side ブラッド・エヴァンス
『祖国のために生きた友、ここに眠る』
簡潔な言葉は、ブラッド自身の手で刻まれたものだった。名前は刻まなかった。どれを刻んでも、嘘になるから。
親友が死んだのは、半年前のことだった。眠るように逝った彼をブラッドは、見晴らしの良い丘に葬った。
「もし、お前が知ったら、お前は笑うのだろうか。戦うことしか知らなかった男の、平穏な日々なんて、似合わないってな。
俺は今、幸せに暮らしている。仲間も友もいる。メリルにもはやく俺以外の男を見つけて幸せになって貰いたいんだが…」
1ヶ月に1度は、こうして会いに行き、話す。それは本当の自分を知っていた男にしか言えない、孤独だった。
硝煙の臭いは、決して日だまりの臭いとは相容れ無い。ブラッドは、そう感じていた。
簡潔な言葉は、ブラッド自身の手で刻まれたものだった。名前は刻まなかった。どれを刻んでも、嘘になるから。
親友が死んだのは、半年前のことだった。眠るように逝った彼をブラッドは、見晴らしの良い丘に葬った。
「もし、お前が知ったら、お前は笑うのだろうか。戦うことしか知らなかった男の、平穏な日々なんて、似合わないってな。
俺は今、幸せに暮らしている。仲間も友もいる。メリルにもはやく俺以外の男を見つけて幸せになって貰いたいんだが…」
1ヶ月に1度は、こうして会いに行き、話す。それは本当の自分を知っていた男にしか言えない、孤独だった。
硝煙の臭いは、決して日だまりの臭いとは相容れ無い。ブラッドは、そう感じていた。
その日も墓参りを終え、ブラッドは帰り道を急ぐでもなく歩く。モンスターはまだ時折出るが、特に問題にはならなかった。
ブラッドがこの辺りのモンスターに負けるなどありえなかったし、何より野生の獣は力の差を敏感に察し、自分より強いものを襲わない。
だからこそ、村を離れた荒野で誰かに出会うなど、滅多にない出来事だった。ましてやそれが
「あんの猫…そもそも何処に行けば良いのか位教えておきなさいよ…」
年頃の女であることなど。
「おい、そこの女。そこで何をしているんだ。道にでも迷ったのか?」
渡り鳥かとも思ったが、その割には武器も持っていない。丸腰で荒野を旅するなど、無謀も良いところだ。
だが、話しかけてから失敗したことに気づいた。自分の風体は普通の人間には恐怖を与える。
「あ、もしかしてこの辺りの人ですか?よかった。すみませんが、この辺りに町とかありませんか?」
だが、女の方はブラッドを見ても驚かなかった。本当に人に会えたことに安堵しているだけのようで、ブラッドににこやかに話しかける。
「あ、ああ、この近くに村がある。もしよければちょうど帰るところなので案内するが…」
そのことに、むしろブラッド自身が動揺し、答える。
「あ、良いんですか?じゃあ、お願いします」
そう言って女はブラッドに並んで歩き出した。それを見て、ブラッドの動揺が収まる。代わりに長年磨いてきた戦士の勘がその女に注目する。
(隙のない動き…訓練、いや実戦で磨いたものだな。筋肉の付き方を見るに、クレストソーサレスや格闘家と言うわけではなさそうだが…)
「ところで、こんな所で何をしていたんだ。渡り鳥か?」
少し堅い調子でブラッドは女に尋ねる。
「渡り鳥?」
聞き慣れない単語に女は不思議そうに聞き返す。
「知らんのか?賞金稼ぎのことだ」
女の疑問に答えながら、ブラッドは不信を募らせる。
「賞金稼ぎ…なるほど。あ、でも私は違います。柊くん、友達が困ってるって聞いて着たんですけど、その友達が何処にいるのか分からなくて…」
「どこにいるのかすらわからんのか。それでは探しようも無いだろう」
「う~ん。そうなんですけど、どうしますかね。あ、えっと…」
「ブラッド・エヴァンスだ。ブラッドでいい」
「私は七瀬晶って言います。それで、ブラッドさん、私の友達のこと知りませんか?
柊蓮司って言って、茶色の髪をして、紫色のブレザーを着た、不幸そうな男の子なんですけど…」
「知らんな」
「あ、そうですか…」
それから会話がとぎれ、二人はしばし無言で歩く。その沈黙は、セボック村につくまで続いた。
ブラッドがこの辺りのモンスターに負けるなどありえなかったし、何より野生の獣は力の差を敏感に察し、自分より強いものを襲わない。
だからこそ、村を離れた荒野で誰かに出会うなど、滅多にない出来事だった。ましてやそれが
「あんの猫…そもそも何処に行けば良いのか位教えておきなさいよ…」
年頃の女であることなど。
「おい、そこの女。そこで何をしているんだ。道にでも迷ったのか?」
渡り鳥かとも思ったが、その割には武器も持っていない。丸腰で荒野を旅するなど、無謀も良いところだ。
だが、話しかけてから失敗したことに気づいた。自分の風体は普通の人間には恐怖を与える。
「あ、もしかしてこの辺りの人ですか?よかった。すみませんが、この辺りに町とかありませんか?」
だが、女の方はブラッドを見ても驚かなかった。本当に人に会えたことに安堵しているだけのようで、ブラッドににこやかに話しかける。
「あ、ああ、この近くに村がある。もしよければちょうど帰るところなので案内するが…」
そのことに、むしろブラッド自身が動揺し、答える。
「あ、良いんですか?じゃあ、お願いします」
そう言って女はブラッドに並んで歩き出した。それを見て、ブラッドの動揺が収まる。代わりに長年磨いてきた戦士の勘がその女に注目する。
(隙のない動き…訓練、いや実戦で磨いたものだな。筋肉の付き方を見るに、クレストソーサレスや格闘家と言うわけではなさそうだが…)
「ところで、こんな所で何をしていたんだ。渡り鳥か?」
少し堅い調子でブラッドは女に尋ねる。
「渡り鳥?」
聞き慣れない単語に女は不思議そうに聞き返す。
「知らんのか?賞金稼ぎのことだ」
女の疑問に答えながら、ブラッドは不信を募らせる。
「賞金稼ぎ…なるほど。あ、でも私は違います。柊くん、友達が困ってるって聞いて着たんですけど、その友達が何処にいるのか分からなくて…」
「どこにいるのかすらわからんのか。それでは探しようも無いだろう」
「う~ん。そうなんですけど、どうしますかね。あ、えっと…」
「ブラッド・エヴァンスだ。ブラッドでいい」
「私は七瀬晶って言います。それで、ブラッドさん、私の友達のこと知りませんか?
柊蓮司って言って、茶色の髪をして、紫色のブレザーを着た、不幸そうな男の子なんですけど…」
「知らんな」
「あ、そうですか…」
それから会話がとぎれ、二人はしばし無言で歩く。その沈黙は、セボック村につくまで続いた。
「おかえり。おじちゃん!…その人、誰?」
笑顔で出迎えたメリルは、晶を見て、わずかに敵意を込めて言った。それに気づかないふりをして、ブラッドは答える。
「ああ、帰る途中で会った。人を探しているらしい。名前は…」
「七瀬晶です。よろしく」
ブラッドの言葉をついで、晶が答える。
「メリルです」
それにメリルは素っ気なく答えた。どうやら『おじちゃん』と一緒に現れた同い年くらいの女の子が気にくわないようだ。
それを何故か晶は懐かしいものでも見るようなまなざしを向ける。
「ああ、大丈夫。ブラッドさんとは本当に偶然会って村に案内して貰っただけだから。それより、この辺りに人捜しとかできそうな…」
晶の言葉は最後まで紡がれることは無かった。世界に起きた異変のために。
笑顔で出迎えたメリルは、晶を見て、わずかに敵意を込めて言った。それに気づかないふりをして、ブラッドは答える。
「ああ、帰る途中で会った。人を探しているらしい。名前は…」
「七瀬晶です。よろしく」
ブラッドの言葉をついで、晶が答える。
「メリルです」
それにメリルは素っ気なく答えた。どうやら『おじちゃん』と一緒に現れた同い年くらいの女の子が気にくわないようだ。
それを何故か晶は懐かしいものでも見るようなまなざしを向ける。
「ああ、大丈夫。ブラッドさんとは本当に偶然会って村に案内して貰っただけだから。それより、この辺りに人捜しとかできそうな…」
晶の言葉は最後まで紡がれることは無かった。世界に起きた異変のために。
空が、赤く染まる。その、突然の出来事に
「…赤い月だと!?」
ブラッドは空を見上げて驚きの声を上げ
「これは…月匣!?」
七瀬晶は条件反射で月衣より魔剣を抜きはなった。
ブラッドは空を見上げて驚きの声を上げ
「これは…月匣!?」
七瀬晶は条件反射で月衣より魔剣を抜きはなった。
その剣を見てブラッドは僅かに驚く。
(アガートラームか!?…いや、わずかに違う…)
「うわー!?モンスターだあ!?」
村人の叫び声を聞いて、ブラッドは動揺を押さえ込む。戦場では、動揺は死に繋がる。
「とりあえず、話は後です!」
晶はそう言うと叫び声のした方へと駆け出す。
「分かった。今は、協力してもらう。だが後で知っていることを話して貰うぞ!」
愛用のマイトグローブをはめながら、ブラッドは晶を追って駆けだした。
(アガートラームか!?…いや、わずかに違う…)
「うわー!?モンスターだあ!?」
村人の叫び声を聞いて、ブラッドは動揺を押さえ込む。戦場では、動揺は死に繋がる。
「とりあえず、話は後です!」
晶はそう言うと叫び声のした方へと駆け出す。
「分かった。今は、協力してもらう。だが後で知っていることを話して貰うぞ!」
愛用のマイトグローブをはめながら、ブラッドは晶を追って駆けだした。
「大丈夫かな…おじちゃん。それにしても…」
1人取り残されたメリルは呟く。
「おじちゃん、どうしたんだろう?空の月が赤いなんて“当たり前”のことなのに…」
1人取り残されたメリルは呟く。
「おじちゃん、どうしたんだろう?空の月が赤いなんて“当たり前”のことなのに…」
side リルカ・エレニアック
「いい加減にしなさいよ!この…ハイスパーク!」
「ああ、ストライクブルコギドンが、ストライクブルコギドンがー!」
ロボットと言うよりはがらくたの寄せ集めであるそれを、リルカは弱点を的確についた雷撃の呪紋でなぎ払う。
「おのれ、覚えているトカいないトカ!この怨みはいずれ利子をサラ金もびっくりの金利でつけて全額一括返済今だけ30%ポイント還元で返してもらうトカ!」
「げー」
「結局増えてんのか減ってんのかわかんないじゃないそれ!」
妙な捨て台詞を吐いて逃げていく世界観の違う2匹に、リルカは突っ込みつつハイフレイムを叩き込む。
「ぎゃー!焼けるー!焦げるー!黒焼きにされて今夜は寝かさないトカ言うのに使われるー!」
「使うかー!」
かくして、何とか帰る手段を得るために密かに学院に忍び込んだ面白生物2匹(自作のメカ付き)は撃退された。
「はぁ、はぁ…本当にあいつらだけは懲りないわね…」
肩で息をしながら辺りを見回す。
そこには他の学院生徒が倒れている。あの面白メカはリルカならば1人でも倒せると言っても普通の生徒には充分脅威だった。
「エクステンション…ヒール」
回復の魔法を全体に掛ける。倒れていた生徒たちが起きあがり、リルカに羨望のまなざしを向ける。
「すごいな…流石は2代目エレニアックの魔女っ子」
そんな声を掛けるのは、同級生のテリィ。
「まあ、ね」
それにリルカは頬を赤らめながら胸を張った。
「ああ、ストライクブルコギドンが、ストライクブルコギドンがー!」
ロボットと言うよりはがらくたの寄せ集めであるそれを、リルカは弱点を的確についた雷撃の呪紋でなぎ払う。
「おのれ、覚えているトカいないトカ!この怨みはいずれ利子をサラ金もびっくりの金利でつけて全額一括返済今だけ30%ポイント還元で返してもらうトカ!」
「げー」
「結局増えてんのか減ってんのかわかんないじゃないそれ!」
妙な捨て台詞を吐いて逃げていく世界観の違う2匹に、リルカは突っ込みつつハイフレイムを叩き込む。
「ぎゃー!焼けるー!焦げるー!黒焼きにされて今夜は寝かさないトカ言うのに使われるー!」
「使うかー!」
かくして、何とか帰る手段を得るために密かに学院に忍び込んだ面白生物2匹(自作のメカ付き)は撃退された。
「はぁ、はぁ…本当にあいつらだけは懲りないわね…」
肩で息をしながら辺りを見回す。
そこには他の学院生徒が倒れている。あの面白メカはリルカならば1人でも倒せると言っても普通の生徒には充分脅威だった。
「エクステンション…ヒール」
回復の魔法を全体に掛ける。倒れていた生徒たちが起きあがり、リルカに羨望のまなざしを向ける。
「すごいな…流石は2代目エレニアックの魔女っ子」
そんな声を掛けるのは、同級生のテリィ。
「まあ、ね」
それにリルカは頬を赤らめながら胸を張った。
2年前、数々の戦いと冒険をしてきたリルカは、大きく成長した。魔力の低さを技術と経験、判断力で補う戦い方を身につけたのだ。
今や『エレニアックの魔女っ子の妹』と彼女を呼ぶ人間はいない。実力において姉を上回った彼女は名実共に『2代目エレニアックの魔女っ子』となったのだ。
今や『エレニアックの魔女っ子の妹』と彼女を呼ぶ人間はいない。実力において姉を上回った彼女は名実共に『2代目エレニアックの魔女っ子』となったのだ。
1人部屋に戻ったリルカは、少しはしゃいで机に座り、写真立てに飾られた写真を見て、テンションを下げた。
そこに写っているのはかつての思い人。彼は妻と一緒に双子の赤ん坊を抱き、カメラに笑顔を向けている。
「忘れるのって、難しいよね…」
リルカは、今でも彼のことが好きだった。姉を失い、落ち込んでいた彼女に、勇気をくれた人。今は幼なじみと結婚してしまった、元同僚。
「私、いつまでも子供のまんまなのかなあ…」
2年で背も伸びたし、胸も少しは大きくなった、と思う。自分に自信も持てたし、魔法だって上手く使えるようになった。
だが、どうしてもそこだけは乗り越えられなかった。心からの笑顔で2人を祝福出来ない。
「へいき、へっちゃら」
元気の出るおまじない。けれど落ち込んだ心は晴れない。
「…寝よ」
そう言って立ち上がり、外を見たとき、リルカは異変に気づいた。外が、赤い。
「何これ…月が、赤い…」
窓から身を乗り出して、リルカは呆然と呟く。まだ夕方であるはずにも関わらず、空には赤く丸い月が昇っていた。
そこに写っているのはかつての思い人。彼は妻と一緒に双子の赤ん坊を抱き、カメラに笑顔を向けている。
「忘れるのって、難しいよね…」
リルカは、今でも彼のことが好きだった。姉を失い、落ち込んでいた彼女に、勇気をくれた人。今は幼なじみと結婚してしまった、元同僚。
「私、いつまでも子供のまんまなのかなあ…」
2年で背も伸びたし、胸も少しは大きくなった、と思う。自分に自信も持てたし、魔法だって上手く使えるようになった。
だが、どうしてもそこだけは乗り越えられなかった。心からの笑顔で2人を祝福出来ない。
「へいき、へっちゃら」
元気の出るおまじない。けれど落ち込んだ心は晴れない。
「…寝よ」
そう言って立ち上がり、外を見たとき、リルカは異変に気づいた。外が、赤い。
「何これ…月が、赤い…」
窓から身を乗り出して、リルカは呆然と呟く。まだ夕方であるはずにも関わらず、空には赤く丸い月が昇っていた。
「やあ、リルカ。どうしたんだい?」
急いでマントをつけ、外に出たリルカにテリィが声を掛ける。
「何って…空見れば分かるでしょ!」
それを聞いてテリィは空を見る。そして言った。
「分かるって?普通じゃないか。ほら、赤い月だって綺麗に出てるし」
「…え?」
その言葉にリルカは何とも言えない気持ち悪さを感じた。テリィの言葉には真剣に疑問に思う気持ちがこめられている。
だが、そんなはずは無い。そもそも赤い月が昇ること事態が異常なのに。
「普通って、どう見てもあの月が…」
そう言った時だった。
雪が盛り上がる。それは人の形を取り、剣のようになった腕をこちらに向ける。雪は次々と盛り上がり、十数体もの化け物と化す。
「うわあ!?モンスターがなんでこの中に!?」
テリィは驚いてフレイムを唱える。だがそれは人形の表面で音を立てて消火され、倒すには至らない。
(テリィの魔法なら、この辺りのモンスターなら1発で倒せるはずなのに!)
そのことにリルカは内心驚きながらもクレストグラフを取り出し、呪紋を唱える。
「ハイフレイム!」
テリィとは比べものにならないほど強力な魔法。それは人形を一撃で焼き尽くした。
「テリィ!みんなを呼んできて!ここは私が抑える!」
「わ、分かった!」
テリィが駆けだしたのを見て、リルカは再び呪紋を唱える。
(数が、多すぎる!倒しきれない!)
腕のなぎ払いを愛用の傘で受け止める。傘に込められた結界呪紋が敵の腕を弾き、体勢が崩れた所を炎で焼き尽くす。
(一度に来られたら、やばい!)
リルカの勘が、危険警報を鳴らし続ける。1人では、いずれ切り裂かれる。
(このままじゃ…)
敵は1対1から徐々に集まって一度に攻撃する態勢を取る。
(やられる!)
急いでマントをつけ、外に出たリルカにテリィが声を掛ける。
「何って…空見れば分かるでしょ!」
それを聞いてテリィは空を見る。そして言った。
「分かるって?普通じゃないか。ほら、赤い月だって綺麗に出てるし」
「…え?」
その言葉にリルカは何とも言えない気持ち悪さを感じた。テリィの言葉には真剣に疑問に思う気持ちがこめられている。
だが、そんなはずは無い。そもそも赤い月が昇ること事態が異常なのに。
「普通って、どう見てもあの月が…」
そう言った時だった。
雪が盛り上がる。それは人の形を取り、剣のようになった腕をこちらに向ける。雪は次々と盛り上がり、十数体もの化け物と化す。
「うわあ!?モンスターがなんでこの中に!?」
テリィは驚いてフレイムを唱える。だがそれは人形の表面で音を立てて消火され、倒すには至らない。
(テリィの魔法なら、この辺りのモンスターなら1発で倒せるはずなのに!)
そのことにリルカは内心驚きながらもクレストグラフを取り出し、呪紋を唱える。
「ハイフレイム!」
テリィとは比べものにならないほど強力な魔法。それは人形を一撃で焼き尽くした。
「テリィ!みんなを呼んできて!ここは私が抑える!」
「わ、分かった!」
テリィが駆けだしたのを見て、リルカは再び呪紋を唱える。
(数が、多すぎる!倒しきれない!)
腕のなぎ払いを愛用の傘で受け止める。傘に込められた結界呪紋が敵の腕を弾き、体勢が崩れた所を炎で焼き尽くす。
(一度に来られたら、やばい!)
リルカの勘が、危険警報を鳴らし続ける。1人では、いずれ切り裂かれる。
(このままじゃ…)
敵は1対1から徐々に集まって一度に攻撃する態勢を取る。
(やられる!)
とおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
その時だった。空から何かが聞こえる。リルカは空を見上げ、それを見つけた。何か、降ってくる。
どごぼすっ!
それは地面に激突する。そして雪煙が晴れたとき見えたのは…
地面からにょっきりつきだした、2本の足だった
(な、何あれ…)
リルカは、思わず固まった。それは戦闘中であることを考えると致命的になりかね無かったが、そうはならなかった。
「うおおおおお!?抜けねえ!?」
呆然として見ていたのは、敵も同じだったからだ。
やがて、2本の足は上半身を引き抜き、雪を払う。それは一人の青年だった。年はリルカより少し上だろうか。
服がところどころ焦げている。一体何をどうやったらああなるのか、永遠の謎だった。
男は空を見て、ついでに人形の方を見て、言う。
「何がどうなってんのかさっぱり分からんが…」
そして虚空から手をやり、一気に引く、その手に握られているのは…
「とりあえず、エミュレイターがいるんならそいつをぶっ倒せば良いんだよな!」
「アガートラーム!?」
そう言って人形に襲いかかる男の持つ剣に、リルカは驚きの声を上げた。
リルカは、思わず固まった。それは戦闘中であることを考えると致命的になりかね無かったが、そうはならなかった。
「うおおおおお!?抜けねえ!?」
呆然として見ていたのは、敵も同じだったからだ。
やがて、2本の足は上半身を引き抜き、雪を払う。それは一人の青年だった。年はリルカより少し上だろうか。
服がところどころ焦げている。一体何をどうやったらああなるのか、永遠の謎だった。
男は空を見て、ついでに人形の方を見て、言う。
「何がどうなってんのかさっぱり分からんが…」
そして虚空から手をやり、一気に引く、その手に握られているのは…
「とりあえず、エミュレイターがいるんならそいつをぶっ倒せば良いんだよな!」
「アガートラーム!?」
そう言って人形に襲いかかる男の持つ剣に、リルカは驚きの声を上げた。