こちらのページは
佳乃の人が主催する一連のイベントの詳細を解説したものとなります。
イベント自体も長くなってきた上伏線やら何やらも複雑になってきた為、
出来事(2013)、
出来事(2014)、
出来事(2015)のページから分割してまとめてみました。
「話が分からなくて参加しづらい」という新規の方や途中参加の方も、こちらを一読してぜひイベントにご参加下さい!
……ただし中身の力不足でやたら長くなっている為、とりあえず以下の
「ここまでの簡単なまとめ」にだけ目を通して頂ければそれで何の問題もございません。
また、このページに書かれているイベントの内容は、特別な注釈が無い限り、
正義側組織に所属している人間ならば誰でも知り得る公開情報とします。
中立の方なども、イベント参加時に「過去の自警団の報告書を読ませて貰った」などの理由を付け加えてこれらの情報を知ったことにしてもらって構いません。
もちろんカノッサやGIFT所属の方も、ここに書かれている
自陣営に関する情報(ガルマやマリオンの動きなど)はすべて知っていることにして大丈夫です。
その他、
W-Phoneのページや
カノッサ機関連絡ツールなどにも情報が書き込まれている事があります。
▼全体の流れ
- SCARLETのアサド・アル=アーデル率いる精鋭がとある任務で砂の国のラズワルド地下遺跡という場所へ入り、そこで『重要な発掘品』を発見、保護する。
- しかし後日、GIFTの陰謀によって発掘品はアサドの手を離れ、GIFT側へと渡る(この発掘品は何故か『鍵』と呼称されている)。
- 『鍵』を手にした者は世界を好きに出来るほどの力を手に入れられる、らしいのだが……手違いで『鍵』がGIFTの手から離れてしまい、行方不明に。
- 現在はGIFTのマリオン・リヴァーズとカノッサ機関のガルマ=ハド=ラジャルードとがそれぞれ、各所でのテロと並行して消えた『鍵』の行方を追っている状態。また、一般GIFTメンバー及びカノッサ機関員に対しても『鍵』を確保した者には数千万の単位で報奨金を用意するとの通達が既に広まっている。
- 『鍵』の正体は生きた少女である。その真実は正義組織側のみならず、いくつかの人物によってカノッサ機関とGIFTの両者にも伝わった。
▼ガルマ(カノッサ)関連
- 櫻の国でのガルマとの戦いにおいて、SCARLET所属のミドナが拉致される。
- 風の国での戦いにて、ガルマは胸元の〝宝玉〟によって神に体を乗っ取られた無実の一般人、ミドナの父親だと判明。
つまり胸部の〝宝玉〟こそが戦神の本体、すべての元凶であり、決定的な弱点だと露呈する。
また『天限』という二体目の神が人間の味方に付き、『TRAVIS』という大企業が各正義組織に金銭的支援を開始した。
- 砂の国の『ラズワルド地下遺跡』に於いて、遺跡に封印されていたイクストゥムの本体をガルマが奪取。
その際、自分が『本体』を、GIFTのマリオンが『燃料』を用意する……というような、密約を交わしているようにも取れる台詞を残していった。
▼マリオン(GIFT)関連
- マリオンによるレイリスフィード大学関連施設襲撃により、同大学が『ヒュドラ』なる違法薬物を製造・流通させている疑惑が浮上。
- マリオンの目的は、『イクストゥム』なる大量破壊兵器を手に入れることにあるようだ。
起動には『鍵』と『燃料』が必要であるが、そのうち『燃料』に関しては既に目処が付いているらしい。
(※結末部分はクリックで展開します)
◆学園祭 ~レイリスフィード学園・極秘調査【探索】~
『無能力者派』を教育理念とする
レイリスフィード学園。その特殊な校風に目を付けられたのか、最近になって〝
GIFT〟が不良グループのひとつと接触を持ったという噂が流れ始める。GIFTを追う過程でその情報を掴んだ自警団は、密かに学園側へ校内調査の打診を行った。
学園の運営上大事になるのは避けたい。だが生徒が本当にテロ組織と繋がってしまったのなら、可及的速やかに対応しなければならない。
学園長はその両方の意図を汲み、生徒やその親、教員達にその詳細を悟られない範囲内で、という条件付きで調査要請を受領する。
これを受けた自警団は、仮に戦闘に縺れ込んでも速やかに対応できるよう、自警団及び
SCARLETの精鋭と市井の強力な能力者を合わせて特別調査隊を結成。
近く開催される『学園祭』の賑わいを隠れ蓑にして、学園内へ本当にGIFTの手が伸びているのか否かを確かめるための極秘調査が行われる――――。
学園祭当日。SCARLETより潜入工作のプロである
夜凪レラ、学園側の協力者として
幸徳井佳乃と
鳴子一颯の三名を案内役とし、ついに調査が始まる。
目下の調査対象として、かねてから不良グループのたまり場として使用されていた《旧校舎》と、噂が流れるのと同時期に不審な騒ぎのあった《部室棟》の二箇所を対象とし、上記三名に
暁星 蛍、
三雲 明音、
オラークル・スティンガー、
マルバス=アムリタの四人を加えた計七名が班を二つに分けて探索に挑むのだった。
――――その結果。
《部室棟》では、封鎖された二階でGIFTと接触した不良のものらしき生活跡が発見されたが、能力者達へ数多くのトラップや人形型の兵器が襲い掛かる。
《旧校舎》においても
マリオン・リヴァーズと名乗るGIFT構成員が案内役の鳴子一颯に成り代わり、彼の手下の不良数名と共に能力者達を騙し討ちした。
幸いどちらの危機も、集まった能力者達の機転と力によって退けられたものの…………この学園に浸透していた闇は、予想よりもずっと巨大であるようだ。
また、どちらにおいても〝最近何かを引き摺ったような跡〟が多数発見されており、極秘調査の直前に証拠隠滅が図られたものと思われる。
つまりGIFTは、
この極秘調査を事前に知りえていたということだ。
調査の参加者か、学園長か、調査を主催した水の国自警団か。そのいずれかに、〝内通者〟の存在が
疑われていたが――――?
なお後日、マリオンについては一月ほど前に
転校生として学園に潜り込んでいた事が判明し、表向き書類不備という形で即座に除籍されたものの、マリオンによって組織に引き入れられた手下の不良達は家族ごと謎の失踪を遂げてしまう。学園運営側、そして生徒達が受けたショックは、決して小さくはない。
GIFTが本当に学園を狙っているのかを確かめるための極秘調査は、こうして最悪の形で達成されることとなった…………。
◎砂漠の祭宴 ~砂の国・サンドワーム討伐依頼【クエスト】~
砂の国南部に広がる
『イウサール大砂漠』にて、凶暴なサンドワームの存在が確認された。
彼らは昔から砂漠渡りの障害となってきた害獣だが、数十年前に『音撃鈴』というサンドワーム避けの装置が開発されて以降、その被害も激減していている。
だが、彼らが冬眠に入って耳を厚い甲殻で覆ってしまうこの冬の時期だけは別。何らかの理由で冬眠から覚めてしまった個体には、この装置が通じないのだ。
こういった〝はぐれサンドワーム〟は毎年のように確認され、その度砂の国自警団の精鋭によって討伐されるのが、
この地域における恒例行事となっている。
今年もまたその時がやってきたという訳だ。近隣の街『マイヤ』は、祭りの雰囲気に賑わいを見せていたが…………。
今回確認されたサンドワームは、なんと全長二十メートル以上、実に七階建てのビルにも相当する、自然の猛威を体現したような巨体の化け物であった。
自警団側は周辺住民への被害も想定し、討伐隊の戦力増強を決意。依頼という形で我こそはという強者を集い、万全を期してこの怪物を迎え撃つ――――。
余談だが、あれだけ巨大なサンドワームは過去に一切前例がない。その上通常個体では考えられない知能を持っていたり、砂のブレスを吐くという新しい攻撃を会得していたりと、ただの突然変異と断ずるには不自然すぎる変質を遂げており、後日死骸が解剖された際も生物学的に不可解な点が多く発見された。
また戦闘中、まるで彼を助けるように二体目のサンドワーム(幸いこちらは通常個体で、無事討伐された)が出現するなど、危険なアクシデントも発生。
この事態を重く見た砂の国自警団は、各国の研究機関に調査を依頼。現在、原因を目下調査中である。
◎始まりの挽歌 ~砂の国・先遣隊救助任務【調査】~
前回の巨大サンドワームについて、突然変異の原因として〝とある場所〟が発見された。
場所はイウサール大砂漠東部、吹き荒む砂嵐のせいで長年誰も近づけなかった未開の場所の地下。あのサンドワームが、長年ねぐらとしていたらしき場所。
砂の国自警団は、その場所を暫定的に〝
ラズワルド地下遺跡〟と名付けた。
遺跡付近からは謎の〝波長〟が鼓動のように断続的に感知されており、あのサンドワームも恐らくそれを長年受け続けたことで変質したと考えられる。
その遺跡を詳細を調査すべく、早速先遣隊が派遣されたが――――探索の途中で突如あの〝波長〟が強まり、彼らとの連絡が完全に断絶してしまった。
これを受け、砂の国自警団は前回と同じく『ヘイダル』から数名を起用すると共に、民間やSCARLET等から有志を募り、特別部隊を編成する。
目的は先遣隊の捜索及び救助、そして可能であれば遺跡の詳細調査。未開の砂漠に眠る過去の遺産は、果たして彼らに何を見せたのか――――。
途中でトラップの洗礼を受けつつも、先遣隊の足跡を追って億へと進んだ彼らは、突き当たった大きな広間にて先遣隊の半数に当たる五人を保護する。
遺跡の調査も進めつつ、更に残り五人を探そうとする面々だが――――その時、突如として
〝歌〟が響き渡った。
同時、遺跡の守護者らしき人型の兵器に襲撃され、床ごと真下の階層に叩き落された七人は、巨大なガラス管の中で歌い続ける謎の〝少女〟を目撃する。
恐怖や悲しみ、孤独といった負の感情を心に直接刻み付ける、強烈な精神干渉の力を持つ〝挽歌〟が響き渡る中、強力な雷を操る兵器に苦戦する一行。
――――しかし最後は、各々が見事沸き上がる負の感情を押さえ込み、兵器に引導を渡して少女の歌を止めることに成功した。
その後、この少女の身柄はその他の発掘品と共に砂の国自警団によって回収される。今後の研究が進めば何か新しい事実も掴めるかもしれない。
結局、残りの先遣隊は既に兵器の手によって皆殺しにされた後だったが……それでもこの未知の遺跡から五名の生存者を救出したことは、立派な功績だ。
……例え調査参加者の半数が、実は偽名を使って潜り込んでいた〝悪〟であったことを差し引いても。
――――この事件の数日後、砂の国自警団小隊長にして『ヘイダル』のリーダーであるアサド・アル=アーデルが、
GIFTへの内通容疑により、水の国国内へ入国したところを現地のアトラヴェル警察当局に逮捕されるというニュースが報道された。
内通の詳細は一切報道されていない上、記者会見を行ったアトラヴェル警察本部長、
エドガー・ハーレイも機密だとして多くを語らなかったが……。
彼の容疑は
昨年十一月のレイリスフィード学園極秘調査において、GIFTと内通して情報を流すことで逃亡の時間を稼いだ上、自分の部下である
夜凪レラを調査隊へ強引に潜り込ませることによって調査隊の壊滅を補助すると共に、調査の報奨金を不当に取得したということであるようだ。
これについては
アサド以外の『ヘイダル』の一部メンバーについても関与が疑われるため、水の国警察と水の国自警団が共同で全域に検問を張り、目下行方を捜索中である。
……水の国自警団にのみ伝わっていた極秘調査の内容が、なぜ警察に漏れているのか? アサドが本当にGIFTと通じていた証拠はあるのか?
不明な点も多い今回の件について、砂の国側からは抗議が多数寄せられているが、アトラヴェル警察側は詳細確認中の一点張り。両国の関係には軋轢が生じることとなった。
◇神なるもの ~砂の国・興隆都市サフラン襲撃【大規模戦闘】~
砂の国の交易都市、サフラン。国内有数の巨大さを誇るその街は連日各国の商人で賑わい、満ち溢れる活気は決して途切れることは無い。
――――筈、だった。その日の昼、街の北部地区にある『クァラマ城塞』へ〝一条の光〟が落ちる。そしてその後すぐに、城塞との連絡が完全に途絶。
これを受け、砂の国自警団の一隊が様子を確認しに行くが……数十分後に彼らの通信機を経由して発せられたのは、謎の人物からの唐突な殺戮宣言だった。
自らを
〝神〟と名乗るその男は、大仰な自称に相応しい圧倒的な力とカノッサ機関の軍勢を引っ下げ、一切の容赦も勧告もなく街を襲撃。
サフラン北部の『クァラマ城塞』に陣取り、渦巻く闘争の全ての指揮を取る
〝戦神〟の名は――――
ガルマ=ハド=ラジャルードといった。
もはや形振り構っていられず、自警団側は内外問わずあらゆるネットワークを頼って強者を片っ端から召集し、必死に戦力を集めてガルマに対抗する。
あまねく弱者を根絶しようとする戦いの神と、その無法な裁きを止めようとする強者達。両者はこの日、最初の邂逅を果たすのだった。
クァラマ城塞・王座の間にて神との戦いに挑むのは、
喋り屋 、
ホプス・ブライト、
ギア・ボックス、
シーナ・ゲルギル、
ヘケメト、アウ・ダァコルの六名。
多対一の状況にも一歩も引かない圧倒的な力で全員を追い詰め、彼らが本物の強者であるかを手ずから〝選定〟しようとするガルマだったが……。
自身の想定する〝強者〟の更に上を行く彼らの力と想いを受け、少しづつ押され始める。
いかに戦を司る神といえど、絶対の存在ではないらしい――――、そして最後には、神の名の下に死者すら身勝手に愚弄するガルマに怒りを燃やした六人の力がついに彼の想像を超え、見事神は打ち破られたのだった。
ガルマは彼らが本当の強者足りえる者だと認め、これからも選定は続くこと、そして
〝鍵〟なるものを探しているらしい事を仄めかし、その場を去る。
それと同時にカノッサ兵達も撤退。サフランは城塞のある北部地域を中心として壊滅的な被害を受けたものの……ひとまず、平穏を取り戻したのだった。
◆天下の証 ~水の国・GIFT拠点襲撃任務【事件】~
砂の国自警団のエースであった
アサド・アル=アーデルが
GIFTとの内通容疑で逮捕されてから、約二ヶ月。
水の国警察所属の
SCARLET隊員にしてアサドの直接の部下であった
アルフレド・フェリシアーノという刑事から、水の国自警団へと〝内部告発〟が齎された。
彼いわく今回の逮捕劇は全て不当なものであり、首謀者は
『アトラヴェル警察』の本部長、
エドガー・ハーレイという男であるとのこと。
エドガーはアサドに濡れ衣を着せて逮捕した裏で、実は自分自身が
GIFTと内通しており、同組織から不当な利益を受け取っている可能性があるという。
アルフレドはその証拠として、エドガーがこの日の夜、水の国の大都市アトラヴェルの一角にある『
旧市街』にてGIFTの会合に参加するとの情報を提示した。
――――それまでは水の国警察側と共にアサドの共謀者の追跡に協力していた自警団側だったが、この情報の高い信憑性から方針を転換。
SCARLETのネットワーク等を使って各国から選りすぐりの強者が集められ、水の国自警団は会合の会場へGIFT構成員の一斉摘発に乗り出す。
『アトラヴェル第三産業ビル』内部にて自警団勢力とGIFT勢力との激しい戦いが繰り広げられる中、歪んだ〝正義〟の真実が明かされる――――。
会合の会場となっていた六階の会議室へ踏み込み、半数程度のGIFT側重鎮を捕縛した自警団だったが、既に首謀者であるエドガー・ハーレイの姿は無かった。
しかし会議室には巨大な血溜まりが残されており、床にはぽつぽつと血痕が続いていた。不審に思ったアルフレドはそれを追って七階の貴賓室へ向かう。
その道中、
シーナ・ゲルギル、
ブラック・レッドライン、
セリーナ・ザ・"キッド"の三名も加入。計四名のメンバーがエドガーの確保に乗り出すのだった。
だが、貴賓室に突入した四人が見たのは――――私欲の為に汚職に手を染めた外道の姿ではなく、激しい拷問で全身を血塗れにしたエドガーの姿であった。
真犯人は
マリオン・リヴァーズというGIFTメンバー。彼は不意打ちでアルフレドに重傷を負わせ、『クグツ』なる人形兵器を操って一同を襲撃する。
そして、マリオンの口から明かされる逮捕事件の真相(詳しくは
こちら)も参照のこと)。
GIFT側の狙いはアサドの逮捕ではなく、彼がその数日前に
ラズワルド地下遺跡で手に入れていた
『重要な発掘品』にあったのだ。これをアサドから強奪するべく、マリオンはエドガーの
娘を予めGIFTへ引き入れておくことによって人質代わりとし、彼を脅迫。無理矢理アサドを逮捕させて発掘品を押収させた。
……しかし、そこでエドガーが最後の抵抗を見せる。彼はその『重要な発掘品』――――
GIFT側が〝鍵〟と呼称するソレを秘密裏に隠匿してしまったのだ。
エドガーの負っていた傷もどうやら、その在り処を吐かせようとマリオンが拷問を行った結果であったらしい。
同じ人間とは思えないほど下衆な振る舞いで全員を追い詰めるマリオンだったが、三人の力と怒りを受けて『クグツ』も破壊され、少しづつ劣勢に。
奥の手として卑劣にもエドガーを人質に使うことで三人を甚振ろうとするも、これも三人の策にアルフレドとエドガーの決死の連携が加わって失敗。
マリオンは見事に打ち倒されるが――――最後の最後でエドガーの娘である
メリッサ・ハーレイが加勢に入り、マリオンとエドガーを回収していってしまう。
「〝鍵〟を最初に手にした者がこの世の全てを手に入れる」という意味深な言葉を残して、GIFTの軍勢はそのまま夜の闇へと消えた……。
この事件でエドガーの不正が証明されたことにより、アサド以下『ヘイダル』の面々の無罪も証明され、拘束者は全員開放、指名手配なども解除された。
砂の国自警団側へ水の国警察側が正式に謝罪したことで両国間の軋轢もひとまず解消され、水の国警察の信用失墜を除けばほぼ全てが落ち着いた形に。
……だがこの
〝鍵〟というのが、ラズワルド地下遺跡で回収された
奇妙な歌を操る少女であることは明白。
マリオンが残した言葉の意図は不明だが、GIFTはまず間違いなく彼女を不正な目的で使うために捜索を続けているはず。
またGIFTのみならず
カノッサ機関の
ガルマ=ハド=ラジャルードまでもが〝鍵〟を探しているとの発言を残しており(詳しくは
こちら)、どちらの組織の手に渡っても悪い結果になってしまうだろう。
これを受け、逮捕されていたアサドから各正義組織へと、彼女をGIFTやカノッサより先に保護するよう依頼も下され、図らずも
正義側・GIFT側・カノッサ側の三勢力が同時に少女の行方を追う展開となった。今後は大組織同士が激突する事も考えられ、より一層の混乱が予想される。
なお、
『鍵とは生きた少女である』という情報はこの時点では正義側のみが掴んでいる情報だったが……遺跡での救援任務の際、GIFTとカノッサの人員が偽名で潜り込んでいたことを考えれば、それが両組織へ伝わるのも恐らく時間の問題だろう。
◇暗雲の下に ~櫻の国・鴎森襲撃【事件】~
時刻は明朝――――
櫻の国西部の『鴎森(かもめのもり)』という土地へ、突如としてカノッサ機関の軍勢の襲撃が確認された。
『鴎森』は首都『天ノ原』とも程近い上、各所への船便が整備された海の要所であり、その重要性から自警団や軍の大規模拠点が複数設置された地である。
いくらカノッサといえど、容易に陥とせる場所ではないはずであったが………。
襲撃から一時間ほど経って、上空より突如強烈な〝砲撃〟が降り注いだことで事態は急変。地上の軍勢は制空権を得るための陽動であったのだ。
紅色の光線が防衛拠点を次々に粉砕していく中、光線の出所と思われる地点へ先んじて偵察用の式神が放たれるが、それも全て鎧袖一触に粉砕されてしまう。
だが、撃墜される直前に式神が捉えた映像には――――黒と紅に彩られた巨大な〝鳥〟と、その背に堂々と陣取る紅髪の男の姿が映っていた。
――――
ガルマ=ハド=ラジャルード。〝神〟を名乗るその男が、今度はこの櫻の国をターゲットに〝選定〟を仕掛けてきたのだ。
事態の全容を把握した『鴎森』は各所より精鋭を結集。諸外国よりの助力も受けて強襲用の大型飛行艇を複数導入し、彼らへ直接攻撃を試みるのだった。
ガルマと、彼の操る〝鳥〟――――≪空往ク旅人≫という名の巨大生物がそこで一行を待っていた。
飛行艇を拙い足場とした苛烈な空中戦が繰り広げられるも、四人の実力とミドナのサポートもあって徐々にアドワガは追い詰められていく。
……しかし。ついに怪物を倒したかと思いきや、ガルマは体内に途轍もない高エネルギーを含有したアドワガの死骸を地上へ墜落させようとする。
幸い、四人の総攻撃によってアドワガの死骸は中空で完全に粉砕・爆発四散し、街は守られることになったものの……。
飛行艇側も四人も、その時には既に力をほぼ使い果たした状態であり。残るガルマに対応する力は残っておらず、万事休すの状態に陥ってしまう。
――――が。攻撃の直前、ガルマはミドナの姿を見て何故か完全に硬直。その隙を突いた四人の総攻撃によって飛行艇の甲板から追い落とされる。
ガルマの最後の抵抗により機体側面に大穴を明けられ、やむを得ず鴎森近海へ緊急着水するべく飛行艇が高度を下げていく中。
執念で甲板に戻ってきたガルマはミドナを「エイダ=ハド=ラジャルード」という名で呼び、彼女を自分の娘だと言って連れて行ってしまうのだった……。
結果として鴎森の平和は守られ、人智を越えた巨大鳥と戦神の双方を打ち破った四人は町の人々に英雄と称えられることになるも。代償としてSCARLETの隊員一名が拉致されるという、後味の悪い結果が各所に伝えられることとなった。
◆澱む毒渦 ~水の国・『R.P.ラボトラリ第四支部』襲撃事件【事件】~
かつて二度に渡り、卑劣な策略を用いて〝正義〟の面々を翻弄した
GIFTの
マリオン・リヴァーズ。
その男の名前が、今度は一枚の『脅迫状』の上に載せられて、水の国西部の『R.P.ラボトラリ・第四支部』という研究施設へと届けられたらしい。
GIFTの名の下に制裁を行い、お前達が隠している〝真実〟を白日の下に晒す――――そこにはそんな文言も添えられていたという。
当然、襲撃があると分かっていて黙って見ている訳もない。水の国自警団・警察は即座に各所から戦力を結集、GIFTの襲撃に備える構えを見せるのだった。
……ただ、一つ懸念材料があるとすれば。その研究施設が〝無能力者派〟で知られる
レイリスフィード大学系列のものであることか。
ラボの所長は自警団と警察へ依頼を出すだけに留まらず、私費で傭兵まで雇ってGIFTを殲滅しようとしているらしい。
なにやら過剰に物々しい雰囲気も醸し出し始めた研究所だが………何にしても、GIFTは待ってなどくれない。
集結した猛者達の前にマリオンが示さんとする〝真実〟とは、一体何であるのか――――?
炎上するラボトラリに潜入し、研究員たちの救出を請け負った
シーナ・ゲルギル、
谷山基樹、
渚詩音の三名。
彼らは研究所の地下に隠されていた工場らしき場所へ誘導され、そこでマリオンと
メリッサ・ハーレイとの戦闘に移る。
……メリッサの操る六体の『クグツ』と、その人並み外れた演算能力は脅威であったが、彼女は所詮マリオンに利用されているだけの一般人でしかなく。
三人の力と意思がそれを上回り、『クグツ』を壊滅させて追い詰めることには成功したが――――メリッサが時間を稼いでいる間に、マリオンも動いていた。
研究員達を拷問して情報を吐かせた後、その死体に爆薬を埋め込んで三人の目の前で爆破するなど、外道に過ぎる行為で三人を煽るマリオン。
それへの激しい怒りもあり、三人は見事マリオンとメリッサを撃退することに成功するが……。
マリオンは、このラボの研究員達、ひいては母体であるレイリス大が、
『ヒュドラ』という
能力者を害する為の違法薬物を作っていたと主張。
今回はラボ側の証拠隠滅が早く、決定的な証拠は出なかったが……無能力者派を掲げる大学への攻撃の手を、GIFTの一員であるあの男がやめるわけがない。
更なる騒乱の予感を残し、マリオンはメリッサを連れて逃げ去っていくのだった――――。
◇神話 ~風の国・『TRAVIS』関連施設襲撃【事件】~
風の国の南部には、
『TRAVIS』という大企業が誇る巨大な工業地帯が存在する。
そこは近隣地区の経済的発展の象徴であり、同時に雇用の中心地として、連日多くの人々が汗を流す場所であった。
――――その健全な賑わいが、あの傲慢なる戦神・
ガルマ=ハド=ラジャルードの目に留まってしまったのか。三度目の〝選定〟はこの地へと舞い降りる。
同日夜、カノッサ機関の軍勢が近隣地区を襲撃。自警団を初めとする自治組織と抗争を繰り広げ始めた――――。
そしてその隙を付き、戦神を初めとする一団が工業地帯の中心にある『トラヴィス・アロウ・コントロールセンター』に侵入した模様。
この場所は工業地帯全域の管理業務を遂行する中枢的機能を有しており、もしここが破壊されれば、周辺地区の経済活動に大きな影響が出るのは間違いない。
また、センター内には一般社員を初めとし、社会科見学に来ていた
レイリスフィード学園の学生の姿なども確認されているようだ。
この事態に際し、自治組織側および『TRAVIS』側はすぐさま近場にいる能力者たちに救援を要請。非戦闘員の救出とセンターの護衛を依頼する……。
広大なコントロールセンター内でも特に中枢的機能を担っているサーバールームが、北部のデータセンター内にあった。
ガルマはそれを破壊すべく……自らの娘であるエイダ=ハド=ラジャルードこと
ミドナを引き連れて内部へ侵入。自衛の為に戦う社員達を容赦なく殺害する。
……それでも被害が比較的小さく済んだのは、先にガルマと戦って彼らを逃がさんとしていたレイリスフィード学園生、
幸徳井佳乃の尽力のお陰だった。
非戦闘員を守りながら必死に戦うも、最終的には敗北して絶体絶命の状態に立たされる佳乃。だがギリギリの所で戦神に牙を剥く新たな勢力が介入する。
SCARLETから
ブラック・レッドラインと
アーシャ=ランスキャット。それにゼン=カイマ大司教となった
フレデリック・シャリエール、。また最後に、その場に偶然迷い込んだ学園生・
神谷衣織を守る為に参入した
神谷皐月。四対二の不利な状況で、ガルマは何故か余裕ありげに嗤う――――。
戦神という存在は、人間から畏れられれば畏れられるほど強くなるらしい。二度の選定を経たガルマは、今までとは比べ物にならない力を有していた。
無敵ともいえる力を取り戻したガルマ。こちらの攻撃も殆ど通らず、あちらの攻撃は一発一発が必殺。力の差は絶望的、万事休す、と思われたその時……。
佳乃に力を与えている張本人であり、ガルマと同じ〝神〟である『天限』という存在が具現。全員を治癒の力で守護し、同時にガルマの力を奪い去る。
それは――ガルマの放つ圧倒的な威圧にも、絶望的な力にも負けず、決して諦めずに耐えてきた四人がその意思で引き寄せた、最大のチャンスであった。
四名の渾身の一撃を受けて、ガルマはついに死ぬ寸前まで追い詰められる。ミドナが身を挺して守ったせいで死には至らず、ギリギリの所で逃げられてしまったものの、精神的にも肉体的にも今までにない大打撃を与えることに成功したのだった。
『天限』という二体目の神は、同じ神でも戦神とは思想を異にする人間の味方だった。彼女は戦神の起こす騒乱に限り、今後も人間に手を貸すと約束する。
そして――彼女は、ガルマ=ハド=ラジャルードは人間であり、胸部にある〝戦神の宝玉〟に宿った神の魂に操られた被害者であると告げる。
胸元の宝玉さえ破壊すれば全てが終わる。けれど宝玉が剥がれれば、人間としてのガルマは――ミドナの父は、死ぬ、とも。
ミドナ自身も戦神に〝闘争本能〟を強制的に刺激する赤い呪刻を刻まれて正常な思考を奪われてはいたが……。
それでも、彼女がSCARLETを裏切ってまで戦神に付くのは、たった一人の血の繋がった父親である、ガルマの命を助けるためだったのかもしれない。
また事件後、被害を受けた『TRAVIS』の次期社長である
リチャード・トラヴィスが会見を開いた。
今回の事件を重く受け止め、『TRAVIS』は
自警団、軍、警察、そしてSCARLETを初めとする各治安維持組織に金銭的支援を行うと表明。
その他の私設治安維持組織に関しても、申請して審査をクリアさえすれば同等の支援を行うとのこと。世に轟く大企業が正義の面々の補助に回ったのだ。
戦神の弱点が判明し、天限という大きな味方が付き、更に『TRAVIS』の助力で少なからず戦力も増強される。
ガルマという悪を倒すため、多くの希望が動き出した――――ここから先の戦いはきっと、今までのようにやられっ放しで終わることは無いはずだ。
……ただ。ガルマが去り際に最後に漏らした「あの男にも連絡を取らねば」という台詞が、気にはなったが……。
◆策謀のただ中へ ~水の国・GIFT拠点襲撃【探索】~
前回のGIFTの襲撃にて、『ヒュドラ』なる違法薬物の製造・販売に関わっていた疑惑が浮上したレイリスフィード大学。
しかし結局、決定的な物的証拠は未だ出ないままであり、自警団や警察も本格的な捜査に踏み切れないまま有耶無耶となっていたが……。
某日、前回襲撃を受けた『R.P.ラボトラリ第四支部』と同系列の『R.P.ラボトラリ第一支部』に異変が発生。
またもラボ内にGIFTの内通者が潜り込んでいたらしく、第一支部に保管されていた機密情報が奪い去られてしまった。
大学側によれば、盗まれたのは能力などには全く関係のない医療関係の最新研究成果であり、悪用されると危険なシロモノであるとのこと。
しかし幸い、データの入った端末には幾重にも厳重なロックが掛けられており、搭載した発信器のお陰で端末を持ち逃げした内通者の居場所も判明した。
内通者が逃げ込んだ先は、水の国郊外にある小さな研究施設――恐らくそこはGIFTの拠点の一つであるのだろう。
水の国自警団・警察、及びその支援企業である『TRAVIS』の依頼により集められた能力者たちが、奪われた端末の奪取、ならびに拠点内の情報収集に当たる。
……大学側の言い分は本当か?実は『ヒュドラ』事件に関する重大な証拠が盗まれたのでは?そんな疑念も孕んだままに、危険な潜入任務が開始される。
今回潜入任務に当たったのは、
ワザワイ・エスパス、それに
フレッドとムク、シュペアー・ミュールという三名と一匹であった。
探索はそれぞれ三方向に分かれて行われ、それぞれのルートで多岐に渡る情報が発掘された。以下に各員の掴んだ情報をまとめておく。
フレッドとムクの二人は、作戦会議室とマリオン・リヴァーズの私室の二箇所を探索。
作戦会議室では、例の『鍵』の少女がまだ誰にも捕まっていないという事実と、
彼女を影で手助けしている存在がいる事が判明。
また、マリオンの目的は『
イクストゥム』という兵器を手に入れることであり、その為に必要な『燃料』を"K"なる物で補填予定であるらしい。
その後マリオンの私室では、狂人が暴れ回ったような部屋中の傷跡や精神安定剤、医療用のカプセル、不気味な絵が描かれた日記などが発見される。
それらから推測するに、元から狂気的な男ではあったけれど、どうやら本当に
マリオン・リヴァーズは精神に異常を来しているらしい……。
そして最後に、隠された壁の奥で、二人はマリオン・リヴァーズの来歴が記されたファイルを発見する。
彼が公的に活動を再開したのはおよそ五年前で、そこから三年間の記録は一切の個人情報が抹消されており、二年前から先の記録にはそもそも機密扱いとして個人情報が記されていなかった。恐らく境目である
二年前に"何か"があったのだと思われるが――詳しいことはまだ不明である。
シュペアー・ミュールの探索の結果だが……実は彼は、
『スクラップズ』のスカーベッジ・トラーシュが変装していた姿であった。
途中でジャミングが発生しオペレーターとの連絡が途絶えるなどの幸運にも見舞われ、自由となったスカーベッジは非常に多くの情報を掴み、帰還。
その後は彼の判断と『スクラップズ』首領である
カニバディールの意向により、掴んだ情報のいくつかは正義側に開示されることとなった。
まず最初に調査した実験室では、『GIFT Lab』というGIFT内の研究機関のような組織が押収した『ヒュドラ』の成分分析を行っていたことが判明。
その目的は、
『INFINITY』というGIFT製の能力発現薬の改良であったようだが……『ヒュドラ』の売人であったレイリスフィード大学の関係者、そして志願したGIFT戦闘兵と様々な動物を被検体として用意し、『ヒュドラ』と『INFINITY』の同時投与実験なども行っていたものの、スカーベッジは同時投与された実験動物が一瞬だけ能力を発現した後内側から炸裂して死亡したのを目撃した。どうやら
この試みは失敗に終わったようである。
更に実験室奥のホール状の開発施設において、マリオンの次の狙いがレイリスフィード大学を直接襲撃することであることも判明した。
その他、カニバディール一味は今回の任務でオペレーターを務めた仇敵・
アルフレド・フェリシアーノに対して
別の重要機密を手渡したようだが、この内容は今のところ正義側でも
一部の人間にしか開示されてはいない……。
ワザワイ・エスパスは工場区画と研究区画の二箇所を探索。研究区画で
メリッサ・ハーレイと交戦し、
彼女から見事目標の端末を奪取することに成功した。
この端末の内容は、やはり大学側の言い分は嘘であり、『ヒュドラ』の製造・販売の記録をまとめたものだったのだが……。
実は今回、自警団側は最初から端末を素直に大学に渡す気はなく、このデータを元にGIFTより早く大学を検挙し、被害を防ぐ目算であった。
本来の依頼とは外れる形となったが、ワザワイの好意によって端末は無事SCARLET隊員に預けられる。この目論見が果たされるのも時間の問題だろう。
……しかしソレとは別に、最後に彼は
とてつもなく大きな機密を発見。その詳細は後日、"本人"の口から語られることとなった。
この潜入任務から僅か三十分ほど後、『TRAVIS』次期社長の
リチャード・トラヴィスが緊急会見を行った。
――そこで彼は、現社長であったシャルル・トラヴィスが病死した事実と共に、
自らが元GIFT構成員であることを暴露するのだった。
本人の言によれば、トラヴィス家は完全な実力主義の家系であり、二年前までは自分ではなく長兄と次兄が次期社長の座を争っていたのだという。
その裏で、シャルルは落ちこぼれの"三男"であるリチャードをとことんまで冷遇。メディアへの露出を一切させないどころか完全に居ないものとして迫害し、最終的には邪魔になったために
実子をGIFTに売り払って金に替えるという、父親として最低最悪の行為に手を染めていた、というのだ……。
しかし二年前、飛行機事故によって二人の兄が他界。一気に跡継ぎを失ってしまい焦ったシャルルは、今更になってGIFTからリチャードを買い戻す。
その後すべての事実を隠蔽し、改めてリチャードを"次期社長"として鍛え上げ、推挙した……というのが、リチャードの口から語られた一連の流れであった。
リチャードは、敢えてトラヴィス家の闇を晒したのは自身の覚悟の表れだといい、今後は自分が新しくクリーンな『TRAVIS』を作り上げていくと宣誓。
かつてGIFTに居たからこそ正義の尊さがわかると述べ、今後はより一層各治安維持組織への支援に努めていく、と宣言するのであった――。
……この会見は全国放送で行われたため、これは正義・悪の括りに関係なく全ての人間が得られる情報である。
『TRAVIS』という企業について、そして新たに生まれた若き社長について、どう考えてどう動いていくのかは、これを見た各人の自由である。
◇悪夢の水底 ~砂の国・『ラズワルド地下遺跡』襲撃【事件】~
某日昼。砂の国の『
イウサール大砂漠』を通りかかったキャラバンが、その東部地域で"異変"を目撃する。
普段ならば絶えず暴風が吹き荒び、砂塵の壁が目視すら許さない極限地帯。そこへ突如として天から光が射し込み、暴風の奥へと消えていったというのだ。
当初は自警団内でもまともに取り合われなかったが……ソレに真っ先に気づいたのが、『ヘイダル』のリーダーこと
アサド・アル=アーデルだったのは必然か。
その天の光が消えていった方向というのが、かつて彼とその仲間により探索された、"ある場所"の方角と一致していたのである。
すなわち、『
ラズワルド地下遺跡』。かつて『鍵』の少女が発見され、そのせいでアサドが逮捕されるきっかけにもなった因縁の地だ。
そして"天の光"とは――遺跡周辺に渦巻いている暴風地帯を力業で強引に突破できるほどの実力者で、かつ『鍵』と縁がある者。
その日、砂の国自警団並びに『ヘイダル』は、"
ガルマ=ハド=ラジャルード"が再び動き出したのだと確信した。
砂の国自警団がそれを察知したのと同時、カノッサ機関も動き出す。戦神の加護を受け暴風地帯を突破した一団が地下遺跡へなだれ込んだのも確認される。
この事態に際し、砂の国自警団は方々に依頼を発布し、急ぎ各地から強者を召集する――。
アサド率いる自警団・SCARLETの混成部隊は、以前と同じくサンドワームが作った地下通路を使って遺跡内に潜入。機関兵に占拠された遺跡内を突き進む。
最終的に遺跡最深部のガルマの下へ辿り着いたのは、
ワザワイ・エスパス、
ジェームズ・モンド、
J.A.、
ジャンクちゃん、
天野ソラの五名のみであった……。
諸悪の根源たるガルマを打倒せんとする者、彼が連れていた
ミドナを助けようとする者、混乱に乗じて遺跡の財宝を狙う者……様々な戦士たちが集まったが、
戦神である筈のガルマは何故か彼らを完全に無視し、室内にあった
何かの封印を解くべく遺跡の神秘にひとりで挑み始める。
この作業を妨害されない為、ガルマは"海の試練"と称し、≪凪ギ海ノ語部≫という海亀型の巨大生物を召喚。
単に巨体というのみならず、体内に途轍もない高エネルギーを含有し、更に噴出する"聖塩"を水と混ぜ合わせて自在に操作する非常に厄介な相手であった。
ドーム状の室内は半分ほどが奇妙な光る水で満たされた"地底湖"になっており、そこを舞台とした苛烈な水上戦・水中戦が繰り広げられたが――。
――結果として。勝ったのはやはり五人の戦士達の力であった。
ワクトルは最後まで主を守り続けたものの、最後は捨て身の一撃を破られ、五人の総攻撃によって崩れ去る。その死骸は湖中へと消えた……。
だが――ワクトルが倒されると同時、ガルマが行っていた作業も完遂されてしまった。
戦神の手により封印から解き放たれた"ソレ"は、地底湖という"自らの体"に溶け込んだワクトルの高エネルギーを吸い上げ始める。
そして"ソレ"は、ガルマを『鍵』、ワクトルのエネルギーを『燃料』として起動。――今まで戦っていた地底湖そのものが、戦神が欲した兵器だったのだ。
そうして数千年の眠りより満を持して呼び覚まされた、挽歌の巨人・イクストゥム――。
上半身だけで三十メートル近い体高の、ワクトルすら霞んで見える水の化身。それは軽く腕を振るっただけで、部屋全体を崩壊させ始めた。
戦力差を見極めそれぞれ撤退していく五人を尻目に――しかし。次の瞬間には何故か、イクストゥムは呆気なく自壊していた……。
結局、部屋の崩壊もあってそれ以上の戦闘は行えず、その日の戦いはそこで中断されることとなった。
ガルマは去り際、遺跡内に居た全員へ宣告。此処に来たのはイクストゥム『本体』、つまりあの地底湖の水を回収するのが本来の目的であったのだと。
先ほどのイクストゥムの起動は試運転に過ぎず、『鍵』も『燃料』も本来のものではないために不完全な形で終わってしまったが、もし本物の『鍵』と『燃料』が揃いさえすれば、決してあの程度では終わらないと。現時点であれだけの力があってなお、イクストゥムは不完全であったと男は言うのだ。
もし本来の形で起動したイクストゥムが、ガルマやマリオンといった"悪"の手に渡ればどうなるか――それは想像に難くないだろう。
――そして、去り際。ガルマは遺跡に居た全員の前で、「『本体』は手に入れた。『燃料』の用意は出来ているか」と叫んだ。
その場に決している筈のない、マリオン・リヴァーズに向けて。これまでは、全くの無関係だと思われていた両者だが――?
また、最後にガルマに操られていたミドナが目を覚まし、戦神の次の狙いは水の国だと警告する。次なる"選定"で、この謎も明らかになるのか……。
S`tErc PgPei s/qh - L`kOcRum o/qh TsCoa.
最終更新:2015年07月05日 17:08