ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第02話

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柊蓮司、また下がる


「じゃあその子に何も聞かないで帰らせちゃったの?」
「いや、あいつ確か銀なんたら学園の魔弾術士って言ってたな…
見たとこ中学生っぽかったが、輝明学園みたいな組織がもうひとつあるってのか?」
青い地球が見える次元の狭間にあるアンゼロット宮殿
その待合室にて、柊蓮司は赤羽くれはに昨夜のことを話していた。
「それについては、私がお話ししましょう。」
突然の声に、赤羽くれはは「はわっ」と、柊蓮司は「あ?」と言って振り返る。
その先に居たのは、スーツに身を包んだ男だった。
年齢は不思議なことに分からず、それでも超然した存在感を持っていた。
雰囲気が似ていたため、アンゼロットと同じようないつもの反応をしてしまった二人は慌ててかしこまる。
「え~と、どちら様でしょうか?」
おそるおそる言った赤羽くれはの疑問に答えたのは、男の後に入ってきた
世界の守護者、アンゼロットだった。
「そのお方こそ、先ほど申していた銀誓館学園の校長ですよ。」
そして、校長と呼ばれた男が口を開く。
「まずは、どこから話せばいいですかね…
貴女達ウィザードが異世界からやってくる非常識と戦うように
私達銀誓館学園の能力者は、この世界で起こる非常識と戦っているのです。」
「この世界の内側って…世界結界の内側でか!?
…そんな事本当にあり得るのかよ。」

世界結界のシステムは…歴史上の裁定者達が定めた常識ともう一つ…
地球自体の意思を持って存在の許容範囲を定めています。
合わせ鏡の神子事件での珍事件は、浮かんだ二つの月が無理に世界結界を強化したから起こった事態であり
世界そのものが勇者クラスのウィザードを選ぶように
ウィザードやアンゼロット様たちが存在する為に許容されている非常識の範囲というものがあるのです。
しかし、その範囲を掻い潜って自然に入り込んでくる存在がエミュレーターとはまた別に存在しています。
我々はこの存在を、『詠唱銀』と呼んでいます。
そしてこれは普段こそ世界結界に阻まれていますが常識が少しでも揺らぐと
通常の雨に混ざって地上に降り注ぐのです。

「詠唱銀…」
あの夜降ってきた濡れない雨…あれが顕現した詠唱銀だったのかと
柊蓮司は確信した。

詠唱銀は強い意志を残して死んだ人間の残したプラーナ、残留思念を吸収して
様々な形に変容して、この世界の内側に存在を始めます。
それが恨みや怨恨、邪悪な感情であった場合は…詠唱銀は邪悪な怪物
『ゴースト』に変質してしまい、より強い残留思念を求めて人を襲います。
能力者は自ら常識を遮断するウィザード達とは違い、異世界の存在である詠唱銀を受け入れて力を発動し
ゴーストと戦ってきました…
が、異世界からの来訪者が末裔達を大規模に保護するという事態が起きましてね…

「対エミュレイターのプロであるウィザードに暫く監視をお願いしたい…ということなのです。」
説明の最後は、校長からその交渉を受けたアンゼロットが締めくくった。
「はわ!?異世界からの来訪者…その末裔?そんなのが存在できるんですか!?」
「彼らもまた、詠唱銀を受け入れているので。」
それを聞いて、柊蓮司は昨夜に出会った少女「覩槝梢」の事を思い出した。
「気にいらねぇな、エミュレイターは嫌いだがよ…
その来訪者の末裔ってのはこの時代に生きてる人間と変わらないんだろ?」
「そこはウィザード達と同じですよ、銀誓館学園もまた一枚岩ではないので
いつイレギュラーが出るか分からないので、それが彼等なら尚のことです。」
この男、どうやらアンゼロットと同じ人種のようである。
柊蓮司は舌打ちして紅茶を飲む…同時にアンゼロットは言った。
「そこで柊さん、これから私のするお願いに「はい」か「yes」でお答えください。
…貴方にはこれから銀誓館学園に通って頂きます♪」

…柊蓮司は紅茶を盛大に吹いた。

「あら汚い。」
口から紅茶をだらだら流しながら柊蓮司は言った。
「ちょっと待てよアンゼロット…俺、3か月前卒業したばっかなんだが…」
「丁度いいじゃないですかぁ、それに…今回は貴方だけじゃありませんよぉ♪」
アンゼロットはチラッと赤羽くれはの方を見た。
「は・・・はわぁっ!?私も!?」
「赤羽さんだけじゃありませんよ、他にも数名エージェントとして贈る予定です。」
「まてよ、今言った『送る』のニュアンスが違ってなかったか?」
後ろから、「は、離せ!!俺はもうクビになったんだ!!自由になったんだぁ!!」という声が聞こえる。
「柊さんは高校1年生でいいですよね♪」
「まてええぇぇぇえええええ!!!」


「え~というわけで、今日から転校してきた柊蓮司君と、赤羽くれはさんだ。」
典型的な朝礼、この空気は3ヶ月ぶりである。
方や何かに耐えるような感で、方や諦めがついたのか「よろしく~」と手を振りながら
黒板前に二人は立っていた。
銀誓館学園は輝明学園のように日本中に分校を持ってはいないものの
鎌倉市内に複数のキャンバスを持ち、その規模は計り知れないほど巨大である。
故に朝礼はその殆どがテレビによる校内放送によって行われる。
転校生の紹介が終わり、テレビ朝礼に移って数分後
『やっほー、みんな元気?おなじみ長谷川千春の運命予報TVだよ~』
「!?」「はわっ!?」
校長の演説を突然破ってテレビは新しい放送を始めた
『とりあえず噂の転校生諸君は過剰な反応しないようにね、この放送は能力者やウィザードにしか見えないの。
この前それでクラスの皆に一気に変わり者の称号を貰った人がいるから。』
どこかで明王活殺の使い手がくしゃみをした。
「お…おぅ。」「しーっ。」
気が付けば斜め前の席の生徒がこちらを見て人さし指を口にあてていた。
他を見れば、非常識な気配を感じさせない一般の生徒たち(イノセント)は退屈そうにしている
イノセントの生徒達には、校長の演説しか聞こえていないのだ。
『え~今回はなんと、異世界からの脅威と戦い世界を幾度となく救ってきた
私達や能力者の先輩、ウィザードの方々が転校することになりましたぁ。』
あくまで先生に「話すのはやめるように」と注意される程度ではあるが
教室内がざわついた。
『その中での柊蓮司先輩は最近やっと苦労して卒業したのに転入することとなった可哀想な人です
皆で慰めましょう♪』
「いらねぇよ!!てか何でそこに出てんだ!!」
横からなぜか割り込んできたアンゼロットの紹介に、柊蓮司はつい机を叩いて突っ込んでしまった。
「あ・・・・・・」
どこかで明王活殺の使い手が仲間を見つけたような気がした。

「ああぁぁぁあああぁぁぁぁ…。」
休み時間、世にも珍奇な悲鳴(?)を上げて机に突っ伏す柊蓮司。
「はわぁ、完全に変わりの称号を与えられちゃったね…笑われる男。」
「どいつもこいつも…俺をイヂメてそんなに楽しいか!?」

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