ウラノス(Uranos)

天空を擬人化した神。

出自・血縁

天地創造の初期の頃にガイアが誰の手も借りず独力で産み出した。
昼夜や冥界など、世界の主要な要素が出来上がった時点でガイアと母子婚し、
ギリシャ神話最初の「王朝」の支配者となる。

ガイア・ウラノス夫妻の間に生まれた子供達は以下の通り。
ティタン12神
オケアノスコイオス?クレイオス?イアペトスヒュペリオン?クロノス
 テテュスポイベ?テイア?レアテミスムネモシュネ
ヘカトンケイル三兄弟
キュクロプス三兄弟

しかし、ウラノスはヘカトンケイルキュクロプスの醜い容姿を嫌い、
また我が子に自らの地位を簒奪されると恐れていたので、
ヘカトンケイルキュクロプスが生まれるや否や地底タルタロスに落として閉じ込めてしまった。

父の我が子への仕打ちに激怒したガイアは、ティタンらに弟達の仇を討つように命じたが、皆尻込みするばかりであった。
そこでガイアは特殊な金属で出来たギザギザの付いた鎌を用意した。
するとティタン兄弟の末子クロノスが名乗りをあげた。
そして、ウラノスがガイアに覆い被さろうとした瞬間、
隙を突いてクロノスが鎌でウラノスの生殖器を切り落とした。
ウラノスは権力を失い、復讐は成功した。

その時大地に滴り落ちたウラノスの血液からは
復讐の三女神・エリニュスと巨人ギガス、とねりこの木のニンフメリアイが産まれ、男性器そのものからは愛の女神・アプロディテが産まれた。

その後父を追い落としたクロノスが神々の王座に就いた。
しかし、ウラノスとガイア
クロノスもまた自らの子供によって王位を奪われるであろう」
と予言を残し、その予言は彼等の孫に当たるゼウスらによって成就する。
この予言を最後にウラノスは神話からその姿を完全に消す。

現代のウラノス

太陽系第7惑星は、彼にちなんで「Uranos(天王星)」と名づけられている。
天王星が発見された当初は当時のイギリス国王にちなんで「ゲオルギウム・シドゥス」とか、
発見者の名を取って「ハーシェル」等と呼ばれていたが、
天文学者ボーデによって「Uranos」と名づけられ、現在この名前が定着している。
余談だが天王星の衛星群はウラノスとは関わりの無いシェイクスピア文学などから取られている。

参考

尾形隆之介『通読 ギリシア神話』東京図書出版会
アポロドーロス著・高津春繁訳『ギリシア神話』岩波書店

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最終更新:2021年06月29日 11:06