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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第03話

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匿名ユーザー

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side リルカ・エレニアック

ブラッド・エヴァンスと七瀬晶がタウンメリアへと向かおうとしていたその頃、柊蓮司とリルカ・エレニアックの2人は…
「どこなんだよここは!?」
「ご、ごめん。失敗しちゃった…」
森の中で道に迷っていた。

事の起こりは1時間ほど前に遡る。
「これで、最後!ハイフレイム!」
「こいつで、終わりだ!エンチャントフレイム!」
リルカの呪紋が人形を焼き尽くすと同時に炎を纏った柊の魔剣が人形を真っ二つにかち割った。
シェルジュ自治区に静寂がやってくる。どうやらモンスターは全滅したようだ。
「ふう…お前、やるじゃねえか」
「あなたもね」
協力して敵を倒した事による達成感からか、2人には奇妙な連帯感が生まれていた。お互いに親指を上げ、互いの健闘を称える。
その直後にリルカは気づいた。目の前の男について何も知らないことに。
とりあえず、リルカは尋ねた。
「とりあえず手伝って貰っちゃってなんだけど、あなたは誰?どこから来たの?なんで空から降ってきたの?
こいつらが何なのか知ってるの?あの赤い月に何か関係があるの?
なんでアガートラームを持ってるの?まさか引っこ抜いてきたの?もしかして泥棒?」
「おいおい待て待て一度に聞かれても答えられねえよ!落ち着け!」
弾丸のように矢継ぎ早に繰り出される質問に、柊は混乱して言う。
その言葉にリルカも落ち着いて話を聞くことにした。
「ごめんなさい。一気に聞かれても困るよね。じゃあ、まずあなたは誰で、どこから来たの?ってか何で空から降ってきたの?」
「ああ、俺の名前は柊蓮司、魔剣使いだ。どっから来たかって言われると…信じて貰えねえと思うが、この世界の外からだ。
何で空からってのは…聞かないでくれ」
「この世界の外?ファルガイアじゃない異世界から来たってこと?」
「ファルガイア?…ああ、この世界の名前か。そうなるな。ちなみにファー・ジ・アースって所から来た」
「異世界…」
普通ならば一笑にふす話なのだろう。だが、リルカにはあながち嘘だとも思えなかった。
異世界、それはリルカがかつて参加していたARMSが最後に戦った相手だからだ。
あの時の異世界は暴れ回るモンスターみたいなものだったが、異世界があるんならファルガイアのように普通に人が住んでいる異世界だってあってもおかしくはない、と思う。
「おっけ。あなた…レンジが異世界から来たってのは、とりあえず信じるよ。
でも、その異世界から何で来たの?もしかして、この赤い月やさっきのモンスターと何か関係あるの?」
「ああ、多分だが、ある。俺は、この異変の原因を倒しに来たんだ」
リルカの次の問いに蓮司は力強く頷いて答える。その答えにリルカは驚いて聞き返す。
「原因って…分かるの!?」
「ああ。多分こいつは、魔王の仕業だ」
そして、柊は話す。エミュレイターと月匣、それを束ねる魔王、そしてそれと戦うもの、ウィザードについて。
「へえ…なんか、凄いね」
その話を聞いて、リルカは大きな事件に再び巻き込まれたことに対するとまどいを感じていた。
リルカは、柊にたずねる。
「魔王って位だから、強いんだよね?」
「多分な」
リルカの脳裏によぎるのはかつて1度だけ戦った、魔王の名を持つモンスター。あの時は6人がかりでようやく倒した。
「じゃ、私たちだけじゃ厳しいかな…」
「う~ん…かもな。って、お前も手伝ってくれるのか?」
「うん。私たちの世界の問題でもあるし。それに足手まといにはならないと思うよ?」
「そりゃあそうだろうが…」
柊は戦いの中で、リルカが極めて優れた魔法の使い手であることを見極めていた。
ファー・ジ・アースでも達人と呼ばれる域に達しているだろう。
それも実戦で磨いた技らしく、隙のない魔法だった。確かに心強い味方になるだろう。
柊はそう判断していた。
「それに、私の仲間なら、言えば手伝ってくれると思う。みんなで挑めば、魔王でも何とかなるよね?」
「仲間か…」
仲間は多い方がいい。その方が出来ることが多くなる。
それに、彼女の仲間なら腕も立つだろう。柊はそう考え、彼女に言う。
「分かった。頼む、手伝ってくれ。えっと…」
「リルカ。リルカ・エレニアックだよ。よろしくね、レンジ」
「ああ、よろしく頼むぜ。リルカ」
二人はぎゅっと握手をかわす。かくして、ウィザードとクレストソーサレスの臨時パーティーが結成されることになった。
「んで、リルカの仲間ってのはこの辺に住んでるのか?」
柊は早速リルカに聞く。それに対し、リルカはクビを横に振った。
「ううん。今はみんなばらばらに暮らしてるから…でも、大丈夫。これを使えばみんなのところまでひとっ飛びだよ!」
そう言うとリルカはポケットから緑の宝石を取り出す。
「それは?」
「テレポートジェムって言って、行ったことのある場所ならあっという間に移動できる便利アイテムだよ。
とりあえず、ここから近いアシュレーの所に行くね。そーれ、レッツ・ゴー!」
そう言うとリルカはテレポートジェムに魔力を込めた。

かくして、冒頭に戻る。

「なあ、リルカ。悪いがもう1回さっきの奴、使ってくれねえか?失敗は無しで」
「ご、ごめん。もう無い…」
2人の間に何とも重い空気が流れる。
「と、とりあえず街を探そうぜ。そこまで行ければ何とかなんだろ」
「そ、そうだね。街に行けばテレポートジェムも売ってるしね」
こんな時こそポジティブシンキングとばかりに顔に笑みを張り付かせて2人は獣道同然の道を歩きだした。
しばらく2人して黙って歩いていたが、重苦しい空気を吹き飛ばそうとリルカは口を開く。
「そう言えば、ここでも赤い月が見えるんだね」
「ああ、そういやあずっと月匣の中っぽいな。てっきりあの辺りだけかと思ってたが、こりゃもしかすると世界中がこうなのかもな。
…そうすっと敵は魔王の中でもやばい奴ってことか?」
失敗。余計に空気が重くなった。また2人は黙って歩き出す。
そのときだった。

ぐぅ~きゅるるるるる~

豪快な音がした。柊は思わず音のした方を見る。
「ば、晩ご飯食べてなかったから!」
リルカが顔を真っ赤にして必死に言い訳をし、次に何かを期待する目で柊を見て、ため息をつく。
「と、ところでレンジ、食べ物とか持って…るわけないか」
柊は完全に手ぶらだった。どう見ても食料その他を持ち歩いているようには見えない。
だが、柊の返答は意外なものだった。
「いや、そういや昨日、エリスが持たせてくれた弁当があったな。たまにはちゃんとしたものを食べなきゃ駄目ですよ柊先輩って」
そう言うと柊は月衣に手を突っ込み、3段重ねの重箱を取り出す。それを見てリルカは目を丸くした。
「ちょうどいい。ここらで一旦休憩にしようぜ。どう見ても1人で食うには多いし、分けてやるよ」

「ふぅ~。満足満足♪」
幸せそうな顔でリルカが言う。
「あ、あっという間に…」
エリスの弁当は優に4人分はあるものだった。その半分以上をリルカはあっという間に平らげていた。
油断していたら柊の分が無くなりそうな勢いだった。
「ポーリィ並みの食欲だな」
重い空気はすっかり消えている。人間腹が満たされれば悲壮感が薄れるものだと言うことだろうか。
「いや~こんなにおいしいご飯は久しぶりだよ。おばさんの焼きそばパンに匹敵するね。これを作ったエリスさんって人はレンジの彼女?」
「ば、馬鹿ちげえよ。仲間、ただのな~か~ま!」
「ふ~ん。な~んか怪しいなあ…」
突然の恋話に顔を真っ赤にして否定する柊とそれをニヤニヤしながらからかうリルカ。意外にいいコンビかも知れない。

「そういえばさレンジ…」
食後の休憩時間と言うことで2人して木陰に座って休んでいるとリルカが何かを思いついたように言う。
「うん?なんだ?」
「さっき、何にも無いところからお弁当を取り出してたよね?どんな手品なの?」
「ああ、そういやさっきは説明してなかったか。あれは月衣っつって俺たちウィザードが武器とか色々しまっておくための結界みたいなもんだ」
「武器?ああ、そう言えばレンジの剣もいつの間にか無くなってたけど、そのカグヤにしまってたの?」
「そうだ」
「じゃあさ、その剣ちょっと見せてくれない?さっき、聞き忘れてたこともあるしさ」
「いいぜ。重いから気をつけろよ」
そう言うと柊は月衣から魔剣を取り出し、リルカに手渡す。
それを少しよろけながら受け取って、リルカはしげしげと剣を眺めた。
「う~ん。やっぱり似てるなあ」
「似てる?何に?」
柊はきょとんとして聞き返した。
「ああ、うん。この世界にね、昔からアガートラームって伝説の剣があるんだけど、この剣それと瓜二つなの。
だから最初はレンジが引っこ抜いて持ってきちゃったのかなって思ったんだけど、違うよね。
レンジはファルガイアに来てからまっすぐシェルジュ自治区に落ちてきたみたいだし」
「落ちてきたって言うな!」
リルカの軽口に突っ込みつつ、柊は答える。
「けどそれ変だぞ?その剣は俺がウィザードになってからずっと一緒だった…いやまあ1回失くしたけど、あの頃の剣とは違うしな。
とにかく、この世界に昔からあるはずがねえ。他人の空似ならぬ他剣の空似じゃねえのか?」
「う~ん。やっぱりそうなのかな…」
「多分そうだろ。そろそろ行こうぜ」
「うん、そうだね」
そこで話を打ち切り、2人は立ち上がる。
魔剣を月衣に突っ込み、2人は再び歩き出した。

しばらく歩き、ようやく2人は村らしきものにたどり着いた。2人は同時に安堵の溜息をつく。
「よかったあ…外海の孤島とかだったらどうしようかと思ったよ」
「さらりと怖ええこと言うなよ」
人が住んでいるところに出られたことによる余裕からか、2人して軽口をたたき合う。
村に入るとリルカは変な顔をして辺りを見渡した。
「あれ、ここって…」
見覚えがある。確かここは…
「リルカ!」
突然柊に抱き寄せられる。そのことにリルカが赤面して抗議する。
「ちょ、ちょっとレンジ、いきなり何を」
だが、柊の顔を見て、平静を取り戻す。
リルカにも見覚えがある。あたりを警戒する、歴戦の戦士の表情。
柊はその面持ちのまま、ゆっくりと月衣から魔剣を抜く。
「何か、いる。気配を殺してやがる。素人じゃあねえな。リルカ、俺から離れんなよ」
「ん、おっけ」
小声で会話する。そして、リルカもポケットからクレストグラフを抜き出す。
時間に直せば、ほんの数十秒にも満たない時間。だが、極度の緊張状態のなかで、その時間は数時間にも感じられる。
「…!上だ!」
柊がとっさに魔剣を天に向ける。魔剣は間一髪で空からの刃を防いだ。攻撃をしてきたのは、眼帯をつけた、若い女。
「カノンさん!?」
「…!?リルカか!?」
2人が同時にお互いの名前を呼び合うと同時に。
「カノンさん、一体何があったんですか!?」
中学生ほどの少年が近くから飛び出してきた。

「すまなかった。てっきりあの赤い月が出てから現れ出したモンスターの類かと思ってな」
若い女、渡り鳥のカノンは柊に頭を下げる。
「いや、いいさ。それよか俺ら以外にも赤い月のことが変だってわかってる奴がいて安心したぜ」
「ここ、バスカーの村だったんだ」
リルカは少年、かつての仲間の1人であり、ガーディアンを使役するバスカーの神官であるティムに話かける。
「はい。でも驚きました。リルカさんが突然訪ねてくるなんて。何か御用ですか?」
「え、いや御用っていうか…あはははは」
ティムの問いをリルカは笑ってごまかした。テレポートジェムの転送ミスだなんて、言えない。
「でも、何でこの村にカノンさんがいるの?」
リルカは話題を変える。そのことに深く突っ込むことはせず、ティムは頷いて説明をする。
「ええ…実は、何日か前からグラブ・ル・ガブルが変なんです。何かが入り込んだような感じで。
そこで調査のためにカノンさんに護衛をお願いして、一緒に調べに行こうと準備をしていたら…」
「あの、赤い月が昇ったと」
「はい。村のみんなはあの赤い月が当然のことだと思っているようなんです。
それに、あの月が出てから、この辺りにいるモンスターとは思えないほど強いモンスターがひっきりなしに襲ってくるようになって。
それで動くに動けず、困っていたんです。
今のところは僕たち2人でも何とかなってますが、あんまり続くと流石に辛いかもしれません。そこで、リルカさんと、ええと…」
「柊蓮司だ」
「ヒイラギさんには、増援…アシュレーさんやブラッドさんを呼んできてもらいたいんです」
「うん。いいよ。どうせ私たちもアシュレーのところへ行くつもりだったし」
ティムの頼みにリルカは頷いた。
「ありがとうございます。助かります」
「いいっていいって…ところでティム、お願いがあるんだけど…」
リルカのお願いに、ティムは不思議そうに聞き返す。
「はい?なんですか?」
「テレポートジェム、分けてくれない?できれば5,6個」

「あんがと。できるだけ早く戻ってくるね」
テレポートジェムを十分な数補給し、リルカはティムに別れを告げる。
「はい。お気をつけて。リルカさん、あ、それともう一つ、アシュレーさんに伝えて頂けますか?」
「ん?なに?」
「グラブ・ル・ガブルの異変の直後に、ダン・ダイラムの強い力で、この世界に何かがやってきたみたいなんです。
もしかしたらそれも何か関係があるかも知れません」
「ん。分かった。一応伝えておくよ。じゃね!」
そうしてリルカは再びテレポートジェムに魔力を込め、柊と共にアシュレーの住むタウンメリアへと向かった。


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