第一章:『便利って何なのれす?』
第一話:『壊れちゃったのれすっ!><』
登場人物:シルファ、パメラ、睦月、Alecto
Alecto「よっ・・・と うん、駆動系もばっちりOK 流石来栖川さん、いい仕事するねー」
シルファ「えへへ、ありがとなのれす♪」
ここは街の中心部・・・からはちょっと外れた、小田舎にある工場
従業員は4名・・・それも全員女性という、変わった工場である
睦月「それでは、支払いは何時もの口座からでよろしいですね?」
Alecto「あぁ、お願いするよ それじゃ、次の仕事があるし、そろそろ出発させてもらうね」
シルファ「まいろ、ありがとうなのれす また来てほしいのれす!」
Alecto「ははは、また壊れたら、お邪魔させてもらう事にするよ」
そう言って、キュラキュラとキャタピラ音を鳴らし、工場を後にするAlecto
その姿が見えなくなるまで手を振っていたシルファは、スキップしながら工場奥へと向かう
シルファ「えへへー 今日も喜んれ貰えたのれす♪」
睦月「ふふっ、お疲れ様ですよ、社長」
パメラ「うんうん、シルファちゃんは今日も頑張ったわねー」
シルファ「あ、社長れすー」
睦月「へ? って、会長? 来てたんですか?!」
パメラ「あらあら、もう社長呼びは止めなさいって言ってるのに・・・ それと、さっきからずっと一緒に居たわよー」
そう言ってひらひらと手を振るパメラ。ここの前社長であり、地縛霊であり、会長である。
そして、その神出鬼没な彼女に振り回され、溜息をついている睦月は、秘書兼事務員である。
睦月「一つだけ聞きますけど・・・姿、見せてないですよね?」
パメラ「大丈夫よー それくらいの分別はつくし ・・・まっ、彼になら見せても問題ない気もするけどねー」
シルファ「へ? それってどういう意味なのれすか?」
パメラ「うーーん、教えたげてもいいけど・・・でもそれは、彼に聞くべきなんじゃないかしらー」
睦月「・・・さっぱり意味が分からないですよ、会長」
パメラ「うーーんと・・・上手に説明出来ないわねー まぁ、その時が来たら教える・・・じゃダメかしら?」
シルファ「・・・何か、はぐらられた気がするのれす」
睦月「まぁ、会長だって何か考えがあるんでしょう。深く詮索するのは止めておきましょうか」
パメラ「うふふー ありがとねー」
口を膨らませ、抗議の意思を示すシルファ
あらあら、と、困った顔をするパメラを見かねた睦月は、助け舟を出す
睦月「さて・・・仕事も一段落しましたし、咲夜と那奈も呼んで、皆でケーキでも食べましょうか」
シルファ「ケーキ?! ケーキれすか?!」
パメラ「あらあらー 相変わらず準備いいわねー」
睦月「昨日、出張に行った時に、美味しそうなケーキ屋さんを見つけたので 雑誌とかでも評判のお店みたいですし、味はいいと思いますよ」
シルファ「ケーキ♪ケーキ♪今日はケーキなのれすー♪」
パメラ「あらあら、幸せそうな顔しちゃってー 食事機能と味覚機能を開発して、本当に良かったわー」
睦月「昔は食事時は隅っこで寂しそうにしてましたものね・・・ っと、社長 あんまりはしゃぐと危ないですよ」
シルファ「らいじょうぶれす、らいじょうぶれ・・・れ・・・れ・・・」
睦月「ちょ・・・社長?!」
パメラ「シルファ、危ない!!」
スキップしていたシルファは、たまたま落ちていた螺子を踏んでしまい、バランスを崩す
睦月とパメラが絶叫する中、シルファは右腕から転倒してしまう ボキン、といういやな音を残して
パメラ「大丈夫、シルファ?」
シルファ「うぅ・・・らいじょうぶれ・・・って、はれ?」
睦月「大丈夫ですか、社長」
シルファ「う・・・う・・・う・・・」
睦月「社長?」
シルファ「うれが壊れらーーー!!」
パメラ&睦月「えぇーーーーー?!」
第二話:『とりあえず落ち着くのれす・・・』
登場人物:シルファ、パメラ、咲夜、那奈、睦月
咲夜「な、なんや?エライ音したけど・・・」
那奈「大丈夫ですか、皆さん!」
扉を乱暴に開け、作業場から出てくる咲夜と那奈
そこには、壊れた右腕を抱えながら泣きじゃくるシルファと、シルファの頭を撫でるパメラ、右手で頭を抱えながら溜息をつく睦月の姿があった
シルファ「もうらめなのれす・・・らめらめな上に、さらにらめらめになってしまったのれす・・・」
パメラ「大丈夫よー 腕はちょっと古かったのもあって壊れただけだから・・・ねっ?」
睦月「・・・言いたい事は色々ありますが・・・とりあえず、落ち着いてください 治らない物じゃないんですから」
咲夜「な・・・なんや、この惨状・・・」
睦月「あ、咲夜。来てたの?」
咲夜「そら、あない大きな音したら、誰だってビックリして様子見に来るわ ・・・で、どないしたんや?」
睦月「詳しい話は作業場の方でしましょ 那奈、会長と一緒に社長を慰めてくれないかしら?」
那奈「うん・・・分かった。こちらは任せといてください」
睦月「ありがと、那奈 それじゃ、咲夜、行きましょうか」
そう言って咲夜と作業場のほうへ向かう睦月
扉を閉めた後、睦月は事のあらましを咲夜に説明する
咲夜「なるほどなぁー まぁ、確かに、バランス崩した直接の原因・・・っちゅう話になったら、不慮の事故やろうけど・・・」
睦月「工場内でスキップしないでください・・・って何度も言ってたのに、あの子は・・・」
咲夜「まぁ、ちゃんと痛い目に遭うたんやし、そこは目ぇ瞑ったらなあかんやろ」
睦月「そうね。これで次からは気をつけるでしょう。・・・で、それはいいんだけど・・・」
咲夜「腕の修理かぁ・・・ まぁ、ちょうど大きな仕事が終わった所やし、手はそこそこ空いてるからやるけど、損傷の度合いが分からへんからなぁ・・・」
睦月「そこなんだけどね。咲夜、一つ相談してみたいんだけど・・・」
咲夜「なんや? 何か良いアイディアでもあるん?」
滅多に作業関連に口を出さない睦月からの相談に、珍しいものでも見るような表情で答える咲夜
睦月は一呼吸をついた後、咲夜に向かって話しかける
睦月「腕、修理じゃなくて、新品を作る事って出来る?」
咲夜「・・・へっ?」
第三話:『作戦会議・・・なのれす?』
登場人物:シルファ、パメラ、咲夜、那奈、睦月
睦月「というわけで、会議を始めます」
シルファ「え、えっと・・・なんれこんなことになったのれすか・・・」
(シルファが腕を折った翌日、会議室・・・もとい休憩室にあつまる5人)
(昨日、泣きながらケーキを完食してそのまま疲れて寝てしまったシルファは、現在の状況についていけず混乱している)
咲夜「昨日、シルファちゃんの腕、壊れてしもたやろ」
那奈「それで、そのまま修理するつもりだったんですけど、睦月さんの提案で・・・」
睦月「どうせなら、新しい腕に代えちゃってもいいんじゃないかなって思ったので、提案しました」
咲夜「前の腕、結構古ぅなっとったからなー この際、もうちょい性能えぇやつにしてもえぇと思うで」
シルファ「れ、れも、それらとお金たくさんかかっちゃうのれす・・・」
睦月「その辺は大丈夫ですよ。こないだの大仕事である程度まとまったお金も入りましたし、会社のほうから出しておきます」
シルファ「れも、れも、シルファのミスれこうなったのれすから・・・・」
(皆に迷惑をかけるのは悪い、と食い下がるシルファ)
(睦月は、はぁ、と一つ溜息をついた後、シルファに向かって話し始める)
睦月「・・・社長。いや、シルファちゃん」
シルファ「は、はいれす?!」
睦月「シルファちゃんはもうちょっと甘えてもいいのよ?」
咲夜「せやせや。社長なんて固っくるしい職業やってるんやから、多少は優遇されてもバチあたらへんって」
パメラ「昨日も一昨日もその前も、ちゃーんとお仕事してたんだもの。そのご褒美だって思っちゃいなさい」
那奈「何時もお世話になってるシルファさんの為です。私もそうすればいいと思います!」
シルファ「え、あ、あの・・・れすけろ・・・その・・・」
パメラ「シールーファーちゃん」
シルファ「ふぁ、ふぁい?!」
(それでも尚断ろうと、上手い言い訳を考えようとするシルファ)
(そんなシルファの目の前に、ヌッと顔を出すパメラ)
パメラ「もう、人の好意はちゃんと受け取りなさい、って教えたでしょー」
シルファ「れ、れすけど・・・」
パメラ「ですけど・・・はもう禁止。決定事項なんだから、諦めちゃいなさいな。それより、もっと言うべきことがあるんじゃないかしら?」
咲夜「せやせや。ちゃんと言うてくれへんかったら、おねーちゃん拗ねちゃうでー」
睦月「咲夜、ちゃちゃを入れない」
那奈「シルファさんの笑顔が見れたら、私たちも頑張れます。だから、お願いしますっ!」
(4人の目が、シルファに『後一歩』を踏み出すように促す)
(4人の思いを聞いたシルファは、急に起立した後、頭をテーブル擦れ擦れまで下げて、はっきりとした口調で言う)
シルファ「よ、よろしくおれらいするのれすっ!!」
睦月「ふふっ、了解」
咲夜「よっしゃ、任せといてやー 新作バリバリ取り入れて、最高のもん作ったるでー」
那奈「さ、咲夜さん? アレはちょっとやめておいたほうが・・・」
パメラ「ほら、これでいいのよー 皆、シルファちゃんのために何か出来る事が嬉しいのよ だから、ちゃんと甘えなさい。ね?」
シルファ「は、はいなのれすっ!!」
最終更新:2014年03月09日 21:16