成長性(定義)
まずは自分たちなりに成長性を定義することが肝心です。何をもって成長性というのか、というものを明確にしていかないと当然成長性を表す指標も決まってきません。
企業の長期、維持・発展のための総合的な潜在能力(岡本、1998を参考)
(cf 植林との関係で決めるor 何パターンか用意←植林はスパンが長いため)
- ③ 発展・・・企業の見える資産、見えざる資産が循環し、さらに規模が拡大していくこと
※ただし、②の循環の部分に①の定義が内包されると考えられるため、①を独立して考える必要はない
大きく二つに分けられるのではないでしょうか。
1.法人・個人事業主の場合
2.個人顧客の場合
また更に、2の場合は、
a.新規顧客の獲得数
b.既存顧客の継続率
に分けて考えることができると思います。
2についてはもうちょっと調べていきます。 (山際)
財務諸表から見る成長性=見える資産
- 売上高(←売上高よりも売上高営業利益率を用いるべきでは??さつさ)
売上高の長期的な伸びは市場競争において他の企業よりも優位に立っていることを示す。
売上高営業利益率は、企業が提供する商品またはサービスの内容と販売活動の成果を合せた、企業の競争力を示す指標である。
経営戦略上、利益を犠牲にしてでも市場の顧客獲得を優先する場合がある。
このようなケースでは莫大な費用を投入するため利益が減少することがある。当期純利益伸び率が一時的に停滞したからといって成長が見込めないと判断するのは宝物を見逃してしまうことにもなるので、利益を圧迫している原因を有価証券報告書を詳しく見て分析する必要があるだろう
注意しなければいけないのは負債により他人資本が増えた場合。他人資本は期限が来れば返さなければならないため、結果的には総資本が減ってしまうからである。
株主資本は返済の義務のない資産。
株主資本が増える場合は利益余剰金が増加すること、資本余剰金が増加することに起因する。
総資本増加率と株主資本増加率は両方ともに増加していることが好ましいといえるだろう。
研究開発費を多くかけているからといって将来の利益に結びつくかは判断できないが、研究開発を重視している企業は短期的な利益だけではなく、長期的な利益を上げようという姿勢をうかがうことができる。
時価総額=発行株式数×株価
時価総額を見ることで企業の規模を計ることができる。
時価総額の小さな企業はまだ成長段階にあり、成長の余地を残しているということができる。でも、時価総額が小さく継続的な成長性のある企業は株価の上昇する可能性も秘めている。
企業を分析する際に使われている代表的な指標には収益性、安全性、資本効率性、成長性、他に分類できる。
ここでは、成長性の指標について説明する。
- 配当性向:当期純利益のうち株主に対する配当金を示す。あるいは利益の内部留保分、または、将来の配当の潜在性なども示す。
(配当性向(%) = 1株あたり配当金 ÷ 1株あたり純利益(EPS) × 100)
- 株価純資産倍率(PBR:Price Book value Ratio):株価が1株当たり純資産(株主資本)の何倍かを示す。
- 株価収益率(PER:Price Earnings Ratio):株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍かを示す。
- 1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share):1株当たりの純資産を示す。
- 1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share):1株当たりの当期純利益を示す。
自己資本からどれくらい利益を回収できたかがわかる
ある企業が、一年間の企業活動を通じて、「株主の投資額に比してどれだけ効率的に利益を獲得したか」、を判断するのに用いられる指標で、当期純利益を、前期及び当期の自己資本の平均値で除したものである。
自己資本利益率(ROE) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
さらにデュポンシステムによれば、自己資本利益率は、売上高当期純利益率と総資産回転率と財務レバレッジの積へと分解される。 これらの指標の関係を数式とすると、以下の通りである。なお、売上高をSales、当期純利益をProfit、総資産をAssets、自己資本をEquityと表記する。
ちなみに
=売上高利益率
=総資産回転率
=財務レバレッジ
である。
売上高利益率は企業の収益性を、総資産回転率は効率性を、財務レバレッジは財務的な安定性を表す。なお、数式から分るように、財務レバレッジは自己資本比率の逆数である。
上述のように、自己資本利益率は売上高当期純利益率と総資産回転率と財務レバレッジの積として表される。よって、これらの数値を向上させることで、自己資本利益率の向上を図ることができる。具体的な手法は、以下の通りである。
- 売上高利益率を向上させる … 利益率の高い製品を開発する
- 総資産回転率を向上させる … 売上高を伸ばす、または使用してなかったり保留されている資産を売却する
- 財務レバレッジを向上させる … 負債の利用割合を上げて、株主へのリターンを増加させる(ただし、これが本当に成長性につながっているかは議論の余地あり)
成長性の定義
企業の長期、維持・発展のための総合的な潜在能力
③ 発展・・・企業の見える資産、見えざる資産が循環し、さらに規模が拡大していくこと
というものと照らし合わせると、ROEはフローチャートであること、資産を取り扱っていること、利益率というカタチで規模の拡大を見てとれること、さらに広く知られている、投資家の中でも最も有効な指標の一つであることからも、成長性分析には有効な指標と思われる。
また、回転率等も扱うことにより、循環という概念も内包できる数少ない指標と判断できる。
本来は投資家が企業の成長性(投資の際に見えない要素)を予測して、投資する。
成長性は株の要素においてもっとも重要であるが、未来のことであるのでもっとも把握しづらい。
投資家が投資する株の構成要因で成長性の割合が高い株を成長株という。(他の要因…どれくらい資産があるか、どれくらい利益をあげてるかetc)
そこで、フィリップ・フィッシャーという投資家が成長性を見極めるポイントを分析した。
15のポイントは以下の通り。
- 少なくとも数年間にわたって、会社の売上を大きく伸ばす製品や、サービスがある
- そうした成長の牽引役となる製品やサービスを、次々と生み出そうとしている
- 研究開発費が有効に活用され、成果を上げている
- 強い営業体制
- 営業利益率が高い
- 営業利益率をさらに高める努力をしている
- コスト分析や、財務分析がきっちりできる
- 労使関係が良好
- 幹部社員のやる気を引き出す、社風や体制がある
- 幹部社員に優秀な人材が多い
- その業界で勝ち抜くための、独特のノウハウを十分に持つ
- 長期的な視野に立って、企業運営されている
- むやみに新株を発行しない
- 自社にとって、不利益な材料を正直に説明する
- 株主に対して誠実である
次に各ポイントごとに解説する。
まず、
1.少なくとも数年間にわたって、会社の売上を大きく伸ばす製品や、サービスがある。
という事が必要であるが、そのために
2.そうした成長の牽引役となる製品やサービスを、次々と生み出そうとしている。
という姿勢が求められる。
1回だけのヒット商品なら、どの会社でもあるだろうが、成長し続けている企業とは、コンスタントにヒットを出し続ける企業である。
そのためには、研究開発が重要になるが、そこで大切なのは、
3.研究開発費が有効に活用され、成果を上げている。
ということだ。
研究開発自体は、どの企業でもやっているが、同じようにコストや労力を費やしても、大きな成果を上げられる企業と、そうでない企業に分かれる。
経営者のしっかりした方針と、どんな方向で研究開発を進めたらよいかを探る市場調査など、研究開発を有効に進める体制が必要なのである。
研究開発の結果、魅力的な製品の生み出しても、売れなければ意味がない。
そこで、
4.強い営業体制。
が求められる。
強い営業体制を持っていれば、顧客の声を上手く吸い上げることもでき、それを逆に研究開発に活かすこともできる。
また、売上が上がっても、利益が上がらなければ意味がなく、
5.営業利益率が高い
6.営業利益率をさらに高める努力をしている
ことが求められる。
営業利益率とは、営業利益が売上の何%になるのかという比率だ。
これを高めるためには、『高い価格でも買いたい』と思わせる魅力的な製品を開発する力も必要だが、
7.コスト分析や、財務分析がきっちりできる
ことも必要になる。
それによって、無駄を省き、業務効率を上げて、コストを減らすことができるからだ。
企業にとっては、なんと言っても人が重要であり、
8.労使関係が良好。
9.幹部社員のやる気を引き出す、社風や体制がある
10.幹部社員に優秀な人材が多い
人材の育成、質の高さは非常に大切なポイントだ。特に、次代を担う幹部社員の層が厚いかどうかは、非常に重要な部分である。
以上述べてきたこと全てに関わることだが、
11.その業界で勝ち抜くための、独特のノウハウを十分に持つ
かどうか。
つまり、技術力、顧客に対する知識、販売網などについて、その業界で強みを発揮するためのノウハウがあるか。
さらに、
12.長期的な視野に立って、企業運営されている
なども求められる。目先の利益ばかり追って、取引先や従業員との関係を壊すのではなく、長い目で見て、良好な関係を築くことが必要だ。
13.むやみに新株を発行しない
14.自社にとって、不利益な材料を正直に説明する
15.株主に対して誠実である
など、投資家に対する姿勢は、特にチェックを要する。必要以上に新株を発行することは、1株当たりの価値の希薄化を招き、株主の利益を損なう。
また、悪材料はどんな企業にも付き物だが、それを隠すことは、株主の利益をなによりも損なう行為だ。
植林はおそらく12.の「長期的な視野に立って、企業運営されている」に関係しているであろう。
<考察>
例えば、A社が植林というエコに関し人・モノ・カネを割いているといことが、イメージアップにつながり、A社の株価が上がるのではない。
その逆で、A社が植林を行えるだけの企業体制にあるから(上記の15ポイントをクリアしたうえで)、成長性を重んじる投資家にとって、このA社という企業は更なる成長が見込めるとなり、A社株を買い、結果として株価が上昇するのではないだろうか。
成長という観点からすれば、株価とは、成長性を表すのではなく、成長性の期待度を表すのではないだろうか?結果として、その期待度(株)が更なる資本を産み、結果的に成長につながるのである。
見えざる資産
成長性分析をするにあたって、見える資産を基準にしていくこともできるが、見えざる資産もその基準とすることができる。
無形資産を評価する方法
①ブランドや特許に関する収入を予測して評価するインカムアプローチ
②対象の無形資産と同じ無形資産を取得する場合に要するコストに基づいて評価するコストアプローチ
③商標権に関する利益指標による倍率を利用したり類似ライセンス契約に基づくロイヤリティー料率を利用して評価するマーケットアプローチ
注)ここでロイヤリティーとは特許権や著作権の使用料のことである。
③については今一理解できなかったので、今後調べます。
最終更新:2009年06月19日 01:31