今から約二百年前、
フォレエルフのとある村を
正しき隣人の会を名乗る集団が襲撃。
エルフの女子供を
奴隷にする為に捕まえ、抵抗するなら容赦なく殺した。
そんな村を一人の少女が脱出した。
その少女がどんな悲惨な目にあったのかは分からないが、
緑と大地の精霊の神殿にたどり着いた時には既に瀕死であったという。
緑と大地の精霊は少女を哀れに思い話しかけた。
『私に出来る事はありますか?』と。
それは『死にたくない』なら、傷を癒してあげようという問いであった。
それは『村を助けて』なら、襲撃者を追い出してあげようという問いであった。
ところが、少女の答えはどちらでもなかった。
『こんな世界滅んでしまえ』
それは、憎悪のこもった少女の最期の言葉だったという。
そしてあろうことか、緑と大地の精霊はその願いを叶えようとしたのだ。
植物やそれに類する魔物が一斉に活性化し、わずか数日でリクレシア大陸の四分の一が飲み込まれたという。
ヴォルゲンも迫る植物群に対して
ゴーレム騎士団等の戦力を繰り出して対処に当たったが、勢いを食い止めるので精一杯だったようだ。
最終的にはリクレシアにおいて精霊魔法の奥義を極めた術者達が集まり、同じ開闢精霊である雨と海原の精霊と風と天空の精霊を召喚。
結果として緑と大地の精霊は大人しくなり、迷惑をかけた事を謝罪したという。
ヴォルゲンの抵抗から大精霊同士のぶつかりあいまでを合わせて『リクレシア精霊戦争』と呼ぶ。
別に『精霊戦争』だけでも通じる。こんな事件は他に無いので。
ちなみに、一部の間では緑と大地の精霊は実は諦めておらず、未だにあの少女の願いを叶える機会を伺っているのではないかという噂も…。
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最終更新:2025年07月15日 23:51