ヘカトンケイル(Hekatoncheir)

100の手と50の頭を持つ巨人。その名はそのまま「100の腕」を意味する。

神話・物語

彼等は3兄弟で、それぞれの名は以下の通りである。

コットス(Kottos「怒り」)
ブリアレオス(Briareos「活力」)
ギュゲスまたはギュエス(Gyges「大きな手足を持つ者」)
コットスの代わりに アイガイオーン(Aigaion)が入る場合もある。

ウラノスガイアの最初の子供だが、彼等の奇怪な姿を嫌ったウラノスにより、
弟に当たるキュクロプス兄弟と共に地下世界タルタロスに幽閉されてしまう。

子供達に対する父ウラノスの仕打ちに怒ったガイアは、
ウラノス粛清をティターン神族のクロノスに依頼し、その企みは成功する。
しかし、クロノスによる粛清後もヘカトンケイル・キュクロプスの6兄弟がタルタロスから救出される事は無かった。

その後、「第三世代」に当たるゼウスらとティターン神族の戦い・ティタノマキアが起こる。
戦いは10年間もの膠着に陥り、ゼウスガイアの教えを受けて
ヘカトンケイル・キュクロプスらを地下から解放する。

この戦いにおいてヘカトンケイル・キュクロプスらは神々の武器・防具を創造する。
(ヘファイストスの弟子とされるキュクロプスのみが創造に携わったとも)
ゼウスには「雷鳴と稲妻」を、ポセイドンには「三叉戟・トライデント」を、ハデスには「身隠しの帽子」を贈った。

武具の創造だけでなく、直接的戦力としてもヘカトンケイルは活躍する。
その合わせて300本ともなる腕で大岩を投げつけたのだ。

敗北したティターン神族はタルタロスに幽閉される。ヘカトンケイルはその牢番の役を与えられた。
牢番と言えば聞こえはいいが、結局また地下に戻されてしまった。

これに怒った母・ガイアは再びギガス・テュポーンという巨人を産み出し、
新たな戦争ギガントマキアの幕開けとなるが、詳細は別項に譲る。

さらにその後、ヘラポセイドンアテナの三神が協力してゼウスに対して叛乱を起こした。
その時、三兄弟のひとりブリアレオスはニンフテティスに頼まれゼウスを守り抜いた。

現代の「ヘカトンケイル」

「100腕50頭」からの連想だろうか、創作・現実問わず
「多数の仕事をこなす便利なコンピュータシステム」に
「ヘカトンケイル」の名がつけられる事がある。

参考

尾形隆之介『通読 ギリシア神話』東京図書出版会
ルネ・マルタン『図説ギリシアローマ神話文化事典』原書房

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最終更新:2005年06月16日 16:08