邪神は学園世界の夢を見る 06
―――ifの未来
最初に視界に入るのは…一面の白。
それは身を焼きつくす熱を伴っていた。
「こんなの…こんなの、おかしいじゃないか!」
白く閉ざされた世界に再び色が戻ったとき、夢の中のユミは絶叫する。
その場に残るのは、熱く燻る瓦礫と…辺りに転がる無数の死体、そして、その死肉を食らう、悪魔の、群れ。
「なんでだよ!なんで…」
その中でただ1人、神クラスの悪魔の加護を得た、ガーディアン憑きであるが故に生き残ったユミは崩れ落ちる。
余りにも理不尽な、深い絶望。それに心を喰われながら、ユミはその理不尽を呪う。
「…魔神皇は…ハザマは、倒したのに…」
ユミのいる学園、軽子坂学園高校は魔神皇の手で魔界へ堕ちた。
それを行った、天才悪魔召喚師、魔神皇こと挟間偉出夫は魔界で得た強力な力を持って暴虐の限りを尽した末に…倒された。
ユミともう1人の天才悪魔召喚師、そして彼女の仲魔たちの手によって。
魔神皇を倒したことで学園は元の世界へ戻り、学園にいたものたちは平穏な暮らしを取り戻した。
「…それなのに…なんで」
その、わずか数週間後の出来事だった。
市ヶ谷で発生した自衛隊のクーデターと、その鎮圧を行っていた米軍の衝突。
ユミの手の届かぬ、遠い世界の出来事の果てに、その終わりを告げたもの。
それは身を焼きつくす熱を伴っていた。
「こんなの…こんなの、おかしいじゃないか!」
白く閉ざされた世界に再び色が戻ったとき、夢の中のユミは絶叫する。
その場に残るのは、熱く燻る瓦礫と…辺りに転がる無数の死体、そして、その死肉を食らう、悪魔の、群れ。
「なんでだよ!なんで…」
その中でただ1人、神クラスの悪魔の加護を得た、ガーディアン憑きであるが故に生き残ったユミは崩れ落ちる。
余りにも理不尽な、深い絶望。それに心を喰われながら、ユミはその理不尽を呪う。
「…魔神皇は…ハザマは、倒したのに…」
ユミのいる学園、軽子坂学園高校は魔神皇の手で魔界へ堕ちた。
それを行った、天才悪魔召喚師、魔神皇こと挟間偉出夫は魔界で得た強力な力を持って暴虐の限りを尽した末に…倒された。
ユミともう1人の天才悪魔召喚師、そして彼女の仲魔たちの手によって。
魔神皇を倒したことで学園は元の世界へ戻り、学園にいたものたちは平穏な暮らしを取り戻した。
「…それなのに…なんで」
その、わずか数週間後の出来事だった。
市ヶ谷で発生した自衛隊のクーデターと、その鎮圧を行っていた米軍の衝突。
ユミの手の届かぬ、遠い世界の出来事の果てに、その終わりを告げたもの。
…それは、1発のICBMと、それによる東京の壊滅だった。
「…あたしは…」
壊滅し、死の街と化した東京。
…その東京に現出し、死体を貪り僅かに生き残った人々を襲う、悪魔の群れ。
命がけの旅の果てに魔神皇を倒し、学園のみんなを助けだし、魔界と言う名の地獄を抜けた先に待っていたのは、慣れ親しんだ街が変貌した、また別の地獄。
「…あたしは…なんのために…戦ったんだ…」
壊滅し、死の街と化した東京。
…その東京に現出し、死体を貪り僅かに生き残った人々を襲う、悪魔の群れ。
命がけの旅の果てに魔神皇を倒し、学園のみんなを助けだし、魔界と言う名の地獄を抜けた先に待っていたのは、慣れ親しんだ街が変貌した、また別の地獄。
「…あたしは…なんのために…戦ったんだ…」
絞り出すように呟かれたそれに答えるものは、誰もいなかった。
―――邪神の胎内
凍結した空気で白に閉ざされた世界。
嫌な景色だな。とどこか人ごとのように白川由美は思った。
レラ・ペレスと一体化し、絶大な氷の魔力を得たユミには、心地良くすら感じられるこの空気。
だが、これは魔界の…地獄の空気だ。あの悪夢と同じ、悪魔ならざるものの生を否定する世界だ。
その光景を苦々しく思いつつ、ユミはあの悪夢の光景を思い出していた。
レラ・ペレスと一体化し、絶大な氷の魔力を得たユミには、心地良くすら感じられるこの空気。
だが、これは魔界の…地獄の空気だ。あの悪夢と同じ、悪魔ならざるものの生を否定する世界だ。
その光景を苦々しく思いつつ、ユミはあの悪夢の光景を思い出していた。
あの、何度繰り返したかも分からぬほど見た、絶望の未来。
…もし、ユミがかつて夢想したように彼女が自分と共に戦う道を選んでいたとしたらどうなっていたのかを知ったとき、
そして、魔神皇を倒して、元の世界に戻ると言う事がどういうことなのかを知ってしまったとき…
ユミの強く優しい心は、その優しさ故に、折れた。
…もし、ユミがかつて夢想したように彼女が自分と共に戦う道を選んでいたとしたらどうなっていたのかを知ったとき、
そして、魔神皇を倒して、元の世界に戻ると言う事がどういうことなのかを知ってしまったとき…
ユミの強く優しい心は、その優しさ故に、折れた。
いつしか目を閉じていたらしい。
ユミはゆっくりと目を開く。
漆黒に染まった視界が色を取り戻す。その瞳に、ユミの使った魔法の結末が写る。
「…生きているのが、不思議なくらいね」
あちこちに凍傷を負い、その痛みに膝を震わせ、白い息を零しながら、ライズは呪錬制服の上からですら人を凍りつかせる魔人の魔法の凄まじさを改めて実感する。
「フィル…大丈夫!?」
自らも強烈な冷気で身を凍らせながらも、空は倒れたフィルに近寄り、慌てて抱き起こす。
「…だ、大丈夫…寒いのは…慣れてる…から」
空に抱き起こされ、弱々しく笑顔を返すフィル。だが、その身体にもはや力は感じられない。
強力無比な冷気の魔法に全身の体温を奪われ、倒れたフィルがもはやまともに動ける状態に無いことは、誰が見ても明らかだった。
にも関わらず、フィルは言う。笑顔を崩さずに。
「ボクは…大丈夫…だから…頑張ってね、2人とも」
その言葉を最後に、フィルは完全に気絶する。
フィルの言葉を受けて、ライズと空は同時に"敵"を見る。怒りと、殺意すらこめて。
「許さない…!」
「…どうあっても、倒さなければならないようね」
「…やっぱり生き残ったか」
その2人の瞳、危機的状況に追い込まれたにも関わらず勝ちを諦めない様子、自らが持ち得なかった"強さ"に対し、
燻るような苛立ちを抱えながら、顔にだけはうっすらと笑みをにじませ、ユミが言う。
「さあ…来なよ」
(そうさ。あたしは恐ろしい敵で良い。魔神皇に繋がる…化け物で良い)
絶望の可能性を知ってしまったユミは、もはや戦うことはできない。ならばせめて…希望を育てる餌となろう。
魔神皇を倒し、大切な友人たちを救えるものに託そう。
それこそが優しき魔人、白川由美の至った結論(みち)
「見せてみろ!アタシを倒して…道を切り拓く、力を!出来ないんなら…ここで死ね!」
その結論を胸にユミが吠える。凶暴な魔人の貌で!
ユミはゆっくりと目を開く。
漆黒に染まった視界が色を取り戻す。その瞳に、ユミの使った魔法の結末が写る。
「…生きているのが、不思議なくらいね」
あちこちに凍傷を負い、その痛みに膝を震わせ、白い息を零しながら、ライズは呪錬制服の上からですら人を凍りつかせる魔人の魔法の凄まじさを改めて実感する。
「フィル…大丈夫!?」
自らも強烈な冷気で身を凍らせながらも、空は倒れたフィルに近寄り、慌てて抱き起こす。
「…だ、大丈夫…寒いのは…慣れてる…から」
空に抱き起こされ、弱々しく笑顔を返すフィル。だが、その身体にもはや力は感じられない。
強力無比な冷気の魔法に全身の体温を奪われ、倒れたフィルがもはやまともに動ける状態に無いことは、誰が見ても明らかだった。
にも関わらず、フィルは言う。笑顔を崩さずに。
「ボクは…大丈夫…だから…頑張ってね、2人とも」
その言葉を最後に、フィルは完全に気絶する。
フィルの言葉を受けて、ライズと空は同時に"敵"を見る。怒りと、殺意すらこめて。
「許さない…!」
「…どうあっても、倒さなければならないようね」
「…やっぱり生き残ったか」
その2人の瞳、危機的状況に追い込まれたにも関わらず勝ちを諦めない様子、自らが持ち得なかった"強さ"に対し、
燻るような苛立ちを抱えながら、顔にだけはうっすらと笑みをにじませ、ユミが言う。
「さあ…来なよ」
(そうさ。あたしは恐ろしい敵で良い。魔神皇に繋がる…化け物で良い)
絶望の可能性を知ってしまったユミは、もはや戦うことはできない。ならばせめて…希望を育てる餌となろう。
魔神皇を倒し、大切な友人たちを救えるものに託そう。
それこそが優しき魔人、白川由美の至った結論(みち)
「見せてみろ!アタシを倒して…道を切り拓く、力を!出来ないんなら…ここで死ね!」
その結論を胸にユミが吠える。凶暴な魔人の貌で!
再び臨戦態勢に入ったユミを前に、ライズは時空鞘より、愛用の剣の鞘を取り出す。
それに剣を納め、言う。
「…ヒメミヤソラ」
「…はい」
それに、立ち上がった空が静かに応じる。
空の迷いのない声を心地よく感じながら、ライズは目の前の敵を見る。
恐るべき力を持つ、氷の魔人と、それを守るように立ちはだかる、レラ・ペレスの最後の首を。
再びあの魔法を使われれば、3人はあの魔人の言ったとおり氷漬けで死ぬだろう。それをさせないためには…
「…ソラ。私は、貴方が次の一撃であの魔人を葬り去ることに私の命を賭けるわ。だから、貴方も賭けなさい」
ふぅ…と、緊張を解きほぐすように、息を吐く。
「私の剣が、レラ・ペレスを倒す。そのことに貴方の命を」
そう、これは賭けだ。ライズか空、どちらかが賭けに負ければ3人は死ぬ。そんな、無謀な賭けだ。
「分りました…私は…ライズを信じます。だから…絶対に、勝って下さい!」
そんな、空の言葉を背に。
「任せておきなさい」
ライズは最後の大博打に打って出た!
それに剣を納め、言う。
「…ヒメミヤソラ」
「…はい」
それに、立ち上がった空が静かに応じる。
空の迷いのない声を心地よく感じながら、ライズは目の前の敵を見る。
恐るべき力を持つ、氷の魔人と、それを守るように立ちはだかる、レラ・ペレスの最後の首を。
再びあの魔法を使われれば、3人はあの魔人の言ったとおり氷漬けで死ぬだろう。それをさせないためには…
「…ソラ。私は、貴方が次の一撃であの魔人を葬り去ることに私の命を賭けるわ。だから、貴方も賭けなさい」
ふぅ…と、緊張を解きほぐすように、息を吐く。
「私の剣が、レラ・ペレスを倒す。そのことに貴方の命を」
そう、これは賭けだ。ライズか空、どちらかが賭けに負ければ3人は死ぬ。そんな、無謀な賭けだ。
「分りました…私は…ライズを信じます。だから…絶対に、勝って下さい!」
そんな、空の言葉を背に。
「任せておきなさい」
ライズは最後の大博打に打って出た!
鞘におさめた剣を腰に持ってきて、走りながら構える。
(まさか、これを使う羽目に陥るなんて、ね)
ライズとユミを阻むように立ちはだかるレラ・ペレスにまっすぐ向かいながら、内心苦笑する。
うまく行く保障の無い技を使うと決めた、自らの無謀さに。
(けれど、あれを一撃で倒せるとしたら、この技しか無いわ)
それはライズがもっと幼い頃…本格的に剣を学ぶ前に夢想した…否、憧れた技。
(まさか、これを使う羽目に陥るなんて、ね)
ライズとユミを阻むように立ちはだかるレラ・ペレスにまっすぐ向かいながら、内心苦笑する。
うまく行く保障の無い技を使うと決めた、自らの無謀さに。
(けれど、あれを一撃で倒せるとしたら、この技しか無いわ)
それはライズがもっと幼い頃…本格的に剣を学ぶ前に夢想した…否、憧れた技。
距離を詰め切ったライズが剣を抜き放ちつつ斬りつける。
まっすぐに走る横一文字の軌跡。
鞘で加速された一撃は限界を迎えた剣に罅を走らせながら、軌跡の上にあったレラ・ペレスの目を引き裂く!
グオオオオオオオオオ!?
目を斬られ、痛みにのたうちまわるレラ・ペレスに対し、ライズは間髪入れずに剣を振り上げ、両手でしっかりと剣を握りこむ。
(お父様!その御技…お借りします!)
「――――――滅しなさい!」
叫び声と共にその剣を全身のバネを使い、思い切り振り降ろす。その縦の一撃は…目の前の敵に"破滅"をもたらすために!
まっすぐに走る横一文字の軌跡。
鞘で加速された一撃は限界を迎えた剣に罅を走らせながら、軌跡の上にあったレラ・ペレスの目を引き裂く!
グオオオオオオオオオ!?
目を斬られ、痛みにのたうちまわるレラ・ペレスに対し、ライズは間髪入れずに剣を振り上げ、両手でしっかりと剣を握りこむ。
(お父様!その御技…お借りします!)
「――――――滅しなさい!」
叫び声と共にその剣を全身のバネを使い、思い切り振り降ろす。その縦の一撃は…目の前の敵に"破滅"をもたらすために!
キィンッッッッ!
澄んだ金属音が辺りに響き渡る。
「…ソラ、貴方は勝った、だから…」
根元から折れ、持ち手だけになった剣をその腕から零れ落としつつ、ライズが呟く。その次の瞬間。
ズゥゥゥン!
声すらもあげず、地響きを立てて脳天を割られたレラ・ペレスの首は地に伏した。
「…次は貴方の番よ。ヒメミヤ、ソラ…!」
全ての力を使いはたしてへたり込んだライズの背中の方から。
タンッ!
軽やかに魔人に向かって地を蹴った空の足音が聞こえた。
「…ソラ、貴方は勝った、だから…」
根元から折れ、持ち手だけになった剣をその腕から零れ落としつつ、ライズが呟く。その次の瞬間。
ズゥゥゥン!
声すらもあげず、地響きを立てて脳天を割られたレラ・ペレスの首は地に伏した。
「…次は貴方の番よ。ヒメミヤ、ソラ…!」
全ての力を使いはたしてへたり込んだライズの背中の方から。
タンッ!
軽やかに魔人に向かって地を蹴った空の足音が聞こえた。
ライズが切り拓いた血路を越えて魔人に向かいつつ、空は誓う。空を信じたライズのために。
(私は…2人を守れるならば…兵器でもいい!化け物でもいい!だから…力を貸して!私の身体!)
その誓いに、姫宮空の肉体は…対侵魔用戦術兵器の肉体は答える。自らを修羅となすことで!
空の頭の中に声が響き渡る。
(―――絶滅社登録No.7284291より本機に敵対対象の殲滅命令が発令しました。これより、絶滅モードに移行。
全リミッターを解除します)
(―――敵対対象確認…2名を友好的対象として除外。殲滅対象…1)
(―――単機殲滅命令が承認されました。対魔王想定殲滅プロセスに移行)
それは、姫宮空が生まれたときからもっていた無数の機能(やいば)。
絶滅社が持てる技術の限りを尽くして作り上げた戦闘特化型人造人間の真骨頂。
戦闘用人格(あるじ)を失い、長らく沈黙を保っていたそれらが今、姫宮空と言う新たな主の求めに応じ、一斉に牙を剥く。
戦闘用人格をもたぬ空にはそれが何を言っているのか、まったく理解できない。
だが、そんなことは問題では無い。空がやらねばならないことは…たった1つ。
(―――警告。対魔王想定殲滅命令に基づき、コードレイジが発令されました。
登録No.7284291を稼働率255%まで強制ブーストします。登録No.7284291は反動に備えてください)
(―――戦術分析フェイズ完了。登録No.7284291記憶野情報と総合し、対象には火属性が有効と判断。
登録No.7284291の生体兵装に火属性を付加します)
(―――命中を確認。プラーナ循環経路変更。全プラーナを攻撃力強化に使用します)
「私は、帰る!2人と一緒にあの人の…」
アームブレイドが白い輝きを放つ。火属性の付与と、想定している限界を遙かに超えるプラーナを流しこまれたことによる、オーバーロード状態。
全リミッターを解除し、更に胎内の戦闘用ユニットまで暴走させた反動で空の身体が軋む。
その痛みに震えながら、空は。
「一狼のところへ、帰るんだあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
咆哮と共に、目の前の魔人に、アームブレイドを叩きつけた。
(―――対象の破壊を確認。絶滅モードを解除)
(私は…2人を守れるならば…兵器でもいい!化け物でもいい!だから…力を貸して!私の身体!)
その誓いに、姫宮空の肉体は…対侵魔用戦術兵器の肉体は答える。自らを修羅となすことで!
空の頭の中に声が響き渡る。
(―――絶滅社登録No.7284291より本機に敵対対象の殲滅命令が発令しました。これより、絶滅モードに移行。
全リミッターを解除します)
(―――敵対対象確認…2名を友好的対象として除外。殲滅対象…1)
(―――単機殲滅命令が承認されました。対魔王想定殲滅プロセスに移行)
それは、姫宮空が生まれたときからもっていた無数の機能(やいば)。
絶滅社が持てる技術の限りを尽くして作り上げた戦闘特化型人造人間の真骨頂。
戦闘用人格(あるじ)を失い、長らく沈黙を保っていたそれらが今、姫宮空と言う新たな主の求めに応じ、一斉に牙を剥く。
戦闘用人格をもたぬ空にはそれが何を言っているのか、まったく理解できない。
だが、そんなことは問題では無い。空がやらねばならないことは…たった1つ。
(―――警告。対魔王想定殲滅命令に基づき、コードレイジが発令されました。
登録No.7284291を稼働率255%まで強制ブーストします。登録No.7284291は反動に備えてください)
(―――戦術分析フェイズ完了。登録No.7284291記憶野情報と総合し、対象には火属性が有効と判断。
登録No.7284291の生体兵装に火属性を付加します)
(―――命中を確認。プラーナ循環経路変更。全プラーナを攻撃力強化に使用します)
「私は、帰る!2人と一緒にあの人の…」
アームブレイドが白い輝きを放つ。火属性の付与と、想定している限界を遙かに超えるプラーナを流しこまれたことによる、オーバーロード状態。
全リミッターを解除し、更に胎内の戦闘用ユニットまで暴走させた反動で空の身体が軋む。
その痛みに震えながら、空は。
「一狼のところへ、帰るんだあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
咆哮と共に、目の前の魔人に、アームブレイドを叩きつけた。
(―――対象の破壊を確認。絶滅モードを解除)
(―――残生命力が危険水準を下回りました。登録No.7284291の完全停止回避のため、生命維持を最優先し、休眠モードに移行します…)
*
本体であるユミが空によって粉砕されると同時に、レラ・ペレスは消失した。
それを見て、この場でただ1人意識を保っていたライズは、慌てて駆け寄り、倒れた空の様子を確認する。
ボロボロだが、死んではいない。力を使い果たしたらしく、眠っている。それを確認し、ライズは溜息をつく。
「…酷い状況だけれど…私たちの勝ちのようね」
そう、勝った。魔人を倒し、過去の幻影をすべて打ち破った。だが…
「この魔界が消えていないと言う事は…」
確か、異界は発生させたものが倒れれば消えると聞いていた。にも関わらず、消える気配はない。
そして、それに答える声が響く。
それを見て、この場でただ1人意識を保っていたライズは、慌てて駆け寄り、倒れた空の様子を確認する。
ボロボロだが、死んではいない。力を使い果たしたらしく、眠っている。それを確認し、ライズは溜息をつく。
「…酷い状況だけれど…私たちの勝ちのようね」
そう、勝った。魔人を倒し、過去の幻影をすべて打ち破った。だが…
「この魔界が消えていないと言う事は…」
確か、異界は発生させたものが倒れれば消えると聞いていた。にも関わらず、消える気配はない。
そして、それに答える声が響く。
―――ああ、そうさ。アタシは…死んじゃいない。
「っ!?魔人…!?」
空間全体から響く声。それはあの魔人の声だった。
ライズの顔が緊張に歪む。手をやり、剣が折れたことを思い出し手舌打ちをする。
空間全体から響く声。それはあの魔人の声だった。
ライズの顔が緊張に歪む。手をやり、剣が折れたことを思い出し手舌打ちをする。
―――慌てなさんな。死んじゃあいないけど、コイツとアタシを隔ててた肉体は壊れちまった。…っと。
苦笑するような言葉と共に、世界が揺れ出す。
―――始まったようだね。
「はじまった…!?」
激しい揺れに思わず手をついたライズは自らの手が透け出していることに気が付き、息をのむ。
激しい揺れに思わず手をついたライズは自らの手が透け出していることに気が付き、息をのむ。
―――ああ、アンタらが散々暴れまわったお陰だ。アンタらは、コイツに『異物』だと判断された。だから、吐き出されるのさ。元あった場所に、ね。
肉体の透けは、既に全身に及んでいる。
見ればそれは空とフィルも同様であった。
見ればそれは空とフィルも同様であった。
―――帰ったら、アンタの…カゲモリのお仲間に伝えな。コイツの…邪神の力を。
「邪神…神?」
その言葉に、ライズは1ヶ月前の魔神皇の言葉を思い出す。神の力を手にすると言う、言葉を。
その言葉に、ライズは1ヶ月前の魔神皇の言葉を思い出す。神の力を手にすると言う、言葉を。
―――そう。とてつもない力持った本物の邪神だ。なにしろ…アンタらがここに来てから回った魔界…それ自体がコイツの正体。ここは…邪神の腹ン中なんだよ。
「なんですって!?」
ライズは思わず驚愕の声を上げる。この異界そのものが邪神だとすれば、その力はライズの想像できる範囲をはるかに超えている。
ライズは思わず驚愕の声を上げる。この異界そのものが邪神だとすれば、その力はライズの想像できる範囲をはるかに超えている。
―――恐らく魔神皇は遠からずコイツを使って何かするはずだ。最もその頃にゃあ、アタシの自意識なんてものは無くなってるだろうけどね。
辺りが暗くなる。戻るときが近い。それを悟ったユミの意識は…最後の言葉を伝える。
―――コイツの名は…邪神ディー。本物の神だ。止めてみせろ。カゲモリ。
その言葉を最後に。
ライズの視界は暗転した。
ライズの視界は暗転した。