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春、入学式

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nisina

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春、入学式

     71 名前:書いてる人 ◆RdKn1iQ0Xs:2009/07/20(月) 22:55:15

春、入学式。
爽やかな春風に吹かれ舞い踊る桜の花びらが、まるで俺の心をくすぐるように…
なーんて、気取ったものじゃない。入学式と言ったって、中学も同じ学校だったんだから。
「えぇと、高等部の校舎は…」
とはいえ、やっぱり色々と期待しちゃうわけだ。
例えば見知らぬ女の子が…
「あの、落としましたよ」
「えっ!ありが…なんだよミチルかよ」
「期待した?ね?期待しちゃった?佐原くぅ~ん」
こんの女は相も変わらず人を馬鹿にしやがる。
「佐原、あんたクラスは?」
「5組、らしいけど。」
「やだ、一緒!良かったわね~」
「何がだ何が。あーほら、もう始まるって。急ごう」
入学式は講堂、というには広すぎる、ちょうどクラシックのコンサートができるくらいの広い建物で行われる。
そこに寿司詰めになるわけだがそれでも足りず、入学式は高等部だけでも回数をわけて行われる。
「ほら、そこそこ。あ、ごめんなさい、どっちか詰めてもらえる?」
ミチルとは中学から一緒だった。
ちょうど三年前、か。今日と同じ様に落としたハンカチを拾ってもらったんだよな。
確かに期待したさ。あの時は。
「おい、席決まってるんじゃないのかこれ」
「クラスの場所に座ればそれでいいみたいよ。あ」
スタンドマイクに教師が歩みより、いくつか咳払いやらマイクチェックをしている
「生徒一同、起立!」
「それではこれより、仁科学園高等部入学式を執り行う。一同、礼!」
これだから式って名の着くものは嫌いなんだ。挨拶一つに座ったり立ったり、挙げ句拍手のタイミングの伺い合いだ。
そうそう、ちょうどこんな風に誰かが手を叩きはじめて…
「いや、ミチル、違うから!ここ拍手しなくていいから!」
「えっ?」
パチパチパチ…
見ろ、おかげで挨拶ひとつに拍手喝采だ…。
しかし、ほんとになんて数の生徒だよ。
一学年だけでこんな、あ、あの娘かわいいな、一学年だけでこんな、うわ、あいつここに入ったのかよ、一学年だけでこんな…

「あー疲れた」
「そりゃ、あれだけ拍手してりゃねぇ」
「佐原、途中から全然してなかったでしょ!駄目なんだよ~そういうの」
「はいはい」
講堂を出ると、上級生達が部活の勧誘合戦を繰り広げていた。
「あー、部活ねぇ」
「あんたバスケ部続けるの?」
「どうしようかねぇ。ま、色々見てから決めるよ」
見て、というか見せられて、が正解だろう。
入学式で配られた、記念品だかなんだかの入った袋のおかげで、新入生はあちこち引っ張り回されてる。
「君、ちょっといいかな。水泳部どう?水泳部」
「え、水泳ですか?」
「まぁちょっと話だけでも聞いてよ。ほら、彼女も一緒に」
「いえ、別にそんなんじゃ…なぁミチル?」
…ミチル、えぇと、なんだろうな、その表情は。おかしいな、なんだろうな、うん
「さ、さ、こっちこっち」
「ち、ちょっと待って下さいよ!」

春、入学式。
やっぱり大したことはなかったけど、この先の高校生活、ちょっぴり期待してみようかな、なんて。
春風に舞う桜の花びらが…。
ロマンチックなのも、嫌いじゃない。

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