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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第07話

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匿名ユーザー

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「…あれ?ここは…?」
上下左右どこまでも暗闇が続く空間に、リルカは立っていた。
「みんなは…?」
辺りを見回してみるが、誰もいない。
「確か、魔王の女の子があらわれて、いきなり眠くなって…!?」
思い悩むリルカに突然氷の槍が飛んでくる。
とっさにリルカは最も使い慣れたクレストグラフを取り出し、発動させる。
「ハイフレイム!」
クレストグラフから生み出された炎が氷の槍を溶かし出す。だが…
「きゃあ!」
完全には相殺できない。溶け残ったわずかな氷の刃がリルカの腕を斬り裂く。
「駄目じゃない。教えたでしょう?攻撃呪紋での打ち消しには、魔力で負けた場合を考えて、傘での防御も併用しなさいって」
氷の槍が飛んできた方向から、声が掛けられる。それはリルカと同い年くらいの少女の声。
「その声、まさか…!?」
リルカは、思わず声のほうを見る。
そこに立っているのは、リルカにそっくりな、だがわずかに大人びた少女。リルカの想い出にある、そのままの姿をしたそれは…
「久し振りね。元気にしてた?リルカ」
「お姉ちゃん!?」

それは、ベアトリーチェの生み出した悪夢…

「何で…貴様がいるッ!?」
アシュレーは目の前に立つ、漆黒の騎士に恐怖する。それは、かつての自分自身。
嫌な汗が背中を伝う。無言のままナイトブレイザーは光で出来た剣を手にアシュレーに襲いかかった。

「なるほどな…確かに悪夢だ」
ブラッドは目の前に立つ男に構える。
ARMを持った、自分と比べれば線の細い、その男に。
「久し振りだな。ビリー…いや、今はお前がブラッド・エヴァンスだったか」
あの頃と変わらぬ、にこやかな笑みを浮かべながら、かつての親友が言った。

そして…
「てやあああああああああああああああ!」
気合いと共に魔王の攻撃をかいくぐり、晶は目の前のそれを切り裂く。
「ふはは。無駄だ無駄だ。いくらあがこうと、お前ひとりでは我は倒せぬ、倒せぬのだ!」
だが、魔王は再生を繰り返す。
「くっ…回復が、早すぎる!?」
そのスピードは晶の知る魔王のそれを、はるかに超えていた。

「ハイスパーク!」
「ふふふ、フィールド!」
リルカの雷撃の魔法に対し、姉は魔法の力を弱める結界を張る。
それでは相殺しきることはできず、姉は傷を負う。だが…
「ヒール!」
それすらも先読みしていた姉は傷を負うのとほぼ同時に回復の魔法を発動させる。
傷が瞬時にふさがる。そして…
「「ハイフレイム!」」
同時に放った呪紋は、リルカに大きな火傷を負わせる。
対する姉の方は先ほど展開した結界の効果でダメージを大きく軽減していた。
「くう…ハイヒール!」
とっさに高位の回復呪紋を展開し、傷をふさぐ。
「ヒール…レジストダウン」
その間に姉は自らの回復と共にリルカに魔法への防御力を弱める魔法を放つ。
「さあ、次は倒れずにいられるかしらね?」
姉はあくまでも余裕の笑みを崩さない。
記憶にある笑みを見せられて、リルカが長らく忘れていたそれを思い出す。
(駄目…やっぱり私じゃ、お姉ちゃんには勝てないよ…)
それはシェルジュ自治区史上最高の天才、エレニアックの魔女っ子として尊敬されていた姉への劣等感。
頭では分かっている。偽物だと。だが、心がついていかない。リルカの気持ちがどんどん沈んでいく。
「さあ、もうおしまいにしましょう?」
「う…いや…」
そして、リルカの気持ちが完全に折れそうになった、その時だった。


「騙されんな!目の前のそいつはただの悪趣味な偽もんだ!」
柊蓮司の声が、その世界に響いたのは。


「!?」
その言葉に、姉の顔が歪んだのを、リルカは見逃さなかった。
「そっか…そうだよね…」
力が、湧いてくる。姉が決して見せなかった、醜悪な表情。
そんな顔をする奴が、自分の尊敬する自慢の姉のはずが、初代エレニアックの魔女っ子のはずがない!
「決着をつけるわ。次で、決める」
そう宣言し、リルカは一枚のクレストグラフを取り出す。ゼーバー。無属性の攻撃呪紋である。
「忘れたの?純粋な魔力では、私の方が上よ」
姉もまた応じるように同じクレストグラフを取り出した。

柊の言葉と共にアシュレーの戦い方が、変わる。攻撃から、防御へ。
耐えるように攻撃を捨てて回避し、バイアネットで受け流す。
長時間の戦いに焦れたナイトブレイザーは漆黒から深紅へと変わる。
自身の最大最強の熱線、それで敵を焼き払うために。

柊の声に動揺し、生まれた敵の隙を、ブラッドは見逃さない。
走り寄って、重いボディーブロウを叩き込む。
「な…ビリー…お前は俺を殺すのか?名前を奪うために」
血を吐きながら、男はブラッドに問いかける。
「ヒイラギには感謝せんといかんな…」
その言葉をブラッドは無視する。人の記憶をもてあそぶ外道にかける言葉は無い。

柊の言葉に、晶は動きを止める。致命的な隙を魔王は見逃さない。
「ぐはははは、油断したな!」
魔王の攻撃がついにまともに晶をとらえる。晶は宙に跳ね飛ばされた。

そして、すべての戦いに決着がつく。

「「ゼーバー!」」
発動は同時。2人の呪紋がちょうど2人の中間地点でぶつかり合う。
純粋な魔力のぶつかり合いならば、より魔力の大きい方が勝つ。
姉の呪紋がリルカの呪紋を押し返す。
「だから言ったじゃない。私の方が魔力が上だって」
微笑みながら姉が言う。だが、努めて平静にリルカは答えた。
「聞いてなかったの?私は、これで終わりにするって言ったの。最後の必殺技がこの程度のはず、ないでしょうが!」

デュアルキャスト。リルカの最大の必殺技。体内の全魔力を使った、2つの呪紋の同時発動。
リルカは、解き放つ。用意していたもう1つの呪紋。2発目のゼーバーを。
ぶつかりあった2つのゼーバーは、融合し、膨れ上がる。
それは、無属性呪紋の多重発動で生まれる、リルカ最大の呪紋!

「アカシックうううううううリライタあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

それはもう一つのゼーバーを打ち消し、姉の姿をした偽物もろとも世界を白く染め上げた。

「自分自身のことだったんだ。知っているさ。それは、最後の必殺技。
使った後は、すべてが空っぽになる。その程度でも、あっさり倒れてしまうほどにな」
神速のバイアネットを叩き込まれ、倒れ伏した深紅の騎士を見下ろしながら、熱線を受けてボロボロになったアシュレーが呟いた。

「さらばだ」
リミッターを解除して放つ、ブラッドのARM。その威力は通常の3倍まで高められる!
かくして、大切な親友を騙る外道は、跡形も無く吹き飛んだ。

「ば、馬鹿な…」
魔王は茫然と呟く。自らの首から飛び出した、晶の魔剣に。
「回復が速いって言うのなら…」
吹き飛ばされることで魔王の上へと回った晶が呟く。
「一撃で仕留めればいいのよ。奇襲でもなんでも使ってね」
その言葉と共に、魔王は倒れ伏した。

「あれ!?」
リルカは我に帰り辺りを見る。
確かさっきまで暗闇の空間にいたはずだったのが、いつの間にかテレパスタワーに戻ってきている。
自分の体を調べてみるが、怪我どころか服にも傷一つ無い。
他の3人も同様らしく、不思議そうな顔をして辺りを見たり自分の体を調べたりしている。
「くっ…電気信号で構成された体に傷をつけるなんて、つくづく非常識な剣ね…」
少女、ベアトリーチェの悔しそうな声が上から響く。4人はそれに反応してそちらを見た。
ベアトリーチェは、感応石の上に立っていた。腕を抑えている。
よく見れば彼女の腕は切り裂かれ、断面から漆黒の闇がのぞいていた。
「ふん…ウィザードに、常識が通用すると思うなよ」
その傷を与えた男、柊蓮司は、ベアトリーチェを見上げながら、言う。
「…くす。流石は魔王に認められたイレギュラーってところかしら。いいわ。
今度は、私のお城の中でお相手をするわ。全力でね」
そう言い残し、ベアトリーチェは空間にとけるように消えた。
ベアトリーチェが消えるのを見届け、柊は魔剣を月衣にしまう。
そして、4人の方に向きなおり、言う。
「行こうぜ。俺は、あいつだきゃあ許せねえ」
「あ、ああ…そうだな」
その顔に宿るのは、まぎれもない怒り。アシュレーがそれに圧倒される。
(な、なんかお礼とか言いづらいなあ…あれ?アキラさん?)
お礼を言いあぐねたリルカは晶がじっと柊の方を見ているのに気づいた。
悲しそうな、タウンメリアで見た、あの表情と同じ表情で。
柊はそれに気づいてはいないようだった。全身から怒りを迸らせながらさっさと行ってしまう。
「…2度も、くれはを斬らせやがって…」
去り際、柊が白くなるほど拳を握りしめ呟いたその言葉に。
「柊くん…やっぱり」
晶だけが反応する。
(何だろう…アキラさん、悲しそう…まるで…)
柊を見る晶の姿は、まるで自分自身を見ているようだとリルカは感じていた。



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