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第四世界


基本事項


獣の世界。

住民の約9割は獣化能力を持つ。獣化能力を持つ者は「獣人」または「獣化民」と呼ばれ、多くは半獣半人の姿をしている。能力を極めた者は、完全な獣の姿や完全な人間の姿を取ることもできる。

獣化能力を持たない約1割の者は、第四世界では「人間」と呼ばれる。獣人も獣化能力を持つ人間であり、両者は別の生物種ではない。しかし、獣化の有無は長く身分を分ける基準とされてきた。

獣化する動物は通常の動物に限らず、恐竜などの古代種、ユニコーンなどの幻想種、海洋生物などにも及ぶ。ケンタウロスのような珍しい姿になる者も、独立した種族ではなく獣化能力者である。

ごくまれに、獣人の家系から完全な獣の姿で生まれる者もいる。普通の獣として育った後に能力を発現し、初めて獣人だったと判明する場合がある。

多くの獣人は半獣半人の姿をしているため、獣化能力の有無は通常、外見から分かる。ただし、完全な人間の姿を取れる獣人など、外見だけでは判断できない例もある。

かつて獣化能力を持つ者は優れた存在、持たない人間は劣った存在とみなされた。種族や血統、獣化能力の程度による格差が国家制度にも組み込まれていた。

大陸歴270年に人間差別は法律上禁止されたが、社会に残る偏見や格差は解消されていない。「人か獣か、獣か人か」という境界は、第四世界の歴史を通じて問題となっている。

世界構造


第四世界は平面構造を持つTO図的世界である。

地中海周辺は古くから文明の中心であり、人々はそこから各地へ広がった。世界全体の地理的調査によってエルサレムが世界の中央に位置すると判明し、統一後は中央政府や議会が置かれた。

エルサレムは「聖地」とも呼ばれる。ただし、世界の中央にある首都と捉える者もおり、方舟教への信仰は住民全員に共通するものではない。

エデン


東の果て、イーストエンドには「エデン」がある。

かつて探索者たちは東方の黄金郷「ジパング」を探したが、発見したのはエデンだった。ジパングそのものは存在しなかった。それでも外海の先や海底にあると信じ、今も探索を続ける者がいる。

エデンを越えて進もうとし、平面世界の果てから落下した者もいる。

方舟


エデンの上空には「方舟」が浮かんでいる。その存在は目で確かめられるが、航空機などで近づこうとしても辿り着けず、内部に入った者もいない。

方舟がいつから存在するのか、どのように現れたのかは不明である。

方舟教


「方舟教」は方舟にまつわる伝承を持つ一神教である。信者はただ一柱の神を崇めるが、その神の正体は分かっていない。

伝承によれば、世界に「悪しきもの」が蔓延し、神の怒りによって大洪水が起こった。神は方舟を造らせ、あらゆる獣人の男女を乗せたという。方舟を造った者の名は伝えられておらず、ノアの一族に当たる存在もこの伝承には登場しない。

鳩が東方の陸地を見つけ、洪水の後、方舟の獣人たちはエデンに降り立った。そこから各地へ広がったとされる。この伝承にちなみ、鳩の獣人は平和の象徴とみなされ、対立する者たちの和平の窓口を務めることがある。

伝承の「悪しきもの」が何を指すかは定まっていない。また、方舟に獣化能力を持たない人間が乗っていたかどうかは、信者の間でも意見が分かれる。

神は「どの獣人にも似ており、どの獣人にも似ていない」と語られる。方舟教では神の姿を絵や像に表すことを禁じている。

洪水が実際に起きたのか、方舟と伝承にどのような関係があるのか、いつの出来事なのかは分かっていない。

獣と魔獣


第四世界には獣人のほか、完全な獣や魔獣も生息する。海には海洋生物系の獣人とは別に、巨大な獣や魔獣がいる。

「白鯨」は討伐や狩猟の対象となってきた著名な魔獣だが、非常に強く、現在まで仕留められていない。

国家の成立と政治体制


統一以前と統一戦争


切り札の介入以前、人々は各地の集落・部族・国家で暮らし、勢力間では断続的に戦争が起きていた。

切り札は地中海を中心とする勢力に近代的な武器を供給した。この支援で戦力差が生まれ、大陸歴0年に統一戦争が終結した。同年、エルサレムを中心とする統一政府が成立した。

「狼王」は、統一以前に切り札側と激しく争った部族の代表者の一人である。

統一政府


第四世界の国家は一つであり、中央政府はエルサレムに置かれている。

議会は民主院と貴族院の二院制である。民主院がある一方、名家や貴族からなる貴族院が強い力を持つ。

国家元首は世界統一大統領で、「統一大統領」も同じ役職を指す。大統領には強い権限があるが、議会や名家など既存の権力を意のままに変えられるわけではない。

大統領は選挙で選ばれる。かつて投票権を持っていたのは獣人だけであり、獣化能力を持たない人間は選挙に参加できなかった。大陸歴270年の法改正以降、人間にも投票権が認められている。

終身大統領という制度はないが、事実上、長期にわたって権力を握った者もいた。天空以前は政権交代が激しく、歴代大統領の多くは死亡や逮捕などによって職を退いている。

統一国家には常設の軍隊はない。武力を持つ公的組織には、通常の警察や大統領直轄の秘密警察がある。

身分制度と名家


切り札は種族・一族による序列を制度として整え、その頂点に「十二支」を置いた。十二支に当たる動物の血統は特別視された。

十二支以外にも、統一戦争などで功績を挙げて名家となった一族がいる。名家には公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵などの爵位が用いられる。

当時の第四世界には、十二支の「辰」に当たる本来の龍がいなかったため、恐竜などの古代種が龍に相当するものとして扱われた。

旧体制では有力な名家、一般の獣人、獣化できない人間の間に大きな格差があった。人間の多くは労働階級に置かれた。ただし、人間が教育や大学から一律に排除されていたわけではない。学ぶ機会を得ても、社会では差別に直面した。

切り札による近代化と支配


切り札の介入後、第四世界では通信設備、鉄道、土木作業用の機械などが普及した。それまで渡り鳥や大型の獣人が担っていた通信・運搬・作業の一部は機械に置き換わった。

切り札は食肉用の家畜も外部から持ち込んだ。完全な獣の姿をしたものは基本的に獣として扱われたが、後から獣化能力を発現し、獣人だと判明する例もある。切り札はそうした可能性を十分に考慮していなかった。

人間狩りと人喰い


切り札の支配期には、人間への迫害が激しくなった。人間は侮蔑的に「虫」と呼ばれ、狩猟対象や労働力として扱われた。一方、人間にも知性と文化があるとして、保護を訴える者もいた。

都市の人間を排除しようとする動きが大量殺害に発展した事件も約3回起きている。

人間や獣人など社会を構成する者を殺して食べる「人喰い」は犯罪であり、通常の食肉とは区別される。反政府勢力に属する者が行った場合も正当化されない。

監視と密告


切り札の支配期には、住民同士の監視や密告が広く行われた。体制は親愛や助け合いという言葉を使い、体制に反する言動を知らせることを正当化した。

家庭のテレビには盗聴器が仕込まれていた。住民は、隣人から密告されたのか、テレビに会話を拾われたのか分からないまま、互いを疑い、自ら発言を控えるようになった。

火取り蟲


「火取り蟲」は、獣化能力を持たない人間による反政府活動やテロ活動を行う者たちの総称である。一つの組織名ではなく、穏健な活動をする集団から過激な集団まで含む。

いつ始まったかは分からないが、切り札や世界樹が第四世界へ介入する以前から存在していた。獣人中心の社会と政府に対する不満が活動の背景にある。ただし、差別を受けた人間すべてが火取り蟲に属するわけではない。

各地の集団にはそれぞれの頭がいるが、全体を指揮する者はいない。ある集団の指導者が死に、組織が潰されても、命令を受けていない別の者たちが活動を始める。政府にとっては次にどこで事件が起こるか読みにくい相手となっている。

世界樹と切り札の戦いの間も、火取り蟲の各集団は独自に動いた。世界樹は切り札の勢力を削ぐため、その一部を支援した。切り札の敗北後も活動は収まらず、世界樹にも統制できない存在となっている。構成員の中には、個人として世界樹に迎え入れられる者もいる。

火取り蟲と秘密警察は敵対している。一部には双方の間で二重の立場を持つ者もいる。

警察と秘密警察


第四世界では通常の警察が日常の治安を担い、武装もしている。これとは別に、大統領直轄の「秘密警察」が存在する。

秘密警察は古くから続く組織である。天空以前には大統領の政敵や政府高官の逮捕・殺害にも使われた。政権が変わるたび、前政権の命令を実行していた秘密警察の高官たちも粛清の対象となった。粛清への反発から、その一部が武装して反乱を起こしたことも何度かある。

大陸歴205年に天空が大統領となってから、政権と秘密警察の関係は安定した。天空は政敵を排除するためには使わず、テロや国家転覆を企てる者への対処を担わせている。

秘密警察は潜入や対テロ活動を行う。火取り蟲の集団に潜入する場合などには、獣化できない人間の職員も力を発揮する。人間と獣人が共に働き、専門の教育機関で訓練を受けるため、組織内では出自より能力が重視される傾向がある。

武力制圧に当たる隊員は顔を隠す覆面や防護装備を着用する。公的な庁舎は存在するが、実際に活動する部署は一般のビルの一室などにも分散している。

夜鳥計画


「夜鳥計画」の「夜鳥」は鵺を指す。

切り札は戦力を増強するため、第四世界で異なる生物の特徴を組み合わせる実験を進めた。夜鳥計画はその一つであり、切り札の時代から実行され、一定の成果を上げた。

「髪長の蝮」「土蜘蛛」「大百足」は第四世界出身で、切り札の時代の夜鳥計画の成果に数えられる。いずれも切り札の構成員となった。ただし、それぞれがどのように生み出されたかという詳細は未定である。

切り札の崩壊後は世界樹が計画を引き継ぎ、そこでも成功例が出ている。計画の成果には鵺やマンティコアを思わせる存在もいる。

血統による差別撤廃は夜鳥計画の目的ではない。差別撤廃は、停止が個人として取り組み続けてきた活動である。

切り札敗北後と改革


切り札が敗れた後も、協力していた政治家や旧体制の支持者が力を保ち、第四世界の差別的な制度と慣行は長く続いた。

天空は第五世界の天陽帝国の出身である。能力より家柄が重んじられ、有能な人間が獣化できないことを理由に退けられる政治を嫌っていた。

大陸歴205年、天空は世界統一大統領となり、改革を試みた。しかし、大統領であっても議会や名家の抵抗を越えることは難しく、差別政治をすぐには変えられなかった。

停止は切り札との戦いが終わった後の早い時期から、人間の保護と差別撤廃に取り組んでいた。約100年にわたり議員として活動を続けたが、当初は旧体制を変えるだけの政治的な力がなかった。

大陸歴240年頃、罪ある天才によって第四世界の首脳陣が爆破・殺害された。停止はこれを旧体制を変える機会と捉え、それまで続けてきた差別撤廃の動きを進めた。

現在の政治と社会


大陸歴270年、人間に対する法律上の差別は禁止され、獣化能力を持たない人間にも投票権が認められた。

停止は同年、共生学園を設立した。学園では獣人か人間か、どの血統に生まれたかによる差別は行わない。一方、入学には学力や体力、強さなどの能力が求められ、能力による選別は存在する。

改革後も天空は世界統一大統領を務め、停止は政治に意見を通せる規模の連立の党首となった。切り札の薫陶を受けていない者たちも政治の中心を担うようになっている。

法律が変わった後も、十二支をはじめとする名家の影響力や、人間に対する社会的な偏見は残っている。

第四世界の著名な存在


狼王

統一以前、切り札の支援する勢力と戦った部族の代表。

ショットガンエイプ

ショットガンを使い、遮蔽物を利用して戦う猿系獣人。

三冠馬

若手の馬系獣人の大会で優れた成績を残した者たち。男女別に存在する。

軍隊熊

軍隊に所属し、弾薬の運搬などを行った熊系獣人。

軍隊ペンギン

軍隊で名誉連隊長となったペンギン系獣人。

駅長猫

鉄道駅で駅長を務める猫系獣人。

脱走王

近代化によって刑務所が整備された時代に、繰り返し脱獄したことで知られる獣人。

マイソールの人食い熊

12人を殺害した熊系獣人。人喰いを行った犯罪者・討伐対象として扱われる。

白鯨

第四世界の海に生息する巨大な魔獣。現在まで仕留められていない。

歴史・年表


統一戦争、切り札の介入、世界樹による攻撃、差別撤廃に至る経緯と年表は、以下のページを参照。


関連項目


最終更新:2026年10月06日 17:15
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