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ポケモンとのび太とノートと その1 - (2006/12/10 (日) 12:47:30) のソース
のび太は途方に暮れていた。 何故その様になったのかは、一ヶ月前に遡る。 あの頃のび太の町内ではポケットモンスター金銀が流行っていた。 子供達はポケモンに熱中し、それを育て、最終的にはポケモンの強さが一種のステータスになるようにもなった。 ある日一人の大柄な体格のガキ大将がある一言を呟き全ては始まる 「俺たちポケモンの世界に入れたらいいのにな」 少年達はそれに共感し賛同した。普通なら考えられない事だが、幸いこの町内には何でも叶えてくれる猫型ロボットがいる。 そして猫型ロボットのチカラにより町内中の子供達の願いは叶えられた。 それによって町内の子供達の大半がポケモンの世界に入る事になった。 ---- もちろんその中には例外なくのび太少年も参加していた。 最初のポケモンはケーシイ。 悪くないポケモンだったが最初に貰うポケモンとしては悪かった。「テレポート」ばっかりで、逃げる事により先には進むが経験値が入らない 無論ジムバッジなど一つも持っている筈がなかった。 しかし進む速さは驚異的で、今、彼は一番乗りでタンバシティにいた。 のび太「あ~あドラえもん酷いよ。八つのジムバッジ集めないと現実に戻れない(設定上のルール)なんて~ ドラえも~ん(泣)」 今、ポッポもいるが、うまく弱点を突いたとしてもシジマに勝てる筈がない。ハヤトにだって怪しい。 のび太はまた泣き出した すると、 「パサッ」 そこに一冊のノートが落ちてきた。 ---- 突如空から降ってきたノート。 いくらのび太がマヌケでもそれに気付かない筈がない。 のび太「なんだ?これ?」 のび太はその黒いノートを開き、パラパラとめくった。すると目次欄には優しい日本語であることが書いていた のび太「なになに……? このノートに名前を書かれた人はしにます。でもしなせる為には、その人のゲーム中の名前(ほんとうの名前を書くひつようはありません)と、顔と手持ちのポケモンをしっていなければいけません。 名前を書かれた人は40秒あとに心ぞうのびょうきでしにます……どっかできいたことあるなぁ…… またスネ夫辺りのイタズラかな?」 そう思ったのび太だったがやはり好奇心が生まれてき、ノートを試したくなった。 のび太は適当に目の前を泳いでいるさっき負けてこづかいを取られた海パン野郎の名前を書くことにした。 のび太「ええと、タツヤ ポケモン・タッツー、シェルダー。 これでいいのかな?」 しかし海パン野郎は何事もなく泳いでいた。 のび太「なあんだ。やっぱりイタズラじゃないか。」 のび太がそう呟いた瞬間だった。 「ウウッ!!」 突如海パン野郎が胸を押さえて苦しみだし、そのまま海に沈んでいった。 のび太は状況を呑み込めず一目散に逃げ出した。 小脇にノートを抱えながら ---- 数日後のび太はポケモンセンターに居た。 のび太「ふうっ。」 のび太は一息つき、ベッドに寝転んだ。手にはノートがある。そのノートには、人とポケモンの名前がびっしりと書いてあった。 初めはのび太はこのノートに恐れを抱いていた。二度と使うまいと思った。 しかし、何度もトレーナーに絡まれ、財産を巻き上げられていくうちに、必要に迫られ、また何度か使ってしまった。 最初は「なんてことを……」と、自己嫌悪を抱いたが、所詮はゲーム中のキャラ、僕はバイオとかでそれ以上のことをしてたじゃないかと、自己の中で正当化された。 そして人の名前を書き続け、ノートはのび太に無くてはならない存在になった。 のび太にはもしかしたら現実に帰れるかもしれないと希望の表情が見え始めた。 しかし、ポケモンセンターに忍び寄る影があることをのび太は知らなかった。 ---- のび太がこれから先の妄想にふけっているとき、後ろで 「派手に殺ってるようだな」と声がした のび太「誰だ!?」 後ろを向いたが誰も居ない。のび太が気のせいか、と思い忘れようとしたとき、目の前に大きな影が広がった。 のび太「うわあぁぁぁぁ」のび太は大きな声で叫んだつもりだったが声が出なかった。 影は変形を始め、あるポケモンの形になった のび太「ゲンガー……?」 ゲンガー「ほう、俺を見たらビビって心臓止まると思ってたが成長したようだな」 のび太「最初から……?」 不可解な目の前のポケモンの言葉にのび太は無意識に呟いた ゲンガー「ああ、お前がこの世界に来たときから見ていたさぁ。 ヘタレでドジでマヌケで、名前はのび太くんだっけか?ノートのお陰で精神的に成長したか?いや、心がすさんだと言った方がいいかな」 ゲンガーは馴れ馴れしく言った。 のび太「と、いうことはこのノートは君の……取り戻しにきたのかい?」のび太は恐る恐る訊いた。 ゲンガー「とぉーんでもない!そいつはバカでノロマでオッチョコチョイのお前へのプレゼントさ。 そいつは遣るよ」 のび太「僕へのプレゼント……」 ---- プレゼントとは言われたものの、のび太は気になった事を聞いてみた。 のび太「ノートの代償は……代償はないの?使ったら寿命が縮むとか……?」 ゲンガー「ぎゃはははは!ゲームで寿命が縮むわけねぇだろwww まあ、代償というか条件だな。それと俺の頼みをひとつ聞いてくれないか?」 のび太「た、頼み?」のび太はゾッとしたが、ゲンガーの頼みは安いものだった。 ゲンガー「俺を手持ちに入れてくれ。」 のび太「な、何で…」 ゲンガー「言ったろ。俺はお人好しなんだ。お前の事が気掛かりなんだ。」 のび太「条件はなんなの……?」 ゲンガー「お前の力量を見せてくれ。うーん。ま、手始めにタンバの格闘親父でも倒してくれや。見事倒せば手持ちとして加えさせて貰う。」 のび太「そんなこと……」 ゲンガー「安心しろ。お前にはノートが有るだろ。うまくやってくれよキシシシ」 のび太はどうしたものかと考えたがケーシイとポッポだけのパーティーにゲンガーが入ってくれれば心強い。 のび太は何とかしてみようという気持ちになってきた。 そして のび太「わかった。やろう」 ゲンガーはしめしめといったかおつきでニヤけていた。 ---- 夜遅くシジマのジムに丸眼鏡の冴えない少年が来た。 少年は最初「このジムであなたが使うポケモンは何匹ですか?」 と聞いてきた。 わりと普通の質問だったし、ジムリーダーが使うポケモンの数はジム毎で決まっていたので 「2体だ」 と、正直に答えた。 その後ジム戦が始まり、少年はポッポを繰り出してきた。自分はオコリザルを出し、彼のポッポを二秒で瀕死にさせた。明らかにレベルの差は歴然だった。直後彼は投了し、ジムを去った。 しかしその後の少年の行動が奇妙だった。 彼を叩きのめしたあとまた、すぐにジムに挑戦してきたのだ。 当然また、ポッポを瞬殺し、彼はまた、投了を告げた。 彼はまた幾度も幾度も来た。 強さも全く変わったとは思えなかった。 再戦を申し込むトレーナーは数多くいたがこの様な、トレーナーは始めてだ。 今度負けたら一緒に24時間特訓に付き合わせ懲らしめようと思ったとき、彼がまたやってきた。 いつもの様にオコリザルでポッポを叩き潰そうとしたとき、物凄い風が吹いてきた。ポッポの「ふきとばし」らしい 自分のポケモンは強制的に替えられ、ニョロボンがでた。 すると少年はニヤリと不気味に笑い、ノートに何かを書き始めた。 ---- 「何してるんだ?」 と私は訊いた。 すると丸眼鏡の少年は何かを書き終わったあと 「残念ですね。 僕の勝ちだ。」 と言った すると私は急に胸に圧迫感を覚え、苦しくなり、その場に倒れた。体も動かない。真夜中だから弟子も誰も居ないだろう 薄れゆく意識の中で、「なかなか、ポッポにせんせいのツメを持たせて、先手を取るのは苦労したよ。あっ、これがバッジだな。やったーゲットー。」と少年が言っていたが、私はよく聞き取れずそのまま意識を失い、二度と覚める事はなかった。 ---- 後日、のび太とゲンガーは人の目に付かない岩場で話していた のび太「シジマ、無理な特訓中に突然死だってね。ノートによる殺人だとバレないでよかったよ。」のび太は安心した様子で言った。 のび太「それに頼もしい仲間も手に入ったしね。」と言い、チラリとゲンガーを見た。 のび太はゲンガーのお陰で連戦連勝、ケーシイやポッポを出し戻しする事でそいつらのレベルも上がった。 今、のび太は全て順調なのである。 ゲンガー「のび太、ちょっといいか?」 のび太「なに?」 ゲンガー「俺とノートのことだがな、実はゲーム中に起こったバグだ。」そのくらいのび太でも薄々感付いていた。ゲーム中に登場人物が死ぬなんて普通有り得ない。 のび太「まあ、なんとなくわかってたけどね。」 ゲンガー「話は最後まで聞け。俺はバグポケモン。だから、普通のポケモンとは少し違う。何が違うかというと、俺は通常の戦闘では全く経験値は得られない。」 のび太「じゃあどうやって君を育てるのさ?」 ゲンガー「ノートさ。ノートに名前を書き込むんだよ。すると書かれた奴の持っているポケモンの経験値が全て俺に入る。即ち……」 のび太「ノートに名前を書けば書くほど強くなる……」 ゲンガー「そういうことだキシシシ」 ---- のび太がゲンガーの言葉に息を詰まらせているとき、のび太のポケギアが鳴った。ドラえもんからだった ドラえもん「のび太君、皆と話たい事があるんだ。タンバのポケモンセンターに来てくれる?」 のび太「良かった。ちょうど近いんだ。いますぐいくよ。」 ちょっとそこで会話に間があった。のび太がもうタンバまで行っていることに驚いているらしい。 ドラえもん「なるべく早くね!!!」そこで電話が着れた。 のび太「何かなあ?話って。」 のび太は首を傾げた。 ゲンガー「さあな。」 のび太「とにかく行ってみよう。」 のび太はポケモンセンターに向かった。 自分がどれだけ浅はかな事をしたのか気付かずに…… ---- 20分後、のび太はタンバのポケモンセンターにやってきた。 そこにはやす夫、はる夫、出木杉を除く全員が来ていた。 ドラえもん「あっ、のび太君やっときたみたいだね。君が最後かな?」 スネ夫「のび太が此処までこれるなんて以外だね」と、スネ夫が皮肉を言ったがのび太は無視した。 のび太「やす夫君とはる夫君と出木杉は?」のび太は訊いた。 ドラえもん「彼らは先にチョウジの方に行ったからね」 のび太「なるほど」 ジャイアン「っていうかさー、なんで俺たちをこんなとこに呼び出したんだよ!」とジャイアンはかなりイライラした口調で言った ドラえもん「それなんだけどね……」 ドラえもんは暗い様子で言った ドラえもん「問題は二つあるんだ。一つ目は、ここ、タンバのジムリーダー、シジマが死んだんだ。」 のび太はドキリとしたが顔に表情は表れなかった。 のび太「それがどうかしたのかい?」 ドラえもん「そこが問題なんだ。何故かというとシジマが死んでしまってるから、ジム戦ができない。皆ここに来たばっかりだから当然誰もジム戦はしていない。だからもう誰もバッジを八個集めるというクリア条件を満たす事が出来なくなったんだ。」 スネ夫「と、いうことは………」 しずか「もう現実世界に戻れない……!」 ---- しずかの一言にそこにいた全員が口をつぐんだ。しかし ドラえもん「そんな訳じゃない。シジマは心臓麻痺で死んでたけど、誰かと戦った跡がある。それに遺体からはバッジが抜きとられていた。 要するに誰かがバトルじゃ勝てないから何らかの方法でシジマを殺して、バッジを奪った。そのバッジを持っている誰かがいる可能性があるってこと。そんな登場人物が勝手に死ぬなんて設定は無いしね」 スネ夫「ということは現実世界には帰れるんだね?」 ドラえもん「バッジが見つかればね。もし、このなかでショックバッジを持っている人がいたら言ってほしい。即座に電源を切りゲームを中止するよ。一人でも外へ出て電源を切れば皆無傷で現実世界に帰れるから。」 大変な事になった。そうのび太は思い、正直にショックバッジを渡そうとした。 何かを喋ろうと口を開こうとした瞬間、 のび太「?」 のび太の口と手は麻痺したかのように動かなくなった。