≫RmUyag≪
砂の国に残る古い伝承では、
かつて砂の国の南方に栄えた六つの大都市を一夜にして滅ぼし、緑溢れる肥沃な大地を砂漠に変えてしまった巨人の名だとされる。
それまで眉唾物の伝承としておとぎ話以上に捉えられることはなかったのだが、マリオンはその存在を確信しているようだ。
もし本当に存在するなら、伝承の内容から、恐らく
レギンや
『W/ダブル』が使用していたものと同じ
〝巨人〟の一体だろうと『イタチ』は推測していた。
マリオンやガルマの行動から察するに、どうやら動作のためのメカニズムも他の巨人と同じらしい。
GIFTのいう『鍵』の正体とは、これを動かすために必要な「中心部のコアに適応する生命体」を指しているのだと思われる。
しかしイクストゥムの起動には、『鍵』とは別に『燃料』なるものも必要であるらしく、マリオンは既にその目処を付けているらしいが……?
≫XsTum≪
その本体は
砂の国の『
ラズワルド地下遺跡』最深部に封印されており、ガルマによって奪取された。
その際、ガルマは自身を『鍵』に、彼の従える巨大生物を『燃料』としてイクストゥムを限定的に起動させてみせたが――。
イクストゥムの正体は、背中には巨大な翼が開き、頭部には天使の輪のように淡い黄緑色のリングが浮遊する、水の体を持つ巨人であった。
見た目は空色に光る水が人型を模しただけののっぺりとした姿だが、体高は上半身だけで三十メートル近くもあり、まさしく水害の化身とも言える外観。
特長の無い見た目ではあるが、唯一頭部には『鍵』、胸部には『燃料』をそれぞれ据えており、弱点らしい弱点はその辺りだろうか。
しかしその力は、ただ軽く腕を振るっただけで遺跡の壁板を"溶解"させ一撃で崩壊させるなど、非常に甚大なものであった。
戦神によれば、このイクストゥムとは、かつて神々が古代人に与えた"万象通ず器"が闘争によって穢れた成れの果てだというが……。
恐ろしいのは、ガルマと巨大生物という偽者のパーツで起動した
不完全な状態でなおこれだけの力と大きさということである。
もしも
本物の『鍵』と、マリオンが用意しているという本来の『燃料』で起動した場合、どれほどの被害が出るのかは想像も付かない――。
また現状では、"水の巨人"ではあっても、ガルマが言った
"挽歌の巨人"という二つ名の意味も不明のままである。
最終更新:2015年07月05日 16:33