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セカンド その8 - (2007/06/10 (日) 00:23:25) のソース

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「……スネ夫さん?」
僕の目の前の静香ちゃんが口を開く。
僕は無言でボールを放ち、ゴウカザルを出した。
「さあ、静香ちゃんも早くポケモンを出しなよ。
じゃないと……」
ゴウカザルに合図を送る。
すると、ゴウカザルが静香ちゃんの近くに火を吹いた。

「きゃあっ!」
静香ちゃんが叫ぶと共に、エンペルトが戦闘体勢をとる。
「やっぱりギンガ団に……頼んだわよ、エンペルト!」
エンペルトが静香ちゃんの前に立つ。
その隙を僕は見逃さなかった。
「一気に決める!ゴウカザル、インファイトだあッ!」
エンペルトを標的に、無数の拳を繰り出すゴウカザル。
「耐えて……エンペルト……」

静香ちゃんの願いが通じたのか、ボロボロになっても尚エンペルトは立っていた。
そして、反撃の波乗りがゴウカザルを一撃でダウンさせる。

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「ビークイン、トドメだ!」
体力が残り僅かのエンペルトが沈む。
これで僕も静香ちゃんも失っているポケモンは一体。
だけど、いかんせん分が悪い。
データによると静香ちゃんのポケモンは四匹。
対するボクは三匹しか居ない。

「こうなったら……アレしかないか」
ビークインを戻し、クロバットを出す。
今回の僕の任務は静香ちゃんを捕える事。
わざわざバトルに勝つ必要は無い。
出来ればやりたくなかったが、恐らくやる他無いだろう。
僕は前方の静香ちゃんを見据え、クロバットに指示を出した。

「クロバット、エアカッター……」

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「きゃああああああああああっ!」
耳を劈くような静香ちゃんの悲鳴が、雪原中に響き渡る。
クロバットの放った空気の刃は静香ちゃんの体の各所を掠った。
赤い血が、真っ白な雪原の上に流れ落ちていく。
そして、それを見た静香ちゃんは力なくその場に崩れ落ちた。

静香ちゃんが完全に気絶した事を確認し、ゆっくりと歩み寄る僕。
「さて……後はアジトまで運ぶだけ」
口ではそう言ったものの、当然本意でやる事じゃない。
静香ちゃんの顔を見ると、どうしても躊躇ってしまう。
今までの静香ちゃんとの思い出が、頭の中に現れては消えていく。
「くそっ……!僕は……僕は……!」
右手を震わせながら、静香ちゃんに手をかけようとする僕。
僕の体の中で、この右手だけが僕の物じゃないような気さえしてしまう。

「やるしか無いんだ。ゴメン、静香ちゃん……」
僕は意を決して静香ちゃんを担ぎ、ゆっくりと雪原の上を歩いていく。
血で染まった雪を握り締めながら――

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#静香サイド

「……ここは……?」
私は目を覚ました。
何も見えない……恐らく暗い洞窟か何かかしら。
少しふらふらする頭で必死に記憶の糸を手繰り寄せる。
確かスネ夫さんにバトルを挑まれて、クロバットが私に攻撃を……
それでその後、私は気絶しちゃって……

見ると、手と足に幾つかの傷が残っていた。
今確かなのは、スネ夫さんがギンガ団に加担した事。
そして、私を捕らえようとした事……。
……まさか、スネ夫さんがここまで運んできてくれたのかしら。
そうなると、まだ良心は残っているという事になる。
「とにかく……皆にこの事を伝えないと」

やっと目が慣れ、少し辺りが見えるようになってきた。
外は依然、かなり吹雪いている。
この吹雪ならそう遠くまで運ばれてない筈。
私は暗い洞窟を抜け、キッサキシティに向かって歩き始めた。

皆の手持ち
静香  エンペルトLv47、ミミロップLv43、ロズレイドLv44、パチリスLv40
スネ夫 ゴウカザルLv44、クロバットLv43、ビークインLv43
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