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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第02話

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

sideアシュレー・ウィンチェスター

「いらっしゃいませー」
かつて、全世界規模で起こる、犯罪、災害に対応するべく、各地から強者を集めて作られたARMSと呼ばれる特殊部隊があった。
「3点でお会計、8ギャラになります」
その部隊は時に世界中で暴れるテロリストを、時に世界を滅ぼすべく降り立ったドラゴンを、時に世界を飲み込もうとする異世界を相手にし、
そのすべてを撃破して世界に平和をもたらした。
部隊が解散されて2年、隊長だった男は今…
「はい10ギャラのお預かりで、2ギャラのお返しとなります。ありがとうございましたー」
パン屋をやっている。
「お疲れ様。アシュレー。今日はもうそろそろ閉めましょう。私も手伝うわ」
奥から彼の妻、マリナが現れて言う。それをアシュレーは優しく制した。
「いや、手伝いはいいよ。マリナにはこれから大変な仕事が待ってるんだから、今から体力つけておかないと」
「もう…まだまだ、3ヶ月は先の話よ。後1ヶ月は普通に働けるわ」
つわりも最初よりはひどくないしと言いながら、彼女はそろそろ目立つようになってきた自分の腹をなぜる。
「けどもう、3人目かあ…」
アシュレーはつぶやく。双子の父親になってから1年。
新米のパパである彼には、さらに1人増えると言われても正直実感が沸かなかった。
それにマリナは口を尖らせて反論する。
「もう…それはアシュレーが2人が生まれてすぐに獣のように…」
「いやそれはそのなんて言うか…」
しどろもどろになるアシュレー。すっかりかかあ天下であった。

「ねえ、アシュレー。今度の子供には、なんて名づけようかしら」
「そうだなあ…」
マリナをカウンターに用意した椅子に座らせて、アシュレーは店じまいの用意を始める。
かつてこの店を切り盛りしていたおばさんは、アシュレーが一人前になると引退し、
今は双子の世話をしたり、身重のマリナの代わりに家事を手伝ったりしてくれている。
「…男の子だったらブラッド、女の子だったらリルカなんてどうかな」
少し考え、アシュレーは何となく思いついた名前を言う。それはかつて共に戦った仲間の名前だった。
「あの2人の名前?うん、確かにいいかも知れないわね」
それにマリナは笑顔で同意する。
「あの2人に似てくれれば、とってもいい子になるわ。だってアシュレーの大切な仲間ですもの」
「そうだね。2人とも、元気にしてるかな…」
なんとも言えない和やかな空気が流れる。それは、平和な日常の象徴。
だがそれは、突然の闖入者によって破られた。
「大変だよ!あんちゃん!モンスターが街で暴れてる!」
そう言って駆け込んできたのは、一人の少年だった。
「なんだって!?本当か、トニー!?」
少年の名はトニー。アシュレーとは長いつきあいになる、少年ARMSの隊長である。
それを聞いてアシュレーはすぐに店の奥に引っ込み、バイアネットのついたARMを持ってくる。
使わなくなって久しいが、手入れはかかしていない。
ARMを肩に担ぎ、アシュレーはマリナに向き直る。
「マリナ、行ってくる。マリナは危ないから店から出ないで」
「分かったわ。気をつけてね、アシュレー」
「トニー案内してくれ」
「分かった、こっちだ!あんちゃん!」
そう言って2人は外へ飛び出した。
「月が、赤い!?」
外に出たアシュレーは一歩外に出てその異変に気づいた。空に、赤い月が輝いている。こんなこと、今まで無かった。
「何言ってるんだあんちゃん!今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ!?」
トニーの言葉に、アシュレーは正気を取り戻す。確かに今はモンスターを倒すのが先だ。
「ああ、そうだな、急ごう!」

街は阿鼻叫喚の様相を呈していた、犬、猫、鴉、ネズミ…街中の生き物が広場に集まり、それらが次々とモンスターへと変貌する。
「これは…トニー。お前も安全なところへ!」
「分かった。気をつけろよ!あんちゃん!」
モンスターたちはその場に残った唯一の人間を見つけ、奇声を上げて襲ってくる。
アシュレーはそれをバイアネットで切り裂きつつ、複数体攻撃用の弾丸でなぎ払った。
だが、倒しても倒してもどこからともなく生き物が集まってきてモンスターと化して襲ってくる。
「クソっ、次から次へと…これじゃまるで…」
アシュレーの脳裏によぎるのは、かつてのARM結成記念パーティーの記憶。
目の前の仲間たちが次々とモンスターと化した嫌な記憶がよみがえる。
「ぐあっ!?」
モンスターの1体がアシュレーの腕にかみつく。
アシュレーはそれをひきはがしてバイアネットでとどめを刺すと、敵の集団へARMを向ける。

カチリッ

アシュレーはあわててARMの残り装填数を確認した。マルチブラスト、ショックスライダー、ブラスターギルティ、すべて残弾0
「クソっ!弾切れか!」
アシュレーは毒づく。こうしている間にも次々とモンスターが発生する。万事休す。

「ハァーハッハッハ!お困りのようだね!勇敢な若者よ!」

突然上から高笑いが聞こえる。アシュレーは反射的にそちらを見る、そこに立っていたのは…

「だが安心したまえ、この、弱い者の味方!裏界の公爵であり魔騎士たる我輩が来たからには、この程度、1ラウンドもかからず殲滅してあげよう!」
それは派手な格好をした、女だった。
鎧を着けているところを見ると、渡り鳥だろうか?だが、武器は持っていないようだった。
「誰だ!?お前は!?」
「さて、せっかくだから私はこの剣の試し切りを選ぶとしよう!」
アシュレーの問いを完全に無視して女は敵のど真ん中に華麗に3回転しつつ飛び降りる。
そして、どこからともなく一振りの大剣を取り出した。
「パチものだったらモーリーへの土産にはならないからね!さあ、その切れ味を見せてもらおうか!『下がる男』の魔剣よ!」
それは、アシュレーには見慣れたものだった。幼いころに読んだ絵本で、2年前の旅路の中で、何度も見てきたそれは…
「必殺!エリゴール花電車歌謡ショー!」
女はその場で回転を始める。それは周りのモンスターと生き物を引きよせ、まるでミキサーのように砕き散らす。女の言ったとおり、一瞬にしてモンスターは全滅した。
「ふっ、まだ名前も分らないような雑魚魔王の手下風情が、我輩に歯向かおうなど、1億と2000年は早いわ!」
「貴様…」
「ん、まだいたのか勇敢な若者よ。礼はいらないよ。我輩は当然のことをしたまでだからね」
「貴様が何故持っている…」
「さあ、行きたまえ。我輩は忙しいのだ。これから、新入りの顔を見に行かねばならん。
ところで君、彼女がどこにいるか知らないか?おそらくこの世界の中心付近にいる可能性が高いと踏んでいるんだが」
「答えろ!なぜ貴様が、アガートラームを持っている!?」
アガートラーム、世界を救った伝説の聖剣にしてだれよりも優しき兄妹であった2人の墓標であるそれを持った女に、アシュレーは叫んだ。

「アガートラーム…だと!?」
アシュレーの言葉に女は初めて反応を返す。
「馬鹿な…ありえぬ…」
「さあ、答えろ!その剣を、何処で手に入れた!?」
「『下がる男』の魔剣にそんな遺産チックなかっちょいい名前がついているなど、ありえるはずがない!」
「人の話を聞けえええええええええええええええっっ!」
アシュレーは既にいっぱいいっぱいだった。怒りから思わず女にARMを向けてしまう。
女はそれを見て、不敵に笑う。
「ほほう。我輩に喧嘩を売ろうと言うのか勇敢な若者よ」
「返答次第ではな。さあ、答えろ。その剣を、一体何処で手に入れた」
「ふっ…知れたこと。この辺りの森に生えていたので引っこ抜いて来たのだ!」
「貴様ッ!?」
女の言葉がアシュレーの逆鱗に触れる。アシュレーは単体用の弾丸を女に向けて発射した。
「甘いわ!」
女は気合いと共にアガートラームを振り下ろした。アガートラームは正確にアシュレーの放った弾丸を2つに割る。
それを見て、アシュレーは冷静さを取り戻した。
目の前の女は、強い。全力で挑んでも勝てるかどうか。
一方の女もアガートラームを構え、戦闘態勢を取った。
2人の間に荒野の決闘のごとき空気が流れる。
「いくぞ!勇敢な若者よ!我輩に喧嘩を売ったこと、後悔するがよい!」
そう言って駆け寄る女のスピードはまさに閃光のごとし!だが…
「何!?我輩より速いだと!?」
アシュレーはそれ以上のスピードで動き間合いを詰め切った。
アクセラレイター、早撃ちと呼ばれる高速の剣の使い手が編み出したと言われる、超神速の行動術である。
(やはりこの女、強い!一気に決めるしかない!)
女の素の反応速度を見て力の差を感じ取ったアシュレーが全力で仕掛ける。
「喰らえ!フルフラット、ライジングノヴァ!」
自身のARM最強の弾丸、それを零距離で全弾発射する。轟音が辺りに響いた。
至近距離での弾丸発射の反動でアシュレーは吹き飛ばされた。とっさに転がりつつ、起きあがる。
「やったか!?」
もうもうと立ち込める白煙。並みのモンスターなら跡形もなく吹き飛んでいるところだ。だが。
「なかなか、やる。だが我輩を倒すには足りなかったな」
声はアシュレーの後ろから聞こえた。振り向こうとしたアシュレーの背中が袈裟斬りに斬られる。
激しい痛みと共にアシュレーは倒れた。
「クソッ…」
震える頭を上げ、アシュレーは後ろを見る。そこにはボロボロになった衣装を着た、女が立っていた。
「この魔王、エリィ=コルドンに刃向かった罪は万死に値する」
女は芝居がかった口調で言う。
「だが、力の差を理解しつつなお戦い、自らの最大の技で挑んで来る勇敢さは賞賛に値する。
ゆえに、その勇気に免じて命だけは助けてやろう。感謝するが良い。では、アディオス」
その言葉と共に女はいずこかへと去った。後にはアシュレーだけが取り残される。
「待て…剣を…返せ…」
アシュレーは一言呟いて意識を失った。


sideブラッド・エヴァンス

「…にわかには信じられぬ話だな」
晶と共に敵を掃討したブラッドは、メリルの家で晶の事情を聴いていた。
メリルは2人にお茶を出したあと、遠巻きにこちらを見ている。主に、晶の方を。敵意を持って。
晶の話した内容は突拍子もないものだった。
自分は異世界の人間で、特殊な力を持った人間であり、ガーディアンの導きでこのファルガイアに渡ったのだという。
ファルガイアを、救うために。このファルガイアで1人戦う友人の助けを呼ぶ声に応じて。
「嘘くさいってのは同意しますけど、本当に自分をガーディアンって名乗る、ダン・ダイラムって猫に連れてこられたのは本当です」
ブラッドは考える。
来ている服はこの世界では見慣れないものだった。
メリルとそう変わらぬ歳にも関わらず何もないところから剣を取り出し、その腕前もかなりのもの。
ダン・ダイラムと言うガーディアンには覚えがある。
かつて世界中から収集したミーディアムの一つだ。そしてその司る力は時空、一応筋は通っている。だが…
「もう一度、お前の剣を見せてくれないか?」
「へ?いいですけど…」
そう言うと晶は再び虚空から剣を取り出す。そしてそれをブラッドに手渡した。
ブラッドはしげしげとそれを眺める。魔法には疎い自分でもそこに込められている魔力を感じる。
ただの剣でないことは確かなようだ。だが、そんなことより問題は…
「…俺は、この剣によく似た剣を知っている」
「本当ですか!?」
ブラッドの言葉に晶が食いつく。
「ああ、これとの違いははまっている宝玉が赤かったことと、大きさくらいだ。それ以外はよく似ていた」
「大きさ?あ、でもそれは超巨大武器として成長させればありえるか。それに赤い宝玉の、私の魔剣にそっくりな剣って言えば…」
晶は一人で呟きながら考え込む。そしてブラッドに向きなおり言った。
「ブラッドさん。その剣はもしかしたら柊くんの魔剣かも知れません。どこで見たか、教えてくれませんか?」
「ああ、そいつは魔神を倒した伝説の剣として、メリアブールの宝になっている。ここからだと少し遠いが、テレポートジェムを使えばすぐに行ける。
ちょうどその近くに友人が住んでいる。そいつのところまでなら、連れてってやろう」
ブラッドはあえて1つの情報を伏せた。それは、その剣の使い手が、女であること。
この世界の人間なら、子供でも知っていることだ。
「伝説の…?と、とにかく連れてっていただけるのならお願いします。他に手がかりも無いし、まずはそこから当ってみようと思います」
だが、晶はそのことを知らないようだった。異世界の人間だと言うのは、本当なのかも知れない。
「分かった。テレポートジェムは、俺の家にいくつか置いてある。取りに行く。一緒に来てくれ」
「はい。よろしくお願いします」
ブラッドが剣を返し、晶がそれをしまうと2人は立ち上がる。
晶が外に出た後、ブラッドはメリルに声をかけた。
「家を使わせてもらってすまなかったな。ご両親にはありがとうと伝えてくれ」
「う、うん…ねえおじちゃん?」
「なんだ?」
「あの人、なんか怪しいよ。騙されないように気をつけてね」
「…ああ、そうだな」
晶は怪しい。それは事実だ。もっともメリルの言葉にはそれ以上の何かがこめられていたが。

外では村人たちが戦いの後片付けをしていた。
だれも空に昇った赤い月のことは気にしない。まるでそれが当たり前であるかのように。
「エミュレイターを倒したのに月匣が消えないなんて…でもこのあたりにルーラーはいなかったし、どうなってるんだろう?」
空に赤い月が昇り、自分と晶以外はそれを不審に思っていない。
ブラッドにとってはそれだけだったが、どうやら晶にとってはそうでは無いらしい。
ブラッドは尋ねることにした。
「先ほども言っていたようだが、月匣とはなんだ?」
「あ、えーとその私がいたここに来る前の世界のさらに前にいた世界で私が生まれた世界での話なんですけど…ああもうややこしいなあ、とにかく、私のいた世界では、
モンスターが現れるときは周りに結界を張るんです。そこではこんな風に赤い月が昇るんですけど、その結界を作った奴を倒せば結界は消えるんです。だけど…」
「その作った奴が見つからなかった、と言うことか」
「はい。それにこの月匣、ものすごく広いみたいです。下手したらこの世界全部を覆ってるんじゃないかな。でもそんな広範囲の月匣、魔王でもなきゃ無理だよね…」
「魔王?」
その言葉を聞いて、ブラッドに苦い記憶が蘇る。

それは、仲間の一人が新しいマイクを手に入れたときのことだった。
「今日は、マイマイク入手記念リサイタルを敢行する!もちろん全員参加じゃ!」
そう言って仲間が選んだのは、『ステージっぽい』という理由から、かつての処刑場跡だった。
そして無理やり付き合わされたARMSの面々は、酷い歌声に反応して蘇った魔王と戦うことになった。
その強さは、勝った時には正直生きているのが不思議なくらいだった。
ブラッドの生涯で最も厳しい戦いだったかも知れない。
事件の張本人とは1年前に会ったきりだが、元気にしているのだろうか?

そんな苦い記憶を振り払い、ブラッドは続ける。
「そうか。ではあの赤い月を消すにはそのルーラーとやらを探し出すところから始めんとな」
「はい。そうなります。多分柊くんもそいつと戦ってるんだと思うんですけど…」
そう言って晶は柊のことを考える。
あの、世界の不幸を一身に背負った男なら、簡単に敗北したり死んだりはしないと思うが、魔剣もなしに、一体どこでどうしているんだろうか?



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