玲子の一日(よる)
―――17:30 ザールブルグに到着。新しい1日が始まる。
ザールブルグアカデミーは、今日も人でごった返してた。
魔界にも負けないくらい色々な人がところせましと歩き回る、この異世界の学園。それが私の“用事”の場所だ。
“悪魔じゃない”エルフやドワーフが、この学園世界では割と普通にいる。
そんな話は聞いていたけど、“現代系”の学園である輝明学園にいる限り、そう言う人たちを目撃する機会は少ない。
精々が居住区で見かけたり、時々冒険者っぽい人に旧校舎じゃない方のスクールメイズへの行き方を聞かれるくらい。
(ピートさんたちの話では吸血鬼と人狼は輝明学園にも何人かいるらしいけど)
だけど、このザールブルグは、違う。
ここの校長の方針で“学園世界のすべての学生”に常時開放されているこの学園は、元々が“異世界系”の学園であることもあり、
前述のエルフやドワーフ、その他様々な異種族が闊歩する、異世界情緒に満ちた場所だ。
そして、そんな場所で私が向かうのは、図書室。そこにあるカゲモリの集会所。
魔界にも負けないくらい色々な人がところせましと歩き回る、この異世界の学園。それが私の“用事”の場所だ。
“悪魔じゃない”エルフやドワーフが、この学園世界では割と普通にいる。
そんな話は聞いていたけど、“現代系”の学園である輝明学園にいる限り、そう言う人たちを目撃する機会は少ない。
精々が居住区で見かけたり、時々冒険者っぽい人に旧校舎じゃない方のスクールメイズへの行き方を聞かれるくらい。
(ピートさんたちの話では吸血鬼と人狼は輝明学園にも何人かいるらしいけど)
だけど、このザールブルグは、違う。
ここの校長の方針で“学園世界のすべての学生”に常時開放されているこの学園は、元々が“異世界系”の学園であることもあり、
前述のエルフやドワーフ、その他様々な異種族が闊歩する、異世界情緒に満ちた場所だ。
そして、そんな場所で私が向かうのは、図書室。そこにあるカゲモリの集会所。
「遅い。いつまで待たせる気だ」
茶室に入ると、エヴァさん…マスターがちょっとだけイライラした様子で、椅子に腰かけていた。
「いらっしゃいませ。玲子様、桜花様」
マスターの“護衛”である茶々丸さんがいつもみたいに深く頭を下げる。
「ごめんなさい。ちょっと色々あって…」
「すみません~。おキヌちゃんを助けてたら遅くなりました~」
あの後、必死の説得で“特訓の見学”を諦めさせていたら、遅くなってしまった。
「言い訳はいい。いつも通りだ。茶々丸と桜花はここに残れ」
「かしこまりました。それでは私はこちらで夕食の準備をさせて頂きます」
「は~い…くれぐれも殺さないでくださいね~。私がガーディアンじゃなくなっちゃうんで~」
桜花さん、さらっと怖いこと言わないでください。
「…努力はしてやる」
あのマスター…その返答は不安しか巻き起こしません。
「あの…玲二さんは?」
“新しく始まる1日”に不安を感じながら、私はマスターに“もう1人の先生”の居場所を尋ねる。
「ああ、吾妻兄なら妹と一緒に先に行ったぞ。ついでだから自分も鍛え直すそうだ。もう“1時間”経つ…出てきたか」
マスターの返事を聞くと同時に、茶室に取り付けられた飾り…中にミニチュアの入った水晶球が光り、1人の女の子が出てくる。
「……」
私を見て、無表情に一瞥し、そのまま奥へ行ってしまったその人の名前は、吾妻エレンさん。
玲二さんの妹で…物凄く強い“カゲモリ”の1人。
見た目通りの年齢では無いらしいけど、実際にいくつなのかは、私も知らない。と言うより、聞けない。
「まったく…1人で“演技”していない時の奴は本当に無愛想だな」
マスターが一言呟いて私の方に向きなおる。
「行くぞ。“新しい一日”の始まりだ。きっちり叩きこんでやる…色々と、な」
お、お手柔らかにお願いします…
茶室に入ると、エヴァさん…マスターがちょっとだけイライラした様子で、椅子に腰かけていた。
「いらっしゃいませ。玲子様、桜花様」
マスターの“護衛”である茶々丸さんがいつもみたいに深く頭を下げる。
「ごめんなさい。ちょっと色々あって…」
「すみません~。おキヌちゃんを助けてたら遅くなりました~」
あの後、必死の説得で“特訓の見学”を諦めさせていたら、遅くなってしまった。
「言い訳はいい。いつも通りだ。茶々丸と桜花はここに残れ」
「かしこまりました。それでは私はこちらで夕食の準備をさせて頂きます」
「は~い…くれぐれも殺さないでくださいね~。私がガーディアンじゃなくなっちゃうんで~」
桜花さん、さらっと怖いこと言わないでください。
「…努力はしてやる」
あのマスター…その返答は不安しか巻き起こしません。
「あの…玲二さんは?」
“新しく始まる1日”に不安を感じながら、私はマスターに“もう1人の先生”の居場所を尋ねる。
「ああ、吾妻兄なら妹と一緒に先に行ったぞ。ついでだから自分も鍛え直すそうだ。もう“1時間”経つ…出てきたか」
マスターの返事を聞くと同時に、茶室に取り付けられた飾り…中にミニチュアの入った水晶球が光り、1人の女の子が出てくる。
「……」
私を見て、無表情に一瞥し、そのまま奥へ行ってしまったその人の名前は、吾妻エレンさん。
玲二さんの妹で…物凄く強い“カゲモリ”の1人。
見た目通りの年齢では無いらしいけど、実際にいくつなのかは、私も知らない。と言うより、聞けない。
「まったく…1人で“演技”していない時の奴は本当に無愛想だな」
マスターが一言呟いて私の方に向きなおる。
「行くぞ。“新しい一日”の始まりだ。きっちり叩きこんでやる…色々と、な」
お、お手柔らかにお願いします…
―――18:00 午前中の玲二さんの授業終了。お昼を食べながら、玲二さんのアドヴァイスを受ける。
茶室の中に作られた、時間制御魔法で“1時間が1日”になる訓練所『エヴァの修錬場』
平日のうちの“1日”と土曜日の“1週間”を私はそこで過ごし、2人の先生から特訓を受けている。
『タバサ直々の推薦だから入れるが…今の実力では足手まといだ。他の連中に追いつくまで鍛えるから覚悟しておけ』
私と桜花さんがタバサさんの推薦で正式にカゲモリになった初日。マスターは、私にそう言って、今の特訓を課した。
ちなみに桜花さんは外で待っている。桜花さんが一緒だと甘えが出るからと言うのが、マスターの弁だ。
平日のうちの“1日”と土曜日の“1週間”を私はそこで過ごし、2人の先生から特訓を受けている。
『タバサ直々の推薦だから入れるが…今の実力では足手まといだ。他の連中に追いつくまで鍛えるから覚悟しておけ』
私と桜花さんがタバサさんの推薦で正式にカゲモリになった初日。マスターは、私にそう言って、今の特訓を課した。
ちなみに桜花さんは外で待っている。桜花さんが一緒だと甘えが出るからと言うのが、マスターの弁だ。
銃の訓練はいつもくもり空の荒涼とした荒野で行われる。目の前にはところどころにある様々なターゲットだけ。
それと最低限の生活が可能なログハウス。それしか無い寂しいところだ。
パン!パン!パン!…カチッ
全マガジンの弾丸を撃ち尽くしたのを確認して私はほっと肩を下ろす。
『とりあえず、今日は…あいつをひたすら撃ってみてくれ。もちろんちゃんと狙って、な。ちょっと見てみたいことがある』
そう、玲二さんは言い残して奥の小屋に引っ込んでしまった。いい匂いがしてる。何か作ってるのかな?
「…お。ちょうど撃ち終わったか?」
「…はい。結構弾数があったので疲れました」
振り返ると、そこには高校生には無い“大人っぽさ”と、おいしそうな焦げたケチャップの匂いを漂わせた玲二さん。
「…やっぱりか…」
玲二さんはそれ…30m先に取り付けられた人型のターゲットの紙を回収して、しげしげと眺めて一言だけ声をもらした。
『お前が使えるのは、魔法と銃か…分かった。魔法はこの私が直々に仕込んでやる。銃は吾妻…兄の方だな』
そう言ってマスターが連れて来たのが私の銃の先生“吾妻兄”こと吾妻玲二(あづまれいじ)さん。
“カゲモリ”で1番銃の扱いに長けている(ちなみに2番目はさっき会った玲二さんの妹のエレンさんだ)人で、素人同然の私に銃の扱いを教えてくれる先生だ。
マスターが選んだだけあって、玲二さんに教わるようになってから、私の銃の腕はかなり上がった。
「えっと、どうですか?」
一言言ったきり考え込んでいた玲二さんに、私はたずねる。
「う~ん…詳しいことは中でメシ食ってから話そうか」
そう言うと玲二さんはその紙をくるくると丸めて小屋の中へと入って行った。
それと最低限の生活が可能なログハウス。それしか無い寂しいところだ。
パン!パン!パン!…カチッ
全マガジンの弾丸を撃ち尽くしたのを確認して私はほっと肩を下ろす。
『とりあえず、今日は…あいつをひたすら撃ってみてくれ。もちろんちゃんと狙って、な。ちょっと見てみたいことがある』
そう、玲二さんは言い残して奥の小屋に引っ込んでしまった。いい匂いがしてる。何か作ってるのかな?
「…お。ちょうど撃ち終わったか?」
「…はい。結構弾数があったので疲れました」
振り返ると、そこには高校生には無い“大人っぽさ”と、おいしそうな焦げたケチャップの匂いを漂わせた玲二さん。
「…やっぱりか…」
玲二さんはそれ…30m先に取り付けられた人型のターゲットの紙を回収して、しげしげと眺めて一言だけ声をもらした。
『お前が使えるのは、魔法と銃か…分かった。魔法はこの私が直々に仕込んでやる。銃は吾妻…兄の方だな』
そう言ってマスターが連れて来たのが私の銃の先生“吾妻兄”こと吾妻玲二(あづまれいじ)さん。
“カゲモリ”で1番銃の扱いに長けている(ちなみに2番目はさっき会った玲二さんの妹のエレンさんだ)人で、素人同然の私に銃の扱いを教えてくれる先生だ。
マスターが選んだだけあって、玲二さんに教わるようになってから、私の銃の腕はかなり上がった。
「えっと、どうですか?」
一言言ったきり考え込んでいた玲二さんに、私はたずねる。
「う~ん…詳しいことは中でメシ食ってから話そうか」
そう言うと玲二さんはその紙をくるくると丸めて小屋の中へと入って行った。
「まず、これを見てどう思う?」
玲二さんの作ったナポリタンを食べ終え、食後のコーヒーを私の前に置いた玲二さんは先ほどのターゲットをポスターのように壁に貼り付けて私に問う。
えっと…
「命中率が、悪いと思います。半分くらいしか当たってない…やっぱりまだまだ、ですよね?」
改めて確認すると分かる。撃った弾数の半分くらいしか、人型のシルエットに当たっていない。これでも前よりは当たるようになったけど。
「う~ん、そこじゃないんだけど…まあ、間違いでもないかな?」
だけど、玲二さんは私の答えに不満らしい。傍らにあったマジックを取ってつかつかとターゲットに近づき、2つ大きく丸をつける。
「玲子が狙った場所、頭と胸の中心…心臓に集中してるだろ?」
「あ…はい」
言われて見れば。確かに確実に相手を倒すのなら、そこを狙った方がいいかなと思って撃っていたと思う。
「それが問題だな」
「え?そうなんですか?」
玲二さんは頷いて解説する。
「頭と心臓。この2つが急所だってことは子供でも知っている。それだけに喰らうのを一番警戒する場所だ。慣れてるやつならまず間違いなく守ってる。
それに小さい。今回みたいに動かないターゲットでこの命中率だと、動いてる奴に当てるのはかなり難しいな」
頷く。確かに悪魔相手に銃を使っていたときも、もっと近くだったのに結構外した。
「だから狙うなら…」
玲二さんは再びきゅっと丸をつける。
「腹。一番動きが少なくて、警戒もうすい、そして多少それてもどっかには当たる“当てやすい場所”だ」
そう言ってポスターのほぼど真ん中に大きく。
「それでいいんですか?」
私は思わず聞き返した。
「いいって?」
「え、だって…」
腹では、当ててもすぐには倒せない。
そんな私の疑問を察した玲二さんが丁寧に答えてくれる。
「玲子にとって、メインは魔法。銃はあくまで護身用のサブウェポン。別に銃1つで俺やエレン、ライズ辺りに並びたいって言うんじゃないだろ?」
すらすらと魔法を使えない…逆に言えば魔法なしで他の人たちに匹敵する実力を持つカゲモリの人たちの名前を挙げる。
「そう、ですね…無理だと思います」
それに、私は頷く。
前に、先ほど玲二さんの言った2人…エレンさんとライズさんの“練習”を見たことがある。
とても眼で追えない速度で舞いのように模擬剣を繰り出すライズさんと、その剣を持った相手にゴム弾を詰めたハンドガンと刃止めしたナイフだけで“近接戦”を行うエレンさん。
(玲二さんに言わせれば『剣1本でエレンと渡り合えるライズの方が何者なのかと思う』と言う話だったけど)
私が、あの2人みたいな人と銃だけで戦う…考えただけでぞっとする“自殺行為”だ。
「ならば、銃なんていざって時に的に当たって動きを止められれば、それでいい。止めて時間を稼いで、魔法で倒すか、桜花に守って貰えばいいんだ」
そう言えば、マスターもそんなことを言っていた。後衛の“魔法使い”の体術は最低限自分の身を守るもの。後衛を守るのが前衛の仕事だと。
「…それに、俺がエヴァとしたのは玲子に銃で身を守る方法を教えるって約束だ。殺す方法は教えるつもりはない」
ふと、呟くように、そんな風に言う。
「…教え子に死なれるのは嫌だから、そこだけは全力で教えるけどな」
そう呟いた玲二さんは、酷く悲しそうな瞳をしていた。
玲二さんの作ったナポリタンを食べ終え、食後のコーヒーを私の前に置いた玲二さんは先ほどのターゲットをポスターのように壁に貼り付けて私に問う。
えっと…
「命中率が、悪いと思います。半分くらいしか当たってない…やっぱりまだまだ、ですよね?」
改めて確認すると分かる。撃った弾数の半分くらいしか、人型のシルエットに当たっていない。これでも前よりは当たるようになったけど。
「う~ん、そこじゃないんだけど…まあ、間違いでもないかな?」
だけど、玲二さんは私の答えに不満らしい。傍らにあったマジックを取ってつかつかとターゲットに近づき、2つ大きく丸をつける。
「玲子が狙った場所、頭と胸の中心…心臓に集中してるだろ?」
「あ…はい」
言われて見れば。確かに確実に相手を倒すのなら、そこを狙った方がいいかなと思って撃っていたと思う。
「それが問題だな」
「え?そうなんですか?」
玲二さんは頷いて解説する。
「頭と心臓。この2つが急所だってことは子供でも知っている。それだけに喰らうのを一番警戒する場所だ。慣れてるやつならまず間違いなく守ってる。
それに小さい。今回みたいに動かないターゲットでこの命中率だと、動いてる奴に当てるのはかなり難しいな」
頷く。確かに悪魔相手に銃を使っていたときも、もっと近くだったのに結構外した。
「だから狙うなら…」
玲二さんは再びきゅっと丸をつける。
「腹。一番動きが少なくて、警戒もうすい、そして多少それてもどっかには当たる“当てやすい場所”だ」
そう言ってポスターのほぼど真ん中に大きく。
「それでいいんですか?」
私は思わず聞き返した。
「いいって?」
「え、だって…」
腹では、当ててもすぐには倒せない。
そんな私の疑問を察した玲二さんが丁寧に答えてくれる。
「玲子にとって、メインは魔法。銃はあくまで護身用のサブウェポン。別に銃1つで俺やエレン、ライズ辺りに並びたいって言うんじゃないだろ?」
すらすらと魔法を使えない…逆に言えば魔法なしで他の人たちに匹敵する実力を持つカゲモリの人たちの名前を挙げる。
「そう、ですね…無理だと思います」
それに、私は頷く。
前に、先ほど玲二さんの言った2人…エレンさんとライズさんの“練習”を見たことがある。
とても眼で追えない速度で舞いのように模擬剣を繰り出すライズさんと、その剣を持った相手にゴム弾を詰めたハンドガンと刃止めしたナイフだけで“近接戦”を行うエレンさん。
(玲二さんに言わせれば『剣1本でエレンと渡り合えるライズの方が何者なのかと思う』と言う話だったけど)
私が、あの2人みたいな人と銃だけで戦う…考えただけでぞっとする“自殺行為”だ。
「ならば、銃なんていざって時に的に当たって動きを止められれば、それでいい。止めて時間を稼いで、魔法で倒すか、桜花に守って貰えばいいんだ」
そう言えば、マスターもそんなことを言っていた。後衛の“魔法使い”の体術は最低限自分の身を守るもの。後衛を守るのが前衛の仕事だと。
「…それに、俺がエヴァとしたのは玲子に銃で身を守る方法を教えるって約束だ。殺す方法は教えるつもりはない」
ふと、呟くように、そんな風に言う。
「…教え子に死なれるのは嫌だから、そこだけは全力で教えるけどな」
そう呟いた玲二さんは、酷く悲しそうな瞳をしていた。
…カゲモリの“ルール”の1つに、“他のカゲモリの過去を詮索しないこと”と言うのがある。
最初は、みんな知られたくない過去があるから位に思っていた…私自身“秘密”があるから。
でも、本当は…
最初は、みんな知られたくない過去があるから位に思っていた…私自身“秘密”があるから。
でも、本当は…
「…そう、そんなのは、1回で十分だ」
その人に過去を“思い出させない”ためなのかも知れない。
「…さてと、そろそろ“午後の授業”だろ?」
う。玲二さんの言葉でそれに気づいた私は顔をしかめる。
午後の授業。それはマスター直々の“魔法”の訓練。
多分今日も私は、酷い目にあうんだろう。
その人に過去を“思い出させない”ためなのかも知れない。
「…さてと、そろそろ“午後の授業”だろ?」
う。玲二さんの言葉でそれに気づいた私は顔をしかめる。
午後の授業。それはマスター直々の“魔法”の訓練。
多分今日も私は、酷い目にあうんだろう。
―――18:30 マスターの授業終了。さつきさんがマスターを怒らせる。
「お、終わった…」
一応向こうでも寝た(3時間くらいだけど)のに疲れをたっぷりと残して私はエヴァの修錬場から脱出する。
「フン…やはり『ぼうや』のようには行かんか」
対するマスターは疲れた様子は無い。いくらあの中ではマスターの“本来の魔力”がある程度は戻ると言っても、タフすぎだと思う。
一応向こうでも寝た(3時間くらいだけど)のに疲れをたっぷりと残して私はエヴァの修錬場から脱出する。
「フン…やはり『ぼうや』のようには行かんか」
対するマスターは疲れた様子は無い。いくらあの中ではマスターの“本来の魔力”がある程度は戻ると言っても、タフすぎだと思う。
マスターは、タバサさん以上の魔法制御技術と学園世界屈指…“魔王級”の魔力を併せ持った恐ろしい人だ…本来ならば。
今は“学園結界”と言う呪いの一種の影響で、魔力の方が物凄く弱体化しているらしい。
この学園世界に来てからは豊富な魔力がある学園世界の影響で“学園結界”の範囲が広がり(輝明学園の“世界結界”の残滓と混ざりあった結果だと言っていた)、
結果としてカゲモリの『課外活動』としてなら学園世界のどこへでも行けるが、代わりに何処に行っても“学園結界”の影響を受けると言う。
今は“学園結界”と言う呪いの一種の影響で、魔力の方が物凄く弱体化しているらしい。
この学園世界に来てからは豊富な魔力がある学園世界の影響で“学園結界”の範囲が広がり(輝明学園の“世界結界”の残滓と混ざりあった結果だと言っていた)、
結果としてカゲモリの『課外活動』としてなら学園世界のどこへでも行けるが、代わりに何処に行っても“学園結界”の影響を受けると言う。
「へえ~、桜花ちゃんは今学校通ってるんだ」
「ええ~、30年ほどサボってたんでついて行くのが大変ですけどね~」
部屋では桜花さんといつの間にか起き出してきたさつきさんが話をしていた。
「いいなあ~、私もこんな身体じゃなかったら学校通うんだけどな~」
さつきさんが溜息をついて言う。
さつきさんはマスターと同じ“吸血鬼”だ。
ただ600年位前に吸血鬼になったマスターに対して、さつきさんは吸血鬼になってから1年経っていない。
マスターによれば半年で今の領域に達した“天才”だと言う話だが、普段話しているさつきさんはそんなことを思わせない、普通の女の子だ。
だけど、そこはやっぱり吸血鬼。太陽の光が苦手だから昼間は外に出ないし、その外では“カレー臭のする恐~い人”に狙われているとかで夜も無闇に外には出ない。
任務中以外はずっとこの茶室で過ごす、引きこもり系不登校児(本人談)だ。
「ああ、せめてちょっとだけでも学校行って、遠野君と会えたらな~」
だら~っとさつきさんが伸びているさつきさんに、マスターがたずねる。
「…なんだ、さつきはそんなに学校に行きたかったのか?」
「え?そりゃあ…まあ。一応まだ退学処分にはなってない学生ですし、やっぱり普通の高校生として暮らしたいな~って」
「フン。そうならそうと早く言えば良かったものを」
そう言うとマスターはいや~な予感がする笑みを浮かべて言う。
「それなら、この私が学校に行ける“呪い(まじない)”をしてやろう」
「え!?おまじない!?本当ですか!?」
思わず立ち上がって聞き返すさつきさん。
「ああ、効果はこの私が保証してやる」
重々しく頷く、マスター。
「それで…どんなおまじないなんですか?」
ごくりと唾をのみ、さつきさんがマスターに尋ねる。
「ああ、極めて強力な呪い(まじない)…名を“登校地獄”と言う」
「「「と、登校地獄!?」」」
あまりのインパクトにさつきさんと桜花さん、私の声がハモる。って言うかマスターなんですかそのネーミング。
「ああ、これはすごいぞ。何しろ学園と学園のある街からは一歩も出ることが出来なくなり、学校行事以外では旅行1つ出来なくなる。
かけ方次第ではそれすら出来んがな。それに無事卒業を迎えれば次の春には晴れて同じ学校の新入生。エンドレスで学校に通えるぞ。良かったな~」
…あのう、それって…
「あの~エヴァさん、むしろエヴァ様?」
「なんだ?」
さつきさんも恐らくは同じ疑問を抱いたらしく、おずおずとマスターに尋ねる。
「それって…おまじないじゃなくて…呪い(のろい)って言いません?」
「…はっはっは。何を言う」
あの、マスター。すごく…白々しいです。
「字は一緒だろう?」
「せめて否定して下さいエヴァ様!?」
さつきさんが悲鳴を上げる。
「それで、どうする?これでもこの魔法を私は15年ほど研究しているからな。元の世界でも屈指の専門家だ。
何ならお前が100年頑張っても解けないくらいの強さで掛けてやってもいいぞ?」
「全力でお断りします!」
即答。ですよね。
「ほう?いいのか?」
「って言うかむしろなんでそんな恐ろしいもの…そんなのにかかったら、かかったら…」
さつきさんが溜めてから、言葉を飛ばす。
「遠野くんが卒業したら2度と会えないじゃないですか!?」
問題そこなの!?
「ええ~、30年ほどサボってたんでついて行くのが大変ですけどね~」
部屋では桜花さんといつの間にか起き出してきたさつきさんが話をしていた。
「いいなあ~、私もこんな身体じゃなかったら学校通うんだけどな~」
さつきさんが溜息をついて言う。
さつきさんはマスターと同じ“吸血鬼”だ。
ただ600年位前に吸血鬼になったマスターに対して、さつきさんは吸血鬼になってから1年経っていない。
マスターによれば半年で今の領域に達した“天才”だと言う話だが、普段話しているさつきさんはそんなことを思わせない、普通の女の子だ。
だけど、そこはやっぱり吸血鬼。太陽の光が苦手だから昼間は外に出ないし、その外では“カレー臭のする恐~い人”に狙われているとかで夜も無闇に外には出ない。
任務中以外はずっとこの茶室で過ごす、引きこもり系不登校児(本人談)だ。
「ああ、せめてちょっとだけでも学校行って、遠野君と会えたらな~」
だら~っとさつきさんが伸びているさつきさんに、マスターがたずねる。
「…なんだ、さつきはそんなに学校に行きたかったのか?」
「え?そりゃあ…まあ。一応まだ退学処分にはなってない学生ですし、やっぱり普通の高校生として暮らしたいな~って」
「フン。そうならそうと早く言えば良かったものを」
そう言うとマスターはいや~な予感がする笑みを浮かべて言う。
「それなら、この私が学校に行ける“呪い(まじない)”をしてやろう」
「え!?おまじない!?本当ですか!?」
思わず立ち上がって聞き返すさつきさん。
「ああ、効果はこの私が保証してやる」
重々しく頷く、マスター。
「それで…どんなおまじないなんですか?」
ごくりと唾をのみ、さつきさんがマスターに尋ねる。
「ああ、極めて強力な呪い(まじない)…名を“登校地獄”と言う」
「「「と、登校地獄!?」」」
あまりのインパクトにさつきさんと桜花さん、私の声がハモる。って言うかマスターなんですかそのネーミング。
「ああ、これはすごいぞ。何しろ学園と学園のある街からは一歩も出ることが出来なくなり、学校行事以外では旅行1つ出来なくなる。
かけ方次第ではそれすら出来んがな。それに無事卒業を迎えれば次の春には晴れて同じ学校の新入生。エンドレスで学校に通えるぞ。良かったな~」
…あのう、それって…
「あの~エヴァさん、むしろエヴァ様?」
「なんだ?」
さつきさんも恐らくは同じ疑問を抱いたらしく、おずおずとマスターに尋ねる。
「それって…おまじないじゃなくて…呪い(のろい)って言いません?」
「…はっはっは。何を言う」
あの、マスター。すごく…白々しいです。
「字は一緒だろう?」
「せめて否定して下さいエヴァ様!?」
さつきさんが悲鳴を上げる。
「それで、どうする?これでもこの魔法を私は15年ほど研究しているからな。元の世界でも屈指の専門家だ。
何ならお前が100年頑張っても解けないくらいの強さで掛けてやってもいいぞ?」
「全力でお断りします!」
即答。ですよね。
「ほう?いいのか?」
「って言うかむしろなんでそんな恐ろしいもの…そんなのにかかったら、かかったら…」
さつきさんが溜めてから、言葉を飛ばす。
「遠野くんが卒業したら2度と会えないじゃないですか!?」
問題そこなの!?
「…ほほう」
「たった2年…遠野君が卒業したらそれっきりなんですよ!?これでも私の初恋なんです!正直競争率高すぎで厳しいのは分かってるけど…でも、諦めたくはないんです!」
うわあ…さつきさんって結構情熱的だったんだなあ…
そんなことを思いながらマスターの方を見て…私は固まった。
「そ~かそ~か…その遠野君とやらを追いかけて結ばれたいから、学校に行きたい、と」
な、なんと言う威圧感!?って言うか魔力は封印されてたんじゃないですかマスター!?
「玲子!」
異変を察知した桜花さんが離脱して私の傍らに立つ。肉体回収とか言ってる場合じゃない。
「それは、私への当てつけだと見ていいんだよな?弓塚さつきぃ…」
威圧感を纏いながらさつきさんをフルネームで呼ぶマスター。笑顔なのがむしろ怖い。
「な、何のことですか!?」
さつきさんの問いかけには答えず、マスターは淡々と宣言する。
「特別だ。この『闇の福音』の全身全霊をもってお前に登校地獄を掛けてやろう…永遠に解けないよう、念入りになぁ…」
ピシピシと音すら立てて部屋の温度が下がる。こ、怖すぎる!
「むう…このままだと茶室が消滅しかねませんね~」
桜花さんが“戦闘の時の顔”で辺りに月匣を張り巡らせる。旧校舎の時よりも本気に見えるのは、気のせいですか?
「なぁ~に心配せんでも5,6回高校生を繰り返せば案外その遠野君とやらの息子辺りがお前のクラスの担任として来るかも知れんぞぉ?」
何ですかマスターそのありえない設定。って言うか5,6回だと先生どころかまだ高校すら卒業してませんよその子。
「そ、そんな…それって遠野君と私が結ばれないの確定じゃないですか!?」
さつきさんも。何でそれをさらっと受け入れてますか?
「いいですか?機会を見つけたら即、逃げてください~。ここは私が、食い止めます…帰ったら、おいしいご飯を作ってくださいね~」
桜花さん、真面目な顔でそんな死にそうなセリフ吐かないでください。
「私は、負けない!呪いになんて頼らないで、遠野君と結ばれて見せる!エヴァ様…いや、エヴァンジェリン!あなたの好きには、させない!」
さつきさんも、そんなかっこいいこと言ってないでマスターをなだめてください。
「ならば、抗って見せるがいい…無駄なあがきだけどなぁ!共に、地獄に落ちようじゃないかぁ…」
マスターも、どう見ても悪役ですよ今のセリフ。
…え?さっきから私が覚めすぎじゃないかって?
「たった2年…遠野君が卒業したらそれっきりなんですよ!?これでも私の初恋なんです!正直競争率高すぎで厳しいのは分かってるけど…でも、諦めたくはないんです!」
うわあ…さつきさんって結構情熱的だったんだなあ…
そんなことを思いながらマスターの方を見て…私は固まった。
「そ~かそ~か…その遠野君とやらを追いかけて結ばれたいから、学校に行きたい、と」
な、なんと言う威圧感!?って言うか魔力は封印されてたんじゃないですかマスター!?
「玲子!」
異変を察知した桜花さんが離脱して私の傍らに立つ。肉体回収とか言ってる場合じゃない。
「それは、私への当てつけだと見ていいんだよな?弓塚さつきぃ…」
威圧感を纏いながらさつきさんをフルネームで呼ぶマスター。笑顔なのがむしろ怖い。
「な、何のことですか!?」
さつきさんの問いかけには答えず、マスターは淡々と宣言する。
「特別だ。この『闇の福音』の全身全霊をもってお前に登校地獄を掛けてやろう…永遠に解けないよう、念入りになぁ…」
ピシピシと音すら立てて部屋の温度が下がる。こ、怖すぎる!
「むう…このままだと茶室が消滅しかねませんね~」
桜花さんが“戦闘の時の顔”で辺りに月匣を張り巡らせる。旧校舎の時よりも本気に見えるのは、気のせいですか?
「なぁ~に心配せんでも5,6回高校生を繰り返せば案外その遠野君とやらの息子辺りがお前のクラスの担任として来るかも知れんぞぉ?」
何ですかマスターそのありえない設定。って言うか5,6回だと先生どころかまだ高校すら卒業してませんよその子。
「そ、そんな…それって遠野君と私が結ばれないの確定じゃないですか!?」
さつきさんも。何でそれをさらっと受け入れてますか?
「いいですか?機会を見つけたら即、逃げてください~。ここは私が、食い止めます…帰ったら、おいしいご飯を作ってくださいね~」
桜花さん、真面目な顔でそんな死にそうなセリフ吐かないでください。
「私は、負けない!呪いになんて頼らないで、遠野君と結ばれて見せる!エヴァ様…いや、エヴァンジェリン!あなたの好きには、させない!」
さつきさんも、そんなかっこいいこと言ってないでマスターをなだめてください。
「ならば、抗って見せるがいい…無駄なあがきだけどなぁ!共に、地獄に落ちようじゃないかぁ…」
マスターも、どう見ても悪役ですよ今のセリフ。
…え?さっきから私が覚めすぎじゃないかって?
…ついていけてないだけです。ぶっちゃけた話。
―――20:30 アカデミーの外で、タバサさんと会う。タバサさんの新しいお友達とご挨拶する。
「すっかり真っ暗ですね~」
ザールブルグから居住区への道を歩きながら、さっきまでのことが嘘だったように朗らかに言う桜花さん。
「そうですね~。いやあ茶々丸さんの手料理、おいしかったなあ~」
私も調子を合せる。
ザールブルグから居住区への道を歩きながら、さっきまでのことが嘘だったように朗らかに言う桜花さん。
「そうですね~。いやあ茶々丸さんの手料理、おいしかったなあ~」
私も調子を合せる。
…さっきの出来事はあの場にいた全員、お互い忘れることにした。って言うか5人がかり(私除く)で対等ってどういうことですかマスター。
閑話休題。
閑話休題。
「そう言えば~、玲子は大丈夫でしたか~?」
「はい。茶室の最奥の客室にずっと隠れてましたから」
ヤバいと思ったら即逃げる。魔界で培った経験は、私の中でまだ生きていたらしい。
あの後、なんとかマスターを“鎮めた”後、茶々丸さんの手料理をご馳走になった。
正直色んな意味で晩御飯を作るだけの気力は残っていなかったのでありがたかった。
その結果、いつもより帰りが遅くなったけど。
「でも、やっぱりこの時間になると寂しいですね…」
夕方、人でごった返すザールブルグも最終下校時間を過ぎると一気に閑散とする。
この時間になると歩きまわる人も減るし、夜まで遊びたい人は夜も営業している店のある学園都市の方に行く。
「はい~。まるで幽霊でも出そうですね~」
いや、アンタが言いますか桜花さん。とはいえ。
「まあ、そうですね…こう、怪談とかだと突然目の前に小さい子供の幽霊とかが」
いた。
「うわっ!?」
青い髪と、金髪の、小さな2人の女の子が道にぬぼ~っと、人形のような無表情で立っていた。
…え?青い髪?
「おや~?こんばんわ~タバサさ~ん」
「あ、た、タバサさん!こ、こんばんわ!」
うっかりしていた。タバサさんを幽霊と見間違えるなんて。
「「こんばんわ」」
タバサさんとタバサさんと一緒にいた女の子が2人して挨拶を返す。
「そちらの可愛らしい方は、どちら様ですか~?」
桜花さんがたずねる。確かに可愛い子だ。なんて言うか、人形みたいな感じ。
タバサさんと同じく、ショートヘアーに切りそろえられた金髪の上に猫の耳みたいに2つに別れた黒い帽子をかぶっている。耳が長いからエルフって奴なのかもしれない。
タバサさんと同じくらいの背格好で、着ているのは紺色の制服。大きなピンク色の鞄には中いっぱいに良く分からない色々なアイテムが入っている。
なんとなく、タバサさんの生き別れの妹ですって言われたら信じてしまいそうな、タバサさんによく似た雰囲気を持つ女の子だった。
「この子は…」
桜花さんに聞かれて、タバサさんはついと目くばせ。その子が頷いて喋り出す。
「はい。茶室の最奥の客室にずっと隠れてましたから」
ヤバいと思ったら即逃げる。魔界で培った経験は、私の中でまだ生きていたらしい。
あの後、なんとかマスターを“鎮めた”後、茶々丸さんの手料理をご馳走になった。
正直色んな意味で晩御飯を作るだけの気力は残っていなかったのでありがたかった。
その結果、いつもより帰りが遅くなったけど。
「でも、やっぱりこの時間になると寂しいですね…」
夕方、人でごった返すザールブルグも最終下校時間を過ぎると一気に閑散とする。
この時間になると歩きまわる人も減るし、夜まで遊びたい人は夜も営業している店のある学園都市の方に行く。
「はい~。まるで幽霊でも出そうですね~」
いや、アンタが言いますか桜花さん。とはいえ。
「まあ、そうですね…こう、怪談とかだと突然目の前に小さい子供の幽霊とかが」
いた。
「うわっ!?」
青い髪と、金髪の、小さな2人の女の子が道にぬぼ~っと、人形のような無表情で立っていた。
…え?青い髪?
「おや~?こんばんわ~タバサさ~ん」
「あ、た、タバサさん!こ、こんばんわ!」
うっかりしていた。タバサさんを幽霊と見間違えるなんて。
「「こんばんわ」」
タバサさんとタバサさんと一緒にいた女の子が2人して挨拶を返す。
「そちらの可愛らしい方は、どちら様ですか~?」
桜花さんがたずねる。確かに可愛い子だ。なんて言うか、人形みたいな感じ。
タバサさんと同じく、ショートヘアーに切りそろえられた金髪の上に猫の耳みたいに2つに別れた黒い帽子をかぶっている。耳が長いからエルフって奴なのかもしれない。
タバサさんと同じくらいの背格好で、着ているのは紺色の制服。大きなピンク色の鞄には中いっぱいに良く分からない色々なアイテムが入っている。
なんとなく、タバサさんの生き別れの妹ですって言われたら信じてしまいそうな、タバサさんによく似た雰囲気を持つ女の子だった。
「この子は…」
桜花さんに聞かれて、タバサさんはついと目くばせ。その子が頷いて喋り出す。
「ルーシーです。ルーシー・ミンシアード。光綾学園の冒険科で、スカウト志望です。よろしく」
その子…ルーシーちゃんが表情を変えること無くすらすらと言う。
「どうも~倉沢桜花です~。桜花ちゃんとでもお呼びください~」
「あ、ど、どうも。赤根沢玲子です。よろしく」
私達も慌てて自己紹介を返す。
「前に交換留学でトリステインに来た時に、仲良くなった」
「なるほど~、冒険者の方でしたか~」
タバサさんの説明に桜花さんがうんうん頷いている。そう言えば光綾って異世界系の冒険者の学校だっけ?
確か、タバサさんの学園の隣にあるって言う。
「それで~、ルーシーちゃんはおいくつですか~?」
「18です」
「なるほど~18歳ですか~」
そっかあ。ルーシーちゃんは18歳かあ…
「…18ぃ!?」
ルーシーちゃんが思いっきり年上だったことに私は思わず驚いて声を上げる。
「…そうです。18歳。子供がやっちゃいけない色々も可能な年齢です。“アダルティー・ルーシー”とお呼びください」
私の発言に気分を害したのかルーシーさんはちょっとだけむっとした表情で私に言う。
「…ルーシーは罠の専門家。見つけるのも外すのも得意。ダンジョンに潜るときに、組んでいる」
それを取りなすようにタバサさんがルーシーさんについて詳しく説明を始める。
「ダンジョンに潜るなら、罠の専門家は必須。今日は今週末一緒に行く暗黒不思議学園の『百万迷宮』の攻略準備をしていた」
「あそこは面白ラッキーアイテムもありますが特殊な罠やモンスターも多いですから、普通のダンジョンのつもりで挑むと危険です」
「…頼りにしている」
「はい。私もユウキもニィさんも魔法は全く使えませんから、魔法の専門家であるタバサの存在は、心強いです」
「そのかわり…」
「はい。“復活薬”が出たらタバサの取り分、失われし伝説の秘宝、“マスタースクリーン”が出たら私が貰う。他は各々折半です。いいですね?」
「分かった。次は攻略ルート…」
「それと食事のタイミングです」
そこから発展してタバサさんとルーシーさんが話し合いを開始する。なかなか白熱した議論で、私たちが入る余地はない。
「そ、それじゃ私たちはこの辺で」
「はい~。詳しい話は月曜日にでも聞かせてくださいね~」
気を利かせて私たちはそっと離れる。どうやら耳に入ってないようで2人は議論を続けている。
「なんと言うか~。似たもの同士ですね~見た目も中身も~」
同感です。
その子…ルーシーちゃんが表情を変えること無くすらすらと言う。
「どうも~倉沢桜花です~。桜花ちゃんとでもお呼びください~」
「あ、ど、どうも。赤根沢玲子です。よろしく」
私達も慌てて自己紹介を返す。
「前に交換留学でトリステインに来た時に、仲良くなった」
「なるほど~、冒険者の方でしたか~」
タバサさんの説明に桜花さんがうんうん頷いている。そう言えば光綾って異世界系の冒険者の学校だっけ?
確か、タバサさんの学園の隣にあるって言う。
「それで~、ルーシーちゃんはおいくつですか~?」
「18です」
「なるほど~18歳ですか~」
そっかあ。ルーシーちゃんは18歳かあ…
「…18ぃ!?」
ルーシーちゃんが思いっきり年上だったことに私は思わず驚いて声を上げる。
「…そうです。18歳。子供がやっちゃいけない色々も可能な年齢です。“アダルティー・ルーシー”とお呼びください」
私の発言に気分を害したのかルーシーさんはちょっとだけむっとした表情で私に言う。
「…ルーシーは罠の専門家。見つけるのも外すのも得意。ダンジョンに潜るときに、組んでいる」
それを取りなすようにタバサさんがルーシーさんについて詳しく説明を始める。
「ダンジョンに潜るなら、罠の専門家は必須。今日は今週末一緒に行く暗黒不思議学園の『百万迷宮』の攻略準備をしていた」
「あそこは面白ラッキーアイテムもありますが特殊な罠やモンスターも多いですから、普通のダンジョンのつもりで挑むと危険です」
「…頼りにしている」
「はい。私もユウキもニィさんも魔法は全く使えませんから、魔法の専門家であるタバサの存在は、心強いです」
「そのかわり…」
「はい。“復活薬”が出たらタバサの取り分、失われし伝説の秘宝、“マスタースクリーン”が出たら私が貰う。他は各々折半です。いいですね?」
「分かった。次は攻略ルート…」
「それと食事のタイミングです」
そこから発展してタバサさんとルーシーさんが話し合いを開始する。なかなか白熱した議論で、私たちが入る余地はない。
「そ、それじゃ私たちはこの辺で」
「はい~。詳しい話は月曜日にでも聞かせてくださいね~」
気を利かせて私たちはそっと離れる。どうやら耳に入ってないようで2人は議論を続けている。
「なんと言うか~。似たもの同士ですね~見た目も中身も~」
同感です。
―――22:00 部屋の前でねがいさんと会う。今夜もパソコンでゲームらしい。
「ふぁ…ちょっと眠い…」
お風呂に入ってパジャマに着替えたら、一気に眠気が襲ってきた。
「くー…すー…」
桜花さんは戦いで疲れたのかもう寝てるし。
「でも、ちゃんとやることやらないと、寝たらまずいよね…」
正直私ももう寝たいけど、学生の本分は勉強。予習復習は怠らないようにしないと。
「しょ~がない…」
私は立ち上がり、外に出る。
目的地はすぐそこ、寮に備え付けの自販機。コーヒーの1つも飲めば目が覚めるだろう。
お風呂に入ってパジャマに着替えたら、一気に眠気が襲ってきた。
「くー…すー…」
桜花さんは戦いで疲れたのかもう寝てるし。
「でも、ちゃんとやることやらないと、寝たらまずいよね…」
正直私ももう寝たいけど、学生の本分は勉強。予習復習は怠らないようにしないと。
「しょ~がない…」
私は立ち上がり、外に出る。
目的地はすぐそこ、寮に備え付けの自販機。コーヒーの1つも飲めば目が覚めるだろう。
「あ、こんばんわ。ねがいさん」
自販機の前で、ねがいさんと会う。
「あ、玲子…こんばんわ」
内気なねがいさんは小さな声で返事を返す。朝とは打って変わって元気そうだ。
「ねがいさんも、お勉強ですか?」
まだ10時だから寝るのは早い気もするけど、学園世界TVって放送が9時で終わるから、あんまり起きてても勉強くらいしかやること無いんだよね。
「ううん。違うの…『がくおん』はこの時間からが本番、だから…」
だけど、ねがいさんの目的は別にあるらしい。
「がくおん?」
そう言えば朝、いのりさんがそんなことを言ってた気がする。
「うん…がくおん」
ねがいさんががくおんについて説明してくれる。
自販機の前で、ねがいさんと会う。
「あ、玲子…こんばんわ」
内気なねがいさんは小さな声で返事を返す。朝とは打って変わって元気そうだ。
「ねがいさんも、お勉強ですか?」
まだ10時だから寝るのは早い気もするけど、学園世界TVって放送が9時で終わるから、あんまり起きてても勉強くらいしかやること無いんだよね。
「ううん。違うの…『がくおん』はこの時間からが本番、だから…」
だけど、ねがいさんの目的は別にあるらしい。
「がくおん?」
そう言えば朝、いのりさんがそんなことを言ってた気がする。
「うん…がくおん」
ねがいさんががくおんについて説明してくれる。
がくおんって言うのは『学園世界Online』の略で、パソコンで遊べるゲーム…それも一度にたくさんの人が同時に遊べるゲームらしい。
プレイヤーは『ゲームの中の学園世界』の住人になって、冒険したり執行部に入ったりできるって言うゲームだ。
それで、昼間はプレイできないから、夜が沢山のプレイヤーが集まる『本番』となる。
特にこの時間になると、部活終わってから色々していた生徒や仕事の終わった先生たちもログインしてきて賑やかになるらしい。
プレイヤーは『ゲームの中の学園世界』の住人になって、冒険したり執行部に入ったりできるって言うゲームだ。
それで、昼間はプレイできないから、夜が沢山のプレイヤーが集まる『本番』となる。
特にこの時間になると、部活終わってから色々していた生徒や仕事の終わった先生たちもログインしてきて賑やかになるらしい。
「へぇ…すごいんですね」
ねがいさんの説明に、私は目を丸くする。
私の世界にもパソコンはあったけど、女子高生が持ってるほどには普及してなかったし、それを使ってみんなで一度にゲームなんて発想は無かった。
どうやら私のいた世界と輝明学園には10年位、時代の差があるようだ。
ちっちゃい携帯電話が普及してたり、携帯ゲーム機に画面が2つついてたりして、来た当初は驚いたものだ。
「うん…だから…今から準備」
そう言いながらねがいさんはペットボトルのお茶を一気に3本買う。ゲーム中はのどが渇くから、とのことだ。
「今日から『ペルソナ使い』と『サモナー』が実装されるから、新アカのレベル上げと性能テスト手伝うってこなたんと約束してるの…それじゃ…」
それを抱え、ねがいさんは足早に部屋へと戻って行く。一刻も早くゲームをやりたい。そんな感じだ。
「…あれじゃあ朝のあれも頷けるって感じだよね」
毎朝毎朝ねがいさんが寝ぼけている理由が分かり、ちょっとすっきりした私も部屋に戻り、勉強を始めることにした。
ねがいさんの説明に、私は目を丸くする。
私の世界にもパソコンはあったけど、女子高生が持ってるほどには普及してなかったし、それを使ってみんなで一度にゲームなんて発想は無かった。
どうやら私のいた世界と輝明学園には10年位、時代の差があるようだ。
ちっちゃい携帯電話が普及してたり、携帯ゲーム機に画面が2つついてたりして、来た当初は驚いたものだ。
「うん…だから…今から準備」
そう言いながらねがいさんはペットボトルのお茶を一気に3本買う。ゲーム中はのどが渇くから、とのことだ。
「今日から『ペルソナ使い』と『サモナー』が実装されるから、新アカのレベル上げと性能テスト手伝うってこなたんと約束してるの…それじゃ…」
それを抱え、ねがいさんは足早に部屋へと戻って行く。一刻も早くゲームをやりたい。そんな感じだ。
「…あれじゃあ朝のあれも頷けるって感じだよね」
毎朝毎朝ねがいさんが寝ぼけている理由が分かり、ちょっとすっきりした私も部屋に戻り、勉強を始めることにした。
―――24:00 予習復習を終えて就寝。明日も頑張ろう。
「ふう…これでよしっと」
予習と復習。こっちに来てから始めた日記を書き終えて私はパタンと日記を閉じる。
「さてと…今日はもう寝よっと」
歯磨きして、桜花さんを起こさないように布団にはいる。
「それじゃ、おやすみなさーい…」
枕もとの電気を消して目を閉じる。
今日も色々あったせいか、あっという間に眠気が襲ってきて、私はすぐに眠りに落ちた…
予習と復習。こっちに来てから始めた日記を書き終えて私はパタンと日記を閉じる。
「さてと…今日はもう寝よっと」
歯磨きして、桜花さんを起こさないように布団にはいる。
「それじゃ、おやすみなさーい…」
枕もとの電気を消して目を閉じる。
今日も色々あったせいか、あっという間に眠気が襲ってきて、私はすぐに眠りに落ちた…