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ポケモンとのび太とノートと その1 - (2006/12/11 (月) 22:22:07) の最新版との変更点
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削除された行は赤色になります。
のび太は途方に暮れていた。
何故その様になったのかは、一ヶ月前に遡る。
あの頃のび太の町内ではポケットモンスター金銀が流行っていた。
子供達はポケモンに熱中し、それを育て、最終的にはポケモンの強さが一種のステータスになるようにもなった。
ある日一人の大柄な体格のガキ大将がある一言を呟き全ては始まる
「俺たちポケモンの世界に入れたらいいのにな」
少年達はそれに共感し賛同した。普通なら考えられない事だが、幸いこの町内には何でも叶えてくれる猫型ロボットがいる。
そして猫型ロボットのチカラにより町内中の子供達の願いは叶えられた。
それによって町内の子供達の大半がポケモンの世界に入る事になった。
----
もちろんその中には例外なくのび太少年も参加していた。
最初のポケモンはケーシイ。
悪くないポケモンだったが最初に貰うポケモンとしては悪かった。「テレポート」ばっかりで、逃げる事により先には進むが経験値が入らない
無論ジムバッジなど一つも持っている筈がなかった。
しかし進む速さは驚異的で、今、彼は一番乗りでタンバシティにいた。
のび太「あ~あドラえもん酷いよ。八つのジムバッジ集めないと現実に戻れない(設定上のルール)なんて~
ドラえも~ん(泣)」
今、ポッポもいるが、うまく弱点を突いたとしてもシジマに勝てる筈がない。ハヤトにだって怪しい。
のび太はまた泣き出した
すると、
「パサッ」
そこに一冊のノートが落ちてきた。
----
突如空から降ってきたノート。
いくらのび太がマヌケでもそれに気付かない筈がない。
のび太「なんだ?これ?」
のび太はその黒いノートを開き、パラパラとめくった。すると目次欄には優しい日本語であることが書いていた
のび太「なになに……?
このノートに名前を書かれた人はしにます。でもしなせる為には、その人のゲーム中の名前(ほんとうの名前を書くひつようはありません)と、顔と手持ちのポケモンをしっていなければいけません。
名前を書かれた人は40秒あとに心ぞうのびょうきでしにます……どっかできいたことあるなぁ……
またスネ夫辺りのイタズラかな?」
そう思ったのび太だったがやはり好奇心が生まれてき、ノートを試したくなった。
のび太は適当に目の前を泳いでいるさっき負けてこづかいを取られた海パン野郎の名前を書くことにした。
のび太「ええと、タツヤ
ポケモン・タッツー、シェルダー。
これでいいのかな?」
しかし海パン野郎は何事もなく泳いでいた。
のび太「なあんだ。やっぱりイタズラじゃないか。」
のび太がそう呟いた瞬間だった。
「ウウッ!!」
突如海パン野郎が胸を押さえて苦しみだし、そのまま海に沈んでいった。
のび太は状況を呑み込めず一目散に逃げ出した。
小脇にノートを抱えながら
----
数日後のび太はポケモンセンターに居た。
のび太「ふうっ。」
のび太は一息つき、ベッドに寝転んだ。手にはノートがある。そのノートには、人とポケモンの名前がびっしりと書いてあった。
初めはのび太はこのノートに恐れを抱いていた。二度と使うまいと思った。
しかし、何度もトレーナーに絡まれ、財産を巻き上げられていくうちに、必要に迫られ、また何度か使ってしまった。
最初は「なんてことを……」と、自己嫌悪を抱いたが、所詮はゲーム中のキャラ、僕はバイオとかでそれ以上のことをしてたじゃないかと、自己の中で正当化された。
そして人の名前を書き続け、ノートはのび太に無くてはならない存在になった。
のび太にはもしかしたら現実に帰れるかもしれないと希望の表情が見え始めた。
しかし、ポケモンセンターに忍び寄る影があることをのび太は知らなかった。
----
のび太がこれから先の妄想にふけっているとき、後ろで
「派手に殺ってるようだな」と声がした
のび太「誰だ!?」
後ろを向いたが誰も居ない。のび太が気のせいか、と思い忘れようとしたとき、目の前に大きな影が広がった。
のび太「うわあぁぁぁぁ」のび太は大きな声で叫んだつもりだったが声が出なかった。
影は変形を始め、あるポケモンの形になった
のび太「ゲンガー……?」
ゲンガー「ほう、俺を見たらビビって心臓止まると思ってたが成長したようだな」
のび太「最初から……?」
不可解な目の前のポケモンの言葉にのび太は無意識に呟いた
ゲンガー「ああ、お前がこの世界に来たときから見ていたさぁ。
ヘタレでドジでマヌケで、名前はのび太くんだっけか?ノートのお陰で精神的に成長したか?いや、心がすさんだと言った方がいいかな」
ゲンガーは馴れ馴れしく言った。
のび太「と、いうことはこのノートは君の……取り戻しにきたのかい?」のび太は恐る恐る訊いた。
ゲンガー「とぉーんでもない!そいつはバカでノロマでオッチョコチョイのお前へのプレゼントさ。
そいつは遣るよ」
のび太「僕へのプレゼント……」
----
プレゼントとは言われたものの、のび太は気になった事を聞いてみた。
のび太「ノートの代償は……代償はないの?使ったら寿命が縮むとか……?」
ゲンガー「ぎゃはははは!ゲームで寿命が縮むわけねぇだろwww
まあ、代償というか条件だな。それと俺の頼みをひとつ聞いてくれないか?」
のび太「た、頼み?」のび太はゾッとしたが、ゲンガーの頼みは安いものだった。
ゲンガー「俺を手持ちに入れてくれ。」
のび太「な、何で…」
ゲンガー「言ったろ。俺はお人好しなんだ。お前の事が気掛かりなんだ。」
のび太「条件はなんなの……?」
ゲンガー「お前の力量を見せてくれ。うーん。ま、手始めにタンバの格闘親父でも倒してくれや。見事倒せば手持ちとして加えさせて貰う。」
のび太「そんなこと……」
ゲンガー「安心しろ。お前にはノートが有るだろ。うまくやってくれよキシシシ」
のび太はどうしたものかと考えたがケーシイとポッポだけのパーティーにゲンガーが入ってくれれば心強い。
のび太は何とかしてみようという気持ちになってきた。
そして
のび太「わかった。やろう」
ゲンガーはしめしめといったかおつきでニヤけていた。
----
夜遅くシジマのジムに丸眼鏡の冴えない少年が来た。
少年は最初「このジムであなたが使うポケモンは何匹ですか?」
と聞いてきた。
わりと普通の質問だったし、ジムリーダーが使うポケモンの数はジム毎で決まっていたので
「2体だ」
と、正直に答えた。
その後ジム戦が始まり、少年はポッポを繰り出してきた。自分はオコリザルを出し、彼のポッポを二秒で瀕死にさせた。明らかにレベルの差は歴然だった。直後彼は投了し、ジムを去った。
しかしその後の少年の行動が奇妙だった。
彼を叩きのめしたあとまた、すぐにジムに挑戦してきたのだ。
当然また、ポッポを瞬殺し、彼はまた、投了を告げた。
彼はまた幾度も幾度も来た。
強さも全く変わったとは思えなかった。
再戦を申し込むトレーナーは数多くいたがこの様な、トレーナーは始めてだ。
今度負けたら一緒に24時間特訓に付き合わせ懲らしめようと思ったとき、彼がまたやってきた。
いつもの様にオコリザルでポッポを叩き潰そうとしたとき、物凄い風が吹いてきた。ポッポの「ふきとばし」らしい
自分のポケモンは強制的に替えられ、ニョロボンがでた。
すると少年はニヤリと不気味に笑い、ノートに何かを書き始めた。
----
「何してるんだ?」
と私は訊いた。
すると丸眼鏡の少年は何かを書き終わったあと
「残念ですね。
僕の勝ちだ。」
と言った
すると私は急に胸に圧迫感を覚え、苦しくなり、その場に倒れた。体も動かない。真夜中だから弟子も誰も居ないだろう
薄れゆく意識の中で、「なかなか、ポッポにせんせいのツメを持たせて、先手を取るのは苦労したよ。あっ、これがバッジだな。やったーゲットー。」と少年が言っていたが、私はよく聞き取れずそのまま意識を失い、二度と覚める事はなかった。
----
後日、のび太とゲンガーは人の目に付かない岩場で話していた
のび太「シジマ、無理な特訓中に突然死だってね。ノートによる殺人だとバレないでよかったよ。」のび太は安心した様子で言った。
のび太「それに頼もしい仲間も手に入ったしね。」と言い、チラリとゲンガーを見た。
のび太はゲンガーのお陰で連戦連勝、ケーシイやポッポを出し戻しする事でそいつらのレベルも上がった。
今、のび太は全て順調なのである。
ゲンガー「のび太、ちょっといいか?」
のび太「なに?」
ゲンガー「俺とノートのことだがな、実はゲーム中に起こったバグだ。」そのくらいのび太でも薄々感付いていた。ゲーム中に登場人物が死ぬなんて普通有り得ない。
のび太「まあ、なんとなくわかってたけどね。」
ゲンガー「話は最後まで聞け。俺はバグポケモン。だから、普通のポケモンとは少し違う。何が違うかというと、俺は通常の戦闘では全く経験値は得られない。」
のび太「じゃあどうやって君を育てるのさ?」
ゲンガー「ノートさ。ノートに名前を書き込むんだよ。すると書かれた奴の持っているポケモンの経験値が全て俺に入る。即ち……」
のび太「ノートに名前を書けば書くほど強くなる……」
ゲンガー「そういうことだキシシシ」
----
のび太がゲンガーの言葉に息を詰まらせているとき、のび太のポケギアが鳴った。ドラえもんからだった
ドラえもん「のび太君、皆と話たい事があるんだ。タンバのポケモンセンターに来てくれる?」
のび太「良かった。ちょうど近いんだ。いますぐいくよ。」
ちょっとそこで会話に間があった。のび太がもうタンバまで行っていることに驚いているらしい。
ドラえもん「なるべく早くね!!!」そこで電話が着れた。
のび太「何かなあ?話って。」
のび太は首を傾げた。
ゲンガー「さあな。」
のび太「とにかく行ってみよう。」
のび太はポケモンセンターに向かった。
自分がどれだけ浅はかな事をしたのか気付かずに……
----
20分後、のび太はタンバのポケモンセンターにやってきた。
そこにはやす夫、はる夫、出木杉を除く全員が来ていた。
ドラえもん「あっ、のび太君やっときたみたいだね。君が最後かな?」
スネ夫「のび太が此処までこれるなんて以外だね」と、スネ夫が皮肉を言ったがのび太は無視した。
のび太「やす夫君とはる夫君と出木杉は?」のび太は訊いた。
ドラえもん「彼らは先にチョウジの方に行ったからね」
のび太「なるほど」
ジャイアン「っていうかさー、なんで俺たちをこんなとこに呼び出したんだよ!」とジャイアンはかなりイライラした口調で言った
ドラえもん「それなんだけどね……」
ドラえもんは暗い様子で言った
ドラえもん「問題は二つあるんだ。一つ目は、ここ、タンバのジムリーダー、シジマが死んだんだ。」
のび太はドキリとしたが顔に表情は表れなかった。
のび太「それがどうかしたのかい?」
ドラえもん「そこが問題なんだ。何故かというとシジマが死んでしまってるから、ジム戦ができない。皆ここに来たばっかりだから当然誰もジム戦はしていない。だからもう誰もバッジを八個集めるというクリア条件を満たす事が出来なくなったんだ。」
スネ夫「と、いうことは………」
しずか「もう現実世界に戻れない……!」
----
しずかの一言にそこにいた全員が口をつぐんだ。しかし
ドラえもん「そんな訳じゃない。シジマは心臓麻痺で死んでたけど、誰かと戦った跡がある。それに遺体からはバッジが抜きとられていた。
要するに誰かがバトルじゃ勝てないから何らかの方法でシジマを殺して、バッジを奪った。そのバッジを持っている誰かがいる可能性があるってこと。そんな登場人物が勝手に死ぬなんて設定は無いしね」
スネ夫「ということは現実世界には帰れるんだね?」
ドラえもん「バッジが見つかればね。もし、このなかでショックバッジを持っている人がいたら言ってほしい。即座に電源を切りゲームを中止するよ。一人でも外へ出て電源を切れば皆無傷で現実世界に帰れるから。」
大変な事になった。そうのび太は思い、正直にショックバッジを渡そうとした。
何かを喋ろうと口を開こうとした瞬間、
のび太「?」
のび太の口と手は麻痺したかのように動かなくなった。
----
のび太はさらに力を入れてみた。全く動かない。まるで「かなしばり」にあったように。
するとのび太の後ろにいたゲンガーが(ゲンガーの条件にモンスターボールに入れないというのがあった)話しかけてきた
ゲンガー「話は最後まで聞こうぜ。まだ、第二の話が残ってるだろ。キシシシ
ちなみに俺との会話、及び意思疎通はノートに触れた事がない限り出来ないから安心しろ」
ドラえもん「いないようだね。それじゃ仕方ない。第二の話に入るよ。」
しずか「第二の話?」
ドラえもん「この話はもっと落ち着いて聞いてほしい。先月の話なんだけどね。タイム・パトロールが四次元空間で重罪人を追っていたんだ。その途中男はタイムマシンから飛び降り次元の狭間に飛込んだんだ。
そしてその男が飛込んだ時代が……」
スネ夫「現在……だね?」
ドラえもん「そう。この時代だと異次元空間を作ってるのは僕らくらい。そいつが紛れ込んでいる可能性は十分にある。
この世界では死んでしまったり怪我してしまっても機械を壊すスイッチを切るなどすれば問題なかったがもし犯人が脱出条件を知って、脱出出来たやつがそいつ一人になると話は別。
奴は僕らの口を塞ぐため、スイッチを入れたままにするだろうから、僕らは二度と元の世界に帰れなくなる!」
----
のび太は話を聞き話はよく分からなかったが自分の言動を阻止しているゲンガーは何かドラえもんが言った事に関連してるかも知れないと感じた。
のび太「ドラえも~ん(泣)助けて~」
しかしそれは声にはならなかった。
ドラえもん「シジマを殺したのがこの中の誰でもないとすると僕の考えでは間違いなく時間犯罪者だと思う。」これをのび太が聞いた瞬間、ゲンガーが言った
ゲンガー「のび太よ。いいことを教えてやろうか」
のび太「?」
ゲンガー「俺がその時間犯罪者だ。何故そんな体になったかは分からんがな。」
のび太「?」のび太の体に恐怖が走った。
ゲンガー「この体になったのは便利だったよ。さいみんじゅつとかあるしなー。キシシシ」
のび太「あっあっあ」
ゲンガー「ビビるな。俺もお前を殺しはしない。ちょっと体を借りるだけだ」
のび太「からっからっからっ」
ゲンガーの目が光った。それからのび太の意識はブッ飛んだ。
----
ドラえもん「だから、時間犯罪者がバッジを全部集める前にそれを阻止しなきゃならない」
ジャイアン「全面戦争か……燃えるな」
スネ夫「僕もう帰りたいよ……ママ」
しずか「これからどうしましょう」
すると、さっきまで黙りこくっていたのび太が口を開いた。
のび太「とにかく時間犯罪者と戦うためには、今の戦力を確認しておいた方がいいよ。」
ドラえもん「なるほど。じゃあみんなポケモンを出そうか」
のび太「僕が紙にメモしてあげるよ」
のび太はノートを破りペンを出した。
他の皆はもっていたポケモンを繰り出した
----
「キシシシ。こいつら馬鹿だ」
のび太、もといゲンガーに操られたのび太(次からのび太と表記します)はそう思った。
のび太「ええとしずかちゃんはベイリーフ、マンタイン………
ジャイアンはオーダイル、ストライク、ゴーリキー、…………
スネオはマグマラシ、スリーパー、オオタチ……
ドラエモン、ヌオー、モココ、エイパム……これでいいかな?」
のび太はノートにポケモン、名前を全て書き込んだ。
ばかめ。青狸。これでテメーらは一瞬で全滅だ。
あとはデキスギとかいうやつがバッジを集めたら、待ち伏せて殺して奪ってやる。
そして脱出。まだタイム・パトロールなど出来てない時代だ。奴らも大っぴらに動けんだろう……。
それよりドラエモン……もう少し楽しませてもらいたかったぜ。キシシシ……
のび太が名前書いてから36……
37……
38……
39……
40
「バタッ」
人の倒れる音がした。
----
倒れたのはしずかだった。
「うぐぐぐぐぐ」
倒れたしずかは胸を押さえて苦しがっている。
ドラえもん「しずかちゃん!!!!」
ドラえもんは即座に「お医者さんカバン」を出したが、もう手遅れだった。
キシシシ。次はテメーらだ。のび太は心の中でそう笑った。
38………
39………
40………
………………!?
おかしい。誰も死なないのだ。何故この様になったのかのび太は思考をフル回転させた
のび太『まさか……偽名……!!』
----
有り得ない事ではなかった。
何故ならこれはゲームの世界だ。主人公の名をマンガの名前や自分の名前のアナグラムなどをしてても不思議ではない。
特に「ジャイアン」など本名であろう筈がない。大方残り二人は名字や名前の略でも使ってるのであろう
のび太『しまった……』のび太はそう思った。
とにかく他の奴が死ななかった今、早く次の手をうたねばならない。
そのためには今、完全に「のび太」として振る舞わなければならなかった
のび太「しずかちゃん!!なんでしずかちゃんが!しずかちゃ~~ん!!!!!」我ながら完璧な演技であった。
ドラえもん「のび太君!!多分時間犯罪者の攻撃だ!早く逃げるぞ」
のび太「うっうっうっうっ」
ジャイアン「なにやってんだ!のび太!!早く逃げるぞ!」そう言いジャイアンはのび太をおぶりポケモンセンター内部に逃げ出した。
ここでもスネ夫は失禁し、この後ほっとかれ干からびかけた、しずかのマンタインがそれのお陰で九死に一生を得るのだが、主人が死んだ今、それはもうどうでもいいことであった。
----
ドラえもん達はしずかの死亡現場から離れ、タンバのポケモンセンターの一室にいた。
ジャイアン「チクショウ!
なんでしずかちゃんを……」
のび太「うっうっうっうっ」
ドラえもん「皆!落ち着いて……。」と、ドラえもんが場をなだめようとした。しかし、目の前で人がしかも身近な人が死んだショックでスネ夫はもはや発狂寸前だった。
スネ夫「いっいやだみんなしぬいやだああっあっあっ
そうだこれは夢だ。夢の中の自分だ。こいつをころしてげんじつのぼくをとりもどそう。」
不意にスネ夫は果物ナイフをとり、自分の手首をかききろうとした。
その瞬間だった。ジャイアンの鉄拳がスネ夫の顔面に炸裂した。
ジャイアン「なにやってんだ!スネ夫!!
ドラえもんの話を聞いてなかったのか!?
今、ここで俺達が死んだら、しずかちゃんも死んだままだぞ!!」
----
殴られた後、スネ夫は我に帰り、はっ、とした様子でジャイアンを見た。
そして
スネ夫「ごめん……」と、一言だけ言った。
ジャイアン「のび太もいつまでもめそめそしてんな!!」ジャイアンが激を飛ばした
のび太「うん……」
のび太は力なく返事した。
その言葉には別の邪悪な感情が宿っていたようだが。
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ドラえもん「皆落ち着いたようだね。
今からこれからの事を言っていくから。」
全員がうなづいた。
ドラえもん「まず、しずかちゃん死因だけど、お医者さんカバンで調べた結果、原因不明の心臓麻痺だった。
周りから攻撃の気配は全くなかったし、ポケモンの技で考えられるのはゴーストの「のろい」が有るけど、それは、体力を削るだけで、あんな急速に生命に危険を犯す程ものではないはず。
石ころ帽子で近付いていって攻撃したり、毒を注射したなら、お医者さんカバンで死因が出るしね。
この事からしずかちゃんやシジマを殺した犯人は、ある能力を得ている可能性がある。」
----
スネ夫「それはいったい……?」スネ夫が訊いた。
ドラえもん「わからない……ただその、それは、ある条件下の人間を殺すことの出来る力だと思う。」
ジャイアン「なんでそんなことが分かるんだ?」
ジャイアンは首を傾げた
ドラえもん「あの時僕らはスキだらけで全滅させようとしたらいつでも出来たと思う。
だが何故奴はそれをしなかったか?
僕らは生きてても奴にとってなんのメリットもない。だから、奴は当然僕らを皆殺しにしようとする。しかし奴の計画に反してしずかちゃんしか死ななかった。
何故なら僕らの中でその殺しの条件をを満たす人物がしずかちゃんしかいなかったから。」
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スネ夫「むちゃくちゃだ!!!
それに、僕らが生きてるのだって、ジムバッジを集めさせるためかも知れないじゃないか!」
ジャイアン「話しは最後まで聞け」
ドラえもん「いや、可能性の一つとしてだよ。いや、そうでなければ説明出来ない。
もし、僕らにジムバッジを集めさせてから一網打尽にするなら、あそこでしずかちゃんを殺す必要が無い。
人数が少なくなって、僕らがバッジを集められる可能性が減るし、殺しの能力を見せてしまうと何かと有利な事も減るからね。」
スネ夫「なるほど……」スネ夫は納得した。
ジャイアン「俺はよく分からなかった……」
ジャイアンは混乱している。
ドラえもん「要するに、時間犯罪者は、僕達を殺さないんじゃなくて、殺せないんだということ!
それなら僕らにもまだ、勝ち目がある!!!」
ドラえもんの目が光った。
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ジャイアン「やろう!!
俺達で時間犯罪者をギッタン、ギッタンにしてやろうぜ!!!」
スネ夫「うん!!!」
ドラえもん「皆!頑張ろう!!のび太君は?」
のび太「え、あ、うん。」『クッッッ!』
全員は手を合わせた
ジャイアン「しずかちゃんの仇をとろうぜ!!」
オー、と、皆声を合わせた。
スネ夫「ところでなんでドラえもんは今日はそんなに冴えてるんだい?」
ドラえもん「えっ?」
ドラえもんの手にはグレートアップ液が握られていた。
のび太は途方に暮れていた。
何故その様になったのかは、一ヶ月前に遡る。
あの頃のび太の町内ではポケットモンスター金銀が流行っていた。
子供達はポケモンに熱中し、それを育て、最終的にはポケモンの強さが一種のステータスになるようにもなった。
ある日一人の大柄な体格のガキ大将がある一言を呟き全ては始まる
「俺たちポケモンの世界に入れたらいいのにな」
少年達はそれに共感し賛同した。普通なら考えられない事だが、幸いこの町内には何でも叶えてくれる猫型ロボットがいる。
そして猫型ロボットのチカラにより町内中の子供達の願いは叶えられた。
それによって町内の子供達の大半がポケモンの世界に入る事になった。
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もちろんその中には例外なくのび太少年も参加していた。
最初のポケモンはケーシイ。
悪くないポケモンだったが最初に貰うポケモンとしては悪かった。「テレポート」ばっかりで、逃げる事により先には進むが経験値が入らない
無論ジムバッジなど一つも持っている筈がなかった。
しかし進む速さは驚異的で、今、彼は一番乗りでタンバシティにいた。
のび太「あ~あドラえもん酷いよ。八つのジムバッジ集めないと現実に戻れない(設定上のルール)なんて~
ドラえも~ん(泣)」
今、ポッポもいるが、うまく弱点を突いたとしてもシジマに勝てる筈がない。ハヤトにだって怪しい。
のび太はまた泣き出した
すると、
「パサッ」
そこに一冊のノートが落ちてきた。
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突如空から降ってきたノート。
いくらのび太がマヌケでもそれに気付かない筈がない。
のび太「なんだ?これ?」
のび太はその黒いノートを開き、パラパラとめくった。すると目次欄には優しい日本語であることが書いていた
のび太「なになに……?
このノートに名前を書かれた人はしにます。でもしなせる為には、その人のゲーム中の名前(ほんとうの名前を書くひつようはありません)と、顔と手持ちのポケモンをしっていなければいけません。
名前を書かれた人は40秒あとに心ぞうのびょうきでしにます……どっかできいたことあるなぁ……
またスネ夫辺りのイタズラかな?」
そう思ったのび太だったがやはり好奇心が生まれてき、ノートを試したくなった。
のび太は適当に目の前を泳いでいるさっき負けてこづかいを取られた海パン野郎の名前を書くことにした。
のび太「ええと、タツヤ
ポケモン・タッツー、シェルダー。
これでいいのかな?」
しかし海パン野郎は何事もなく泳いでいた。
のび太「なあんだ。やっぱりイタズラじゃないか。」
のび太がそう呟いた瞬間だった。
「ウウッ!!」
突如海パン野郎が胸を押さえて苦しみだし、そのまま海に沈んでいった。
のび太は状況を呑み込めず一目散に逃げ出した。
小脇にノートを抱えながら
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数日後のび太はポケモンセンターに居た。
のび太「ふうっ。」
のび太は一息つき、ベッドに寝転んだ。手にはノートがある。そのノートには、人とポケモンの名前がびっしりと書いてあった。
初めはのび太はこのノートに恐れを抱いていた。二度と使うまいと思った。
しかし、何度もトレーナーに絡まれ、財産を巻き上げられていくうちに、必要に迫られ、また何度か使ってしまった。
最初は「なんてことを……」と、自己嫌悪を抱いたが、所詮はゲーム中のキャラ、僕はバイオとかでそれ以上のことをしてたじゃないかと、自己の中で正当化された。
そして人の名前を書き続け、ノートはのび太に無くてはならない存在になった。
のび太にはもしかしたら現実に帰れるかもしれないと希望の表情が見え始めた。
しかし、ポケモンセンターに忍び寄る影があることをのび太は知らなかった。
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のび太がこれから先の妄想にふけっているとき、後ろで
「派手に殺ってるようだな」と声がした
のび太「誰だ!?」
後ろを向いたが誰も居ない。のび太が気のせいか、と思い忘れようとしたとき、目の前に大きな影が広がった。
のび太「うわあぁぁぁぁ」のび太は大きな声で叫んだつもりだったが声が出なかった。
影は変形を始め、あるポケモンの形になった
のび太「ゲンガー……?」
ゲンガー「ほう、俺を見たらビビって心臓止まると思ってたが成長したようだな」
のび太「最初から……?」
不可解な目の前のポケモンの言葉にのび太は無意識に呟いた
ゲンガー「ああ、お前がこの世界に来たときから見ていたさぁ。
ヘタレでドジでマヌケで、名前はのび太くんだっけか?ノートのお陰で精神的に成長したか?いや、心がすさんだと言った方がいいかな」
ゲンガーは馴れ馴れしく言った。
のび太「と、いうことはこのノートは君の……取り戻しにきたのかい?」のび太は恐る恐る訊いた。
ゲンガー「とぉーんでもない!そいつはバカでノロマでオッチョコチョイのお前へのプレゼントさ。
そいつは遣るよ」
のび太「僕へのプレゼント……」
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プレゼントとは言われたものの、のび太は気になった事を聞いてみた。
のび太「ノートの代償は……代償はないの?使ったら寿命が縮むとか……?」
ゲンガー「ぎゃはははは!ゲームで寿命が縮むわけねぇだろwww
まあ、代償というか条件だな。それと俺の頼みをひとつ聞いてくれないか?」
のび太「た、頼み?」のび太はゾッとしたが、ゲンガーの頼みは安いものだった。
ゲンガー「俺を手持ちに入れてくれ。」
のび太「な、何で…」
ゲンガー「言ったろ。俺はお人好しなんだ。お前の事が気掛かりなんだ。」
のび太「条件はなんなの……?」
ゲンガー「お前の力量を見せてくれ。うーん。ま、手始めにタンバの格闘親父でも倒してくれや。見事倒せば手持ちとして加えさせて貰う。」
のび太「そんなこと……」
ゲンガー「安心しろ。お前にはノートが有るだろ。うまくやってくれよキシシシ」
のび太はどうしたものかと考えたがケーシイとポッポだけのパーティーにゲンガーが入ってくれれば心強い。
のび太は何とかしてみようという気持ちになってきた。
そして
のび太「わかった。やろう」
ゲンガーはしめしめといったかおつきでニヤけていた。
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夜遅くシジマのジムに丸眼鏡の冴えない少年が来た。
少年は最初「このジムであなたが使うポケモンは何匹ですか?」
と聞いてきた。
わりと普通の質問だったし、ジムリーダーが使うポケモンの数はジム毎で決まっていたので
「2体だ」
と、正直に答えた。
その後ジム戦が始まり、少年はポッポを繰り出してきた。自分はオコリザルを出し、彼のポッポを二秒で瀕死にさせた。明らかにレベルの差は歴然だった。直後彼は投了し、ジムを去った。
しかしその後の少年の行動が奇妙だった。
彼を叩きのめしたあとまた、すぐにジムに挑戦してきたのだ。
当然また、ポッポを瞬殺し、彼はまた、投了を告げた。
彼はまた幾度も幾度も来た。
強さも全く変わったとは思えなかった。
再戦を申し込むトレーナーは数多くいたがこの様な、トレーナーは始めてだ。
今度負けたら一緒に24時間特訓に付き合わせ懲らしめようと思ったとき、彼がまたやってきた。
いつもの様にオコリザルでポッポを叩き潰そうとしたとき、物凄い風が吹いてきた。ポッポの「ふきとばし」らしい
自分のポケモンは強制的に替えられ、ニョロボンがでた。
すると少年はニヤリと不気味に笑い、ノートに何かを書き始めた。
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「何してるんだ?」
と私は訊いた。
すると丸眼鏡の少年は何かを書き終わったあと
「残念ですね。
僕の勝ちだ。」
と言った
すると私は急に胸に圧迫感を覚え、苦しくなり、その場に倒れた。体も動かない。真夜中だから弟子も誰も居ないだろう
薄れゆく意識の中で、「なかなか、ポッポにせんせいのツメを持たせて、先手を取るのは苦労したよ。あっ、これがバッジだな。やったーゲットー。」と少年が言っていたが、私はよく聞き取れずそのまま意識を失い、二度と覚める事はなかった。
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後日、のび太とゲンガーは人の目に付かない岩場で話していた
のび太「シジマ、無理な特訓中に突然死だってね。ノートによる殺人だとバレないでよかったよ。」のび太は安心した様子で言った。
のび太「それに頼もしい仲間も手に入ったしね。」と言い、チラリとゲンガーを見た。
のび太はゲンガーのお陰で連戦連勝、ケーシイやポッポを出し戻しする事でそいつらのレベルも上がった。
今、のび太は全て順調なのである。
ゲンガー「のび太、ちょっといいか?」
のび太「なに?」
ゲンガー「俺とノートのことだがな、実はゲーム中に起こったバグだ。」そのくらいのび太でも薄々感付いていた。ゲーム中に登場人物が死ぬなんて普通有り得ない。
のび太「まあ、なんとなくわかってたけどね。」
ゲンガー「話は最後まで聞け。俺はバグポケモン。だから、普通のポケモンとは少し違う。何が違うかというと、俺は通常の戦闘では全く経験値は得られない。」
のび太「じゃあどうやって君を育てるのさ?」
ゲンガー「ノートさ。ノートに名前を書き込むんだよ。すると書かれた奴の持っているポケモンの経験値が全て俺に入る。即ち……」
のび太「ノートに名前を書けば書くほど強くなる……」
ゲンガー「そういうことだキシシシ」
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のび太がゲンガーの言葉に息を詰まらせているとき、のび太のポケギアが鳴った。ドラえもんからだった
ドラえもん「のび太君、皆と話たい事があるんだ。タンバのポケモンセンターに来てくれる?」
のび太「良かった。ちょうど近いんだ。いますぐいくよ。」
ちょっとそこで会話に間があった。のび太がもうタンバまで行っていることに驚いているらしい。
ドラえもん「なるべく早くね!!!」そこで電話が着れた。
のび太「何かなあ?話って。」
のび太は首を傾げた。
ゲンガー「さあな。」
のび太「とにかく行ってみよう。」
のび太はポケモンセンターに向かった。
自分がどれだけ浅はかな事をしたのか気付かずに……
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20分後、のび太はタンバのポケモンセンターにやってきた。
そこにはやす夫、はる夫、出木杉を除く全員が来ていた。
ドラえもん「あっ、のび太君やっときたみたいだね。君が最後かな?」
スネ夫「のび太が此処までこれるなんて以外だね」と、スネ夫が皮肉を言ったがのび太は無視した。
のび太「やす夫君とはる夫君と出木杉は?」のび太は訊いた。
ドラえもん「彼らは先にチョウジの方に行ったからね」
のび太「なるほど」
ジャイアン「っていうかさー、なんで俺たちをこんなとこに呼び出したんだよ!」とジャイアンはかなりイライラした口調で言った
ドラえもん「それなんだけどね……」
ドラえもんは暗い様子で言った
ドラえもん「問題は二つあるんだ。一つ目は、ここ、タンバのジムリーダー、シジマが死んだんだ。」
のび太はドキリとしたが顔に表情は表れなかった。
のび太「それがどうかしたのかい?」
ドラえもん「そこが問題なんだ。何故かというとシジマが死んでしまってるから、ジム戦ができない。皆ここに来たばっかりだから当然誰もジム戦はしていない。だからもう誰もバッジを八個集めるというクリア条件を満たす事が出来なくなったんだ。」
スネ夫「と、いうことは………」
しずか「もう現実世界に戻れない……!」
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しずかの一言にそこにいた全員が口をつぐんだ。しかし
ドラえもん「そんな訳じゃない。シジマは心臓麻痺で死んでたけど、誰かと戦った跡がある。それに遺体からはバッジが抜きとられていた。
要するに誰かがバトルじゃ勝てないから何らかの方法でシジマを殺して、バッジを奪った。そのバッジを持っている誰かがいる可能性があるってこと。そんな登場人物が勝手に死ぬなんて設定は無いしね」
スネ夫「ということは現実世界には帰れるんだね?」
ドラえもん「バッジが見つかればね。もし、このなかでショックバッジを持っている人がいたら言ってほしい。即座に電源を切りゲームを中止するよ。一人でも外へ出て電源を切れば皆無傷で現実世界に帰れるから。」
大変な事になった。そうのび太は思い、正直にショックバッジを渡そうとした。
何かを喋ろうと口を開こうとした瞬間、
のび太「?」
のび太の口と手は麻痺したかのように動かなくなった。
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のび太はさらに力を入れてみた。全く動かない。まるで「かなしばり」にあったように。
するとのび太の後ろにいたゲンガーが(ゲンガーの条件にモンスターボールに入れないというのがあった)話しかけてきた
ゲンガー「話は最後まで聞こうぜ。まだ、第二の話が残ってるだろ。キシシシ
ちなみに俺との会話、及び意思疎通はノートに触れた事がない限り出来ないから安心しろ」
ドラえもん「いないようだね。それじゃ仕方ない。第二の話に入るよ。」
しずか「第二の話?」
ドラえもん「この話はもっと落ち着いて聞いてほしい。先月の話なんだけどね。タイム・パトロールが四次元空間で重罪人を追っていたんだ。その途中男はタイムマシンから飛び降り次元の狭間に飛込んだんだ。
そしてその男が飛込んだ時代が……」
スネ夫「現在……だね?」
ドラえもん「そう。この時代だと異次元空間を作ってるのは僕らくらい。そいつが紛れ込んでいる可能性は十分にある。
この世界では死んでしまったり怪我してしまっても機械を壊すスイッチを切るなどすれば問題なかったがもし犯人が脱出条件を知って、脱出出来たやつがそいつ一人になると話は別。
奴は僕らの口を塞ぐため、スイッチを入れたままにするだろうから、僕らは二度と元の世界に帰れなくなる!」
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のび太は話を聞き話はよく分からなかったが自分の言動を阻止しているゲンガーは何かドラえもんが言った事に関連してるかも知れないと感じた。
のび太「ドラえも~ん(泣)助けて~」
しかしそれは声にはならなかった。
ドラえもん「シジマを殺したのがこの中の誰でもないとすると僕の考えでは間違いなく時間犯罪者だと思う。」これをのび太が聞いた瞬間、ゲンガーが言った
ゲンガー「のび太よ。いいことを教えてやろうか」
のび太「?」
ゲンガー「俺がその時間犯罪者だ。何故そんな体になったかは分からんがな。」
のび太「?」のび太の体に恐怖が走った。
ゲンガー「この体になったのは便利だったよ。さいみんじゅつとかあるしなー。キシシシ」
のび太「あっあっあ」
ゲンガー「ビビるな。俺もお前を殺しはしない。ちょっと体を借りるだけだ」
のび太「からっからっからっ」
ゲンガーの目が光った。それからのび太の意識はブッ飛んだ。
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ドラえもん「だから、時間犯罪者がバッジを全部集める前にそれを阻止しなきゃならない」
ジャイアン「全面戦争か……燃えるな」
スネ夫「僕もう帰りたいよ……ママ」
しずか「これからどうしましょう」
すると、さっきまで黙りこくっていたのび太が口を開いた。
のび太「とにかく時間犯罪者と戦うためには、今の戦力を確認しておいた方がいいよ。」
ドラえもん「なるほど。じゃあみんなポケモンを出そうか」
のび太「僕が紙にメモしてあげるよ」
のび太はノートを破りペンを出した。
他の皆はもっていたポケモンを繰り出した
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「キシシシ。こいつら馬鹿だ」
のび太、もといゲンガーに操られたのび太(次からのび太と表記します)はそう思った。
のび太「ええとしずかちゃんはベイリーフ、マンタイン………
ジャイアンはオーダイル、ストライク、ゴーリキー、…………
スネオはマグマラシ、スリーパー、オオタチ……
ドラエモン、ヌオー、モココ、エイパム……これでいいかな?」
のび太はノートにポケモン、名前を全て書き込んだ。
ばかめ。青狸。これでテメーらは一瞬で全滅だ。
あとはデキスギとかいうやつがバッジを集めたら、待ち伏せて殺して奪ってやる。
そして脱出。まだタイム・パトロールなど出来てない時代だ。奴らも大っぴらに動けんだろう……。
それよりドラエモン……もう少し楽しませてもらいたかったぜ。キシシシ……
のび太が名前書いてから36……
37……
38……
39……
40
「バタッ」
人の倒れる音がした。
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倒れたのはしずかだった。
「うぐぐぐぐぐ」
倒れたしずかは胸を押さえて苦しがっている。
ドラえもん「しずかちゃん!!!!」
ドラえもんは即座に「お医者さんカバン」を出したが、もう手遅れだった。
キシシシ。次はテメーらだ。のび太は心の中でそう笑った。
38………
39………
40………
………………!?
おかしい。誰も死なないのだ。何故この様になったのかのび太は思考をフル回転させた
のび太『まさか……偽名……!!』
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有り得ない事ではなかった。
何故ならこれはゲームの世界だ。主人公の名をマンガの名前や自分の名前のアナグラムなどをしてても不思議ではない。
特に「ジャイアン」など本名であろう筈がない。大方残り二人は名字や名前の略でも使ってるのであろう
のび太『しまった……』のび太はそう思った。
とにかく他の奴が死ななかった今、早く次の手をうたねばならない。
そのためには今、完全に「のび太」として振る舞わなければならなかった
のび太「しずかちゃん!!なんでしずかちゃんが!しずかちゃ~~ん!!!!!」我ながら完璧な演技であった。
ドラえもん「のび太君!!多分時間犯罪者の攻撃だ!早く逃げるぞ」
のび太「うっうっうっうっ」
ジャイアン「なにやってんだ!のび太!!早く逃げるぞ!」そう言いジャイアンはのび太をおぶりポケモンセンター内部に逃げ出した。
ここでもスネ夫は失禁し、この後ほっとかれ干からびかけた、しずかのマンタインがそれのお陰で九死に一生を得るのだが、主人が死んだ今、それはもうどうでもいいことであった。
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ドラえもん達はしずかの死亡現場から離れ、タンバのポケモンセンターの一室にいた。
ジャイアン「チクショウ!
なんでしずかちゃんを……」
のび太「うっうっうっうっ」
ドラえもん「皆!落ち着いて……。」と、ドラえもんが場をなだめようとした。しかし、目の前で人がしかも身近な人が死んだショックでスネ夫はもはや発狂寸前だった。
スネ夫「いっいやだみんなしぬいやだああっあっあっ
そうだこれは夢だ。夢の中の自分だ。こいつをころしてげんじつのぼくをとりもどそう。」
不意にスネ夫は果物ナイフをとり、自分の手首をかききろうとした。
その瞬間だった。ジャイアンの鉄拳がスネ夫の顔面に炸裂した。
ジャイアン「なにやってんだ!スネ夫!!
ドラえもんの話を聞いてなかったのか!?
今、ここで俺達が死んだら、しずかちゃんも死んだままだぞ!!」
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殴られた後、スネ夫は我に帰り、はっ、とした様子でジャイアンを見た。
そして
スネ夫「ごめん……」と、一言だけ言った。
ジャイアン「のび太もいつまでもめそめそしてんな!!」ジャイアンが激を飛ばした
のび太「うん……」
のび太は力なく返事した。
その言葉には別の邪悪な感情が宿っていたようだが。
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ドラえもん「皆落ち着いたようだね。
今からこれからの事を言っていくから。」
全員がうなづいた。
ドラえもん「まず、しずかちゃん死因だけど、お医者さんカバンで調べた結果、原因不明の心臓麻痺だった。
周りから攻撃の気配は全くなかったし、ポケモンの技で考えられるのはゴーストの「のろい」が有るけど、それは、体力を削るだけで、あんな急速に生命に危険を犯す程ものではないはず。
石ころ帽子で近付いていって攻撃したり、毒を注射したなら、お医者さんカバンで死因が出るしね。
この事からしずかちゃんやシジマを殺した犯人は、ある能力を得ている可能性がある。」
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スネ夫「それはいったい……?」スネ夫が訊いた。
ドラえもん「わからない……ただその、それは、ある条件下の人間を殺すことの出来る力だと思う。」
ジャイアン「なんでそんなことが分かるんだ?」
ジャイアンは首を傾げた
ドラえもん「あの時僕らはスキだらけで全滅させようとしたらいつでも出来たと思う。
だが何故奴はそれをしなかったか?
僕らは生きてても奴にとってなんのメリットもない。だから、奴は当然僕らを皆殺しにしようとする。しかし奴の計画に反してしずかちゃんしか死ななかった。
何故なら僕らの中でその殺しの条件をを満たす人物がしずかちゃんしかいなかったから。」
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スネ夫「むちゃくちゃだ!!!
それに、僕らが生きてるのだって、ジムバッジを集めさせるためかも知れないじゃないか!」
ジャイアン「話しは最後まで聞け」
ドラえもん「いや、可能性の一つとしてだよ。いや、そうでなければ説明出来ない。
もし、僕らにジムバッジを集めさせてから一網打尽にするなら、あそこでしずかちゃんを殺す必要が無い。
人数が少なくなって、僕らがバッジを集められる可能性が減るし、殺しの能力を見せてしまうと何かと有利な事も減るからね。」
スネ夫「なるほど……」スネ夫は納得した。
ジャイアン「俺はよく分からなかった……」
ジャイアンは混乱している。
ドラえもん「要するに、時間犯罪者は、僕達を殺さないんじゃなくて、殺せないんだということ!
それなら僕らにもまだ、勝ち目がある!!!」
ドラえもんの目が光った。
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ジャイアン「やろう!!
俺達で時間犯罪者をギッタン、ギッタンにしてやろうぜ!!!」
スネ夫「うん!!!」
ドラえもん「皆!頑張ろう!!のび太君は?」
のび太「え、あ、うん。」『クッッッ!』
全員は手を合わせた
ジャイアン「しずかちゃんの仇をとろうぜ!!」
オー、と、皆声を合わせた。
スネ夫「ところでなんでドラえもんは今日はそんなに冴えてるんだい?」
ドラえもん「えっ?」
ドラえもんの手にはグレートアップ液が握られていた。
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ドラえもん「とにかく、出木杉君たちに報告しなきゃ」
と言い、ドラえもんはポケギアを取り出し、出木杉に電話をかけた。
ドラえもん「もしもし………」
出木杉「ああ、ドラえもん君かい?
話ってなんだい?やす夫君もはる夫君も気になってるよ」
ジャイアン「皆一緒か。丁度いい。」ドラえもんは、今までの出来事を全て出木杉に話した。
出木杉・やす夫・はる夫「嘘だろ……しずかちゃんが……」
三人は信じられないといった様子で絶句した。
出木杉「でも僕らが先にジムバッジを集めたらしずかちゃんは生き返るんだね」
ドラえもん「厳密には違うけど、まあそういうことだね。」
出木杉「でも、いいの?
今までの話を総合すると、まだタンバに時間犯罪者がいる可能性が高いよ。」
ドラえもん「いても何も出来ないさ。だってもう特殊能力では僕らを殺せないし、四対一じゃ分が悪いだろうからね。」
と、ドラえもんは言った後、また一息おいてこう言った
ドラえもん「出木杉君。僕らはこれからどうすればいいと思うかい?」
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出木杉はしばらく考えた後、口を開いた。
出木杉「とりあえず今は、犯人を探す事が一番だと思う。」
ドラえもん「君もそう思うかい。」
しかしそこでスネ夫が口を挟んだ
スネ夫「でもさ、もし、これから奴が僕らに尻尾を掴ませないために僕らを無視してバッジを集め始めたらどうするのさ!!
なんの手掛りも得られぬまま、奴だけ現実に帰っちゃうよ!」すると出木杉も考え込むように言った。
出木杉「う~ん。実は僕もそう考えてたんだけど……。」
スネ夫「だろ!僕にいい考えがあるんだ!
今から君達がチョウジのジム前で待ち伏せしておく。
時間犯罪者はいつかはバッジを集めなきゃならないから、チョウジのジムにくる。
そいつを捕まえればいい!!」
と、スネ夫は熱く提案した。
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出木杉「それは無理だ………
だってもうチョウジのバッジは手に入れてしまったからね。
それにただ待ち伏せるだけじゃ、何も状況は変わらないと思うんだ。向こうからしたら動かなければ良いだけの話だからね。」
スネ夫「じゃあどうするつもりなんだ!!!」
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出木杉「僕に一つ考えがあるんだ。
奴はシジマを殺すことで、結果的にバッジを独占し、有利な位置にたっている。
ならば、僕らをバッジを独占すればいいんだ!」
その出木杉の一言に皆が驚かされた。
ジャイアン「まさかお前もジムリーダーを殺すのか………」
ジャイアンがおそるおそる訊いた
出木杉「いや。そんな事をするはずないじゃないか。」
出木杉は即座に否定した。そしてまた喋り始めた
出木杉「今までので思ったけどさ。
この世界では一つしか得られないものと皆に配られる物とがあるよね。
今までの冒険で気付いたけど後者のものはジムバッジ、秘伝マシンしか無いことに気付いたんだ。
その他のアイテムは人が何人いようと一個だった。ゼニガメじょうろがいい例だね。」
ジャイアン「だからそれがどうしたんだよ!」
出木杉「落ち着いて考えて見てくれ。イブキからバッジを貰うためには何が必要だったかな?」
スネ夫「あっ!」
出木杉「そう!それは「りゅうのきば」。
以前金銀をプレイした人なら分かるよね。」
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可能性は高かった。
今まで、ストーリー進行に必要な物であろうとなかろうと、ジムバッジ、秘伝マシン以外は一個だけであった。
ずぼらなドラえもんの設定ミスがこんなところで役に立とうとは。
ドラえもん「なるほど………
これなら時間犯罪者もいつかは僕らと接触を取らざるを得ないな。さすが出木杉君!!」ドラえもんは感心した。
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のび太『ふん。
ジムバッジの独占など既に想定の範囲内。
寧ろ好都合だがな。』
と、のび太は心の中で言った。
確かにのび太にとって、ドラえもんたちにがバッジを集めるのは好都合だった。
スキを見て殺して奪えばいい。
しかし、問題はのび太には今、それを行う程の力がない事だった。
奴らの名前が分からない以上、ポケモンバトルで奴らのポケモンを全滅させて無理矢理奪うしか手は無いが、手持ちは、ポッポと、ケーシィ。
勝てる筈がない。
それなら自分が闘うしかないが、リスクがでかすぎる。
ならば、今からポケモンを、捕まえ手持ちを鍛え直すしかない。
この辺のトレーナーも粗方殺してしまったので、自分はもう経験値を得られる手段を失っている。
すると次の手は一つしかなかった。
のび太「ねぇ。ドラエモン。もうこの町から出ない?」
----
ドラえもんはのび太の突然の発言に驚いたがすぐに
「どうしてだい?」
と、訊いた
こののび太という少年は全くと言っていい程頭がよくなかった。
あまり、下手な発言をすると、怪しまれる恐れがあった。
なんとか会話を出ていく話に操作するしかない。
のび太がまた、口を開こうとした瞬間、スネ夫が先に口を開いた。
----
スネ夫「確かに僕らはこの町から早く出た方がいいと思うよ」
のび太は予想外の発言に驚いたが、このままスネ夫に任せることにした。
スネ夫「だってさ、やつに先を越されてもしアサギのジムバッジを取られたら大変じゃない?
また、面倒な事になるよ」
ドラえもん「どういう事だい?」
スネ夫「例えばね、
秘伝の薬も多分、独占可能だろうから、僕らが先にイベントクリアしてアサギのジムバッジも独占できれば、かなり有利になれるんじゃない?」
ドラえもん「成程ね。でも確かに秘伝の薬は独占可能だろうけど、ジムバッジは独占出来ないよ。
それはジムリーダーをジムに移動させるだけだから。まあ、例を挙げるなら、「誰かがウソッキーを退かせたら、皆あの道を通れるようになった」ということみたいなものさ
イベントクリア後なら誰でもすぐに挑戦できるんだ。
しかし、時間犯罪者に先を越されたら、またジムリーダーを殺される危険性があるな。」ドラえもんは、すこし黙って考えた。
ドラえもん「よし、皆、今からアサギに行こう」
ジャイアン「そうくるのを待ってたぜ!
こんな港町にも飽きたしな!」
ジャイアンもこの町を出たくてうずうずしてたらしい。
----
のび太『キシシシシ。
うまくいったぜwww』
物事は面白いように、のび太の思う様に進んだ。
その後皆はポケモンセンターから出て、秘伝の薬を貰いに行った。
スネ夫は行く途中でまた、時間犯罪者の攻撃があるのでは、とビビっていたが、
のび太『キシシシシ。俺が此処に居るのに出来る筈ねぇじゃんwww』
まあ、そんな事もあったが今回は、皆で無事に薬を貰う事が出来た。
そして、一行は時間犯罪者に会わぬようすぐさま、タンバを離れた。
しかし、その時間犯罪者がその一行の中に居ることは一人を除けば、誰も知らないことだった。
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