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DPその2 その11 - (2007/06/17 (日) 02:00:35) のソース

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「ありがとうございました。」
ウイーン、と今作から加わった効果音と共にのび太はリゾートエリアのポケモンセンターを出た。
その手にはプレミアボールがしっかりと握られている。
のび「君は砂漠で倒れた僕達をここまで連れてきてくれたんだね?」
ボールの中の伝ポケ、ヒードランは自慢げにこっくりと頷いた。
何故かのび太に懐き、今しがた彼の手持ちに入ったところだ。
のび「やっぱりそうか!ありがとうヒードラン!!」
のび太に感謝され、ヒードランはますます鼻高々だった。
「良かったねのびた君」
のび「うん!本当に良かっ………」
その場に凍りついた様に動かなくなったのび太。顔が青ざめている。
のび(そうだった……ここには…リゾートエリアには……)
ドラ「しばらく振りだね。」
ドラえもんがのび太の背後に立っていた。

ドラ「どこ行ったのかと思ったよ。全く、人騒がせだなあ。」
そう言いながらドラえもんの顔はヘラヘラと笑っている。
言うまでもなく、言葉とは裏腹にのびたとの再開が嬉しいだけだが、のび太本人は違っていた。
のび「うん…そうだね。そうそう、ドラえもん……これ。」
のび太がドラえもんにモンスターボールを差し出した。
中身は、ヒードランを運ぶ際に助けてもらったブビィだった。

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ドラ「!!のび太君……」
感激して声も出ないドラえもん。
のび「いや、シンオウは寒いから。」
ドラ「ありがとう!よし、じゃあ次は何処に行こうか…?僕としては……」
のび「うん、ぼくは海を渡ってポケモンリーグに行く。ドラえもんは……勝手にすればいいさ。」
数秒の沈黙が流れた。
ドラ「ぼくはずっと君について行くよ!君はまだ未熟なんだからね、人として。」
何を感じたのか、のび太の手は自然に拳を作っている。
ドラ「ポケモンリーグはねえ、ちょっと君には早……」
のび「……ドラえもんさあ、ぼくの行動に対して…その、頼みもしないのにうるさく言うのやめない?
親じゃあるまいしさ……ぼくもいい加減迷惑してるんだよ。」
ドラ「は……?」
のび太の言うことが全く理解できないドラえもん。
のび太の言葉は、高速船でドラえもんを攻撃してしまったことで芽生えた感情によるものだ。
何の迷いもなく、すぐそこまで迫った勝利をつかもうと早まったことをしてしまったのび太は、そのことで悩んだ。
そして、ドラえもんをこれ以上傷つけない為に別々の旅路を行こうと決めたのだ。
のび「じゃあね。」
のび太は、トリトドンを出し、ドラえもんを一瞥もせずに海に漕ぎ出した。
当然ドラえもんもビーダルで後を追う。
ドラ「待ってよのび太君!何かあったの?」
暗い海がのび太の心情をそのまま表しているようだった。

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ポケモンリーグに上陸したのび太。
まだドラえもんは彼に追いついていない。ビーダルの方が素早さが高いが、乗っている人の体重の差だ。
のび太はドラえもんから逃げる形でここに来たのだが、その場に腰を下ろし、ドラえもんを待った。
到着したドラえもんを口で迎え撃つのだ。

程無くしてドラえもんが沈みかけたビーダルに掴まって上陸した。
ドラ「のび太君、何のつもり?水道に指定されていない海を渡るなんて、どれだけ危険か…」
のび「ここがポケモンリーグ。…少なくとも、シンオウ地方ではポケモンの最高機関……」
ドラえもんの話を遮ってのび太は話し始めた。
のび「ここに名を残すことは、トレーナーにとって最高の喜びだ。最高の……」
ヒードランが加わった自分の手持ちを眺めるのび太。
自分にとっての喜びのみならず、ポケモンにとってもそれは誇らしいことだと、そう感じているに違いない。
ドラ「君には早い。絶対に。」
きっぱりと殿堂入りの可能性を否定したドラえもん。
しかしのび太も退かなかった。
のび「この世界ではポケモンの実力が全てだ。」
ドラ「だから何だよ!まさか君はぼくより強いから四天王にも勝てるとか、そんなことを」
のび「うん、まさにそれだよ。」
のび太はまたドラえもんの話を遮った。自分の意見は自分で言う、とばかりに。
ポケモンリーグ、巨大な城に向かって歩き出すのび太。
ドラえもんがその前に立ちはだかる。
ドラ「リーグには行かせないよ。君はまだ幼い…未熟だ……」

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のびたは意を決してドラえもんに攻撃を仕掛けた。エレブーのほうでんだ。
ドラえもんもその攻撃を受け止めるべくすぐさま自分のポケモン達を繰り出す。
が………その電撃を受けきったポケモンは一匹もいなかった。

ドラえもんのポケモン達は攻撃を受けた体勢のままピクリともしない。つまり戦闘不能ということだ。
ドラ「そんな……ほうでん一撃でロトムが…リーシャンが……」
のび太はため息を落とすと、エレブーを戻し口を開いた。
のび「少なくとも、ぼくは君に勝つことが出来る。ぼくが貰えなかったハクタイのジムバッジを手にした君に……」
ドラえもんはしきりに口をパクパクさせたが、声が出てこない。というより言い返す言葉が出てこない。
実際にはドラえもんはジムリーダーを脅すような方法でバッジを手に入れたのだから。
のび「ぼくは――自分で言うのも何だけど――強くなったんだ、トレーナーとして。」
自分で自分を称えるような言葉を並べ、それを噛みしめているのび太。
のび「だから……ぼくはリーグでも勝てないことはない。さっきも言ったみたいに、この世界ではポケモンの実力が全て。」
のび太は遠回しに言っているが、要約すると自分はドラえもんより強く、偉くなったと言っているのだ。

ドラえもんはのび太を怯えたような目つきで睨むと、ポケモンリーグに駆け込んだ。
それを見届けたのび太は今度は安堵のため息をつく。
のび「やっと追い払えた。全くドラえもんもつくづく馬鹿だなあ。
ドラえもんどころか、ぼくでもポケモンリーグで殿堂入りなんて出来る訳無いのに、そんなことも分からないのか。」
のび太は回れ右してチャンピオンロードへ足を進めた。
ドラえもんを追い払ったからには隠れる必要は無い。堂々とポケモン育成に励むのである。
少しでも四天王、チャンピオンに近づく為に……

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ジャ「着地!」
ジャイアンはマスキッパに掴まり、ヨスガシティに戻ってきた。
今現在しずかもここにいるがジャイアンはそんなことは知らない。
ジャ「戻っちまったか…ノモセの親父に復讐するのは後回しになるけど、この町にもジムリーダーはいたっけな。」

昨日ジャイアンが訪ね、リーダー不在で追い返されたジムは開いていた。
ジャ「たのもぉぉ!!」
ドアを蹴破ったジャイアンは銅像のそばの男に目もくれず、上の階に進むリフトに乗った。

数回部屋を間違い、ジャイアンはリーダーの部屋に辿り着く。
ジムリーダーは穏やかにジャイアンを迎えた。
メリッサ「オマチシテマーシタ!!ワタシ、この町のジムリーダー!」
ジャ「ああ、外人もどきのジムリーダーか。」
メリ「エー…ワタシに、チャレンジしなさーい。アナタ。」
何とかジャイアンにも通じる言葉をメリッサは絞り出し、試合に入ることが出来た。
メリ「てこ調べです!ゴースト、イキなさーい!!」
ジャ「よーし、ドーミラーだ!」
エスパーがゴーストの毒タイプに有利だと言うことでドーミラーが選ばれた。
メリ「さいみんじゅつデース!」
早速眠らされたドーミラー。しかもゴーストはあくむをかけ、ドーミラーの体力が睡眠の合間に奪われていく。
ジャ「(焦るな。すぐ起きる。そしたらあの技を…)」
ドーミラーの体力が4分の1を切った頃、ジャイアンはその技を実行した。
ジャ「しんぴのまもり!!」
眠りが浅くなっていたドーミラーが驚いて目覚めた。
指示通りに状態異常から守る技を出すドーミラー。
もう一度眠らせようとしたゴーストのさいみんじゅつがそれによって阻まれる。

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ジャ「隙が出来たッ。じんつうりきを出せ!」
まずは最初の一匹を慎重に倒したジャイアン。
続いてメリッサが場に放ったのは、このゲームで追加されたムウマの進化系。ムウマージ。
ジャイアンはさほど驚かず、また興味も示さなかった。
ジャ「ステルスロック!」
ドーミラーではこのポケモンは倒せないとジャイアンは悟ったらしい。補助技をかけている。
メリ「知っているのでーすか?ワタシの最後のポケモンを」
若干動揺した様子でムウマージにシャドーボールを打たせるメリッサ。
ドーミラーが倒れたがメリッサの持ち駒は既に2体。ジャイアン有利に変わりはない。
ジャ「シラネ。次!マスキッパ!」
ジャイアンの新たな仲間が早速ジム戦に駆り出された。
メリッサのムウマージはくろいまなざしでマスキッパを逃げ出せなくした。つまり交代が出来ないのだ。
ジャ「くろいまなざし?確か……」
急に考え込んだジャイアンの頭に浮かんだのは現実世界のとある日の空き地。

ジャイアンが最後のポケモン――バンギラスを出し、まだ余力を残している対戦相手のスネオに反撃を試みたときの話だ。
スネオは倒されたポケモンの代わりにルージュラを出し、先程のメリッサと同じ様にくろいまなざしをかけてきた。
それで………その結末は―――

メリ「試合に集中しましょうネー?」
ジャイアンは慌てて思考をゲームに戻した。
そして思い出しかけた記憶と同時に突然湧き上がった不安を振り払い、マスキッパに怒鳴った。

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ジャ「だましうちしろ!」
マスキッパがジャイアンに従順にムウマージを攻撃した。
その攻撃力を初めて見たジャイアンだったが、ムウマージが技の衝撃でふらつくのを見ると感心した。
ジャ「(こいつ、モウカザル達が進化するまでは役に立ちそうだ……)追撃だ!」
マスキッパが口を目一杯開いてムウマージに襲い掛かる。かみつくだ。
見事にムウマージの首を捉えたマスキッパ。
メリ「オーーウ……何とも痛々しい…痛いの痛いのー…飛んでけ!いたみわけデス!!」
バシッ!と鋭い音が響いた。ジャイアンは慌てて周りを見渡す。何も起きていない。
ジャ「良かった。攻撃を受けた訳じゃな……」
突然『浮遊』の特性を持つマスキッパが地面に落下した。
愕然とするジャイアン。
図鑑を見たところ、マスキッパの体力が急に半分以下まで落ち込んだようだ。
ジャ「いたみわけ……ってそんな技だったのか……?」
図鑑から顔を上げたジャイアン。メリッサはポケモンを交代し、
ジャイアンにとっては始めて見るポケモン、ユキメノコが姿を見せていた。
メリ「あなたも早くポケモンを交代したらいかがデス?」
ジャ「何だと!?」
メリ「マスキッパはもう瀕死デース。ムウマージの滅びの歌で天に召しました……」
床のマスキッパは再び浮き上がる気配がない。いや、それ以前に動かない。
ジャイアンは慌ててまた図鑑に目を落とす。
ついさっきまで半分近くまで伸びていた緑のライン―――マスキッパの体力を表すメーターは真っ白になっていた。
メリ「黒いまなざしで逃げないようにする、滅びの歌で体力を奪う……これがワタシがさっき使ったコンボデース。
ちなみーに、滅びの歌はアナタがボーッとしている時に使いました。試合に集中しましょうとワタシそう言いましたよ。」

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ジャイアンはメリッサを睨みつけ、モウカザルを出した。
その途端ユキメノコが白く透き通るような吐息をモウカザルに浴びせ、動きを鈍らせた。
メリ「あいーてのすばやーさを下げるのは重要なテクニックデース。覚えておきましょーう。」
喋り方がますますゆったりとして説明口調になってきたメリッサ。
滅びの歌に対処できなかったジャイアンを見たメリッサは彼を初心者と勘違いしたらしい。
最も、ポケモンについてジャイアンはさほど知識があるわけではない。
ジャ「素早さなんて関係ねえ。先制技のマッハパンチだ!!」
モウカザルの腕は凄まじい速度でユキメノコをすり抜けた。
ジャ「しまった!ゴーストタイプだった!」
メリ「サイコキネシス!!」
強烈な念波が勢い良く転んだモウカザルに炸裂した。
ジャ「耐えろおおおお!!!」
何とかポケモンの気合を高めようとするジャイアン。ポケモンよりも無駄に大声を上げた自分の方が白熱していた。
それはともかく、何とかサイコキネシスに耐え切ったモウカザル。
ジャイアンの指示を受けてユキメノコに火炎放射で止めを刺した。
ジャ「ステルスロックでもともと体力不足だったな。あんたのユキメノコ。」
メリ「確かにそれはそうデースが……アナタは人の事、言えませーん。」
道連れを使われ、モウカザルもまた体力が尽きていた。
ジャ「分かってるよ!あんたのムウマージと俺のカブトプスが一騎打ちだって事ぐらいな。」
メリ「良く出来まーした。」
そう言うとメリッサは腰からムウマージのボールを抜いた。

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ムウマージとカブトプスが対峙した。
ジャ「さっきの戦いとステルスロックのダメージを考えればあんたの方が不利だな。」
メリ「今の内に強気な発言をするのは自由デースが後で後悔しないよう、マージカルリーフ!!」
ムウマージの体の何処からか魔法のように綺麗な葉っぱが飛び出し、カブトプスを切り裂いた。
想像以上のダメージに慌てるジャイアン。
メリ「いかんせーんアナタ知識が足りません。」
ジャ「黙れ!どっちみちお前の負けだ!!辻斬りっ!」
邪悪な一撃をムウマージはすんでのところで避け損ねた―――

バッジの所持数がようやく1に戻りジャイアンは町を出ようとしていた。しずかがこの町にいる事にもに気づかず。
そんなジャイアンを町の住人が呼び止める。
山男っぽい人「君君、良かったらさ、このポケモンをズイタウンの育てやさんに届けてくれない?」
ジャ「はぁ?」
タウンマップによればズイタウンはジャイアンの目的地――ノモセシティとは全く別の方向。
マキシの親父に復讐を、ともくろむジャイアンにとっては是非とも行きたくないルートだ。
ジャ「嫌だね。」
山男っぽい奴「そんなこと言わないでさ、お願いだよ。このポケモンをズイタウンの育てやさんに届けてくれない?」
ポケモンの世界のお馴染み、主人公が断ったら同じ質問を繰り返し、
嫌でも「はい」と言わせるゲームの住人の必殺技が炸裂した。
その質問が続く間は一歩も動けない。故にいつかは「はい」と言わないとフリーズよりむなしい無限ループが待っている。
ジャイアンは100回程断り続け、遂に折れた。
山男っぽい輩「おじさん、足痛めちゃったんだよ。頼んだね。」

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