登場人物
寮長:リーンベル
生徒A:フレンダ
生徒B:金剛
生徒C:暁
コック兼用務員:サイアン
マスコット:Iwant
『木工細工にチャレンジ! 第一話』
出演:暁・金剛
(食堂にて)
暁「やっと宿題おわったぁ・・・」
金剛「Hey!暁ー。お疲れのようネー」
暁「べっ、別に疲れた訳じゃないんだから。ちょっとした・・・アレよ、一息つく為の掛け声よ」
金剛「HAHAHA!まぁ、そういうことにしておきましょうかネー♪」
暁「だぁって、違うわよ、もぅ!」
(口を膨らませて拗ねる暁と、ケタケタ笑う金剛。実にいつも通りの光景である)
(そうして口を膨らませていた暁だが、ふと何かを思い出し、「そういえば・・・」と金剛に話しかける)
暁「金剛って、確かイギリス生まれなのよね?」
金剛「Yes!イギリス生まれの日本育ちデース」
暁「それじゃぁ・・・イギリスの名産で、ここで作れそうなものって何か無いかしら?」
金剛「えーっと、それだと・・・って、What?!暁が作るのデスカ?」
暁「そうよ、何か文句ある?」
金剛「いや・・・文句は無いデス。But、暁が作れるもの・・・か」
暁「ちょっと、あたしだって一人前のレディーなのよ!お子様じゃないんだから、出来ることいっぱいあるでしょ?!」
(金剛の歯切れが悪いのは、自分が子どもだと思われてるからだと思い、怒る暁)
(一方、やると決めたら無茶でもやってしまう暁が心配で、中々ハッキリと言い出せない金剛)
(結局、暁の粘りに根負けした金剛が、ある提案をする)
『木工細工にチャレンジ! 第二話』
出演:暁・金剛
(引き続き食堂にて)
金剛「暁は、Woodcraftって聞いたことがありますか?」
暁「ウードクラフ・・・??」
金剛「日本語では木工細工とか木彫りと呼ばれるやつデース」
暁「あぁ、あの熊が鮭を加えてポーズを取ってるやつね。知ってるわよ」
金剛「・・・あぁ、あの、サイアンが北海道土産とかで買って来たやつデスカ」
暁「・・・もしかしてあれ作るの?」
金剛「HAHAHA!Nice jokeデース。流石にアレは私達じゃ無理ネー。今回作るのはこっちデース」
(そう言いながら、懐から一本のスプーンを取り出す金剛)
暁「えーっと、これは・・・スプーン?」
金剛「Exactly!これは、ラブスプーンっていう、木製のスプーンなのデース」
暁「ふーーん。でもこれ、装飾が多すぎて使いにくくないかしら?」
金剛「あーっと、これはスプーンなんだけど、食器じゃないネ。これはどちらかというとsymbol、指輪やネックレスのような装飾品扱いなんデース」
暁「なるほどね。んじゃ、今回はこれを作るんだ」
金剛「Yes!簡単な作業じゃないみたいだけど、きっと器用な暁なら出来るネ」
暁「と、当然よ!あたしにかかれば、こんなのお茶の子さいさいなんだからっ!」
金剛「HAHAHA!その意気ネー。それじゃ、用務室に材料と工具取りにいきまショー♪」
(金剛に褒められ、ちょっと強気になる暁)
(二人はサイアンから材料と工具を貰い、リーンベルから食堂の一角の仕様許可を貰う)
(こうして二人のちょっとしたチャレンジが始まったのである)
『木工細工にチャレンジ! 第三話』
出演:暁・金剛
(翌日、食堂の一角にて)
(とりあえず、見よう見まねでやってみるものの、中々上手く削れない暁)
(苛立ちからか、ナイフに力を込め過ぎて、勢いあまってそのまま一回転して転倒してしまう)
(隣で様子を見守っていた金剛は慌ててナイフを回避した後、地面で頭を打った暁の元へ向かう)
金剛「Oh! 暁、大丈夫デスカ?」
暁「ふぐぅ・・・ 何でよ、何で上手くいかないのよ・・・」
金剛「暁、Don't cryね。最初は誰だって上手くいかないものネ」
暁「な、泣いでなんが無い!!」
(明らかにべそをかいてる暁だが、プライドが許さないのか、頑なに否定し続ける)
(金剛は、「やれやれ・・・」と言いながら、暁の背中に回り、そっと手を支える)
暁「えっ?ちょっ、金剛?!」
金剛「I help you。言いだしっぺは私だし、手伝いますヨー」
暁「い、いらないわよ!あたしは子供じゃないん・・・」
金剛「はいはい、do not work too hard。一緒にやるのも楽しいものですよ。それじゃ、やりまショー」
(助けてもらうのが気恥ずかしいのか、戸惑った様子を隠せない暁)
(それをニコニコしながらも、半ば強引に決定してしまう金剛であった)
『木工細工にチャレンジ! 第四話』
出演:フレンダ・サイアン
(同じ頃、食堂の調理場付近にて)
(力加減が上手いのか、刃の入れ具合が上手いのか、金剛が手伝い始めてからは、スムーズに作業が進んでいく)
(最初はブツブツ文句を言っていた暁も、その刃の動きに集中し、刀を入れる角度や力加減を何とか自分の物にしようと必死になっている)
(そんな二人の姿を遠くから見守っているのが、フレンダとサイアンである)
フレンダ「結局、暁の技術が足りなかっただけ、ってわけね」
サイアン「ま、そういうことじゃないですかね~ 流石に金剛さんも、物理的にどうしようもないものは提案しないでしょうし」
フレンダ「それもそうよね。あ、コーヒーおかわり」
サイアン「あいよっと。ところで、今日のスクランブルエッグですけど、ほうれん草入れても大丈夫ですか?」
フレンダ「えぇ、まぁ、大丈夫だけど。何かいいやつが手に入ったのかしら?」
サイアン「実は、こないだ馴染みの八百屋さんから、「たまたま安く手に入ったから~」ってプレゼントしてもらいましてね~ 勿論、普通の仕入れもしましたけど」
フレンダ「結局、縁は大切って話なのよね~」
サイアン「そんな感じですね~ はい、コーヒー」
(「ありがと」と一言返し、今日2杯目のコーヒーを口に注ぐフレンダ)
(『いつもの様に』、フレンダを含めた皆の朝食を作るサイアン)
(ここ、タウイタウイ女子寮でのいつもの光景である 一角で作業をする二人を除けば)
フレンダ「それにしても、暁も頑張るわねぇ~」
サイアン「朝5時からやってるらしいですからね 6時にこっちきたら、いきなり「お腹すいたからおにぎり作って~」ですもん」
フレンダ「あらら、それは災難。ってことは、金剛も?」
サイアン「えぇ。やっぱり自分が言ったことだから、ちゃんと見守らないと心配なんでしょうね」
フレンダ「いやぁ、青春よね~」
サイアン「青春ですよな~ っと、ほうれん草入りスクランブルエッグに、ハムステーキ、一丁上がり~」
フレンダ「今日もありがとね。それじゃ、頂こうかしら」
サイアン「はいな、召し上がれ~ ・・・にしても、リーンベルさん、降りてこないですね・・・」
フレンダ「確かに、珍しいわね。いつも私と一緒に朝ごはん食べてるのに・・・」
(頑張る二人を微笑ましそうに見守るフレンダとサイアン)
(一方、いつもは居るはずのリーンベルがまだ部屋から出てこないという)
(どうしたんだろうと首をひねる二人に、近寄る影が一つ)
『木工細工にチャレンジ! 第五話』
出演:フレンダ・サイアン・IWant
(引き続き、食堂の調理場付近にて)
IWant「(のワの)<リーンベルだと思った?残念、私ですよー」
フレンダ&サイアン「のわぁっ!!」
(突然天井から出てきたナニカに思わず驚く二人)
(登場したのは、この寮の住民でありマスコットでもある、IWantである)
IWant「(のワの)<いやー、今日も仕事したよー」
サイアン「・・・ホント、毎度心臓に悪い登場の仕方しますねぇ・・・ あ、朝ごはんはコーンフレークでいいです?」
IWant「(のワの)<今日はバナナヨーグルトも食べたい気分なのよー」
サイアン「ほいほい、ちょっと待っていてくださいね~」
フレンダ「ふぅ・・・危うくコーヒーこぼすところだったわ そういや、IWant、リンベル知らない?」
IWant「(のワの)<リーンベルなら、お部屋で爆睡中なのよー」
フレンダ「ふぅむ、あとで部屋に乗り込んで、腹パンしようかしら」
サイアン「やめたげてください・・・ んで、コーンフレークとバナナヨーグルトおまちどう~」
IWant「(のワの)<ありがとうなのよー」
(一緒に並んで食事を始めるフレンダとIWant)
(一方、調理場の片付けをするサイアンは、「そういえば・・・」と話し始める)
サイアン「リーンベルさんが寝坊なんて、久しぶりですよね~」
フレンダ「ん、そういえばそうね 何か忙しかったのかしら」
サイアン「うーーん、寮についての仕事は特に無かったはずですけど・・・自分の知らないやつで何かあったのか、個人的な用事なのか・・・」
IWant「(のワの)<あ、理由しってるよー」
フレンダ「あら。ちなみに、何があったのか聞いてもいい?」
IWant「(のワの)<私と徹夜でバンブーマージャンやってたー」
フレンダ&サイアン「あんたのせいかっ!!」
IWant「(のワの)」
フレンダ&サイアン「目線逸らすな!!」
サイアン「・・・それにしても、同じく徹夜でやってたIWantさんはこんなにピンピンしてるのに・・・」
フレンダ「・・・結局、日ごろの体調管理と体力の問題が大きいのよね」
(リーンベルが出てこない理由を知り、完全に呆れ顔のフレンダとサイアン)
(一方のIWantは、どこ吹く風といった表情で、黙々と朝ごはんを食べているのであった)
『木工細工にチャレンジ! 第六話』
出演:暁・金剛
(フレンダとIWantが朝食を終えて、サイアン共々食堂を出ていった後、食堂の一角にて)
(もともと飲み込みの早い暁は、多少のミスはあるとはいえ、金剛の補助抜きである程度削れるようになる)
(それを確認した金剛は、手を離して作業を暁一人に任せることにする)
(暁も、これ以上情けない姿なんて見せられないとばかりに、気合を入れて作業に入る)
金剛「ふー、疲れましたネー」
暁「えっと、何かその・・・ゴメン・・・」
金剛「HAHAHA!No problemネ。・・・とはいえ、流石に喉が渇いたし、Tea timeといきたいデース」
暁「あら、いい案ね。サイアンー、麦茶と・・・って、あれ?」
金剛「・・・もしかして、暁、サイアンが既に食堂出て行ったの気づいてなかったんデスカ?」
暁「う、うるさいわね!それだけ集中してたのよ、そうなのよ!」
金剛「HAHAHA!まぁ、そういうことにしておきましょうか。それじゃぁ、私が取ってきますネー 暁は麦茶でOKデスカ?」
暁「あ、ありがと・・・」
(「HAHAHA!No problemネー」と言いながら、暁の麦茶と自分のアイスティーを取りに行く金剛)
(「気にするなって言われても・・・」と小声でもにゃもにゃ言いながら、改めて自分の作品に向かい合う暁)
暁「そういえば、金剛?」
金剛「What?暁、どうかしましたか?」
暁「スプーンの部分はいいんだけど、柄の部分ってどんな感じにすればいいのかしら?」
金剛「Glad you asked! よくぞ聞いてくれました!!」
暁「わっ、わっ。きゅ、急にそんな大きな声を出さないでよ。指切るところだったじゃない」
金剛「Oh,sorryネ、暁 ですが、よくぞ聞いてくれました」
暁「2回言わなくたって聞こえてるわよ・・・ で、この柄の部分ってそんなに重要なの?」
金剛「Yes.そここそが、ラブスプーンにとって一番大切なところデース」
(ニコニコと笑う金剛に、意味がイマイチ分からないでいる暁)
(その二人に、目をこすりながら、ゆっくりと近づく影が一つ)
『木工細工にチャレンジ! 第七話』
出演:リーンベル・暁・金剛
(引き続き、食堂の一角にて)
金剛「ラブスプーンの柄の部分はデスネ、実は・・・」
リーンベル「渡す相手に対するメッセージが込められてるのだっ!」
暁「うわっ、わっ。リ、リーンベルさん?!」
金剛「Oh・・・リーンベル、それ、私のセリフネ・・・」
(突如二人の後ろからにゅっと現れたのは、この寮の寮長である、リーンベルである)
(さっきから驚いてばっかりで軽くパニック状態の暁と、自分のセリフを取られて頬を膨らませる金剛)
(してやったりといった顔をしていたリーンベルだったが、なぜか突然吐血する)
リーンベル「ぐふぅ・・・」
暁「リ、リーンベルさん?! あ、あわわ、きゅ、救急箱はどこだっけ・・・」
金剛「・・・No problemネ、暁 きっと大方、すれ違ったフレンダさんに腹パンでもされたんデショウ」
リーンベル「すごーい、金剛ちゃん、もしかしてエスパー?」
金剛「・・・日ごろの二人のやりとり見てれば、結構簡単に分かると思いマース」
暁「(・・・全然気づかなかった) あぁ、そういうことか 何だ、心配しちゃって損しちゃった気分・・・」
リーンベル「こんなに心配してくれるなんて、暁ちゃんは優しい子だよねっ」
暁「えっ、ちょっ・・・頭なでなでするなぁっ!!」
(突然現れ、話の腰を折り、吐血した上に、暁の頭をなでる・・・と、場をかき乱しまくるリーンベル)
(怒ってるのか照れてるのか分からない表情で叫ぶ暁と、完全に呆れ返ってる金剛)
(もはや何の話をしていたのか、リーンベルと暁はもちろん、金剛すら忘れてしまうほどのカオスである)
金剛「それにしても、リーンベル、今日は一段と痛そうですネ」
リーンベル「そうなのよー ちょっとお寝坊しちゃっただけなのに、『3連腹パンチ!』とかいう技を喰らっちゃってねぇー」
金剛「何デスカ、その『喰らったら吹き飛び』そうなやつは・・・」
暁「フレンダって、体術は凄いもんね。でも、運動全般なら私のほうが・・・」
リーンベル「フレンダちゃんと張り合おうとする暁ちゃん、可愛いっ」
暁「と、当然よ! 強さだって、可愛さだって、暁が一番なのよ!」
金剛「HAHAHA!まぁ、向上心があるっていうのはいいことですネー」
リーンベル「金剛ちゃんはどうなの?これだけは負けないって物とかあったりする?」
金剛「Hmm...強いて言うなら、足の速さがstrong pointですネー まぁ、『身長の割には』って付けないとダメですけど」
(すっかりトークに夢中になる三人)
(完全にラブスプーンのことを忘れてしまっているのだが、はてさてどうなることやら)
『木工細工にチャレンジ! 第八話』
出演:リーンベル・暁・金剛・IWant
(引き続き、食堂の一角にて)
IWant「(のワの)<床下から、本日二回目の登場ですよー」
リーンベル「あら、IWantちゃん、どうしたの?」
金剛「(さすがリーンベル。全く動じないですネー)」
暁「(び、びっくりしたぁ・・・)」
(何時からそこに居たのか、突然床から現れるIWant)
(ソレに対し、もともとノンビリしているからか、全く動じる様子の無いリーンベルに対し、ちょっとびっくりした金剛と、思わず叫び声を出しかけた暁)
(三者三様の反応に、ちょっとばかし不満そうな顔(?)をするIWantである)
IWant「(のワの)<流石に二回目はキレが悪かったみたいー」
金剛「十分だと思いますけど・・・ あんまりキレがあり過ぎると、Heartに悪いですから」
暁「そ、そうよ! ちょっとくらい気を使いなさい!」
リーンベル「二人とも、カリカリしすぎじゃないかな?」
IWant「(のワの)<リーンベルは特殊だと思うけどなー それはさておき、本題忘れてないー?」
金剛「Oh!そうデシタ で、柄の部分ですが、渡す相手に対するメッセージを込めて彫るのが通例デス」
暁「メッセージどうこうって話はさっきも聞いたけど・・・具体的にどうするわけ? 何か文字でも掘り込むの?」
金剛「No,no,no 文字は掘り込まないデス とりあえず、コレを見てくださーい」
(そういって金剛が取り出したのは、昨日も取り出したスプーン)
(昨日は何となくでしか装飾を見ていなかった暁だが、今回改めて見て見ると、色んなマークがかたどってある事が分かる)
暁「えーっと、これは鍵と錠・・・んで、こっちはハープ・・・んで、これは・・・えぇと・・・」
リーンベル「蹄鉄ねー 馬の足とかにつけるやつよね」
金剛「Yes!ちなみに、英語圏ではこれをhorseshoe、つまり、馬の靴、と呼びマース」
暁「なるほど・・・ところで、これに何の意味が込められてるの?」
金剛「まず、ハープですけど、これはWalesという、ラヴスプーン発祥の地のsymbolになりマース」
IWant「(のワの)<要するに、良くある装飾って感じー?」
金剛「ま、そういう認識でいいんじゃないかナ で、鍵と錠ですけど、これはsafety、安全の象徴になりマース」
リーンベル「お家の鍵って感じなのかな? 泥棒さんも入ってこれなくなるわけですしー」
金剛「んで、最後の蹄鉄は、幸運と幸福を意味しマース 西洋では魔除けのsymbolとして扱われているみたいデスネー」
暁「ということは・・・このスプーンには主に、安全と幸福という願いが込められてるってことでいいのね」
金剛「Exactly! といった感じで、渡す相手に応じてどのようなsymbolを付けるか、考えなくちゃいけないんデス」
リーンベル「流石、暁ちゃん。よく理解できましたねー」
暁「だっ、だから頭なでるなっ!」
(チャンスとばかりに暁の頭を撫でるリーンベルと、恥ずかしがって逃げ回る暁)
(その二人の姿を見て「やれやれ・・・」とため息をつきながら、ちょっとオーバーなジェスチャーをする金剛)
(一方、IWantは冷蔵庫に忍び寄り・・・)
IWant「(のワの)<リーンベルの朝食、とったどーー」
リーンベル「あぁっ、私の朝ごはんー」
『木工細工にチャレンジ! 第九話』
出演:リーンベル・暁・金剛・IWant
(引き続き、食堂の一角にて)
(天井にぶら下がりながら、サンドイッチをもしゃもしゃ食べてるIWantと、がっくり肩を落としているリーンベル)
(そんな二人を背景に、暁はデザインについて、金剛に相談する)
暁「ところで、金剛? 他の装飾ってどんなものがあるの?」
金剛「Hmm...私の知っているところだと、富を示すダイヤモンド、信仰を示す十字架、親友等を示す結び目などがありマース」
暁「なるほど・・・ そういった装飾を混ぜて作るのね」
金剛「Yes!まぁ、販売するようなものじゃないし、originalなものを付けても大丈夫でしょうから、思うままに作ればいいと思いマース」
暁「そういわれると・・・ちょっと色々迷っちゃうわね。どうしようかなぁ・・・」
金剛「ちなみに、誰の分を作るとか決めているのデスカ?」
暁「勿論、全員分よ」
金剛「Hmm...全員分・・・って、What!? これ、5個も作るんデスカ?」
暁「何?何か変なこと言ったかしら?」
金剛「いや・・・まぁ・・・暁の根性なら、何とかなるかもしれないと思いマース」
(当然のように5人分作ると言い出す暁と、流石に5人分は大変じゃないかと思う金剛)
(結局、暁のやる気に火をつけたのは自分だから・・・と、金剛は最後まで面倒を見る覚悟を決めるのであった)
(一方、冷蔵庫付近にたむろしている二人はというと)
リーンベル「うぅ・・・IWantちゃんの鬼!悪魔!」
IWant「(のワの)<朝寝坊する上に、中々ご飯に手を付けないリーンベルが悪いと思うなー」
リーンベル「だ、だって、あの二人がすごく楽しそうだったし・・・」
IWant「(のワの)<それはそうと、ラブスプーンのホントの意味って知ってるー?」
リーンベル「うーん、聞いたことはあるって感じかなぁー 詳しくは知らないよー」
IWant「(のワの)<それじゃ、当分は知らない振りをお願いするよー」
リーンベル「ほえっ?暁ちゃんに話してあげたらダメなの?」
IWant「(のワの)<隠してたほうが面白くなりそうだからー」
リーンベル「うーん、じゃ、暁ちゃんには悪いけど、黙ってようかっ」
IWant「(のワの)<お願いするよー」
(とまぁ、ちょっと悪巧み(?)をしつつ)
(そして、時は進んで1週間後、ついに最後の1本が完成したのであった)
『木工細工にチャレンジ! 第十話』
出演:リーンベル・フレンダ・暁・金剛・サイアン・IWant
(1週間後、食堂にて)
(ついにラブスプーンが全員分完成したということで、食堂に集まる5人と暁)
(その場で、暁はそれぞれに自分の作ったスプーンを、込めた思いも含め、手渡していく)
暁「というわけで、まずはフレンダさんに。」
暁「フレンダさんのは、「無邪気」と「親切」を意味するカスミソウと、愛用のコーヒーカップをモチーフにしてみたわ」
フレンダ「へぇ、よく出来てるじゃない。是非とも部屋に飾らせてもらうわね。ありがとね、暁」
暁「あっ、は、はいっ! ・・・で、えっと、次!サイアン!」
暁「サイアンのは、「音楽」を意味するアシと、何時も作ってくれてるおむすびをモチーフにしてみたの」
サイアン「これはまた難しい花を・・・おむすびも上手に出来てるし、流石だなぁ~ いい物ありがとう、暁」
暁「つっ、次にいくわよ! 次はIWant。」
暁「IWantのは、「好奇心」を意味するハツユキソウと、サプライズを意味するびっくり箱を組み合わせているわ」
IWant「(のワの)<びっくり箱は予想外だったよー でも、個性があっていいかもー ありがとうだよー」
暁「うん、喜んでくれてよかった。じゃ、次はリーンベルさんね。」
暁「リーンベルさんのは、「可憐」と「無邪気」を意味するマツバボタンと、何時も使ってる日記帳をモチーフにしてみたのよ」
リーンベル「あらー、可憐だなんて、この褒め上手めっ」
暁「うわっ!だっ、抱きつくなっ!頭わしゃわしゃするなぁっ!!」
フレンダ「秘儀、二重のきわみっ!!」
リーンベル「ぐふっ・・・」
暁「はぁっ、はぁっ・・・さ、最後は金剛ね」
金剛「暁・・・その・・・無理しなくてもいいデスヨ・・・」
暁「むっ、無理じゃないっ! で、装飾だけどっ、金剛のは「友情」を意味するコブシと、自慢のシューズがモチーフなの」
金剛「Oh,ありがとね、暁ー それにしても、いい花選びましたネー」
フレンダ「あれ?結局、金剛は全部の作業には参加しなかったわけ?」
金剛「私の以外は全て参加しましたけどネー 流石にネタバレは面白くなさそうだったので、そこだけIWantとchangeしたのデスヨー」
IWant「(のワの)<私は見てるだけだったけどねー」
(といった感じで、5人にそれぞれのラブスプーンが配られたのであった)
(暁も、若干照れながらではあったが、ちゃんと作品を手渡し、やり遂げた満足感を味わっていた)
リーンベル「ところで、誰か私の心配をしてくれる子は・・・」
サイアン「まぁ・・・その・・・ドンマイです」
『木工細工にチャレンジ! 第十一話(最終話)』
出演:リーンベル・フレンダ・暁・金剛・サイアン・IWant
(引き続き、食堂にて)
(各々が受け取ったスプーンを眺めたり触ったりしてる姿を見て、満足そうな表情を浮かべる暁)
(しかし、暁は、その視界に収まる人数が4人しか居ないことに気がつかない そして・・・)
IWant「(のワの)<お疲れ様だよー、暁ー」
暁「はうぁっ!! ちょ、と、突然現れるなっ!心臓に悪いでしょっ!」
IWant「(のワの)<ところで、暁 ラブスプーンの本当の用途って知ってるー?」
暁「えっ?友達とか、仲のいい人に渡すものじゃないの?」
IWant「(のワの)<最近はそれも多いみたいだけどねー でも元々は・・・」
リーンベル「男性から女性への愛の告白のために、手作りして贈られるものだったんだよっ」
IWant「(のワの)<セリフとられっちゃったーよー 悔しいから、リーンベルの昼ご飯食べちゃうよー」
リーンベル「やーめーてー もうしないから、もうしないからっ」
暁「え・・・あ、あ、愛の告白!!? ちょ、ちょっと待って。ど、どういうことよ金剛!?」
金剛「あー、そういえば言ってませんデシタネー sorryね、暁ー」
暁「ちょ、それが謝ってる人の顔かぁっ!!」
(ニヤニヤしながら形だけ謝る金剛と、羞恥心で顔を真っ赤にして怒る暁)
(それを見てティンと来たフレンダとサイアンは、さらに追い討ちをかける)
フレンダ「暁から告白とか、あたしどうしようかしらん」
サイアン「いやはや、長年この仕事してますけど、嬉しいものですねぇー、こういうの貰えるのはー」
暁「ちょ、誤解だから、誤解だからっ!」
フレンダ「あら。ということは、結局、暁はお遊びで私達に告白したってわけ」
サイアン「あ、そっか・・・まぁ、義理だろうなとは薄々思ってましたけど・・・上げて落とされるのはちょっとショックだなぁ・・・」
暁「だーかーらー!これは金剛が全部悪くって・・・って、あら?金剛はどこに・・・」
IWant「(のワの)<金剛なら、お昼ご飯の買出しに行くって言って、もう出て行ったよー」
暁「・・・IWant、あたしも買い出し行ってくる。遅くなったら、先にお昼ご飯食べといてって、リーンベルさんに伝えといて」
IWant「(のワの)<気をつけてねー」
(顔を真っ赤にして、全力ダッシュで金剛を追いかける暁)
(一方、取り残されてしまった4人はというと・・・)
サイアン「うーーん、ちょっとやりすぎましたかねぇ・・・」
フレンダ「結局、加減が大事だったってわけだけど、フォロー入れる前にいっちゃったからねぇ・・・」
リーンベル「まぁ、金剛ちゃんなら上手くやるでしょうし、こっちは片付けしときましょっ」
サイアン「ですねー しかし、上手く出来てるものだなぁ・・・」
フレンダ「何かご褒美とか作ってあげたいわねー」
リーンベル「それじゃ、特性の牛肉カレーでも作りましょっ いまから仕込めば、今夜には食べれるんじゃないかしら」
サイアン「いい案ですねー んじゃ、自分とIWantさんで準備してるんで、リーンベルさんは肉を、フレンダさんは野菜とスパイス類を買ってきてもらえますか?」
リーンベル「了解ー 杉崎ちゃん相手にガッツリ値引いてくるわね」
フレンダ「私は・・・野菜ははんぺんぺんさんの所で、スパイスはユカさんのところかな」
サイアン「ほいほい、それじゃ、宜しくお願いしますー」
IWant「(のワの)<リーンベルは、ナンパに注意するんだよー」
リーンベル「大丈夫、大丈夫 何時も通りサラッと回避してくるからっ」
(そんなこんなで、イレギュラーな1週間は終わり、また何時もの日常が戻ってくる)
(今日もタウイタウイ女子寮は平和である)
暁「待てーーー、金剛ーー!!」
金剛「HAHAHA!待たないデスー」
最終更新:2013年11月28日 23:04