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上原梢のおせっかい

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上原梢のおせっかい




 おいしっ!おいしい!
 缶詰みかんがおいしい!ジューシーさと控え目な酸味がお口の中で見事に溶け合う奇跡だよ!
 部活の後の疲れた体にあんまいフルーツは格別だよね!

 あっ!わたし、上原梢だよ!仁科学園高等部一年生!薄茶のツインテールがきれいだねってよく言われるよ!
あっ。自慢しちゃった!恋の相談があったらなんでも乗るよ!お金以外だったらね!

 だーけーど、このみかん、まじ美味だし、これ教えてくれた閑花ちゃんぐっじょぶだし!
 学校に来る途中に寄ったコンビニで偶然見つけて、迷ってる暇ないし、思わず買っちゃたんだよね。
でも、後先考えずに買っちゃたから、缶切りないのに気付いてとほほってたら、先輩さんが貸してくれたんだ!
 真面目で公務員ちっくで、眼鏡がきっと似合いそうな男子だよ!そんな先輩さん……白馬の王子様が手を差し延べてくれたんだよ!
閑花ちゃんがほの字なのも頷けるな!
 あっ。閑花ちゃんってのはわたしの親友だね。心友っても言うのかな、いつも恋に一生懸命な子なんだよ。
 だーかーら、わたしも一生懸命応援してるんだけど……なかなか意中の王子様は振り向いてくれないんだなー。
王子様とは先輩さんのことだ!わたしが先輩さんにときめいてどうするー!
 すやすや横で寝ているんだけど、やっぱり閑花ちゃんを見つめてると黒髪きれいだしー、こんないい子、他にはいないよー。
尽くしてくれるから早く振り向けー、先輩ー!

 「せん……ぱい、太いです」

 あれー。閑花ちゃん、寝言かなー。子猫みたいに大人しく夢心地の閑花ちゃん、夢の中でも先輩とちちくりあってるのかな。

 「先輩……は、ふてえ野郎です。おぬし叩き斬ってやるです」

 親友が幸せそうな顔をしている中、わたしもほんのちょっと幸せを摘んだり。
 閑花ちゃん、にくいヤツですなー。わたし、嫉妬しちゃおうかな。

 そうだ。

 わたしは缶詰みかんを摘んでそっと閑花ちゃんの頬に近付けてみた。寝息がわたしの指にふわりとかかる。
 平和な時間に甘んじた無防備な閑花ちゃんをだまくらかすのは赤子の腕を捻るぐらい簡単なんだよ。
 こっちもすこしどきどきだ。触るか触らないかのびみょーな距離を行き来して、そして、ぷにぷにと柔らかいみかんを
閑花ちゃんの頬に当ててみた。そう。この裏技、知ってる人は知っている。知らない人はどきどきだ。答えを明かす前に
うずうずしちゃうから、口より先に手が動く!缶切りのときのこと?そんなことよりどきどきが止まらない!

 ちゅっ!

 「ふわ……うわ?夢、じゃないよね?」
 「あれー。閑花ちゃんおはよう」
 「わたし、今、先輩の夢見てたんだよ。先輩がわたしのほっぺに……ふわあ!言えません!閑花ちゃんの口からは『
  閑花の隙を見せていいのはおれだけだからな』って言う先輩の台詞なんか!」

 あらー。
 顔を真っ赤にした閑花ちゃん、ほんのちょっとだけ幸せな時間を過ごせたよね。
 みかんの感触って、ちゅう!にそっくりらしーよ。
 わたしはまだわかんないけど!
 はかない泡沫の夢だけど、閑花ちゃんが喜ぶ顔が見れて嬉しいし。

 あれー。
 喜ぶどころか、まじ覚醒?
 まじめざめ?まじめざめっす?合体したいってまじめざめっす?

 「よし、梢ちゃん。このまま先輩に甘えてちゃダメです。攻撃こそ最大の防御、先輩に閑花ちゃんからのお返しです!」
 「あの……閑花ちゃん、違うの」
 「先輩!先輩の甘くて酸味の効いたフルーティーな〇〇を下さい!」

 あれー……閑花ちゃんって、考えるより行動派だからなー。
 後先考えろー、わけわかんないよー。


   おしまい。





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