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出木杉の未来大冒険 その2 - (2007/02/04 (日) 21:43:41) のソース

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 僕はここ、3番道路でトレーナーと闘ってレベル上げをしようと目論んでいた。
だが、その狙いは見事に外れてしまった。トレーナーが全然いないのだ。 

「おかしいな、昔はいっぱいトレーナーがいたはずなのに・・・ん、
あそこに人がいる。」 
 僕はその辺を歩いていた男に、何故こんなにトレーナーが少ないのか尋ねてみた。
彼から返ってきた答えは不思議なものだった。 
「そんなの決まってるじゃないか、ここは最近奴らがよく出てるんだぜ。
呑気にポケモンバトルなんかしてたら襲われるかもしれないだろ。」 
「奴ら、がいるんですか?」 
「ああそうだ。だからお前もこんなとこさっさと抜けたほうがいいぜ。じゃあな!」 
 男は早足で去っていった。僕はしばらくボーッとしていたが、
大事なことを聞き忘れていたことに気付き、叫んだ。 
「あのー!奴らってだれですかー!」 
 だが、すでに男の姿は無かった。結局奴らの正体は分からずじまいだ。 

 その後もトレーナーを見かけることは無く、野生のポケモンとすこし戦っただけで、あっさりお月見山前のポケモンセンターに辿り着いた。中には明らかに
周りから浮いているいつも目にするツンツンヘアーの少年がいた。 
「やあスネ夫君!」 
「よう出木杉!お前もここまで来たのかぁ。」 
 僕が声をかけると、ツンツンヘアーの少年、スネ夫も返答してきた。
僕が何か言う前に、早速彼が話を持ちかけてきた。 
「なあ出木杉。せっかく会ったんだからやることは1つ、バトルだ!」 
「いいよ、僕のポケモン達の力、見せてあげるよ!」 
 これはいいレベル上げの機会が来た・・・と思った。早速ポケモンセンターから
出て、モンスターボールを取り出す。バトル開始だ! 

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 僕はまずラルトスを繰り出した。対するスネ夫はというと、 
「さっきお月見山で新しく捕まえた仲間を見せてあげよう。行け、ズバット!」 
 セコイ性格の彼がいかにも好みそうなポケモン、ズバットが姿を現した。
おそらくこの先、洞窟で嫌というほど何度も目にすることになるのだろう・・・ 
「すぐに倒してあげるよ。ラルトス、念力だ。」 
 ラルトスの念力が命中すると、ズバットはあっさり倒れてしまった。
効果抜群とはいえ、あまりに手ごたえがなさすぎる。まあ今捕まえたばかりらしいから
仕方ないか。 

「なかなかやるじゃないか。次はお前だ、イーブイ。」 
 スネ夫の最初のパートナー、イーブイがボールから出てきた。その愛くるしい瞳に
一瞬油断しそうになったが、今は敵だということを忘れてはいない。
僕はラルトスを一度戻し、代わりにヒトカゲを繰り出した。 
「今度はこっちから行くぞ。イーブイ、砂かけだ。」 
 ヒトカゲの目に砂が入り、命中率が下がる。 
「そのぐらい気にするな。ヒトカゲ、火の粉だ。」 
 攻撃は的確にイーブイを捉え、そこそこのダメージを与えた。 
「イーブイ、もう一度砂かけだ。」 
「ヒトカゲ、こっちももう一度火の粉だ。」 
 また命中率を下げられたが、火の粉は見事に命中した、しかも急所にだ。
イーブイは倒れ、スネ夫が下を向く。 
「さあ、早く次のポケモンを出しなよ。」 
 僕がそう言うと、スネ夫が突然キレだした。 
「こ、これで最後だよ!悪いか!つ、次は覚えてろよー!」 
 スネ夫はそう言うと、泣きながらお月見山の方へ走っていった。僕の勝ちのようだ。しかも、一度もダメージに完封勝ちだ。 
「やったな、ヒトカゲ!」 
 僕が隣にいるヒトカゲの方を向いて言った。すると、ヒトカゲの体が光っていることに気付いた。間違いない、進化だ! 
 しばらくして、僕もお月見山へと入っていった。
進化した仲間、リザードと共に・・・ 

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 お月見山の中は薄暗く、周りの静けさがその不気味さを
一段と強烈なものにしていた。 
「・・・にしても、本当に誰もいないなあ・・・」 
 先程の3番道路と同じく、ここもまったく人の姿が見当たらなかった。
おそらく、“奴”が原因だろう。しかし、この不気味な空間に自分1人というのは
本当に心細いものである。 
「スネ夫君を引き止めて一緒に行動すればよかったなあ・・・」 
などと僕が呟いたその時だった!奥の方から物凄い音が聞こえてきた。
その直後に辺りが激しく揺れ始め、立っていることすらままならない状況となった。 

 しばらくして揺れが収まり、なんとか歩けるほどに回復した。
とりあえず、さっきの揺れの原因を探るため奥へと進んだ。
進みながら僕は先程の事について考えていた。 
 『おそらく、先程の揺れは直前の音から察するに爆発によるものだ。爆発が
自然に起こるわけが無い、爆薬か、ポケモンの技のどちらか。いずれにしても、
必ず人の手が加わるはず・・・ということは、この先に誰かいる!』 

 僕の推理通り、奥の方で物音がしていた。おそらく、先程の爆発を起こした
張本人だろう。気付かれないようにゆっくり近づく。
やがて、その場にしゃがみこんでいる彼のすぐ後ろまで距離を詰めていた。
僕は勇気を出し、その人物に声をかけてみた。 
「あのう、ちょっと聞きたいことがあるんですが・・・」 
僕が声をかけると、その人物は振りかえって言った。 
「なんだぁ?ガキがこんなとこうろついてんじゃねえよ!」 
 相手がいきなりキレたのでビックリした。外見から察すると、
30歳後半くらいの中年の男のようだ。僕は男の剣幕に怯えながらも質問した。 
「さっきの爆発について聞きたいんですが・・・」 
すると、僕の質問を聞いた男が突然自分の罪を自白した。 
「あー、あの爆発ね。たしかにあれは俺がやったよ。だからどうした、
サカキ様の指令にケチつけるつもりか?もしそうなら、俺が貴様をぶっ殺す!」 
 サカキ?指令?何を言ってるんだか・・・そう思っていた僕は、
立ち上がった男を見て驚いた。彼が着ているのは、13年前にボスを失って解散し、
10年前にラジオ塔を乗っ取ったあの悪の結社、ロケット団の制服だ! 

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 ロケット団はとっくに解散したはず、でもこの男は胸元にRのマークがはいった
あの黒い制服を・・・いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
この男、確実に僕に敵意をむき出しにしている。 
「さあ、サカキ様に逆らう物には死を!死をおおおおおお!」 
 この男、完全に狂っている。分かることは1つ、このままでは、僕は殺される!
僕は慌ててモンスターボールを取り出した。 
「頼む、リザード!僕を守ってくれ。」 
 僕がリザードを繰り出すと、敵もモンスターボールを出してきた。どうやら相手も
ポケモントレーナーのようだ。だが敵が出してきたのは所詮コラッタ。
新技、龍の怒り一発であっけなく沈んだ。 
「いいぞ、リザード。ん、またコラッタか。もう一度龍の怒りだ!」 
 このコラッタも、次に出してきたコラッタも一発で倒した。
なんだ、弱いじゃないか・・・そう思ったのが甘かった。
敵が次に出したポケモンを見て、その油断は一瞬で恐怖に変わった。 

「あれは、ビリリダマ・・・はっ、まさか!」 
 気付いたときにはすでにビリリダマは自爆していた。激しい爆風、そして振動が
伝わって揺れる大地・・・間違いない。先程の揺れの原因はこれだ。 
「リ、リザード!しっかりしろ!」 
 リザードはまだなんとか戦える状態だった。僕がそれを見て安堵していると、
すぐに敵は2匹目のビリリダマを繰り出していた。それに気付いたときにはもう、
再び激しい爆発音が鳴り響いていた。 
「くそ!リザード・・・ラルトス、頼んだよ!」 
 僕は傷ついたリザードを戻し、代わりにラルトスを出した。その瞬間、
敵は3匹目のビリリダマを出していた。 
『ラルトスではあの自爆に耐えられない。終わった・・・』 
 僕が死を覚悟し俯いたその時、どこからか一匹のポケモンがやって来て、
ビリリダマを倒した。僕は顔を上げると、目の前にいる人物を見て驚いた。 
「き、君は!」 
「やあ出木杉、助けに来たよ!」 
 そこにいたのは、のび太君とそのパートナーであるナマケロだった。 

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 僕がのび太君に声をかけようとしたその時、洞窟内にたくさんの警官が
押し寄せてきて、ロケット団の制服を来た男を確保した。
僕とのび太君は警官にハナダシティまで連れて行かれた。 
ハナダシティに着いてすぐ、僕たちは警察署へ連れて行かれた。どうやら事情聴取の
ようだ。警官の話によると、爆発音を聞いた人間の連絡を受け、“奴ら”の仕業と
確信して乗り込んだそうだ。 
 僕は自分がお月見山に入ってすぐあの爆発に巻き込まれ、進んでみると男がいて
戦闘になった・・・という一通りの事情を話しておいた。 

「成程、じゃあもう帰っていいよ。ご協力ありがとう・・・」 
「待ってください!」 
 話を聞き終え、帰ろうとする警官を僕は慌てて引き止めた。
聞きたいことがあったからだ。 
「あの、さっきの男は何者なんですか!奴らって言ってましたけど・・・
なんであいつは、解散したはずのロケット団の制服を着てたんですか?
教えてください!!」 
 僕が物凄い大声で言ったので、警官の男は一瞬驚いたが、
あの男について話を聞かせてくれた。 
「・・・ロケット団は13年前に、ボス、サカキの失踪によって解散した。」 
 これは初代赤緑版の話である。 
「その3年後に幹部等の中心人物であった男を中心に再び活動を始め、
ラジオ塔を乗っ取ったが、1人のトレーナーに敗れ完全に壊滅した。」 
 これは今からちょうど10年前、金銀版の話である。
ここまでは僕も知っていることだ。 
「ロケット団は完全に無くなった・・・だが失踪したボス、サカキの影響力は
とても強く、彼を信仰する当時の団員の一部がいまだに彼の帰還を信じて
各地で悪行を行い、暴れ回っているのだ。我々は彼らのことを“ロケット団信者”と
呼んでいる。先ほどの男がいい例だ。というかこんなことトレーナーなら
このぐらい常識として知っておけよ。」 
「わかりました。わざわざ時間をとらせてしまってすいませんでした。」 
 僕は警官に礼を言い、結局一言も喋れなかったのび太君と共に警察署を出た。 

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 ハナダシティのポケモンセンターについてすぐ、僕は先程言いそびれた
のび太君への感謝の言葉を告げた。 
「ありがとうのび太君。君が来なければいったいどうなっていた事か・・・」 
「いいんだよ、気にするなって。ハハハハハ!」 
僕から感謝されてのび太君は満足そうだ。僕は彼に気になったことを1つ、
聞いてみた。 
「そういえば、2ターンに1回しか行動できないナマケロでよくタケシに勝てたね。
どんな手を使ったんだい?」 
「いやあ、さすがにナマケロじゃイシツブテにも勝てないよ。
トキワの森で捕まえたこいつのおかげさ!」 
 そう言いながらのび太がボールから出したのは、あの時迷って結局ゲットしなかった
キノココだった。こいつ、のび太君が捕まえたのか。
“いいトレーナーに出会ってくれよ”という僕の願いどおり、
いいトレーナーに捕まえられたキノココは幸せだろう。 
 その後お互いのこれからについて話をすると、僕は北の24・25番道路へ、
のび太君は町で買い物、とそれぞれ目的が違うようなのでここで別れることになった。
僕は彼にもう一度礼を言い、北の24番道路へと向かった。 
 再び1人になって頭によぎるのは信者のことばかりであった。
あのお月見山であった男の狂った声が忘れられない・・・ 

―――この時僕にはいやな予感がしていた。思えばあの時、
信者に出会ってからだった。僕たちの不幸が始まったのは・・・・・・ 

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     現在の状況 
       ハナダシティ 
    手持ち リザードLV17、ラルトスLV14 
    所持金 5000円 
    バッジ 1個 

     出木杉メモ 
  名前     手持ち 
  のび太    ナマケロ、キノココ(ハナダシティ時) 
  ドラえもん  フシギダネ(マサラタウン時) 
  静香     ゼニガメ(マサラタウン時) 
  ジャイアン  バルキー(マサラタウン時) 
  スネ夫    イーブイ、ズバット(3番道路時) 

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