ある日、一つの世界が壊れ、なくなりました。 人が「人の闇」や「魔物」に勝てなかったからです。 世界は壊れてしまいました、国も、何もかもなくなってしまいました。
でも、人は生きていました。 壊れた世界で、人は壊された世界を頑張って、頑張って今も生きています。 闇や魔物に、立ち向かっています。
その頑張りで、世界に少しずつ、「光」が現れました。 それは新しい「国」や「力」でした、その光はどんどん成長していき、光と闇は、均衡を保つほどになりました。
これは、とある少女が見てきた、光の国と自身の成長を記した物語です。
生きるために、戻る理由を。
これでよかったのかな、私はこの結末が、正解だと思っていたのかな。 世界が消えると同時に、私も消えて、みんなを置いて、たくさんの人を悲しませて…。
これが私の望んだことだったのかな、今になって、今こんな選択をしたことが、私でも分からなくなってる。
世界は壊れた、残ってはいるけど、国や光は閉ざされてしまった。 これは全て、私のせいなのだろうか。 私が闇を生みすぎて、それを残したからだろうか。
真紅の瞳の少女は一人でつぶやく、壊れた世界に向けて。 ごめんなさい、私が悪かった。 いつも少女がつぶやく言葉だ。
光がなくなったあの世界で、生き残っている人たちは…みんな苦しんでる、私にも分かるんだ、私にも伝わるから。
でも…今の私じゃどうしようもできない、なくなったし、身体…助けたいけど、今の私じゃ…誰も助けられないから…ごめんね。
「本当にそれでいいの?」 …構わないよ、私が捨てた世界なんだから、私が消えて…きっとみんな幸せだよ。 「でも、あなたを待っている人だっているよ?」 それがなんだって言うの?結局はみんな必要ない、って思うだけだよ。
「それだと、昔のままだよ?」 それは…嫌だけど、もし、もしもだよ?私がまた…あの世界に降りても、また『狂気』に侵されて…潰れちゃうだけだよ、それは…嫌だよ…。
「なら、むしろ戻ったほうがいいんじゃない?治すために、その『狂気』を取り除くためにさ、みんなが協力してくれるはずだよ?」 そうかもしれない、そうかもしれないけど…私は、それで傷つけちゃうかもしれないんだよ…?誰も傷つかないことを望むんだから…私は、傷つける人だから…。
でも…そんなに言われたら、戻りたくなる…じゃないか…やめて、やめてよ、私が…私がいるとみんなが壊れちゃう、『狂気』が壊してしまうから…いやだ、でも…一緒に生きたい…生きたいよ…。謝らないといけないこともある、感謝しないといけないこともある、どうせなら…その言葉を伝えるだけでもいいから、私は…生きたい。
「…それでいいんだよ、君は力があるんだ、『狂気』を抑えるチャンスなんていくらでもある。だから…生きて、生きて『狂気』を捨てよう?行ってらっしゃい、君のこれからの未来を応援しているよ…」
「君は『繋げる者』なのだから、『無限の力を持つ者』なのだから、きっと…見つけるはずだよ、頑張って…『二階堂怜愛』。」
打ち切り
暗闇では聞こえなかった音がする、私はいきなり強い光に照らされて…目を閉じているから、今の私はどうなっているのかよく分からない。でも…なぜか、寒い、それに身体がふわふわ浮いてる感じがする…すごい風を感じる。
この音は風の音か、どうせ目を開けばいい……私は空にいた。
「へ…っ?あ、ちょ…っ、待って…これ落ちてる!!落ちてるよねぇぇぇ!?」かなり焦った、パラシュートもない、雲があって下は見えない…地面だったらリスキルじゃないか…。
いや…でも、私には『マインドメイカー』があって、もしかすると…試してみるしかない。
「ま…マインドメイク!!」私の能力『マインドメイカー』、人が持つ力を『力の欠片』としてコピーし、蓄えることができる能力。この『力の欠片』を組み合わせることによって、更なる力を習得できる。故にこの世界に人がいる限り、マインドメイカーは無限の可能性を持っている。
でも…なぜか使えない、何もはじけない。なぜ?いつもは普通に使えたのに…頭の中で、声がする。
「ああ…ごめんね、一つ言うことを忘れていたよ。君の能力である『マインドメイカー』は一時的に使えない状態にしておいたよ、だって自分で『狂気』を抑えないといけないからね?その代わり…本当に代わりとなるものだけど、違う能力を君に授けた。でも…それは一度落ちてからにしよう、大丈夫だよ、落ちる場所は設定してある海だから安心して。」
暗闇の中で聞こえた声と同じ声だ、使えなくした…って、あなたは神様か何かですか……まあ、仕方ない…ここは大人しく海で溺れるとしよう……。
そして少女はそのまま、海へ落ち、世界への復帰を果たした。
「…ぷはぁっ!?あ、ああ…もう、あんな高いところから落ちるから結構深いところまで沈んだし…息続かないかと思った……。」一体どれだけ沈んだのだろうか、深海魚見えたような、見えなかったような…。
いや、そんなこと考えてる暇はない、今の状況を整理しよう。私はこうやって世界に戻ってきた、「マインドメイカー」は一時的に使えないし…そもそも、今の私の身体はどうなっているの?
そういえば…カミサマ…は、私に他の能力を与えた、的なことを言っていたような……。こう考えていた瞬間、いつもの声が聞こえる。
「大丈夫かい?結構沈んだみたいだけど…記憶は飛んでないよね?…うん、そんなに考えているなら記憶は飛んでいないかな、いや…そういうことにしておくよ。それで、本題に入るとしよう…『マインドメイカー』の代わりにボクが授けた『新しい能力』。まあ、まずはその身体の準備運動だ、近くに陸地が見えるだろう?あそこまで泳いでみようか、うん、そうしよう。」
いつになったら教えてくれるんですか、カミサマ……。
準備運動ということで、とにかく私は泳いだ、一応足をつけることができるところまで。するとすぐにまたカミサマの声がする。
「やあ、大丈夫かい?まあ…大丈夫そうだね、ボクが言うからにはそうに違いない、うん。それで…君の『新しい能力』のことだね。まずは、ボクが君の周りの水に『鏡になる魔法』をかける、まずは君の顔を見てみるといい。」
今の私の姿…か、どうなっているんだろう…『死んだ時』と同じ身体なのかな……。カミサマが『鏡になる魔法』を水にかける、すると本当に水は鏡のように私を写した…のだろう。
髪色は茶色がかかった黒、それに腰のあたりまである長い髪。眼の色は…赤ではない、眼の色も、髪色と同じなのかもしれない。これが、今の私だ、今の身体だ、間違いないだろう。
「君の今の姿、確認できたかな?怜愛、君にはこれから基本的にはその姿で生活してもらう。でも…それじゃあ、少し不便だろう。そこでボクが君に授けた能力、『スタイルチェンジ』だ。この能力は、君が今までの転生した記録を元に、今まで転生したことがある身体に…まあ、『変身』することができる。みたいなものだ。」
「は、はあ…『スタイルチェンジ』…『変身』…か。でも、私は色んな身体に転生してるし、一体どんな身体に『変身』できるの?」
「そうだね…君が今までなったことがある姿、『四条楓』『フレイヤ』『さへ』に…それに、『狂気』の『ミルキー』に変身はできると思う。でも…『ミルキー』だけは、絶対に使わないでほしい。探す意味を壊すからね。」
「ん…分かってるよ、『狂気』をなくす、もし出来なくても制御できる程度になればいいんでしょう?大丈夫だよ…そう簡単にはなりはしないって。あいつから這い出てきたら少しまずいけどさ。」
「ああ…期待してるよ。それで…だけど、これからの君の生活方法だけど…陸地の方を見てごらん、建物が見えるだろう?…あれは、新しく出来た国『ワノクニ』。昔、君が『トゥルシング』って読んでいた場所だよ。…でも、君には『トゥルシング』って言葉はあまり言わないほうが良かったかな?」
トゥルシング…私が『楽園計画』を発動した本拠点であり、そして私が死んだ地域。確かに、何か嫌だけど…。
「ううん…大丈夫だよ。それで…トゥルシング…じゃなかった、ワノクニでどうやって生活していけばいいっていうのさ?」
「そうだね…実はここには学校があってね…名前は『倭国士官学院』…まあ、いわゆる『戦う駒』を育てる学校だ、君は戦うことが好きみたいだからね…『狂気』がなくても、ね。だから君には、この学校の転校生としてこれから生活してもらう。」
「はあ…学校ねぇ…いいんだけどさ、家とかはあるの?生活するために必要だと思うんだけど…ホームレス生活っていうのは流石に嫌だよ?」
「そこも心配しなくていい、学院寮があるからね、安心して暮らしてもいいよ、お金も…大体はボクから出す。君はただ、生活しながら『狂気』を抑える努力をすればいいんだ。」
訃報のお知らせ
平成27年1月14日未明、二階堂怜愛(享年17)がギラン・バレー症候群の悪化の為、永眠いたしました。
ここに謹んでお知らせいたします。
- この鯖に参加したくて少し覗きにきたのですが、上のお話を拝見させていただき、とても感動しました。また二階堂怜愛様のことは今知ったばかりですが三国志netを楽しむ者として誠に勝手ながらご冥福をお祈りさせていただきます。 -- 通りすがりの人 (2022-05-22 00:45:25)
最終更新:2022年05月22日 00:52