負』の感情に身を任せるしかなかった。
沸き上がる破壊衝動。
まさにマロ自身を壊す為には完璧な、本来は湧かない筈の感情―
「お願い、やめて! こんな事をしても何の問題の解決にも…」
少女の願いは届かず、マロの暴走は続く。
病院の廊下に少女が逃げ込むと、その廊下の壁と床は僅かな時間で穴だらけになる。
その破片が飛び散る度に少女の頬に冷や汗が伝わる。
マロの今の身体の状況をよく表す光景である。
「あなたを傷つけたくないわ、だか…」
刹那、少女の姿がマロの目の前から消える。
だが、それでマロの暴走が治まる訳でも無く、破壊活動の矛先は病院へ向けられる。
少女は大きな通気孔の中に居た。
別に少女が自ら、この壁にあった通気孔に飛び込んだ訳では無い。
何かに捕まって引きずられた、と言った方が正しいだろう。
少女は気を戻すと、自分が引っ張られた方向を見直す。
「大丈夫? あいつ、相当イッてるみたいだったけど。」
赤いスカーフに黒光りするサングラス。黄色い肌に特徴的な大きな耳…大きな耳?
少女はもう一度見直す。
あの残酷な光景にしろ、さっきの白いフワフワの生き物にしろ、この巨大鼠にしろ、自分はどうかしたのではないかと少女は思った。
しかし例え夢だろうと無用な戦いは避けたい。そうは思っていた。
だが、現実にそれは存在する。
別に少女が自ら、この壁にあった通気孔に飛び込んだ訳では無い。
何かに捕まって引きずられた、と言った方が正しいだろう。
少女は気を戻すと、自分が引っ張られた方向を見直す。
「大丈夫? あいつ、相当イッてるみたいだったけど。」
赤いスカーフに黒光りするサングラス。黄色い肌に特徴的な大きな耳…大きな耳?
少女はもう一度見直す。
あの残酷な光景にしろ、さっきの白いフワフワの生き物にしろ、この巨大鼠にしろ、自分はどうかしたのではないかと少女は思った。
しかし例え夢だろうと無用な戦いは避けたい。そうは思っていた。
だが、現実にそれは存在する。
「ボクの名前はスピン。よろしくね。」
少女、リリーナは凍り付いた。彼女の目の前には、普通信じられない光景が実際に―
「あれ?どうしたの?」
通気孔の中を甲高い声が響く。
「ロイ、助けて…」
リリーナはゲーム開始から40分。漸くこの戦いが現実だと理解した。
少女、リリーナは凍り付いた。彼女の目の前には、普通信じられない光景が実際に―
「あれ?どうしたの?」
通気孔の中を甲高い声が響く。
「ロイ、助けて…」
リリーナはゲーム開始から40分。漸くこの戦いが現実だと理解した。
【K-2…病院内 6時40分】
【マロ@マリオRPG】
[状態]:暴走中
[装備]:メダリオン@FE蒼炎
[道具]:支給品
[思考]:暴走中。
[状態]:暴走中
[装備]:メダリオン@FE蒼炎
[道具]:支給品
[思考]:暴走中。
【リリーナ@ファイアーエムブレム封印の剣】
[状態]:良好
[装備]:不明
[道具]:支給品
[思考]第一行動方針:目の前の鼠を調べる。
第二行動方針:白いフワフワ(マロ)を回避して病院から出る。
基本行動方針:ゲームを止めさせる。
最終行動方針:ロイと合流して、ゲームを潰す。
[状態]:良好
[装備]:不明
[道具]:支給品
[思考]第一行動方針:目の前の鼠を調べる。
第二行動方針:白いフワフワ(マロ)を回避して病院から出る。
基本行動方針:ゲームを止めさせる。
最終行動方針:ロイと合流して、ゲームを潰す。
【スピン@星のカービィ】
[状態]:良好
[装備]:不明
[道具]:支給品
[思考]第一行動方針:白いフワフワ(マロ)を回避して病院から出る。
基本行動方針:ドロッチェを捜す。
最終行動方針:ドロッチェと合流して、ゲームから脱出。
[状態]:良好
[装備]:不明
[道具]:支給品
[思考]第一行動方針:白いフワフワ(マロ)を回避して病院から出る。
基本行動方針:ドロッチェを捜す。
最終行動方針:ドロッチェと合流して、ゲームから脱出。
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