side マリアベル・アーミティッジ
「どうだ?マリアベル、俺も結構やるだろ?」
赤い月の照る空を飛ぶ飛空機械の操縦席で、顔も背も匂いも変わったくせに笑い方だけはあの頃のまま、ジャックがわらわに尋ねる。
「ふん…まだまだじゃな。安定性が今ひとつじゃ」
「ちぇっ…マリアベルの口の悪さはかわんねえな」
ジャックは拗ねた口調で言う。それをわらわは鼻で笑って返す。
「当たり前じゃ。おぬしとは人生の年期が違う。
わらわに言わせれば10年もたたずにそこまで変わる人間の方がおかしいのじゃ」
「…時間がたったからじゃねえよ」
「うん?何か言ったか?」
わらわの言葉に対してジャックは小さな声で呟いた。
「ああいやその…腹減ったなって」
顔を背けて誤魔化そうとするジャック。愚かものめ。わらわの、ノーブルレッドの聴力を忘れたか。
「そうか。そうじゃな。一旦戻るとするか」
「おう。そうすんべ」
まあよい。詳しい話は後でじっくり聞き出してくれるわ。みなの前で、な。
赤い月の照る空を飛ぶ飛空機械の操縦席で、顔も背も匂いも変わったくせに笑い方だけはあの頃のまま、ジャックがわらわに尋ねる。
「ふん…まだまだじゃな。安定性が今ひとつじゃ」
「ちぇっ…マリアベルの口の悪さはかわんねえな」
ジャックは拗ねた口調で言う。それをわらわは鼻で笑って返す。
「当たり前じゃ。おぬしとは人生の年期が違う。
わらわに言わせれば10年もたたずにそこまで変わる人間の方がおかしいのじゃ」
「…時間がたったからじゃねえよ」
「うん?何か言ったか?」
わらわの言葉に対してジャックは小さな声で呟いた。
「ああいやその…腹減ったなって」
顔を背けて誤魔化そうとするジャック。愚かものめ。わらわの、ノーブルレッドの聴力を忘れたか。
「そうか。そうじゃな。一旦戻るとするか」
「おう。そうすんべ」
まあよい。詳しい話は後でじっくり聞き出してくれるわ。みなの前で、な。
「お帰りなさい。ジャック、マリアベル!」
クアトリーの町のすぐ近くの野原に飛空機械を着陸させると、ビオレッタがわらわたちを迎えてくれた。
「凄かったわね。あんなものが空を飛ぶなんて最初は信じられなかったけど!」
「あんなもの、は余計だ」
ジャックが口を尖らせてビオレッタに返す。
「何よ。失敗ばっかりでまともに飛ぶようになっただってつい最近じゃない!」
「そりゃあそうだけど…」
ビオレッタの更なる反撃にジャックは黙り込んでしまう。
やはり分かっておらぬな。口喧嘩で男が女に勝てるものか。
「う~ん。それはそうだけど、そこは成功するまで頑張ったジャックを誉めるべきだよ」
「そうよ。それに、そんな風に言われると手伝ったお姉さんの立場も無いんだけどなあ」
だが、ジャックに思わぬ助っ人が現れる。ジャックの1番の友であるリーズと、わらわの1番の友、アナスタシア。
「あ~あ~そうですね私が悪うございました。何よ、リーズまでジャックの味方しちゃって…」
今度はビオレッタが拗ねてしまう。拗ねてしまったビオレッタをリーズが優しく抱き寄せる。
「ごめんね。飛空機械に関してだけは、僕はジャックの味方をしたいんだ。
だって、ジャックの飛空機械がなかったらビオレッタとだってこんなに仲良くなれなかったと思うから…」
「もう…馬鹿」
ビオレッタが真っ赤になる。やはりリーズは天然のたらしじゃな。
「さあ、みんなお茶にしましょう。リーズくんがアップルパイを焼いてくれたから」
1人マイペースにアナスタシアがバスケットを取り出して言う。
アナスタシアよ、そんなだから、いつまでたっても浮いた話の1つもでんのじゃ。
クアトリーの町のすぐ近くの野原に飛空機械を着陸させると、ビオレッタがわらわたちを迎えてくれた。
「凄かったわね。あんなものが空を飛ぶなんて最初は信じられなかったけど!」
「あんなもの、は余計だ」
ジャックが口を尖らせてビオレッタに返す。
「何よ。失敗ばっかりでまともに飛ぶようになっただってつい最近じゃない!」
「そりゃあそうだけど…」
ビオレッタの更なる反撃にジャックは黙り込んでしまう。
やはり分かっておらぬな。口喧嘩で男が女に勝てるものか。
「う~ん。それはそうだけど、そこは成功するまで頑張ったジャックを誉めるべきだよ」
「そうよ。それに、そんな風に言われると手伝ったお姉さんの立場も無いんだけどなあ」
だが、ジャックに思わぬ助っ人が現れる。ジャックの1番の友であるリーズと、わらわの1番の友、アナスタシア。
「あ~あ~そうですね私が悪うございました。何よ、リーズまでジャックの味方しちゃって…」
今度はビオレッタが拗ねてしまう。拗ねてしまったビオレッタをリーズが優しく抱き寄せる。
「ごめんね。飛空機械に関してだけは、僕はジャックの味方をしたいんだ。
だって、ジャックの飛空機械がなかったらビオレッタとだってこんなに仲良くなれなかったと思うから…」
「もう…馬鹿」
ビオレッタが真っ赤になる。やはりリーズは天然のたらしじゃな。
「さあ、みんなお茶にしましょう。リーズくんがアップルパイを焼いてくれたから」
1人マイペースにアナスタシアがバスケットを取り出して言う。
アナスタシアよ、そんなだから、いつまでたっても浮いた話の1つもでんのじゃ。
赤き月の下で行われる、茶会。
茶うけはザラメのたっぷり入った、じゃりじゃりとする甘いアップルパイ。下品な味だが、今はそれが心地よい。
アナスタシアの入れた茶もなかなかにいける。伊達に貴族ではないと言うことか。
さて、茶も堪能したところで…
「ジャックよ。時間がたったからではないなら、何がお前を変えたのじゃ?」
茶うけはザラメのたっぷり入った、じゃりじゃりとする甘いアップルパイ。下品な味だが、今はそれが心地よい。
アナスタシアの入れた茶もなかなかにいける。伊達に貴族ではないと言うことか。
さて、茶も堪能したところで…
「ジャックよ。時間がたったからではないなら、何がお前を変えたのじゃ?」
ぶほぁ!
おー。実際に口に含んだ茶を噴き出す人間など、初めて見たぞ。
「ママママリアベル!?き、聞こえてたのかよ!?」
「当たり前じゃ。ノーブルレッドの聴力を侮るで無いわ」
面白いほどに狼狽しよる。ふっ、まだまだ修行がたりんな。
「へえ~。そうなの?確かに一体何がジャックくんをあそこまで熱心にさせたのか、お姉さんも、気になるな」
ナイスフォローアナスタシア。それでこそ我が親友。
「そ、それはその…」
ジャックが口ごもる。なんじゃ、わらわには言えぬようなことか?
お、真面目な顔になりおった。何を言うつもりじゃ?
「マリアベル。俺と、一緒に暮らさないか?」
…
…?
…!?
「ななななにを言う!?」
「ずっと、決めてたんだ。約束しただろ?いつか、飛空機械がうまくいったらお前を乗せてやるって。
その約束があったから、俺は頑張れた、変わったんだと思う。お前と再会したかったから。もう、お前がいなくなるのは嫌だ。だから…」
「ばばば馬鹿な事を言うでない!わらわはノーブルレッド、人間と同じ時は生きられぬ!」
そう、人とノーブルレッドは共に同じ時間を歩むなど…
「あら、大丈夫よ」「うん。大丈夫だ」「大丈夫じゃない?」
だが、ジャック以外の3人が口々に言う。それに頷いてジャックも言う。
「俺の血を吸ってくれ。マリアベル。俺も、ノーブルレッドになる。お前と一緒に、生きたいんだ」
そう言うとジャックはわらわを抱き寄せる。首筋がわらわの目の前にせまる。
「さ、一息にやってくれ…」
本当に、良いのか?わらわと共に生きてくれるのか?わらわをもう、1人にしないでくれるのか…?
そんな思いと共にわらわはゆっくりと牙を…
「ママママリアベル!?き、聞こえてたのかよ!?」
「当たり前じゃ。ノーブルレッドの聴力を侮るで無いわ」
面白いほどに狼狽しよる。ふっ、まだまだ修行がたりんな。
「へえ~。そうなの?確かに一体何がジャックくんをあそこまで熱心にさせたのか、お姉さんも、気になるな」
ナイスフォローアナスタシア。それでこそ我が親友。
「そ、それはその…」
ジャックが口ごもる。なんじゃ、わらわには言えぬようなことか?
お、真面目な顔になりおった。何を言うつもりじゃ?
「マリアベル。俺と、一緒に暮らさないか?」
…
…?
…!?
「ななななにを言う!?」
「ずっと、決めてたんだ。約束しただろ?いつか、飛空機械がうまくいったらお前を乗せてやるって。
その約束があったから、俺は頑張れた、変わったんだと思う。お前と再会したかったから。もう、お前がいなくなるのは嫌だ。だから…」
「ばばば馬鹿な事を言うでない!わらわはノーブルレッド、人間と同じ時は生きられぬ!」
そう、人とノーブルレッドは共に同じ時間を歩むなど…
「あら、大丈夫よ」「うん。大丈夫だ」「大丈夫じゃない?」
だが、ジャック以外の3人が口々に言う。それに頷いてジャックも言う。
「俺の血を吸ってくれ。マリアベル。俺も、ノーブルレッドになる。お前と一緒に、生きたいんだ」
そう言うとジャックはわらわを抱き寄せる。首筋がわらわの目の前にせまる。
「さ、一息にやってくれ…」
本当に、良いのか?わらわと共に生きてくれるのか?わらわをもう、1人にしないでくれるのか…?
そんな思いと共にわらわはゆっくりと牙を…
「「「マリアベルッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!」」」
夢が、消える。そう、これは夢。だが、もうすぐ夢で無くなるはずの、夢。
side グラブ・ル・ガブル
「なんじゃ…騒々しい」
聞き慣れた声に、マリアベルはゆっくりと目を開ける。生きている。そのことに3人はほっと胸をなで下ろした。
「よかった。無事だったんだねマリアベル!」
「てっきり敵の手に完全に落ちているのかと思い心配したぞ」
「さあ、帰ろう。ベアトリーチェを倒して、みんなのところへ!」
3人は口々にその思いをマリアベルに告げる。そんな3人にマリアベルはただ一言だけ、返す。
「断る」
はっきりとした拒絶の言葉。アシュレーが問いただす。
「…どういうことだ?」
「聞こえなんだか?わらわは、赤い月の世界を望む、そう言ったのじゃ」
その紅い瞳に宿るのは、はっきりとした敵意。
「そんな…何故だッ!?」
「孤独にはもう、飽いた。それだけの事じゃ」
「違う!マリアベルは1人なんかじゃない!私たちだっているし、他のARMSのみんなだって…」
聞き慣れた声に、マリアベルはゆっくりと目を開ける。生きている。そのことに3人はほっと胸をなで下ろした。
「よかった。無事だったんだねマリアベル!」
「てっきり敵の手に完全に落ちているのかと思い心配したぞ」
「さあ、帰ろう。ベアトリーチェを倒して、みんなのところへ!」
3人は口々にその思いをマリアベルに告げる。そんな3人にマリアベルはただ一言だけ、返す。
「断る」
はっきりとした拒絶の言葉。アシュレーが問いただす。
「…どういうことだ?」
「聞こえなんだか?わらわは、赤い月の世界を望む、そう言ったのじゃ」
その紅い瞳に宿るのは、はっきりとした敵意。
「そんな…何故だッ!?」
「孤独にはもう、飽いた。それだけの事じゃ」
「違う!マリアベルは1人なんかじゃない!私たちだっているし、他のARMSのみんなだって…」
「知った風な口を聞くでないわ!人間がッ!!!!!!!」
マリアベルに一喝され、リルカがビクッと身体を震わせる。
「今は良かろう。おぬしらを見ていればそれなりに楽しめるやも知れん。
だがな、おぬしたちの命は、あまりに短い。100年の後、おぬしたちは誰1人として生きてはおらぬじゃろう。
そうなれば、わらわはまた、1人じゃ。後に残るのはわらわを置いて行ってしまったものたちの悲しみの想い出のみ。
おぬしたちに分かるか?
「今は良かろう。おぬしらを見ていればそれなりに楽しめるやも知れん。
だがな、おぬしたちの命は、あまりに短い。100年の後、おぬしたちは誰1人として生きてはおらぬじゃろう。
そうなれば、わらわはまた、1人じゃ。後に残るのはわらわを置いて行ってしまったものたちの悲しみの想い出のみ。
おぬしたちに分かるか?
忌まわしき身体故に太陽に焼かれ、大事な友に7年置いていかれた悲しみ!
魔神の炎にまかれ、二度と飛べぬ身体になったジャック!
焼き払われ、灰と化したクアトリーの町!
魔剣とガーディアンを共に、魔神と戦うと言い出したアナスタシアを見送られねばならなんだ、後悔!
世界中を巡り、結局魔剣しか見つけられなんだときの絶望!
誰1人、人間としてのアナスタシアのことを覚えておらぬ世界に取り残された孤独!
アナスタシアの血族を、再び犠牲にして世界を救ったことへの嫌悪!
魔神の炎にまかれ、二度と飛べぬ身体になったジャック!
焼き払われ、灰と化したクアトリーの町!
魔剣とガーディアンを共に、魔神と戦うと言い出したアナスタシアを見送られねばならなんだ、後悔!
世界中を巡り、結局魔剣しか見つけられなんだときの絶望!
誰1人、人間としてのアナスタシアのことを覚えておらぬ世界に取り残された孤独!
アナスタシアの血族を、再び犠牲にして世界を救ったことへの嫌悪!
…我が最後の友、アナスタシアが命を賭して守った世界。わらわは500年見守り続けてきた。
アナスタシアが消えた日より数えきれぬ明日を越えた。
身近で、大切な人間はすぐに変わっていってしまうのに、種としての人間は、変わらぬ。
魔神が死して100年もせぬうちに互いを殺し合う。
国などと言う対面にこだわり、判断を誤る。
大儀などというものに踊らされ、平気で無駄な犠牲を生み出す。
アナスタシアが消えた日より数えきれぬ明日を越えた。
身近で、大切な人間はすぐに変わっていってしまうのに、種としての人間は、変わらぬ。
魔神が死して100年もせぬうちに互いを殺し合う。
国などと言う対面にこだわり、判断を誤る。
大儀などというものに踊らされ、平気で無駄な犠牲を生み出す。
もう、古き世界の明日を見るのは沢山じゃ!どうせまた、同じ事を繰り返すと分かりきっておる!
だから、もう、古き世界はいらぬ…わらわは、新しい世界の、明日を望む…」
3人は、何も言えなかった。
自分たちには、人間には理解できない明日への絶望に圧倒されて。
そして、マリアベルは再び眠りにつこうとする。
その、瞬間だった。
だから、もう、古き世界はいらぬ…わらわは、新しい世界の、明日を望む…」
3人は、何も言えなかった。
自分たちには、人間には理解できない明日への絶望に圧倒されて。
そして、マリアベルは再び眠りにつこうとする。
その、瞬間だった。
「ふざけんなよ…この、クソガキッ!!」
柊蓮司の叫びがグラブ・ル・ガブルに響いたのは!
その言葉にマリアベルが気色ばむ。
「く、クソガキじゃとッ!?」
「てめえ、黙って聞いてりゃ、ようは自分が気に入らないから世界を作り変えるってことじゃねえか!
それじゃあ、この世界で生きてる、他の奴らはどうなる!?世界は、お前の玩具じゃねえんだぞ!」
「黙れ小童!だからと言ってわらわにまたあの退屈な明日を生きろというのか。
20年も生きておらぬお前ごときに、悠久の明日がどれだけ退屈なものか分かるものか!」
「ああわかんねえ!明日がどうとかはさっぱりだ!だがな、昨日の大切さなら知ってるぜ!」
「昨日の…?」
「今の前には沢山の昨日があった。それはな、今に至るまで延々続けてられてきた昨日だ。
俺だってガキじゃねえ。世界が綺麗なだけでも幸せなだけでも無いことは知ってる。
けどな、そんな世界でも、必死こいて守ってきた連中がいるんだよ!今にいたるまでずっとな!
ファルガイアだってお前の友達やここにいる連中がそうやって、昨日を守ってきたんだろ!?
そいつを自分勝手な理屈で踏みにじろうなんざ、たとえ神様がやろうとしても、この俺が、柊蓮司が許さねえ!」
「こ、この…」
「今、お前がここにいんのだって、父ちゃん母ちゃんがお前を産んで、アナスタシアって人が魔神と戦ったからだろ?
それを、なんだ!1人で生きてるみたいなこと言いやがって!お前だけで世界ができてんじゃねえんだぞ!」
「言わせておけば…」
「怒ったのか?でも、てめえにゃ何もできねえ。そんな殻に閉じこもって世界を変えるのすら人任せのクソガキにはな!」
それは、柊の純粋な憤りからの言葉だった。だが、それは確かな力を持って、マリアベルへと届いた!
「黙れ!貴様にノーブルレッドの怒りの恐ろしさを教えてくれるわ!」
マリアベルは目の前の痴れ者を罰するべく、立ち上がろうとして、身動きが取れないことに気づく。
すっぽりと全身を包み込んだグラブ・ル・ガブルががっちりとマリアベルを固定しているのだ。
「ええい、邪魔をするでない!」
怒りのままに魔力を発し、マリアベルは周りのグラブ・ル・ガブルを吹き飛ばす。
そしてぽっかりと開いた穴から飛び降り、目の前の痴れ者に怒りの飛び蹴りをお見舞いする!
その言葉にマリアベルが気色ばむ。
「く、クソガキじゃとッ!?」
「てめえ、黙って聞いてりゃ、ようは自分が気に入らないから世界を作り変えるってことじゃねえか!
それじゃあ、この世界で生きてる、他の奴らはどうなる!?世界は、お前の玩具じゃねえんだぞ!」
「黙れ小童!だからと言ってわらわにまたあの退屈な明日を生きろというのか。
20年も生きておらぬお前ごときに、悠久の明日がどれだけ退屈なものか分かるものか!」
「ああわかんねえ!明日がどうとかはさっぱりだ!だがな、昨日の大切さなら知ってるぜ!」
「昨日の…?」
「今の前には沢山の昨日があった。それはな、今に至るまで延々続けてられてきた昨日だ。
俺だってガキじゃねえ。世界が綺麗なだけでも幸せなだけでも無いことは知ってる。
けどな、そんな世界でも、必死こいて守ってきた連中がいるんだよ!今にいたるまでずっとな!
ファルガイアだってお前の友達やここにいる連中がそうやって、昨日を守ってきたんだろ!?
そいつを自分勝手な理屈で踏みにじろうなんざ、たとえ神様がやろうとしても、この俺が、柊蓮司が許さねえ!」
「こ、この…」
「今、お前がここにいんのだって、父ちゃん母ちゃんがお前を産んで、アナスタシアって人が魔神と戦ったからだろ?
それを、なんだ!1人で生きてるみたいなこと言いやがって!お前だけで世界ができてんじゃねえんだぞ!」
「言わせておけば…」
「怒ったのか?でも、てめえにゃ何もできねえ。そんな殻に閉じこもって世界を変えるのすら人任せのクソガキにはな!」
それは、柊の純粋な憤りからの言葉だった。だが、それは確かな力を持って、マリアベルへと届いた!
「黙れ!貴様にノーブルレッドの怒りの恐ろしさを教えてくれるわ!」
マリアベルは目の前の痴れ者を罰するべく、立ち上がろうとして、身動きが取れないことに気づく。
すっぽりと全身を包み込んだグラブ・ル・ガブルががっちりとマリアベルを固定しているのだ。
「ええい、邪魔をするでない!」
怒りのままに魔力を発し、マリアベルは周りのグラブ・ル・ガブルを吹き飛ばす。
そしてぽっかりと開いた穴から飛び降り、目の前の痴れ者に怒りの飛び蹴りをお見舞いする!
パシッポイッ
「あめえぜ!そう簡単に俺を倒せると思うなよ!」
それを軽々と受け止め、すぐ側の床に投げ捨てた柊が挑発するように言う。
「この、この!」
マリアベルはすぐに立ち上がり拳を振り回すが、柊には当たらない。
しばらくそうして腕を振り回して、体力を使い切ってへたりこむマリアベルに、柊は声を掛ける。
「俺だってな。世界を変えること事態を否定するつもりはねえよ。世界は、変わっていくもんだ。
だがな、やるなら自分の力で変えろよ。好きなようにな。けどな、間違ってたら、誰かが止めるぞ。
世界を変えるってこと、なめんじゃねえ」
「はぁはぁ…わらわに説教とは、1000年は速いわ!」
「だったら見返してみやがれ。今のままだとてめえはただのわがままなクソガキだぜ!」
「くっ…覚えておれ!」
「おう。俺が生きてるうちは覚えといてやる…ん?みんなどした?」
怒濤の言い合いに気圧されていた他の4人に、柊が尋ねる。
「ああ、いや…」
「なんかすごいなって…」
「たいした物だと思ってな」
「柊くん、突っ込みには定評があるって知ってたけど…」
それぞれが感想を漏らす。何とも言えない空気が漂った、そのときだった。
「くすくすくすくす…」
グラブ・ル・ガブルに、全員が聞いたことのある声が響く。少女の笑い声。特徴のある笑い方は…
それを軽々と受け止め、すぐ側の床に投げ捨てた柊が挑発するように言う。
「この、この!」
マリアベルはすぐに立ち上がり拳を振り回すが、柊には当たらない。
しばらくそうして腕を振り回して、体力を使い切ってへたりこむマリアベルに、柊は声を掛ける。
「俺だってな。世界を変えること事態を否定するつもりはねえよ。世界は、変わっていくもんだ。
だがな、やるなら自分の力で変えろよ。好きなようにな。けどな、間違ってたら、誰かが止めるぞ。
世界を変えるってこと、なめんじゃねえ」
「はぁはぁ…わらわに説教とは、1000年は速いわ!」
「だったら見返してみやがれ。今のままだとてめえはただのわがままなクソガキだぜ!」
「くっ…覚えておれ!」
「おう。俺が生きてるうちは覚えといてやる…ん?みんなどした?」
怒濤の言い合いに気圧されていた他の4人に、柊が尋ねる。
「ああ、いや…」
「なんかすごいなって…」
「たいした物だと思ってな」
「柊くん、突っ込みには定評があるって知ってたけど…」
それぞれが感想を漏らす。何とも言えない空気が漂った、そのときだった。
「くすくすくすくす…」
グラブ・ル・ガブルに、全員が聞いたことのある声が響く。少女の笑い声。特徴のある笑い方は…
「「「「「ベアトリーチェ!」」」」」
マリアベルがこじ開けた。グラブ・ル・ガブルの穴。そこに1人の少女が腰掛けていた。
「なんじゃ?あの娘は?あの声、何処かで聞いたような…」
マリアベルだけが首をかしげる。それを誤魔化すようにアシュレーが言う。
「…マリアベル、頼みがある」
「なんじゃ?」
「ティムとカノンが、外でゴーレムと戦っている。それを、止めてくれ」
「なんと!?わらわの可愛いゴーレムたちとティムたちが戦っておると!?
こうしてはおれん。この場はおぬしらに任せるぞ!」
自らの可愛いゴーレムたちと仲間のピンチと聞き、マリアベルはグラブ・ル・ガブルの外へと駆けだした。
途中で「わらわの、わらわのアースガルズ2がー!?」という悲鳴が聞こえた気がするが、5人は目の前の敵から目を離せない。
「なんじゃ?あの娘は?あの声、何処かで聞いたような…」
マリアベルだけが首をかしげる。それを誤魔化すようにアシュレーが言う。
「…マリアベル、頼みがある」
「なんじゃ?」
「ティムとカノンが、外でゴーレムと戦っている。それを、止めてくれ」
「なんと!?わらわの可愛いゴーレムたちとティムたちが戦っておると!?
こうしてはおれん。この場はおぬしらに任せるぞ!」
自らの可愛いゴーレムたちと仲間のピンチと聞き、マリアベルはグラブ・ル・ガブルの外へと駆けだした。
途中で「わらわの、わらわのアースガルズ2がー!?」という悲鳴が聞こえた気がするが、5人は目の前の敵から目を離せない。
「あーあ、あの子との接続、切れちゃった…」
わざとらしく、ベアトリーチェは言う。
「せっかく寂しいもの同士、お友達になれると思ったのに。ヒイラギレンジったら、ひどーい」
冗談めかして子供っぽい喋り方をするベアトリーチェだが、それが演技であることはこの場にいる全員が知っていた。
「うるせえ!友達を利用すんな!」
「あんたは、許さない!人の心を食い物にする、あんただけは!」
「観念しろ!もう、マリアベルとの繋がりがたたれた以上、遠慮はしないぞ!」
「そういうことだ。悪いがここで、消えて貰うぞ」
「マリアベルをだまそうとするなんて、ゆるさないんだからー!」
口々にベアトリーチェへの怒りを口にする。
わざとらしく、ベアトリーチェは言う。
「せっかく寂しいもの同士、お友達になれると思ったのに。ヒイラギレンジったら、ひどーい」
冗談めかして子供っぽい喋り方をするベアトリーチェだが、それが演技であることはこの場にいる全員が知っていた。
「うるせえ!友達を利用すんな!」
「あんたは、許さない!人の心を食い物にする、あんただけは!」
「観念しろ!もう、マリアベルとの繋がりがたたれた以上、遠慮はしないぞ!」
「そういうことだ。悪いがここで、消えて貰うぞ」
「マリアベルをだまそうとするなんて、ゆるさないんだからー!」
口々にベアトリーチェへの怒りを口にする。
「くすくす…ま、いいんだけどね」
それを流しつつ、ベアトリーチェは言う。
「あの子を通して、グラブ・ル・ガブルには充分に私の情報を感染させたわ。後はその増殖を待つだけ。
もう、あの子無しでもグラブ・ル・ガブルを乗っ取ることができる。
それに、一部はもう既に掌握している。こんな風に…ね」
ベアトリーチェの声と共に、世界が歪む。
そこは、荒れ果てた荒野。何処までも続く荒野の空に、赤い月が輝いている。
「ここは、私が実体化させた、私の悪夢。ここでならお互い触れあうことが出来る。
あなた達の攻撃が通用する代わりに、私もあなたたちを斬り裂くことができるの」
それは、戦いの合図。5人は構える。正真正銘の最後の戦いに備えて。
「と言っても、流石に5人も同時に相手するのは大変。だから、こちらも切り札を使わせてもらうわ」
そう言うと、ベアトリーチェは虚空に手をやり、何かを取り出す。
それは、巨大な大剣だった。飾りも何もない、無骨な両手剣。自らの身体よりなお大きいそれをベアトリーチェは軽々と持ち上げる。
その剣をかまえ、ベアトリーチェは言う。
「これが私の切り札、“想い出”から発掘した…ガーディアンブレード・アガートラーム」
「アガートラームだってッ!?」
散々慣れ親しんだその名前にアシュレーが驚く。
それを流しつつ、ベアトリーチェは言う。
「あの子を通して、グラブ・ル・ガブルには充分に私の情報を感染させたわ。後はその増殖を待つだけ。
もう、あの子無しでもグラブ・ル・ガブルを乗っ取ることができる。
それに、一部はもう既に掌握している。こんな風に…ね」
ベアトリーチェの声と共に、世界が歪む。
そこは、荒れ果てた荒野。何処までも続く荒野の空に、赤い月が輝いている。
「ここは、私が実体化させた、私の悪夢。ここでならお互い触れあうことが出来る。
あなた達の攻撃が通用する代わりに、私もあなたたちを斬り裂くことができるの」
それは、戦いの合図。5人は構える。正真正銘の最後の戦いに備えて。
「と言っても、流石に5人も同時に相手するのは大変。だから、こちらも切り札を使わせてもらうわ」
そう言うと、ベアトリーチェは虚空に手をやり、何かを取り出す。
それは、巨大な大剣だった。飾りも何もない、無骨な両手剣。自らの身体よりなお大きいそれをベアトリーチェは軽々と持ち上げる。
その剣をかまえ、ベアトリーチェは言う。
「これが私の切り札、“想い出”から発掘した…ガーディアンブレード・アガートラーム」
「アガートラームだってッ!?」
散々慣れ親しんだその名前にアシュレーが驚く。
「さあ、始めましょう。夢魔ベアトリーチェの、死に至る悪夢を」
微笑みながらベアトリーチェが戦いの始まりを宣言した。
微笑みながらベアトリーチェが戦いの始まりを宣言した。