4-858
……そして彼は帰ってきた
緊張がきれたせいなのか、彼はその場にへたりこんだ
緊張がきれたせいなのか、彼はその場にへたりこんだ
「ははは……やったな!やってくれたな!」
親友が送り出した時と同じように不敵に笑いながら彼に肩を貸す
「ああ、やったよ……やっちまったよ……」
彼は自力で立てない自分に苦笑しつつ、彼は親友の肩を借りる
親友が送り出した時と同じように不敵に笑いながら彼に肩を貸す
「ああ、やったよ……やっちまったよ……」
彼は自力で立てない自分に苦笑しつつ、彼は親友の肩を借りる
「よく頑張った。矢野君」上司でありいつも世界滅亡の危機ばかりに立ち向かわせる副社長が珍しく労う
「流石王子!僕も死んじゃいましたけどね」もう一人の柊の中の人が言う
「私の出番は~!?一人で活躍するなんてズルイ!」柊の上司かつ強化人間の中の人は言う
「……交通事故にあってなければダイナシにできたんだがなぁ」先日事故にあった同僚は言う
「流石王子!僕も死んじゃいましたけどね」もう一人の柊の中の人が言う
「私の出番は~!?一人で活躍するなんてズルイ!」柊の上司かつ強化人間の中の人は言う
「……交通事故にあってなければダイナシにできたんだがなぁ」先日事故にあった同僚は言う
「矢野」「矢野君」「矢野さん」「王子」「クレバー」「アンドロメダ」
Oはたが、こはまーが、しのさんが、社長が、かわたなが、――
みんなが彼を労った
みんなが彼を労った
―――
これで彼の活躍は終わった。
彼 矢野俊作は 柊蓮司の生みの親は――世界の救ったのだ
彼 矢野俊作は 柊蓮司の生みの親は――世界の救ったのだ
4-859-860 オンステージ!のその後で
終わりを狙ってエピローグ。
すべてがつつがなく終わ…ったかどうかは全く持って不明だが、とりあえずの危機も去り──
アンゼロット宮殿、特設会場控え室。
ライブを終えたボーカルふたりがまったりムードで語らっていた。
もちろん、紅茶にマドレーヌは完備済み。
ちなみに、何故ふたりがボーカルなのかは七色の宝石を参照だ!
「お疲れさまです、エリスさん」
「はい、人前で歌うなんて初めてで緊張しました~」
「…その割に、ずいぶんノリノリでしたけど」
「アンゼロットさんこそ、歌は苦手じゃなかったんですか?」
「わたくしにそんな設定はありませんよ?おほほ……」
「そうだったんですか?ふふふ……」
女同士の牽制しあい──まっとうな神経の男が迷い込めば卒倒もののやりとりである。
「ゲフンゲフン、まあ、それはそれとして。エリスさん、やはり宝玉は…?」
「はい」
もう、ただのブレスレットでしかない箒を握りながらエリスは答えた。
柊蓮司と玖珂光太郎が"希望"をもって"運命"を突き破った、その瞬間、宝玉は光を失いタダのガラス玉になってしまった。
「残念です。まるではかない夢のようなものですわね」
「でも"善い夢"でしたよ」
「なかなか上手いことをおっしゃいますね。無いものねだりしても仕方ない。それに──」
「それに?」
「みなさん、もっとたくさんの掛け替えのないものが手に入れたはずです…エリスさんも」
「えっ!」
「わたくしの目をごまかせると思いまして?」
エリスはちょっと恥ずかしそうにしている。
「それにわたくしも、いいものを見つけられましたし」
「いいもの、ですか?」
アンゼロットはにやりと笑った。柊蓮司ならこう思うだろう「何か企んでやがる!?」。
「……エリスさん。芸能活動などには興味ありません?」
「ええっ?」
「実はライブが思いの外好評で……」
ライブを終えたボーカルふたりがまったりムードで語らっていた。
もちろん、紅茶にマドレーヌは完備済み。
ちなみに、何故ふたりがボーカルなのかは七色の宝石を参照だ!
「お疲れさまです、エリスさん」
「はい、人前で歌うなんて初めてで緊張しました~」
「…その割に、ずいぶんノリノリでしたけど」
「アンゼロットさんこそ、歌は苦手じゃなかったんですか?」
「わたくしにそんな設定はありませんよ?おほほ……」
「そうだったんですか?ふふふ……」
女同士の牽制しあい──まっとうな神経の男が迷い込めば卒倒もののやりとりである。
「ゲフンゲフン、まあ、それはそれとして。エリスさん、やはり宝玉は…?」
「はい」
もう、ただのブレスレットでしかない箒を握りながらエリスは答えた。
柊蓮司と玖珂光太郎が"希望"をもって"運命"を突き破った、その瞬間、宝玉は光を失いタダのガラス玉になってしまった。
「残念です。まるではかない夢のようなものですわね」
「でも"善い夢"でしたよ」
「なかなか上手いことをおっしゃいますね。無いものねだりしても仕方ない。それに──」
「それに?」
「みなさん、もっとたくさんの掛け替えのないものが手に入れたはずです…エリスさんも」
「えっ!」
「わたくしの目をごまかせると思いまして?」
エリスはちょっと恥ずかしそうにしている。
「それにわたくしも、いいものを見つけられましたし」
「いいもの、ですか?」
アンゼロットはにやりと笑った。柊蓮司ならこう思うだろう「何か企んでやがる!?」。
「……エリスさん。芸能活動などには興味ありません?」
「ええっ?」
「実はライブが思いの外好評で……」
エリスが何を手に入れたかだとか、アンゼロットの芸能界進出だとかは──また、別のお話。
5-105 空族アンゼロット宮殿~後日談
東京上空に城が浮かんだことが発端となった多重異次元連結現象
あのあと次元連結は無事に元に戻り、世界結界にも深刻な歪みは無く、事件は終結した
あのあと次元連結は無事に元に戻り、世界結界にも深刻な歪みは無く、事件は終結した
その後、次元だけ元に戻って元の世界に帰れなくなった、言わば『次元難民』を全て帰す作業を、アンゼロットは一週間ほどぶっ通しで続けていて、丁度終わったところだった。
流石に疲労困憊といった様だが、
「大変だったわね、アンゼロット。まあ、私としては面白い世界の場所が色々とわかったし、これから当分は暇を持て余すことも無さそう」
――この、アッサムティーを上品に口にする次元跳躍を容易く行う妖怪の補助により大分楽をできた。
正直な話アンゼロットとしては、もしもこの仕事を一人でやらねばならなかったらと思うと目眩がする。
無限のレベルがあろうと、世界を越えるのは相当に魔力を使うことに変わりは無いのだ。そんな常識を無視してひょいひょい世界の穴を開ける八雲紫は、あらゆる意味で例外だ。
「それにしても、最初に出された時とはまるで別物ね。香りが全然違うわ」
「ええ、よい従者を得ましたから」
流石に疲労困憊といった様だが、
「大変だったわね、アンゼロット。まあ、私としては面白い世界の場所が色々とわかったし、これから当分は暇を持て余すことも無さそう」
――この、アッサムティーを上品に口にする次元跳躍を容易く行う妖怪の補助により大分楽をできた。
正直な話アンゼロットとしては、もしもこの仕事を一人でやらねばならなかったらと思うと目眩がする。
無限のレベルがあろうと、世界を越えるのは相当に魔力を使うことに変わりは無いのだ。そんな常識を無視してひょいひょい世界の穴を開ける八雲紫は、あらゆる意味で例外だ。
「それにしても、最初に出された時とはまるで別物ね。香りが全然違うわ」
「ええ、よい従者を得ましたから」
そうして目を向けるのは、赤い外套を纏った長身の青年。
ボロボロになっていたアンゼロット宮殿をもの凄まじい速度で修復し、あまつさえ武装の増強まで行ったバケモノ
その後も宮殿の隅々までを清潔に保ち、あらゆる外壁を『強化』し、痛んだ調度品を修復し、アンゼロットの紅茶を淹れ、お茶請けの菓子を田作りし、
「ぬおおおおっ!? またお前かアンゼロットォォォ!」
八雲紫が開けた穴に鎖を投影し、アンゼロット大のお気に入りの、皆のおもちゃ柊蓮司を引きずり出す。
―――アルティメット・ワン、あらゆる最強と言う要素への歪んだ幻想の結晶、アバター・E-MIYAである。
何だかんだと彼はクリミアと37564号、両名と戦闘し、倒せはしなかったものの結果的に生き残っていたのだ。
――ただ一度の勝利も無く、ただ一度の敗走もない、E-MIYAそのものの在り方だ。
「柊さん、次の任務です♪」
「だぁぁぁっ! ついこの前あんなことがあったばかりだろうがっ!」
「いえいえ、それとは全く別件なのですが、ある場所に下級エミュレイターが大量発生しておりまして」
「そんなの他の奴に頼めよっ!?」
「行っていただけますね?」
「人の話を聞けええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
ボロボロになっていたアンゼロット宮殿をもの凄まじい速度で修復し、あまつさえ武装の増強まで行ったバケモノ
その後も宮殿の隅々までを清潔に保ち、あらゆる外壁を『強化』し、痛んだ調度品を修復し、アンゼロットの紅茶を淹れ、お茶請けの菓子を田作りし、
「ぬおおおおっ!? またお前かアンゼロットォォォ!」
八雲紫が開けた穴に鎖を投影し、アンゼロット大のお気に入りの、皆のおもちゃ柊蓮司を引きずり出す。
―――アルティメット・ワン、あらゆる最強と言う要素への歪んだ幻想の結晶、アバター・E-MIYAである。
何だかんだと彼はクリミアと37564号、両名と戦闘し、倒せはしなかったものの結果的に生き残っていたのだ。
――ただ一度の勝利も無く、ただ一度の敗走もない、E-MIYAそのものの在り方だ。
「柊さん、次の任務です♪」
「だぁぁぁっ! ついこの前あんなことがあったばかりだろうがっ!」
「いえいえ、それとは全く別件なのですが、ある場所に下級エミュレイターが大量発生しておりまして」
「そんなの他の奴に頼めよっ!?」
「行っていただけますね?」
「人の話を聞けええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
しかし、アバター・E-MIYAはこれで満足している。
あの、希望に満ち溢れた音楽。常人でさえ心を奮わすあの音色。
人々の幻想、つまり想念の塊たるE-MIYAは、それをより微細に、大きく感じ取ることができた。
それは、奥に潜れば潜るほどに細分化された、人類ひとりひとりが抱いた希望『太陽のカタチ』……。
それごと、自分はこの世界を踏み潰そうとしたのだ。
自分を呼んだ存在が消えたことを感知したときは、正直ホッとした。己を絶対正義と信じながら、絶対に切り捨ててはならない1を切り捨ててしまうところだった。
それを止めてくれたあの悪と、救世主候補に心から感謝を。
あの、希望に満ち溢れた音楽。常人でさえ心を奮わすあの音色。
人々の幻想、つまり想念の塊たるE-MIYAは、それをより微細に、大きく感じ取ることができた。
それは、奥に潜れば潜るほどに細分化された、人類ひとりひとりが抱いた希望『太陽のカタチ』……。
それごと、自分はこの世界を踏み潰そうとしたのだ。
自分を呼んだ存在が消えたことを感知したときは、正直ホッとした。己を絶対正義と信じながら、絶対に切り捨ててはならない1を切り捨ててしまうところだった。
それを止めてくれたあの悪と、救世主候補に心から感謝を。
――さて
この身は最高の幻想アルティメット・ワン、誰も追いつくことなど出来はしない
――さあ、この世最高の晩飯だ
『冷蔵庫よ、―――食材の貯蔵は充分か?』