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「赤みのかかった 月が昇る時 それが最後だと ボクは聞かされる」
——『世界の終わり』p.1
written by THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
World's End Girlfriend
■CONTENTS
■きみとぼくとせかいの、はじまり
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<hymn>
≫であい
────ぼくはしっている。このであいはきっと、ぐうぜんじゃないって。
旧市街でボク達は出会った。ボクは
イル、世界に忌避される
"病魔"にして、この現実を食らう
"虚神"。
キミは最初から最期まで、誰かの心配をしていた。ボクと会った時も、行方不明になっていた子供達を探していた。
「こんにちは。あの、少し、お尋ねしたいことがあって」
鈴音──って、キミは名乗った。背の高い、可愛い女の子。ボクは最初暇つぶしのつもりで、
ボクは知っていた。
旧市街で行方不明になった子供達が何処に行くのかって、どうなるのかって。
優しいのかな? 全然分からないけど、それをきっと優しさというんでしょう?
キミは知ってしまった。死ぬまで働かされて、死んだ後には食用の肉になってしまう子供達の現実を。
キミはとっても、とっても、とっても優しいから、その事実を信じられなくて、
だから、だから、──少しだけ、疲れちゃったんだと、思う。
「やだ――、やだよう、なんで、こんなの……。」
キミはボクの元へ来た。黒幕とか、円卓とか、そういう良く分からないものを、全部棄てて。
ボクはそれで良かった。だってキミは、ニンゲンじゃなかったから。ううん、元々はニンゲンだけど
とっても可哀想な事があって、ニンゲンじゃなくなった、それなのに、ニンゲンに優しいもん、おかしいよね?
だからボクはキミを、タイセツにしようって思った。ボクの大事な大事な、トモダチだったから。
でもね、──そんなボク達の楽園を、ジャマするヤツらがいた。
≫こうじょう
「ありもしない妄想が、空想が、無数の鈴ちゃんを殺したんでしょ? なぁに正常な面してんだか」
キミが居なくなってから、色んなヤツらがキミの事を探し始めて、ボクはこれを良い機会だと思って
レッド・ヘリングの手を借りて、キミに釣られた連中を、ミナゴロシにしようと思った。
それを
信仰の工場て呼んで、ボクはキミを守るために戦った。
「どれだけ鈴ちゃんが傷つけられてたか!! どれだけ追い詰められたか!!」
でも、ヤツらは
レッド・ヘリングの弱点に気付いて、それでボクは負けちゃった。
だからボクは一刻も早く、キミをボクと同じ存在にしなきゃって、思った。
──そうじゃないと、キミが、どこかに行ってしまう、気がして──。
≫かみさま。
「だからボクが守るんだ、あの子を世界の全てから守らなきゃいけない」
キミはその日まで、ずっと眠ることを奪われていた。ボクが奪ったから。寝るとキミは、元に戻ってしまう。
それは前の、ニンゲンに毒された状態に、なっちゃうから。だからボクはキミが眠るジャマをした。
ふらふらになって、うつらうつらして、眠りたいって、泣くキミが──どうしようもなく、愛しくて。
だからボクは愛をうたった。少しの意地悪を混ぜながら、キミと愛を貪った。
「――ごめんなさい、許して、――ごめんなさい、」
キミは沢山語ってくれた。寄って集ってキミが沢山のニンゲンに虐められたこと。そしてその最期に■■されたこと。
口にする度に、キミの心が壊れていくのを感じた。ボクはそれでも良いって思った。そんな心、いらないから。
だからね、ボクはキミを追い詰めるの、その記憶の果て、心の一番奥底に閉じこめられたトラウマ。生き返った後も、続いた、ジゴク。
────■■■された。それは最上級のボウトク。漸くキミの、全てを知れた。
「そして心も身体も一つになろうよ、ねぇ、鈴ちゃん──」
『ケッコン』しようよ、ってボクは言った。ニンゲンの真似事。それでも、その仕組みだけは素敵だと思った。
ボクはキミの全てを愛せると思った。キミの辿ってきた歴史を全て知っても、キミへの愛を失わなくて、
キミという存在を、誰よりも、何よりもタイセツにできるって、心の底から思っていた。
「――――――――――――――、うん、」
ボクのケッシンは固まった。ボクの大好きなキミを、ボクと同じソンザイにまで引き上げる。
その為にはギシキが必要だったから。
アナンタシェーシャ──、はるか格上の神格を、強引に組み合わせる。
キミの『へびさま』を媒体に、
アナンタシェーシャをシンワさせたら、きっと、きっと、うまくいく
────、はずだった、のに。
≫へびと、さよなら。
「── ボク達の楽園を作るんだ」
インシデント
破水。キミを
アナンタシェーシャと同一にする為の、ギシキ。
ボクは信じていた。キミに与えた力も、持っていた力も、ニンゲンじゃ、ゼッタイに追いつけない。
だからボクは、キミに関わろうとするニンゲン達を、みんな、殺せるって思った。
「――――――ねぇ、あのね、ここは"わたし"の場所だって、今のわたしには、うんと、よく、分かるの、」
アナンタシェーシャの外はボク、中はキミ。ボク達は見えなくても、ぴったりのコンビネーション。
ニンゲン達はとっても弱っちくて、ボク達の敵じゃ、なかったのに。
それなのに、全然、全然──、あきらめなくって、
「――――――――――わたしを殺さないで」
きっと、それはボクの罪。キミをあんな、野蛮なヤツらとイッショにしちゃった、ボクが悪かったんだと思う。
キミは壊れてしまった。カラダを失って、ココロだけのソンザイになっちゃったから。
ボクは後悔した。ボクの側で泣くキミを見て、ボクは何とかして、キミを取り戻さないといけないって、思った。
キミを、神にする。──ココロとカラダを一つにするには、ココロをより、強くしなきゃいけないから。
■きみをとりもどすための、たたかい
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<heart>
≫へびのしゅうきょう
キミを信じるニンゲンを集めよう。皆にキミを、信じさせなきゃ
ボクは
サーペント・カルトを作った。キミを神様にした、ボク達の宗教。
このセカイに元となる宗教があったから、丁度良かった。
ウヌクアルハイって名前を、キミと一緒にするのは、少しやだったけど、
ジャ=ロがゴーインに進めていった。元々の信仰があるから、直ぐに大きくなるって、言われたから。
ボクも同意した。会いたくて、会いたくて──、一秒たりとも、待ってられないから。
ニンゲン達は
ウヌクアルハイを信じた。それがキミと一緒だって、殆どのニンゲンは知らなかったけど
それでも、信じる力は沢山集まって、日に日にキミのソンザイが大きくなるの、ボクは分かった。
──ボクが信じるのは、ウヌクアルハイじゃない、キミだから
ウヌクアルハイを受肉させようとする、ジャ=ロ。ボクは気付いてしまった。アイツは、キミを見てない。
キミ以外に沢山の蛇をそこに加えていた。気付いた時には、
ウヌクアルハイは独自の神様になっていた。
それはセカイを容易に壊しちゃう、とっても、とっても強力な神様だった。カタチを持ったら、終わってしまう。
だから、ボクは考えた。何とかして、
ウヌクアルハイじゃなくて、キミが力を持てるように、って。
ジャ=ロとはもう協力できなかった。それでも、ジャ=ロの手を借りなきゃ、
ウヌクアルハイは現れない。
チャンスは一瞬しかない。その一瞬に、全てを賭けようって、思った。
≫もういちど、きみに
「だからね今日は記念日なんだ、ボクが何処までも純粋な奇跡を果たす最初の日」
ボクはニンゲンと戦いながら、その時を待っていた。インシデント
新世界より──運命のギシキの日。
上手く行くはずだった。ジャ=ロは全ての策を弄していたから、きっとニンゲンをダマせると思った。
ニンゲンは甘いから、同じニンゲンを必ず助ける。ボクもその意見に、同意していた。
だから、ボクが執るべき手段は。受肉するその瞬間に、誰よりも、キミを願う事だった。
ジャ=ロはウヌクアルハイを
"虚神"として再定義する。そしたら、その時ウヌクアルハイは、信仰に由来する。
それならば、キミを願えば、必ず──、キミが
ウヌクアルハイの主格になる、から。
だからボクは祈った。セカイにもう一度、キセキが起きることを
ギシキは成功した。
ウヌクアルハイは受肉したけど、その主格は、キミが持つことになった。
それは同時に、有り余る力を、キミが持つってこと。──でも、そんなのどうでも良くて、
ボクはキミが、──今よりずっと、強い力を持って、自由を得たことが、嬉しかった。
ジャ=ロは焦っていた。現れた
ウヌクアルハイは、何処までも盲目で、白痴だから。
邪悪な意志も何もない、ソンザイだったから。──あたりまえだよ、キミが自我を持ってるから。
用は済んだから、ボクはしゅうきょうからはなれた。後は、することは一つだけだった。
≫さいかい、そしてさよなら
「────でも、あの時だけは、信じてもいいかな、なんて思って」
ロールシャッハの手を借りて、虚構空間
"Dream Theater"にボクは向かった。そこでなら、キミと会える。
久々に会うキミは、少し変わっていて。ボクはちょっと、上手く話を切り出せ無くって。
なんだか照れくさかった。今キミは、ボクなんかより、ずっとずっと、強いソンザイだったから、少し悔しくて。
それでもキミは、前と同じように、ボクに優しくしてくれた。ううん、前よりもっと、優しくしてくれた。
キミは強くても、優しかった。──それが、ボクには、ボクにはとても、嬉しかった、から。
ボクは自由に意識だけのソンザイにはなれない、弱い弱い、神様だったけど──。
「――ううん、イルちゃんに、好きって言ってもらえるからだがいい」
キミは
ウヌクアルハイとして、蛇を恐れるニンゲンのカラダを乗っ取ることが出来た。でも、キミはそうしなかった。
ボクは最初から分かっていた。キミはそういう考えをするって、ずっとずっと分かっていたから。
──でもね、少しだけ、寂しかった。まだ会えないって思うと、寂しかった。
それでも、それでも、キミのためなら、優しい優しいキミのためなら、がんばれるって、思った。
ボクは決めた。キミの為に、もう一度、セカイを敵に回したって、良いと思ったから。
キミのカラダを取り戻す、その為の手段を、選び取らなきゃいけないから。
「誰も、誰も、ボクのこと大切にしてくれなかったけど 鈴ちゃんは、どんな目にあっても、どんな風になっても、ボクを信じてくれたんだ」
キミはボクに宝玉をくれた。氾濫の力を持った宝玉、その力はきっと、ボクの手助けになる。
ボクは不条理な病魔だから、力を持つ事なんて無い。誰もボクを信じてなんかくれない。
誰も病気を受け入れようなんてしない。病気になったら、どんな手を使ってでも、治そうとする。
でも、キミはそんなボクを信じてくれる。それがどれだけ凄い事か、キミは分かってないけど。
──、でもね、ボクはそんなキミが好きなんだ。キミは純粋に、ボクを信じてくれている。
それ以外に何も、必要ないって思えた。キミに伝えられなかった言葉を、今度はちゃんと、言いたいから。
「――――だからね、待ってる、ね、……、そうしたら、また、眠たくなるまで、お話、聞かせて――」
────ボクは進む、その先にある、ハッピーエンドを目指して。
■きみとぼくとせかいの、おわり
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最終更新:2018年06月27日 13:09